10/02/12 04:39:25 3z+in1or0
>>1乙です。
生 昇天と合点 昇天紫緑+合点×昇天・灰先代司会者絡みのネタにつき注意
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
楽屋の中にそれぞれのテリトリーとも呼べる居場所があるのは、長年此処に通っているのだから
当たり前かも知れない。
定位置に座った樂太郎は頭の中だけで自分の周囲を着物と同じ紫色に塗ってみる。好樂はピンク、
小優座は水色。菊王は外へ出かけて行ったから、今は透明。鯛平は前の仕事が長引いているらしく、
到着にもう少し時間が掛かるとの事で、こちらも透明。
問題は、唄丸の深緑の端っこに滲んでいる灰色。否、樂太郎とて無闇に突っかかろうとは思わない。
そこまで大人気がない訳ではないので。大体翔太に妬いても仕方が無い。ゆっくりとしたペースで
話している二人の姿は、老人と孫の様なのだから。
翔太を孫呼ばわりしたら、きっと唄丸に睨まれるだろう。二人の年の差は親子程度のもの。
翔太の落ち着きのなさと童顔が悪いと、樂太郎は心の中で悪態をついた。
この二人が仲が良いのは仕方が無い。仕方がないという言い方が正しいかは分からないけれど、
唄丸は前座の頃から翔太を見ているのだから、そりゃ情も湧くだろうと樂太郎は思う。
唄丸のお茶を淹れながら――寄席の楽屋で散々淹れて来たからか、翔太はいとも簡単に
唄丸の好みのお茶を淹れて差し出す。ありがとうと礼を述べて唄丸が湯飲みを口に運ぶのを
ちらりと横目で見ながら、俺だって淹れられるぞっと言いたくなったけれど、やっぱり
心の中だけに留めた。
自分の分のお茶を淹れながら、ふと翔太が尋ねた。
「唄丸師匠は、どうして噺家になろうと思ったんですか?」
「んー、そうだねぇ。昔ね、まだあたしが子供って位の頃に、家に流翔師匠が来たんだよ」
その話は知らないと聞き耳を立てていた樂太郎は、出てきた名前に驚いた。今は亡き流翔は翔太の
師匠だ。
翔太も流翔からこの話は聞いていなかったのだろう。目を丸くしながら食いついている。
「えっ、唄丸師匠のご両親と、うちの師匠って知り合いだったんですか?」