モララーのビデオ棚in801板48at 801
モララーのビデオ棚in801板48 - 暇つぶし2ch2:風と木の名無しさん
09/05/11 00:21:24 BsvOrjw30
★モララーのビデオ棚in801板ローカルルール★

1.ノンジャンルの自作ネタ発表の場です。
書き込むネタはノンジャンル。SS・小ネタ・AAネタ等801ネタであれば何でもあり。

(1)長時間に及ぶスレ占拠防止のためリアルタイムでの書き込みは控え、
   あらかじめメモ帳等に書いた物をコピペで投下してください。
(2)第三者から見ての投下終了判断のため作品の前後に開始AAと終了AA(>>3-7辺り)を入れて下さい。
(3)作品のナンバリングは「タイトル1/9」~「タイトル9/9」のように投下数の分数明記を推奨。
   また、複数の書き手による同ジャンルの作品判別のためサブタイトルを付けて頂くと助かります。

※シリーズ物・長編物の規制はありませんが、連投規制やスレ容量(500KB)を確認してスレを占拠しないようお願いします。
※感想レスに対するレス等の馴れ合いレス応酬はほどほどに。
※「公共の場」である事を念頭にお互い譲り合いの精神を忘れずに。

相談・議論等は避難所の掲示板で
URLリンク(s.z-z.jp)


3:風と木の名無しさん
09/05/11 00:22:30 BsvOrjw30
2.ネタ以外の書き込みは厳禁!
つまりこのスレの書き込みは全てがネタ。
ストーリー物であろうが一発ネタであろうが
一見退屈な感想レスに見えようが
コピペの練習・煽り・議論レスに見えようが、
それらは全てネタ。
ネタにマジレスはカコワルイぞ。
そしてネタ提供者にはできるだけ感謝しよう。

  / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  | ネタの体裁をとっていないラッシュフィルムは
  | いずれ僕が編集して1本のネタにするかもね!
  \                           | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  | | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| . |
                               | | [][] PAUSE       | . |
                ∧_∧         | |                  | . |
          ┌┬―( ・∀・ )┐ ピッ      | |                  | . |
          | |,,  (    つ◇       | |                  | . |
          | ||―(_ ┐┐―||        |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   |
          | ||   (__)_), ||       |  °°   ∞   ≡ ≡   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


4:風と木の名無しさん
09/05/11 00:22:41 BsvOrjw30
3.ネタはネタ用テンプレで囲うのがベター。

別に義務ではないけどね。

テンプレ1

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  モララーのビデオを見るモナ‥‥。
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  きっと楽しんでもらえるよ。
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ ヒトリデコソーリミルヨ
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

5:風と木の名無しさん
09/05/11 00:22:52 BsvOrjw30
テンプレ2
          _________
       |┌────┐|
       |│l> play.      │|
       |│              |│
       |│              |│
       |│              |│
       |└────┘|
         [::::::::::::::::MONY:::::::::::::::::]
   ∧∧
   (  ,,゚) ピッ   ∧_∧   ∧_∧
   /  つ◇   ( ・∀・)ミ  (`   )
.  (⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒)
  |            ┌‐^───────
  └───│たまにはみんなと一緒に見るよ
                └────────

          _________
       |┌────┐|
       |│ロ stop.      │|
       |│              |│
       |│              |│
       |│              |│
       |└────┘|
         [::::::::::::::::MONY:::::::::::::::::]

                 ピッ ∧_∧
                ◇,,(∀・  ) ヤッパリ ヒトリデコソーリミルヨ
.  (⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒)
  |                                |
  └────────┘

6:風と木の名無しさん
09/05/11 00:23:01 BsvOrjw30
テンプレ3
               ,-、
                 //||
            //  .||               ∧∧
.          // 生 ||             ∧(゚Д゚,,) < みんなで
        //_.再   ||__           (´∀`⊂|  < ワイワイ
        i | |/      ||/ |           (⊃ ⊂ |ノ~
         | |      /  , |           (・∀・; )、 < 見るからな
       .ィ| |    ./]. / |         ◇と   ∪ )!
      //:| |  /彳/   ,!           (  (  _ノ..|
.    / /_,,| |,/]:./   /            し'´し'-'´
  /    ゙  /  /   /                    ||
 | ̄ ̄ ̄ ̄ |,,./   /                 /,!\
 |         |   /                   `ー-‐'´
 |         | ./
 |_____レ"
               ,-、
                 //||
            //  .||               ∧∧
.          // 止 ||             ∧(゚Д゚,,) < やっぱり
        //, 停   ||__           (´∀`⊂|  < この体勢は
        i | |,!     ||/ |           (⊃ ⊂ |ノ~
         | |      /  , |           (・∀・; )、 < 無理があるからな
       .ィ| |    ./]. / |         ◇と   ∪ )!
      //:| |  /彳/   ,!           (  (  _ノ..|
.    / /_,,| |,/]:./   /            し'´し'-'´
  /    ゙  /  /   /                    ||
 | ̄ ̄ ̄ ̄ |,,./   /                 /,!\
 |         |   /                   `ー-‐'´
 |         | ./
 |_____レ

7:風と木の名無しさん
09/05/11 00:23:11 BsvOrjw30
テンプレ4

携帯用区切りAA

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

中略

[][] PAUSE ピッ ◇⊂(・∀・;)チョット チュウダーン!

中略

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

8:風と木の名無しさん
09/05/11 00:23:20 BsvOrjw30
 / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | 僕のコレクションに含まれてるのは、ざっと挙げただけでも
 |
 | ・映画、Vシネマ、OVA、エロビデオとかの一般向けビデオ
 | ・僕が録画した(またはリアルタイムな)TV放送
 | ・裏モノ、盗撮などのおおっぴらに公開できない映像
 | ・個人が撮影した退屈な記録映像、単なるメモ
 | ・紙メディアからスキャニングによって電子化された画像
 | ・煽りや荒らしコピペのサンプル映像
 | ・意味不明、出所不明な映像の切れ端
 \___  _____________________
       |/
     ∧_∧
 _ ( ・∀・ )
 |l8|と     つ◎
  ̄ | | |
    (__)_)
       |\
 / ̄ ̄ ̄   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | 媒体も
 | 8mmフィルム、VCR、LD、ビデオCD、DVD、‥‥などなど
 | 古今東西のあらゆるメディアを網羅してるよ。
 \_________________________

9:風と木の名無しさん
09/05/11 00:23:34 BsvOrjw30
   |__[][][][]/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
   | ̄ ̄ ̄|   じゃ、そろそろ楽しもうか。
   |[][][]__\______  _________
   | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ || |       |/
    |[][][][][][][]//|| |  ∧_∧
   | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ || | ( ・∀・ )
   |[][][][][][][][]_||/(     )
    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   | | |
              (__)_)

10:風と木の名無しさん
09/05/11 15:57:10 pWDdmkfIP
1乙です

過去ログを見て萌えた者ですが
「31番とド荒」の話をまたどなたか書いていただけないでしょうか

11:風と木の名無しさん
09/05/11 20:08:17 GfbrFeV70
>>1乙です。ありがとうございます。さっそくお邪魔します。

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |   架空のすたっふ~×テクノなおっさん師匠だモナー
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  ライブ最高だった記念うpだカラナ
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドマイナーダゴルァ!!
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

12:架空すたっふ~×某師匠1/3
09/05/11 20:09:12 GfbrFeV70
この薄暗いスタジオはどんな真夏日でもエアコンを着けない。
5月に入りそろそろ暑い日が増えてきたな。ああ、今年は涼しい夏だといいなぁ。
師匠は裾からまるでしっぽのようにアースをはみ出させ部屋の中をウロウロしていた。
「師匠!!おはようございます!!朝から放電ですか?」
「朝から、というならば。朝から疑問を投げかけてくるとは何事か。」
去年の夏は確か涼しくなる服とか着てたなぁ。師匠はほんと変なもの見つけるの得意だよなぁ。
師匠が俺の前を通ったのではみ出ているアースのしっぽを軽く引っ張ってみた。
クンッと引っ張られ止まる師匠。あれ、これ本当に繋がってんじゃないだろうなぁ
じろりと睨みつけられたのですぐにアースを離し、なるべくにっこり笑ってお手上げポーズをした。
「邪魔をするな。エネルギー過多で私が壊れたって直せないくせに。」
「エネルギー余ってるんですか?なら俺にわけてくださいよ。」
師匠は俺より結構年上なのに、フットワークが軽くて活発な人だ。
今日だって俺が来る前に変な形の自転車で20キロ走ってきたはずだ。あれ、目立つんだよな。
この間「私はそろそろ年齢不詳、財布不携帯ってイメージでいく」って言ってたんだけど、なかなか成功してる気がする。
自転車乗ってるとこ見てヤンキーが「うおーなんだあれかっけー」とか言ってたし。
「昨日の夜も遅くまでネカマしてたみたいですけど…変なメールとか来てませんか?」
あんまり変な遊びしてると変な事にならないか心配。でも師匠の方がその辺の若者より一枚も二枚も上手だろうなぁ。
「メールなんか知らない。今日は見てない。あいつがうぜーし」
「「うぜーし」って…」
仕事の誘いのメールがここのところ頻繁に来ていたみたい。
断っても断ってもメールしてくるらしい。しかも、ちょっと失礼な文面…。
その依頼というのがロリコンアニメのサントラなんだよなぁ…さすがに師匠のイメージじゃないよ。
「怒りでエネルギーが溜まってしょうがない。だから、放電。」
ツンと音でもしそうな顔で、また部屋をウロウロしはじめる師匠。
なるほどねー。
こんな時は、あれだなっ。
「師匠~…お茶…淹れましょうか?」
「…ふっかーいの。」
「はーい!」

13:架空すたっふ~×某師匠2/3
09/05/11 20:09:44 GfbrFeV70
師匠は俺の淹れるお茶をおいしそうに飲んでくれるから好きだ~。
最近じゃ師匠のためにお茶の淹れ方とか勉強しちゃってるし。
「はい、どうぞ。」
一通りウロウロしたらしい師匠がしっぽをつけたままソファに腰掛けていた。
ソファのひじかけに肘をつき頬づえをついている。ちょっと大きめのシャツから半分しか手が出ていない。
そういうたまに見せるかわいいとこ、師匠には言えないけど、俺、ちょっと好き…。
無表情でお茶をすする姿はおじさんなのに、袖がそんなだから困る。
「…私がなんで死にかけのキミをここに置くかわかるか。」
「あのー、すごく元気に毎日過ごしてますけど。」
ちょいちょいとお茶を指差す師匠。
「これ。」
わーい、褒められた。
お茶がおいしいって。つい笑顔になっちゃう。
「今日のは褒美くらいくれてやってもいい出来だな。」
「本当ですか!」
「放電させてやろうか。」
「俺はエネルギーそんなに余ってないんで…」
「じゃあ高級な猫缶でも買ってやろう。」
猫缶って言葉に反応したのか、どこからか入ってきたらしい野良猫が鳴いた。
「ノムラ。」
途端に優しい顔つきになる師匠。ちぇ、俺も猫だったらなぁ…
「何ですかその名前。」
「こいつ、前に一緒に仕事してた野村に似てるんだよ」
野村さんいいなぁ。…知らない人だけど。
いいなぁ。猫も野村さんも。
純粋に羨ましい。俺もそんな風に師匠の中に残ればいいなぁ。
俺が知る限り野村さんて人はいない。だからきっとだいぶ前に仕事してた人なんだ。
なのに未だ師匠の中に居るんだもんなぁ。野村さんが羨ましい。俺もいつかそんな風に…

14:架空すたっふ~×某師匠3/3
09/05/11 20:10:18 GfbrFeV70
柔らかい顔でノムラの頭をちょんちょんと撫でている師匠はやっぱりどこかかわいい。
「師匠~俺がいつか居なくなった時、俺に似てる猫が居たら、その時は俺の名前つけてくださいね。」
師匠が吹き出す。
本気だもん…。
「んじゃそれが褒美でいいか。」
「はい!絶対ですよ!」
「あんたが私の前からいなくなったらな。」
あれっ
「あ、駄目ですね。俺、師匠とずっと一緒に仕事したいからやっぱりこのご褒美貰えない方がいいです。」
また師匠が吹き出す。
笑うとなんか尖った歯が見えてかわいいんだよなぁ。
「キミの事は死にかけてるけどいいお茶を淹れる子として記憶しておこう。」
「元気ですってば」
でも、嬉しい。
師匠、これからもよろしくおねがいしまーす。

15:風と木の名無しさん
09/05/11 20:10:43 GfbrFeV70
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ マイナーなのに以前感想を頂きまして
 | |                | |     ピッ   (・∀・ ) どうもありがとうございました。
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

16:風と木の名無しさん
09/05/12 00:17:03 Cv6tvkryO
>>15
まさか801板で師匠の名前を見るとは…
おっさん可愛いよおっさん

17:風と木の名無しさん
09/05/12 00:36:38 65iXj+Ye0
>>15
つまんない

18:風と木の名無しさん
09/05/12 00:43:11 vwlnIWKzO
>>15
うわーっ師匠ーっ!
可愛いっ、萌えました!
良いもの読ませて頂きました、ありがとうございます!

19:風と木の名無しさん
09/05/12 01:55:49 E1wOJXs70
>>15
まさか師匠が…ちょうかわいいっす!

20:風と木の名無しさん
09/05/12 02:18:49 WJKNw2I70
>>15
師匠!?あの師匠ですね!!
ここでお目にかかれるとは嬉しいっ
また書いてくださいね!

21:ボカロ、KAITO×がくぽ 捨て犬のように 4
09/05/12 09:00:12 xT75WIPC0
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     | 1乙です。前回は中途半端に終わったので続きを
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|KAITO頑張ってます。
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


22:ボカロ、KAITO×がくぽ 捨て犬のように 4-1
09/05/12 09:01:17 xT75WIPC0
「この乗り物は面白いのう、ゆらゆら揺れる」
「ブランコだよ。もっと大きくこぐからつかまってて」
ブランコにしがみつくがくぽの背を押すと、一段と大きく揺れた。それを何度か繰り返して、ずいぶん高いところまで揺れた。
あまりに高いので、がくぽの顔色が変わる。
こういうところが見てて面白い、とは本人には決していえない。
がくぽのしがみついているブランコに触れた時、一人の男が公園に入ってきた。
 なんとなしにその男を見たとき、KAITOが固まった。
「あっ、かいと、危ないぞ!」
と、反動で戻ってきたがくぽのブランコに頭が思いっきりぶつかり、痛みにのた打ち回った。
「KAITO!KAITOじゃないか!」
その聞きなれた声に、KAITOもおきあがって、まっすぐと見つめた。
ブランコがやっと停止したところで、がくぽは隣に立つ。
心なしかKAITOの表情は厳しい。
「かいと…?知り合いか?」
男は走りよってきて、KAITOの肩をがっしと掴んだ。
「KAITO、戻ってこねぇ?リンとレンだけじゃやっぱ寂しくてさー。あ、がくぽもいる!お前どうやってがくぽ見つけたんだ?欲しかったんだよねー、がくぽ。でも売り切れでさー。がくぽもうちこない?」
なんとなく嫌な感じがして、がくぽは視線をそらした。
戻ってこないかといっているあたり、KAITOの前のマスターなのだろうか。
「僕は今、違うマスターのボーカロイドです。貴方とは何の関係もありません。もうかかわらないでください。がくぽもマスターの大事なボーカロイドです。手は出さないでください」
「かいと」
KAITOからいつもの楽天的さがなく、その代わりぴりぴりとした雰囲気が、言葉とKAITOをまとっていた。
KAITOの代わりに何か言ってやろうとがくぽが前に出ようとするが、KAITOがそれを制した。
「がくぽは下がってて」
広い背中が、目の前に広がる。
意外だ、こういう時はとても頼りになるように見える。
KAITOは戻ってこいという元マスターの意見をのむ気はないようだ。
「なんでだよ、根に持ってんのか?追い出したこと」
「根に持ってないといえば嘘になります。でも今はがくぽと、マスターといることが大事なんです」
「…」
KAITOの不安が、がくぽに伝わる。
不安定だ。

23:ボカロ、KAITO×がくぽ 捨て犬のように 4-2
09/05/12 09:01:55 xT75WIPC0
元マスターに会えば、その時の楽しかったことも思い出すだろう、KAITOは今強く否定してがくぽを守ろうとしてるが、それは強がりだ。
わずかに震える指先に、がくぽは触れた。
「…」
KAITOは大丈夫だろうか。と、こちらからでは見えぬ顔を伺っていると、ぎゅう、と手を握り返してきた。
「…かいと」
「ん、あ、どうした?」
がくぽは出来る限りの平静を装うと、握られた手を引いて、歩きだした。
「行くぞ、つまらぬ」
「あ、ちょっと、KAITO、がくぽ」
一瞬、元マスターの顔を見る。
「そういう事ですから。リンとレンは僕と同じ目にあわせないで下さいね」
後に残された彼は、忌々しげに地面を蹴った。

帰り道、がくぽの手を握りながら、並んで歩く。
KAITOは空いている手でぽりぽりと頬を掻くと、嬉しそうな笑みを浮かべた。
「あのね、がくぽ」
「なんじゃ」
無愛想に返事をする。
「ありがとう」
「…なんじゃ、改まって。お主のためにした事ではないぞ。ただ」
その瞬間、がくぽはKAITOに抱き締められていた。
KAITOはがくぽの細い体を包むように抱き締める。
「ただ、ぺっとが…」
「ありがとう、がくぽ」
そういえば、ペットでした。と、KAITOは思ったが言わないことにした。
それよりも、がくぽがぶっきらぼうながら気にかけてくれるのが嬉しくて、思わず涙がでた。
ああ、ボーカロイドでも嬉しいと涙がでるんだな。
KAITOは涙をごまかすように、がくぽの胸に顔を埋めた。
「かいと…」
がくぽはKAITOの頭に手を添えると、口付けにならないように頬に頬を寄せた。

「ただいまー。お土産があるよー」

24:ボカロ、KAITO×がくぽ 捨て犬のように 4-3
09/05/12 09:03:22 xT75WIPC0
マスターが九時ごろ、帰ってきた。
手には白い箱が一つ、甘い匂いが漂っている。
それにピンと来たKAITOが、がくぽを連れてマスターを出迎えた。
「あっ…もしかして、クリスマスケーキですか?」
「くりすますけーき?」
やはりがくぽは西洋のイベントごとには疎いようだ。とはいっても、KAITOも最初は何も知らなかった。
「あっ、流石KAITO、よくわかったね」
嬉しそうに笑ってケーキをKAITOに手渡すマスターに、ケーキを大事に受け取り、少し笑顔を作った。
「前のマスターに教えられました。この時期だったから、もしかして、と思いまして」
「そっかあ。…後で皆で食べような」
くしゃくしゃとKAITOの頭を撫でると、リビングでKAITOにテーブルの真ん中にケーキを置くように指示する。箱を開けると、小さなクリスマスケーキが姿を現した。
がくぽは珍しいものをみて、やけにはしゃいでいる。
部屋の電気が消されて、立てられた蝋燭に火がともされる。
二本の蝋燭に灯がともるのを確認すると、がくぽとKAITOに吹き消すように促した。
二人が吹き消すと部屋は真っ暗になり、再び明かりがついたとき、冷蔵庫からシャンパンをマスターは取り出し、皆のコップに注いだ。
「メリークリスマスー!」
「めりーくりすます?」
「あのね、がくぽ。今日ははめはずしていい日なんだよ。こうしてケーキを食べる日なんだ」
「けーきは…うわっ、甘い。でもこの赤い実は中々…」
どうやら甘いケーキはがくぽにとって苦手のようだ。だが苺は気に入ったらしく、不器用ながらフォークにさして食べると、KAITOの分もじーっと物欲しげに見つめている。
「あ、僕のも食べる?苺」
「欲しい」
KAITOがさくっとフォークで苺をさすと、がくぽの口元に持っていく。
それをぱくりと食べると、二人は笑いあった。
その様子を見て、マスターは、なんだか二人は昨日より仲良くなったんじゃないのかと思いつつ、ケーキを食べていた。

それから一週間たった。
仕事が入って、マスターは寒い中でかけていった。
懲りたのか、KAITOの前のマスターは公園に現われなかった。
いつものように、公園で遊ぶ。
相変わらず寒いが、がくぽは全然平気のようだった。

25:ボカロ、KAITO×がくぽ 捨て犬のように 4-4
09/05/12 09:03:53 xT75WIPC0
滑り台が怖くて滑れないというがくぽを膝に乗せて、KAITOは片手に抱いて滑り台を滑った。
「どう?」
「べ、別に怖くなんか…!」
「がくぽ、汗浮いてる」
KAITOがクスリと笑う。
「…お主は笑うといい顔をするな」
「がくぽは笑うと綺麗だ。そのままでも綺麗だけどね」
そのKAITOの言葉に、どくんと心臓が跳ねる。
嬉しい。
KAITOに誉められるのが。
がくぽが立ち上がる。滑り台から離れて、砂場で立ち尽くした。
KAITOも立ち上がる。
アンニュイな表情が綺麗で、KAITOはがくぽを抱き締めた。
「そんな表情してるとキスしちゃうよ」
その言葉が早いか、軽く唇が唇に押しあてられる。
「!」
嫌じゃ、ない。
がくぽは腕から逃れると、一人走って家路に着く。
KAITOも慌てて後を追った。


26:ボカロ、KAITO×がくぽ 捨て犬のように 4
09/05/12 09:11:27 gsLN/bgsO
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ まだつづきます
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


27:風と木の名無しさん
09/05/12 13:47:40 Mxtt8zzo0
>>1乙です!
半生  某缶コーヒー「炎」のCMより

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース




28:後輩×先輩 1/3
09/05/12 13:49:00 Mxtt8zzo0

プロジェクトチームのメンバーとして訪れた取引先から、夕方近くになって本社へ戻って来た俺と先輩は、社内の休憩所で少しの休息を取ることになった。
本社3階に位置する休憩所は思いのほか人が多く、同じように、僅かながらの安らぎを得ようとする先客で賑わっていた。
設置された数台の自販機の前で、先輩の奢りで缶コーヒーをご馳走になる。
傍目には何てことないサラリーマンのありふれた光景だけど、俺の心中はそうでもなかった。
まず、気不味い。
先輩と二人でいるってことが、とてつもなく今は気不味い。
それに、この先輩がまた、周囲の人目を惹くに相応しい容姿をしてるってことも、俺の気持ちを落ち着かなくさせる原因になっていた。
男から見ても整い過ぎてると思うほど端正な顔に、無造作そうにみえて完璧にカットされた柔らかな髪。 小さな頭に長い手足、そのうえ嫌味な高身長。 そんなスタイルを、センスの好いグレーのピンストライプのスーツで際立たせている。
取引先から戻って来る途中も、すれ違う人達が――主に女性だけど――必ずと言っていいほど先輩を見ていくのが分かった。 中には、わざわざ振り返って見送る人までいる。
なんでこんなに違うのか。 でもまあ、ここまでくると、返って嫉妬も羨ましさも通り過ぎるってもんだ。
先輩は、長い指で自販機に小銭を入れると、 何故かじっと目の前の電光表示を見つめている。
それから、ふいに、

「――人からどう見えるか、ってそんなに重要?」

独り言みたいに低く呟いて、缶コーヒーのボタンを二度押した。
ガタン。 ガタン。
取り出し口に落ちてきた缶コーヒーの音が響く。
ところが、それを拾い上げないまま、先輩はこちらを向いて真っ直ぐに俺の顔を見た。
涼しげな表情を全く変えることなく、ただ静かに俺の方を見ている。
……俺はまた、何も答えられない。
いや、答えるのが怖い、ってのが本当のところか。
今の先輩の問い掛けには、おそらく、昨夜の出来事への分も含まれているからだ。


29:後輩×先輩 2/3
09/05/12 13:49:29 Mxtt8zzo0

そう、俺は昨夜、先輩から告白された。
もう深夜近くの、薄暗くなった殺風景な部署のフロアで。 今日の取引先への交渉準備に追われて、残業して、気が付いたら俺と先輩だけになっていた、静まり返ったフロアで。
唐突に、そして、呆れるほど淡々と。
当然、俺は、その場では何も答えられなかった。 完全に思考がフリーズしていた。
だいたい、なんで俺なんですか。
先輩だったら、社内だろうが社外だろうが、オンナなんて選り取りみどりでしょ?
本社の出世頭だし、今回のプロジェクトだって最高責任者だし。
どうしてよりによって、頑丈なだけが取り得の、男の俺なんですか。
おかしいでしょ、普通? そんなの、馬鹿げてるでしょ?
俺なんかと、その、仮にもそういう関係になったなんて知れたら、先輩の評判ガタ落ちだし、出世も棒に振るし、多分、会社にもいられなくなるだろうし。
そこまでのリスクを背負う相手じゃないでしょ、俺は。
そんな混乱した気持ちだけ、しどろもどろに話した記憶はあるけど、正直、良く憶えていない。
……でも、まあ、こんな風にグダグダと自分に言い訳考えてること自体、もう本心では、相手の想いを受け入れたいってことの裏返しなんだろう。
過剰に慌ててしまったのは、俺の気持ちに気が付かれたんじゃないかって、内心、後ろめたさもあったからだ。
憧れや尊敬なんていう漠然とした想いは、とっくの昔に個人的な特別の感情に変わっていた。
俺より年上で、俺より全然格好良くて、俺より断然仕事もできて。
それなのに、この人を可愛いと感じてしまう自分がいた。 どこか他人と距離を置いて、孤軍奮闘するこの人を、傍で守りたい、抱きしめたいと思ってしまう自分が、確かに、いる。
でも、それを認めたくなくて。
結局、俺には、そんな度胸も思い切りもないし、世間体に対するごく一般的な遠慮ってモンも持ち合わせてる。
こんな俺に、応えられるはずがない。


30:後輩×先輩 3/3
09/05/12 13:51:14 Mxtt8zzo0

しばらくして、先輩は、取り出し口に落ちてきた二本の缶コーヒーを、優雅に身を屈めて手に取った。 その内の一本のプルトップを上げて一口飲んでから、もう一本を俺に差し出す。

「ほら」
「…ぁあ、すいません」

ぎこちなく言って、缶コーヒーを受け取ろうと少し身を乗り出した。
瞬間。
視界が急に暗くなって、妙に先輩の身体が近いなってぼんやり思って、何だか好い匂いに包まれて。
唇には、柔らかく濡れた感触。
そして微かに舌に残った、コーヒーの味。
何が起こったのか分からない俺は、ただ馬鹿みたいに硬直して目を見開いていた。
その一瞬だけ、まるで耳が聞こえなくなったように、さっきまで騒がしかったはずの周囲の喧騒さえも完全に消えた。
先輩の顔が離れていく間、伏せられた長い睫毛が作る影や、開いた唇から微かに覗く真っ白な歯まで、ほとんどスローモーションみたいに全てが鮮明に見える。
先輩は、形の良い薄い唇に軽く微笑みを浮かべると、

「――生憎、俺は、人からどう見えたって全く気にならない」

何事もなかったように言い切って、また缶コーヒーを旨そうに飲んでいる。


31:後輩×先輩 4/3
09/05/12 13:51:53 Mxtt8zzo0

それから、あまりの出来事に処理不能を起こしている俺の様子に気が付いたのか、今度は、ククッと堪らず笑い声を漏らした。

「…って言っても、今、ここには俺とお前しかいないけどな」

途端に思考が回復した俺は、慌てて周囲を見回した。
既に随分前から、休憩所には、俺と先輩のほか誰もいなくなっていたらしい。
…あぁ、良かった。
あくまでも平凡な一般人の俺には、当然のように安堵の念が沸き起こる。
だって仕方ないでしょう。 俺は先輩みたいに肝が据わってるわけでも、自分に確たる自信があるわけでもないんだから。
分かりやすく安心した表情を浮かべた俺を見て、珍しく、先輩が心底面白そうに笑ってる。
細められた瞳も、その目尻に刻まれた笑い皺も、口元から覗く八重歯も、なんでそんなに可愛いんだよ、ちくしょー。
もの凄く可愛くて、だから余計に腹が立つ。
まったく、この人は…。
意地の悪い口を塞いでやりたくなって、考えるより先に、俺は、先輩の腕を取って力強く引き寄せていた。



32:風と木の名無しさん
09/05/12 13:52:37 Mxtt8zzo0

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

すみません、最後ナンバリングをミスりました…




33:風と木の名無しさん
09/05/12 14:58:57 WH1x/DdEQ





一角獣唄鍵盤。
前回「ツンデレ?」の続編。色々有って、一回離れてると設定しとります。話し方とかはまたしてもイメージorz
デレてる鍵盤の理由とは…?と妄想してみた。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

34:風と木の名無しさん
09/05/12 14:59:51 WH1x/DdEQ
昨日、メールを送った。単純な様で色々な思いを込めた言葉の羅列。返事は今日の同室が誰かで解る。夕ミ才では無い誰かが入ってきたら……俺の想いは届かなかったって事だ。
…ドアの開く音。……入ってきただけで誰か解る。ドキドキしてるのを気取られ無いように、平静を装う。手に汗かいてるのをこっそりデニムでふいた。振り返って、普通通りの顔をしてる夕ミ才に声をかけた。
……あ、久しぶり
「久しぶりって」
夕ミ才が笑う。
「ここんとこ、毎日会ってるだろ」
ま、ね……でもさ、意味がちょーっと違うでしょ
「……まあ、そうだけどよ」
俺が座ってるソファーの横に座る夕ミ才……なんだか緊張する……なんでだ。
「……緊張してるだろ」
なんで解るんだよ。
敵わねえな……
「何時から見てると思ってんだよ」
……だよな
「だろ?」
うん……ちょ!夕ミ才!
「え?こう言う意味じゃねえの」
いきなり抱き寄せるなよ!動揺するじゃん。夕ミ才は笑いながら手を離す。距離を元に戻しながら夕ミ才と話しを続ける。
「違うのか?」
……違わないけどさ
「じゃあさ、メールの内容、も一回お前の口から聞きたいな」
っ!夕ミ才!
「んだよ、恥ずかしいのかよ」
当たり前だろ!
「言わないんだったら、帰るぞ、俺」
う……お前
夕ミ才はニヤニヤ笑う。
「ほらー、言わないのかよ?」
……聞きたいのか
「そりゃーそうだろ」

35:デレの理由2/5
09/05/12 15:00:48 WH1x/DdEQ
悪趣味だ……そんな嬉しそうな顔してこっちをみるなよ。恥ずかしくなる。
……夕ミ才の事……
「うんうん」
何だよ、その相槌。……ま、いいや。
「続きはー?」
す……き……だから元の関係に戻りたいです
「最初が聞こえなーい」
うわ、ムカツク
「阿倍、言わないのか?」
う……解ったよ、やっぱり好きなんだ、夕ミ才の事
「うん、俺も好き」
……あっさりしてるなあ、夕ミ才
「んー言われるの待ってたし」
えっ?
「ずーっと好きでいたからな、俺は阿倍の事」
……夕ミ才
「…………やっと言えた…………長かった」
……ありがとう、待っててくれて
「ん?別に……勝手に待ってただけだし」
……ごめん
「謝んのやめろ、別に謝られたい訳じゃない」
うん
「キスしていいか?」
うん……って言うか聞くな
「すまん」
抱き寄せられて、キスされる。舌が唇を割って入ってきた。
「っ……ふぅ……ん」
唇が離れる。
「好きだ」
俺も
「うん」

36:デレの理由3/5
09/05/12 15:01:31 WH1x/DdEQ
夕ミ才が俺の顔を覗き込んだ。
「疲れてんのか?」
うーん、まあね
「……無茶すんなよ」
なんで解るかな……年月の長さかね。
「阿倍……俺にならいくら甘えてくれて構わんからな?」
え?
「お前の事だから、色々一人で考えるんだろ?」
……何が言いたい?
「いや、だから……疲れたら俺のところで……」
……慌ててる夕ミ才。自分が意味を取り違えていた事に気付いたぞ。どうするか……ええい、キスしてしまえ。唇が離れてから夕ミ才が戸惑い気味に名前を呼んだ。
「……阿倍」
ありがと、夕ミ才……遠慮なく甘えさせて貰うよ
「……うん」
夕ミ才は俺を優しく抱きしめた。耳元で囁く夕ミ才の声は限りなく優しい。
「ベッド行こうぜ」
言ってる事は……どうなんだろうな?
「阿倍?」
ああ……うん
「乗り気じゃねえな?」
いや、そう言うことじゃないよ
「んじゃなんで?」
……かなり言うのは恥ずかしい。解っているのか、いないのか……。
「おーい、どうした」
…………久しぶりなんだよ
「え?」
だーかーらー、久しぶりなんだっつーの!

37:デレの理由4/5
09/05/12 15:02:15 WH1x/DdEQ
「……マジ?」
マジ!
「本当に……?」
夕ミ才の顔がにやけてる。解りやすいなー。
嘘な訳ないだろーが
「あ、ああ……だよな」
……お前だけだから
「えっ?」
俺が……欲しいのは……夕ミ才だけ……だから
「…………うん」
なんでここまで言っちゃってんの、俺。でも、幸せそうな夕ミ才の笑顔を見て、つい俺も笑顔になった。何となく手を繋いでベッドまで歩く。若い頃はこんな事してない。……時間無駄にしたかな。ベッドに押し倒されて、夕ミ才の顔が真正面に見える。
「阿倍…………やさし……」
途中まで言いかけて、夕ミ才は顔を逸らして吹き出した。がらじゃねえと呟いて笑う。
夕ミ才……笑いすぎ
「いや、すまん」
いいけどさ…………優しくしてくれよ
「……おう」
……俺もがらじゃない。顔を逸らしてクククと笑う俺の頬に、夕ミ才はキスを落とす。……身体が熱い。
「阿倍……抱くからな」
低い声で囁かれる。頷いた俺の首筋に夕ミ才の唇がおりた。

38:デレの理由5/5
09/05/12 15:05:44 WH1x/DdEQ
……つ、疲れた
「……同じく」
二人して呟いて笑いあう。夕ミ才が時計を見て崩れ落ちた。
「うわ!もうこんな時間かよ」
え、何時?
俺の声に夕ミ才は怠そうに答える。
「朝方」
うそ?!って言うか何時間してた訳?
「聞くな」
渋い顔の夕ミ才が独り言。
「……寝ない方がいいか……?」
……大体時間の予想がついたぞ。あと2、3時間後には起きなきゃいけない時間……でもなあ、寝ないとやばいよな。明日も忙しい。
……寝よう、夕ミ才、寝ないとまずいだろ……少しでもさ
「……んー、まあな……そうだけど」
内心、少し寝坊してもネタにされるだけって思ってる。夕ミ才はそうは思ってないだろうけど。
「…………寝るか」
うん……一緒に寝よう、夕ミ才
「……お、おう……甘えてるな……阿倍」
甘えていいって言ってたじゃん
「まあ、そうだ」
煮え切らないなー
「い、いや昔はさ……」
昔は昔、今は今だろ
「んーそうだけどよ」
今で言うとツンデレ?だよな、昔の俺
「だな」
時間の無駄だからツンはしません
夕ミ才が吹き出した。
「時間の無駄って、お前」
だってそうだろ、無駄だよ……時間は限られるんだから
「…………だな」
夕ミ才の表情が何だか、年相応に見えた。色々な経験をしてきた、大人の男。今、俺は夕ミ才の隣にいる。……ゆっくりと深い呼吸を繰り返し……少しずつ意識が遠退いていく。

39:風と木の名無しさん
09/05/12 15:07:03 WH1x/DdEQ
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
時間が限られるってのは、昔みたいに独り身では無いって意味と、仕事上の意味(ソ口活動)をかけてみたり…。
ちなみに鍵盤イメージは茶髪でお願いします。金髪は動いてるの見てないからイマイチイメージがわかないorz
しかも、一番目タイトルつけわすれorz

40:風と木の名無しさん
09/05/12 17:50:34 SqpR3NWs0
>>32
CMが咄嗟に頭に浮かばなかったんだけど、それでも萌えたわ
GJでした!

41:黒子のバスケ 黄瀬×笠松 『いざよいのつき』 始
09/05/12 18:31:11 3He2tWZOO
漫画『黒子のバスケ』より黄瀬×笠松。

・黄瀬一人称
・甘いです
・ほぼエロです
・規制されたら申し訳ない

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!


42:黒子 『いざよいのつき』 1/12
09/05/12 18:33:43 3He2tWZOO
すう、すう。

穏やかな、心地良さそうな寝息が聞こえる。
満月みたいに眩しい月の光が、カーテンの隙間からオレの部屋に差し込んでる。

幸男さん、とまだ本人の前じゃ恥ずかしくて呼べない名前をささやいて、
そっと短い黒髪をすいてあげれば。
ほう、と口元をほころばせて擦り寄ってきてくれる。
熟睡してるはずなのに、オレの心をときめかせてやまないいとしい人。
このままいつくしんでいたいのも、本当だけど…

「これじゃ、生殺しっスよ…」
はぁ、とため息をついて、オレはひざの上ですやすや眠る先輩を見下ろした。

明日はIH予選の間にある、貴重なオフ。
だから先輩を誘って、誰もいないオレの家で一日ずっと過ごそうと考えた。
先輩もうなずいてくれて、もう今日はワクワクして時間が過ぎるのを待ってた。
部活中に、うわついてんじゃねぇ!と飛び蹴りくらったけど…
先輩の耳がちょっぴり赤くなってんの、しっかり見たっスよ!

…やっと部活が終われば、ぱぱっとシャワー浴びて。着替えるのもそうそうに、一緒にオレの家へ。
ご飯食べて、二人並んでベッドにもたれかかって、たまたまやってた映画を見てたら…

いつのまにか先輩は寝てた。
ふらふら揺れる頭が危なっかしくて、そっと肩に寄りかからせたまではよかったんだけど。
そのままオレのひざの上に寝転がるなんて思わなかったっスよ、先輩!


43:黒子 『いざよいのつき』 2/12
09/05/12 18:37:15 3He2tWZOO
深い眠りに落ちてる寝顔は、もともとの童顔に拍車がかかっていて。
いつもつり上がってる眉は穏やかに凪ぎ、
猫を思わせる大きな目はふわりと閉じられ、意外に長くて濃い睫毛にふちどられてる。
部員みんなに檄を飛ばすその口元も、今は少しだけ開かれて、あどけない寝息をこぼすだけ。
…うん、つまり、めっちゃ可愛いんスよ!

最初は、そんな先輩を甘やかせるのがすっごくうれしかったけど…
寝顔見てるうちに、なんだかムラムラしてきちゃって。
もともとそういうコトする気で先輩を誘ったし、多分先輩もわかっててうなずいてくれたんだ。
正直、今すぐにでもしたい。…でも、こんなに気持ち良さそうに寝てる先輩を起こすなんてできない。

そうやって悶々としてるうちに夜は更けて、月の光が強さを増す。
同じくらい強まったオレの本能を必死に抑えつけてたそのとき。
ぱちり、と伏せられてた先輩の目が開いた。

「んぅ…?きせ?」
くし、とあどけない手付きでこすられる、寝起きでとろんとした先輩の瞳がオレを見上げてくる。

…もう、我慢できないっス!
本能に急かされるままに、オレは一回り小さな先輩をきつく抱き締めた。

「き、黄瀬!?なにす、んっ!」
オレの暴挙にとまどうその口を、構わずふさいでしまう。
…ああ、柔らかい。すっごく甘く感じる。
「ん、んむうっ!?」
鼻にかかったその声もいいっスよ。でも…


44:黒子 『いざよいのつき』 3/12
09/05/12 18:39:25 3He2tWZOO
「んんーっ!ふぁっ!」 ちろちろと舌先をうごめかせれば、たちまち先輩は高い声をあげる。
オレしか聞けない声。オレ以外の誰にだって聞かせたくないその可愛い声。
マジ、たまらない。

舌と舌を絡め合わせて、強く吸ってあげれば、びくびく波打つ先輩の肩。
薄目を開けて様子をうかがえば、彼の目尻にはきらきらしたのが滲んでて。
ボロボロになった理性が「止まれ」って訴えてくるけど…
ムリ。余計煽られるっつーの!
もうめちゃくちゃに、先輩の口内を犯す。

「ん、むっ、ふぁ…」
漏れでる声と水音が本能に熱を注ぐ中、なるべく優しく涙をぬぐってあげた。
そしたら、こわばってる体から少しだけ力が抜けて。
まだまだ先輩を味わってたいけど、さすがにこっちも息が持たない。

「「ぷはっ!」」
唇を離せば、先輩は顔を真っ赤にしてぜえぜえと息を付いてる。
「はぁ、はぁ、テメー、いきなり、何、すっ」
必死に呼吸しながらオレを見上げてくるその瞳は、やっぱり涙でキラキラしてて。
思わずその涙にくちづけてしまった。
びくりと跳ねるその顔をつかまえて、額や頬にたくさんキスを落としながらささやきかける。

「スイマセン、オレもう止まれません」
「オイ、黄瀬…!」
眉をつり上げる先輩の唇に、今度は触れるだけのキスを。


45:黒子 『いざよいのつき』 4/12
09/05/12 18:42:07 3He2tWZOO
「だって…もう何時間も笠松先輩の寝顔見てたんスよ?
寝言で『きせ』なんて呼ばれたり、猫みたいに擦り寄ってこられたり。
何度も襲いたくなったんスよ?でも、超我慢して。
…もうこれ以上、自分を抑えられないっス!」
言い終わると同時に、月明かりに浮かぶ首筋に吸い付く。

「ひゃあっ!」
…もっとオレに、その声聞かせてください。
跡がつくかつかないか、ギリギリの強さで吸い上げる。
つけたくてしょうがないけど、それやっちゃうとしばらくお預けだしなぁ。我慢我慢!
衝動のままに動きたがる手をどうにかなだめて、なるべくこっそりとワイシャツのボタンを外してく。
次第にあらわになる、先輩の体。そっと胸板に手を這わせれば、
「あっ!」と声が跳ね上がる。
いきなり素肌に触られたら、そりゃびっくりしますよね?
思い通りの反応によろこびつつ、立ち上がりかけた飾りに手を伸ばす。

「っ!」
必死に口を塞いでる先輩の背中が、弓なりにのけぞった。
赤く色づいて固くなった飾りを、
指先でそっと撫でたり
ぎゅっと押しつぶしたり
つまみ上げて指の間で転がしたり。
そのたびにびくびく震える肢体が、もう愛しくてたまらない!
もっと乱れてほしくて、散々指でいじめたそこにちゅっと口づける。

「ふ、んうっ!」
塞がれた口元から、押さえきれずに漏れ出る吐息に興奮しつつ、
空いた右手を先輩の下半身に伸ばした。


46:黒子 『いざよいのつき』 5/12
09/05/12 18:44:52 3He2tWZOO
服の上から膨らみかけたそこを、指でつーっ、となぞればいやらしく腰が揺れる。

「もうこんなにしちゃって、センパイ」
耳に触れるか触れないかの近さでささやいてあげる。
とたんにキッ、とにらみつけられたけど…
そんなに瞳潤ませて、顔赤くしてちゃ逆効果っスよ!

優しいキスを額に送って、
「ふふ、可愛いっスね、センパイ」
オレの言葉に、凛々しい眉が跳ねあがる。

「ッ!何言ってんだ黄瀬!」
口を塞いでた両手を外して、先輩がかみついてきた。
お、ラッキー! 素早くその両手を捕まえて、頭上で一まとめにする。
しまった、って顔しても遅いっスよ。
振りほどこうとしてるけど…腕力はオレのが上回ってますから。

「これでもう、声押さえられないスね。恥ずかしがらないで、声聞かせて?」
焦りと快感が混じった焦げ茶色の瞳を覗き込んでおねだりしつつ、
邪魔な服を緩めた右手を直に滑りこませた。

「ひゃあん!っやあ!」
キスした時よりも色っぽい声が、月明かりの下で響く。
うわすっげ、もう濡れてる!
わざとぐちゃぐちゃ水音立てて、先輩のを扱きたてる。

「あんっ、やっ黄瀬、黄瀬ぇ!」
ひっきりなしに声をあげて、過ぎた快楽から逃れるように首を振ってる。


47:黒子 『いざよいのつき』 6/12
09/05/12 18:48:08 3He2tWZOO
扱きたてる程、先輩の汗ばんだ肢体はくたりと力を抜いて。
あんなにじたばたしてた両腕も、すっかりおとなしくなってる。
…これなら、もういいっスね。
そう一人ごちて、離した左手で先輩の下半身から服を引きずり落とす。

「ひっ!」
空気に晒された先輩のが、雫をこぼしてふるふる揺れる。
その先端を指先で優しくいじめながら、ベッドの下から必要な品々を取り出す。
こっちをぼうっと見つめてくる、熱に浮かされた大きな瞳に笑いかけて、
先走りでどろどろの右手に冷たくトロッとした液体を空けた。

「ふぁ、あ、ァ」
くちゅくちゅと後ろの縁をなぞれば、力ない喘ぎがオレの耳に届く。
前も左手と舌で愛撫してあげれば、後ろは徐々に緩みはじめた。
「指、入れるっスよ」
だらだらと液体をこぼしてる先輩のに舌を這わせてささやけば、

「あ、う」
ひくひくと腰を震わせつつ、こくっとうなずく真っ赤な顔。
その可愛らしい仕草に頬がゆるむのを止められないまま、つぷりと人差し指を侵入させる。
とたんに強ばる先輩の体。

「つう、キツいっスよ…怖がらないで?」
なだめながらも、前への責めを強める。
裏筋を舐め上げて、そのまま先輩のを口に含んだ。
「っひゃ、くぅっ!」
それと同時に中をゆっくりゆっくりかき回してあげれば、
「やぁ、あぁ、やめ!」 先輩の喘ぎは艶を増して。


48:黒子 『いざよいのつき』 7/12
09/05/12 18:50:55 3He2tWZOO
熱く締め付けてくる肉壁をくちゅくちゅとひっかいてみたり、
じゅぷじゅぷとちょっと乱暴に抜き差ししてみたり。
「ふっ、ふああっ、黄瀬!」
感じすぎて怖いのかな、先輩の腰が逃げていく。

「ダメっスよー、逃げちゃ」
「あぁ、やぁっ!」
そろりと左手を這わせれば、それにさえ声をあげて反応してるのが可愛いくて。
ひたすらに前と後ろをいじめ続ければ、力なくオレの髪にかかる彼の手。
いつも綺麗なスリーポイントシュートを決めるその手は、がくがく震えていて。

「黄、瀬。やだ、りょうほう、やだぁ…」
真珠みたいな大粒の涙が、熱に浮かされた瞳からぽろぽろと零れ落ちてる。
「ヤじゃないでしょ、センパイ。嘘ついちゃダメっスよ?」
はりつめたソレにわざと息を吹きかけながらたしなめれば、
先輩の指が弱々しくオレの髪をつかむ。

「うぁ、いき、やめ…!」
細い腰ががくがく揺れる。
「こんな腰揺らして、前も後ろもヒクヒクさせて…気持ちイイんスよね?」
けだものじみた低い声で語りかける。…ああ、多分オレの目、今すげえギラギラしてる。
「イイって言ってくれなきゃ…イカせてあげないっス」
先輩はびくっと身動ぎして、いやいやと首を振るけど。
「…そうスか。じゃあ、」

動かしてた両手をぴたりと止めて、
「このままでもいいっスね?」
薄く笑んで呟けば、しなやかな肢体をくねらせて先輩はひとすじ涙を流した。


49:黒子 『いざよいのつき』 8/12
09/05/12 18:53:32 3He2tWZOO
「あぁ、うぅ、ひぁ、黄、瀬、ぇ…!」
いつもの姿と全然ちがう、月光に映えて白く浮かび上がる先輩の媚態。
正直見てるだけでイっちまいそうだけど…もっともっと乱れてください!

「ホラ、センパイ。『気持ちイイ』って言って?」
紅く色づいた耳をもてあそびながら、けだものじみた熱にのせてささやく。
「そしたら…もっともっとヨくしてあげるっスよ」
焦らされて歪んでいた先輩の顔が、ゆっくりこちらを向いた。

「ホント、か?」
涙に濡れた瞳が、オレを見上げてくる。
だから猛りたてる熱を無理やり殺して、いつも通りの笑顔で答えた。
「ええ、ホントです」
オレにすがってくれる先輩なんて…すごくすごく貴重だから。

そしたら先輩は、ふわっと笑って
「黄瀬、…いい、気持ちイイっ」
安心したように、オレのワイシャツに力なく手をかけて、欲しかった言葉をくれる。
その瞬間、押し込めてた獣の熱情が激しくオレを突き動かした。

「ひぁ、ぁうっ、黄瀬、きせ!」
二本の指で熱くとろけた肉壁を蹂躙すると共に、今にも弾けそうな先輩のを擦り上げる。
「あ、イイ、イイっ!」
素直に快感を訴えるそのぷくりとした唇が愛しくて。かみつくように塞いであげる。


50:黒子 『いざよいのつき』 9/12
09/05/12 18:55:49 3He2tWZOO
「んん、ん!ふぁ!」
艶やかな喘ぎと獣の荒い吐息がオレたちの口内で溶けて一つになって。
二本の指で奥のイイ所を荒々しく突いた瞬間。
弓なりになってのけぞり、オレの首をかき抱いて先輩はイった。

口内をふるわせた甘い嬌声の後味を楽しみつつ唇を離せば、
快感にぼうっと蕩ける先輩の表情。
そのまま突っ込みたがる欲望が、早く早くとせかしてくる。
…ああ、でも、後でこの人が辛いのは嫌だ。
ローションと一緒に出しておいたゴムのパッケージを歯で破り、
オレ自身に着けようと後ろを向いたその時。

ぱしっ。

いつもよりも弱い、馴染んだ衝撃が肩に降ってきた。
思わず振り向けば、力抜けてるはずの体を無理やり起こして、先輩がオレを見つめてくる。

「こっち、向けよ…!オレを、みてろっ!」
さっきまで蕩けきっていたはずの瞳は、僅かだけどいつものきらめきを取り戻してて。
知らず息を飲んだ瞬間、つまんでたゴムを取り上げられてしまった。
「あ、え、先輩!?」
戸惑う俺に、いたずらっぽい笑みを浮かべて先輩が言う。
「ほら、つけてやるよ」

心臓が飛び出るかと思った。


51:黒子 『いざよいのつき』 10/12
09/05/12 18:59:14 3He2tWZOO
「え、え…」
「あーもー、んなマヌケな顔してんじゃねー」
先輩の体が、オレの足の間に入り込んできた。
うわ、やば、めっちゃエロいよ、これ!!

「…やっぱ、デケぇな」
いきり立ってるオレのを、先輩のきらっとした瞳が見つめてくる。
からからな筈のオレの喉が、ごくっと鳴る。
…なにこれ、見られてるだけなのに興奮する。そうぐるぐるしたオレの思考をよそに、
先輩はそっとオレ自身に手を伸ばした。

「っ、すっげえ熱っちい」
ああもう、腰がひくつくのをこらえるのが精一杯っスよ!
思いっきり奥歯をかみしめて、心中でそう叫ぶ。
そんなオレに気づくことなく、先輩の両手はそろそろとゴムを降ろしてく。

声を漏らしそうな口を強く塞いで、オレは目を反らせずに一部始終を見てた。

「…ふうっ、終わったぜ」
息を付いて顔を上げた先輩の、どこか恥ずかしそうなその表情に。

ぶちっ、とわずかに残ってた理性が切れる音がした。


52:黒子 『いざよいのつき』 11/12
09/05/12 19:01:59 3He2tWZOO
一気に先輩を抱き上げる。

「うおっ!?」
慌てる声が脳内をかすめるのにも構わず、オレは再び愛しい肢体をカーペットの上へねじ伏せる。
「笠松さん、かさまつさんっ…!」
ただひたすらに名前を呼びながら、熱くとろけたソコを一気に貫いた。

「ひゃああんっ!アッ、きせぇっ!」
のけぞった喉からほとばしる、艶めいた悲鳴がオレの中の獣を駆り立てて。
「っ、かさまつ、さんっ、すっげ、イイっス!」
いつもはハイソックスに包まれてる両足を肩に担ぎ上げて、奥までガツガツ先輩を犯す。

「ア、ぁ、きせ、は、はげしいっ!」
オレの背中に腕を回して喘先輩の眉は、苦しそうにひそめられてる。
でもその下で潤んで光る瞳は、確かに悦んでて。

「でも、感じてる、でしょ!」
熱い吐息まじりの声と共に、先輩の弱いトコを深く突いてあげる。
「アアアアッ!きせ、あ、そこおっ!」
いやらしく乱れる肢体を見てたら、爪がぎりりと食い込む痛みなんて気にならない。


53:黒子 『いざよいのつき』 12/12
09/05/12 19:05:07 3He2tWZOO
「かさまつさん、好き、すきですっ!」
ねっとりと絡み付いてくる感触に、
今にも放ってしまいそうなのを堪えて叫ぶ。

「ンうっ、きせ、オレも、っあ、すきだっ!」
ぐちゅぐちゅと鳴る水音の中、
閉じることを忘れてしまったような口から飛び出す、甘く愛しい叫び。
衝動的に口づければ、最奥に突き込んだオレ自身が、
蕩けた肉壁にきつく締めつけられて。

「くっ、かさまつさんっ!」
「ア、きせ、きせぇーっ!」

月光にまたたく銀の糸でつながった唇で呼び合いながら、
オレたちは同時に熱を吐き出した。


□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!


54:風と木の名無しさん
09/05/12 19:58:07 kDcc8YVYO
>>27
GJGJGJ!!!自分だけ萌えてるんだとばっかり…先輩可愛いよ先輩

55:風と木の名無しさん
09/05/12 20:18:03 iP7f25Id0
こっちがどんどん進んでる中、アレなんだけど
短い話は前スレに投下する方がいいんじゃないの?

56:風と木の名無しさん
09/05/13 22:25:43 L4tlAhhcO
前スレの丹タ刊なお話の別視点です。
前作の感想、ありがとうございました。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!


57:うつつ/ゆめ 1/2
09/05/13 22:29:19 L4tlAhhcO
夢をみた。
やけにリアルだったが、目覚めるとやはり片方の足首はしっかりと固定されている。

望んでいた世界から引き戻されたと気づいて、ひどく気落ちする。
カーテンの隙間からは街灯の光が射し込んでいた。

今何時だろう、と枕元の携帯を取る。
開けた時、ふと夢で見た笑顔を思い出した。

自動的に親指が動く。最後に通話ボタンを、押す。
その番号が点滅した瞬間、強く携.帯を閉じた。

…何をしているんだ。
というかこんな夜中の着信なんて、おかしいと思われるに違いない。

58:うつつ/ゆめ 2/2
09/05/13 22:32:34 L4tlAhhcO
恐らく当の本人は今夢の中だろうが。
…仕方ない。寝惚けていた事にしておこう。そうだ、自分はまだ寝惚けているんだ。

携.帯を放って、もう一度目を閉じた。
再び夢をみるのだろうか。
夢で聞いた彼の言葉を思い出す。

例えまた悪い目覚めだとしても、もう一度、みれると良い。
脳裏に浮かぶ、自分のいるべき場所。

自分を呼ぶ何か。
手に触れる。
耳元で、聞きたかった声が聞こえた。

あの時言えなかった言葉を
今度はちゃんと。



59:風と木の名無しさん
09/05/13 22:36:47 L4tlAhhcO
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

て、もう片方の人まで!(焦)
気を付けて…。

60:法律擬人化
09/05/14 06:12:56 F1fhmE77O
法律擬人化で会社法×商法です。

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

61:法律擬人化 1/13
09/05/14 06:15:22 F1fhmE77O
商法の実家は江戸時代から続く呉服問屋で、その古めかしく厳つい門構えを目の前にすると、会社法は未だに中に入るのを躊躇ってしまう。
結局、商法が見慣れた麻の単姿で敷石を走って出迎えに来てくれるまで馬鹿のように突っ立って待つことになった。
幼い頃も、いつもこうして商法のことを待っていた気がする。彼は昔から優しく、会社法は今よりずいぶん気弱だった。
「ごめんなあ。ちょっとごたごたしてたもんやから、遅くなってしもた」
目に掛かった髪を手で避けながら、商法は本当に申し訳なさそうに言った。
「いや、おれが突然押し掛けたんだから、都合悪かったら出直そうか」
「そんなん……僕が空港まで迎えに行くのがほんまやったのに」
「帰国の予定日、もっと早く教えれば良かったな」
小さく首を振った商法は、背ぇ伸びたなあ、と眩しげに目を細めて言った。

62:法律擬人化 2/13
09/05/14 06:18:07 F1fhmE77O
「数年見いひんだけでこんなに変わるもんやろか。いややな、僕が見下ろされる側か」
「まあ、育ち盛りだったから。向こうは飯の量も多いし。それより、ちょっと痩せたんじゃないか?」
幅が余ってる、と袷に指を引っ掛けると、彼は眉を引き上げた。
「君のせいやろ? 君が僕の第二編ごっそり持っていったんやんか。500条も一気に減ったらそら痩せもするわ」
「勝手して悪かったよ。でも、仕事楽になっただろ?」
「まあ、確かに一番大変なところやったけど……。あ、と、ごめん。疲れてるのにいつまでも立ち話してしもて、お茶菓子出すしとりあえず中入って」
「ああ、うん。ありがとう。お邪魔します」
手を引かれて、ようやく敷地に足を踏み入れた。一瞬、子供のころに戻ったような錯覚をする。

63:法律擬人化 3/13
09/05/14 06:20:18 F1fhmE77O
無力だった。優しい手にすがることしかできなかった。
今は違う。彼を守れるだけの力をつけたから日本に帰ってきた。
肩胛骨のかたちが見えるような単の背を見つめる。
こんな薄い身体で、あの厄介な株主たちの相手をするのは、元々無理があったのだ。
日本に大会社が誕生し始めた頃からもう疾うに限界は見えていた。
ドイツ人の血の混じった白い肌は株主には手触りが良いらしい。
世間知らずの商法が憔悴していくのを見るに耐えず、18の頃家を出てアメリカに渡った。株主を御す方法を学ぶためだ。
「ねえ、おれがいない間、何か変わったことはあった?」
「そうやなあ、こないだ刑法さんが変わらはったよ。交通犯罪がほんまにお嫌いみたいで」
「それは新聞で見た。そうじゃなくて、あなたの身の回りの話。元気にしてた? 病気したりとか……」
商法は不意に立ち止まった。真夏だというのにひんやりとした薄暗い廊下で、二人は向き合った。

64:法律擬人化 4/13
09/05/14 06:22:37 F1fhmE77O
「……そんなこと今さら訊くならなんで手紙くれへんかったん?」
「え?」
「電話番号やって教えてくれへんかった。いつでも話したいこといっぱいあったのに」
いつになく責め立てるような口調だった。彼なりの精一杯の糾弾なのだろう。まなじりに涙が浮かんでいた。
「どこで何してるか判らへんし、心配で死にそうやった。僕はずっとずっと君のことばっかり考えてたのに、君の帰国の話を聞いたのは人伝やった」
「ごめん」
「なんで? 僕のことそんなにどうでも良かった?」
「違うよ、そうじゃない」
「うそばっかりっ……」
振り上げられた腕を掴んで抱き寄せた。
「なに? 離してっ」
「落ち着いて。そういうことじゃないんだ」
商法ははじめ会社法の身体を突き放そうとしたが、その抵抗を押さえ込んで強く抱くと、諦めたように腕を弛緩させ、額を肩に押し付けてきた。
寂しかったとでも言うようなその子供っぽい仕草がかわいくてゆっくりと背を撫で続けていると、やがて呼吸が落ち着いてきた。

65:風と木の名無しさん
09/05/14 06:25:15 1jFNmjuq0
支援?

66:法律擬人化
09/05/14 06:54:11 Qq2hKLZsO
スマン、ちょっと中断する。携帯からなんでAA略で。

67:風と木の名無しさん
09/05/14 13:26:28 rkK8BuAf0
>66
>7

68:法律擬人化 5/13
09/05/14 15:30:15 HmqRfQpjO
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ サイカイシマース!


「……ごまかそうとしてる?」
「そんなつもりは無いよ」
苦笑すると、
「じゃあ情報開示を求めます」
彼は会社法の口癖を真似た。
「そんな言い方しなくてもちゃんと説明するよ。
その、……あなたのことを思い出すと日本に帰りたくなって何も手につかなくなるから、手紙も電話も連絡手段を全部断ったんだ。
それだけ。まさかそんなに寂しがってくれてるなんて思わなかったな。おれのことなんか忘れてると思ってた」
くすっと笑うと、商法は真っ赤になった顔を上げた。
「寂しかったとかじゃ……」
「だめ。さっきの熱烈な告白は一生忘れない」
細い髪を数本掬って口付けると、商法は何か言いたげな顔をしてから、結局何も言わずにうつむいた。

69:法律擬人化 6/13
09/05/14 15:33:14 HmqRfQpjO
「なに?どうしたの?」
「向こうじゃ皆そんなこと言って、キ、キスとかすぐにするんやろうなあと思って。なんか外国の人みたい……」
「しないよ。おれは一途な日本男児だからキスは好きな人としかしない」
「ふうん……」
「だから向こうじゃキスできなかった」
商法は黙り込んだ。アメリカへ発つ前の日のことを思い出しているのかも知れない。
あのときの会社法は、長い不在の間、彼の記憶に残るために必死だった。
商法と身体を離した。
彼の見上げてくる視線が濡れていて、どうにもキスがしたくなった。
「好きな人は日本にいるん?」
柔らかそうな唇が動いた。
「日本にいるよ。今おれの目の前にいるんだ」
商法が何かどうでも良いことを言う前に、その呼吸を奪った。

70:法律擬人化 7/13
09/05/14 15:35:10 HmqRfQpjO
商法がお茶を煎れてくるから待ってて、と会社法を通した和室には異常に冷房が効いていた。そういえば昔から暑いのには弱い人だった。
真夏の間は、日陰になる縁側に腰掛けてしきりに団扇を使いながら庭で遊んでいる会社法を見て微笑んでいた。
そういう日が幾日か続くと、決まって具合が悪くなるのがうれしかったな、と思い出す。辛そうな顔を見ると胸が痛んだが、それが唯一彼に世話を焼ける機会だった。
汗を拭って横たえさせて帯を弛める。商法は途切れ途切れに礼を言う。その声を聞くのが好きだった。
彼の生けたらしい上品な夏菊の花瓶を見ながら懐かしい記憶をいくつか反芻していたせいで、会社法は廊下を擦る足音に全く気付かなかった。
だから突然開いた襖にはかなり驚いた。重ねて驚いたのは現れた相手のせいだ。
「あれ?おまえ帰ってきてたんだ。久しぶり」
へらっと笑って言ったのは、思い出したくもない苦い経験の提供者だった。拳が震えそうになるのをなんとか抑える。

71:法律擬人化 8/13
09/05/14 15:37:04 HmqRfQpjO
「……お久しぶりです、民法さん」
「おう。どうだった?自由の国アメリカは」
「別に……下宿と大学の往復でしたから、大した話もないですよ」
「なんだよそれ、つまんねえ男だな。アメリカくんだりまでおまえ何しに行ってんだよ」
「勉強です」
「あっそ。まあでも、なんか良い顔にはなったな。女の方の筆下ろしでもしましたか?おめでとさん」
下品な笑みを浮かべた民法が、しゃがみこんで会社法と目線を合わせた。
「よーし、じゃ、お兄さんが帰国アンドドーテー卒業祝いをあげよう」
「なに言って……」
急に距離を縮めてきた民法に危機感を覚え、顔の前に手を翳した。
「なんだよー」
手のひらにキスすることになった民法が不満そうに唇を尖らせた。
「こっちの台詞ですよ。何するんですか」
「ちゅーくらい良いじゃん。おれとおまえの仲だろー?」
「アンタとの間に何の仲もありませんよ。それより、まだこんなことやってるんですか?いい加減に……」
民法は眉を寄せ鬱陶しげに手を振って遮った。
「そういううぜえこと言うのやめろよ。変わんねえな」

72:法律擬人化 9/13
09/05/14 15:39:28 HmqRfQpjO
笑っているときには判らないが、こうして不機嫌そうな顔は本当に綺麗な人だと思う。
父親がフランスとドイツのダブルなのだそうだ。そのことで昔随分辛い目に遭ったらしく、彼は自分の血を嫌悪している。
が、会社法はその西洋の彫刻のような整った目鼻立ちや、色の薄い柔らかな髪を好きだった。おれだけじゃない、と心の中で言い訳をする。
私法なら、誰だって彼を抱きたくてたまらなくなる時期があるはずだ。自由で男にだらしなくて自己責任を標榜する癖に面倒なことはすぐに特別法に押し付けて―でもひどく魅力的だった。
本当は好きな人がいるのにそれを必死で隠そうとしているところを可愛いと思うことさえあった。
歳上の幼なじみのことで悶々としていた会社法を誘ったのは、確かに彼の方だった。それに乗ったのは民法と商法の顔立ちがどことなく似ていたからだ。少なくとも、これまではずっとそう思っていた。
けれど、今こうして見る民法は少しも商法に似ていない。眼差しはきついし、薄い唇は冷酷そうで、優しい印象を人に与えない。
そもそも、派手なパーカーにクラッシュジーンズを好んで穿く男を見て商法と似ていると思えたことが不思議だ。同じ外国の血が入っているとは言え、似ているところなんて肌の白さくらいだった。
やはり、少しは惚れていたのだろう。

73:法律擬人化 10/13
09/05/14 15:41:16 HmqRfQpjO
「おーい、起きてる?」
民法が呆れたような顔で言った。
「……起きてますよ。で、何しに来たんですか」
「なに?妬いちゃった?やだなー、おまえの大切なお姫様には手ぇ出してないから安心して下さいよ。人のもんは盗らない。っていうか、盗れない。これ所有権絶対の法則ね」
質問には答えないでべらべらと聞いてもいないことを話しながら、民法は畳に腰を下ろした。
「ははっ、そんな怖い顔すんなって。だからさ、商法が要らないエアコンくれるっていうから、来たんだけど。もしかしてお邪魔だったりする?」
「邪魔に決まってんでしょ。できるだけ早く帰って下さいね」
民法は、冷たいなあ、と笑った。首筋がわずかに覗いて、そこにある赤い痕が肌に痛々しかった。
「……まだあのアパートに住んでるんですか?」
「悪いかよ」
「もうそろそろあの人の官舎に押し掛けてるんじゃないかと思ってましたよ」
「そんなわけないだろ。あいつにも大切な大切なお姫様がいるんだから」
傲慢でわがままで、会社法から見れば民法も十分「お姫様」の一人だ。それが、好きな人のことになると途端に遠慮がちになって一歩引くのだから、本当には憎めない人だよなあ、と思う。
会社法の視線をどう受け止めたのか、民法はほのかに頬を染めて目を逸らした。
「なんだよ、本命に慎重になるのは当たり前でしょ。これ以上嫌われたくないもん、おれ」

74:法律擬人化 11/13
09/05/14 15:43:19 HmqRfQpjO
昔は、この話題を振ると、怒ったり泣きそうになったり、滅多に見られない反応をしてくれた。変わったな、と思う。世間話として言葉を交わしている。
ただ少し、声が震えていた。
「判りますよ、それは」
会社法の呟きに、民法は目線を上げた。大きな瞳が瞬いて、ふしぎな色をしている。自分の顔をそこに覗き込んでいたときのことを思い出す。
こんな綺麗な人に何年も思われ続けて、気付かないあの人は少しおかしいんじゃないだろうか。公法は堅物が多いが、それにしても異常だ。
民法は何も言わない会社法に焦れてか、庭の造作に目を移した。
敢えて掛ける言葉もなく、その横顔をぼんやりと眺める。
部屋に沈黙が落ちた。
蝉時雨がやけに大きく聞こえ出した頃、二つの湯呑みと茶菓子を丸盆に乗せた商法が戻ってきた。着物が変わっている。
「ごめんごめん、お茶溢してしもて……あ、民法さん……あっ、どうしょ、忘れ……、あっ」
「落ち着けよ」
民法は笑いを堪えながら言った。

75:法律擬人化 12/13
09/05/14 15:44:31 HmqRfQpjO
「そんなことだろうと思ってた。後で良いからまた連絡くれ」
「すみません、民法さん、その、すぐ伺いますから……」
「良いよ、おれがもらう側なんだし。それより会社法が犬みたいにおまえのこと待ってたからちゃんと相手してやれよ」
「あっ、民法さん」
片手を上げ、民法は部屋を出ていった。
その背を呆然と見つめていた商法が独り言のように呟いた。
「あり得へん……民法さんとの約束忘れるなんて」
「おれの帰国のニュース、そんなに衝撃的だった?」
商法はその質問には答えず、無言で盆を会社法に押し付けた。
「えっ、なに?」

76:法律擬人化 13/13 終
09/05/14 16:17:00 Qq2hKLZsO
「やっぱり今から届けてくる。明日、真夏日らしいし、あの人身体弱いから倒れるかも知れん」
「え、おれは……」
「ごめんやけどまた明日来てくれる?」
そう言って返事も聞かずに去っていった商法の後ろ姿を会社法は呆然として見つめた。
そういえば、商法のお姫様は民法だった。
昔から、商行為に興味のない民法の杜撰な仕事をフォローするのが商法の役目で、数多くの特別法の中で一番近くにいるのが自分だと、何度も何度もうれしそうに話していたのを覚えている。
民法の台詞を思い返してみた。
彼は確かに「手を出していない」とは言ったが、「手を出されていない」とは言わなかったのだと気付いて、さっと血の気が引いた。
真っ青な顔で、会社法は慌てて商法の後を追った。
好きな人と兄弟なんて冗談じゃない。
人のものは盗らないとうそぶいたその口で契約自由と言って憚らない。
責任を取れと迫られれば、誰とでもすぐに寝る。
あの節操なしのいる世界に商法を置いていったのはもしかして人生最大の過ちだったかも知れない。
久々に本気で走りながら、会社法は頭の隅でそう考えていた。


□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!
途中連投規制で中断してしまい申し訳ありませんでした。

77:風と木の名無しさん
09/05/14 18:38:50 UJdv3JbiO
わわわわあわわ鼻血吹いた!
萌えた、萌えたよおかあちゃーん!

ちょっと六法買って来るる!
抱きしめて頬擦りしてはぁはぁしたい!!
大好きだ!!

78:風と木の名無しさん
09/05/14 22:06:50 QfhTmySK0
GJGJ!!
まさか自分が法律萌えする日がくるとは思わなかった!
ちょっと勉強しなおしてくる!

79:風と木の名無しさん
09/05/14 22:52:00 Ub1g2Hy50
何処何時PSP版スズキEDのネタバレ全開で、
ジュン→Rスズキ→EDの…
みたいな小話。



|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ネタバレナンテコワクナーイ!

80:1/2
09/05/14 22:54:20 Ub1g2Hy50
「さあておひとり様でどちらへさみしいご旅行~?」
頭上から降ってきた声に鈴木が顔を向けると、コンクリート製のブロック塀の上、満月を背に立つジュンが居た。
どうしてここに?知っていてここに?いや知らないのか?ああこれが月の兎なのか?
ぐるぐると考える間にジュンはくるりと塀から飛び降りた。そしてスズキの顔に思い切り顔を寄せて口の端を吊り上げる。
「アニキとガチンコ旅行かな?」
そこでやっとスズキは我に返る。そして困ったことになっているかもしれないことにも気付く。
「ガチンコとは失敬な。兄さんにはワガハイが必要なのだ」
「そりゃ必要だろうね~、革命の!同志!」
困ったことになっている。ジュンは事態を把握している。
「ったく!ジュンの情報ネット、甘く見てもらっちゃ困りマスよ~」
誰にも何も告げず来た。誰も何も巻き込みたくないから。誰からも何からも兄を守り救いたいから。なのにこのトラブルメイカ

ーウサギは!
けれどもジュンの次の言葉は意外なものだった。
「でもまっ、止めないし云わないし着いてもいかないから安心して?キョーダイ喧嘩なんて三日月キズの黒猫でも喰わないし~」


早口にまくし立てると、したりといつもの訳知り顔で息を吐く。
そしてあっけに取られたままのスズキの口にやわらかくてあたたかいものを押し込んだ。

81:2/2
09/05/14 22:58:55 Ub1g2Hy50
「今日はセンベツ持って来ただけッス!」
ジュンがスズキの口から、それ、を半分ちぎり取って自分の口に放り込む。
スズキも、それ、がなんなのか分かった。今川焼。
「…あんずジャム、か」
甘酸っぱい。
糖分は頭脳を活性化させる。スズキもなにが起きているのか理解しかけてきた。
「ワガハイはスタンダードなものが好みなのだがな」
スズキよりもゆっくり噛み締め味わった純が、ごくりと胃に流し込む音が聞こえる。
「大体今川焼というものはだ」
「これはジュンのコノミ!あとはこっからお好きなのをどーぞ」
ジュンにスズキの長ったらしい講釈など拝聴する気などさらさらなく、自分のミッションである大きな紙袋をスズキの腕の中に押しつけるとくる

りんピョンと飛び離れ、胸を張ってまた早口に語りだす。
「こしあんつぶあんカスタード!お好きなものをハイドーゾ!温め直しでもデリッシャ~ス!全くもって職人の味!こんなのロボットには絶対ムリムリ作れっこなし!」
そして一息ついてから。
「食べたらウマさにアニキも改心しちゃうカモ?」
そうしてジュンは大きく笑ってひと跳びすると、満月を背に駆け去って行った。
ぽかんとスズキは立ち尽くすが、あんずジャムによって活性化された頭脳はすぐにジュンの捨て台詞を反復させ、スズキの怒りのツボをグイッと押した。
「ロボットに不可能はないロボ!ワガハイは必ず今川焼職人ロボットでノーベル賞を頂くロボ!だいたいあのウサギは!見送りなら見送りでだな…」
それでもスズキには兄と共に人間を駆逐したロボットだけの世界で生きる気などこれっぽっちも思いつかない。
この今川焼が冷めないうちに兄と共に味わえればいいと、叶わないことだけが微かに頭脳をかすめるだけだ。

82:風と木の名無しさん
09/05/14 23:00:28 Ub1g2Hy50
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・;)メモチョウカラコピペシタラ、ナンカヘンナコトニ...

お粗末さんでした!今川焼うめえ!

83:風と木の名無しさん
09/05/15 17:44:34 RC19BnR3O
>>76
新しい扉が開いてしまった…GJ!ありがとう!
法律の授業中に寝ていた自分を許して!

84:風と木の名無しさん
09/05/15 20:50:32 /EdmDZmE0
>>76
GJ!
民法の性格がまんまで吹いたw
続き楽しみにしてます!

85:風と木の名無しさん
09/05/15 22:39:36 3eIDPTpq0
場違いスミマセン
>>2ローカルルールの避難所掲示板に行けなかったので、こちらで失礼します
同じく 上記の保管サイトが見れません。気になって夜しか眠れません!ので
どなたか教えて下さい!

86:風と木の名無しさん
09/05/15 23:07:48 wnK1RmX2O
>>85
携帯だと(ちなみにあう。結構古い)普通に見られるけどなあ…
規制とかあったっけ?

87:風と木の名無しさん
09/05/15 23:24:22 nLfFy0dN0
>>85
うちは窓のびすたですが普通に見れてますよー

88:ユ二コーソ太鼓唄 0/3
09/05/15 23:35:14 iSpPU6Z0O
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!


本ジャンルを放置してしまうほどの熱を落ち着かせるために書きました。
ナマモノ注意、ユ二コーソ・太鼓唄。



89:ユ二コーソ太鼓唄 1/3
09/05/15 23:37:39 iSpPU6Z0O
打ち上げ会場の居酒屋からホテルまでは歩いて行ける距離。
明日もライブだからとアルコールの量をセーブしたものの、少し足にキてしまっている。
若い頃ならば、これぐらい呑んでも大したことなかったのだけれど。


ふらふらと前を行くあの人は、若い頃と変わらない呑みっぷりをぶちかまし、今日も呂律の回っていない挨拶で場を締めくくった。
自分のこの変化を『老いた』ととるか、『大人になった』ととるか。
昔より逞しくなったカワ二っさんの背中を見ながら、そんなことをぼんやりと考える。


ふと、前を行く彼の歩みが止まった。
上着やデニムのポケットをパンパン叩くと、大きく肩を落としてしまった。
ゆっくり振り向いた彼の口にはタバコが既にスタンバイされていた。

「夕ミオ、火ぃちょうだい?」
「いいっすよ」

パーカーのポケットから、さっきの居酒屋の名前が入ったライターを取り出す。
渡そうと腕を伸ばすと、その手首をガシッと掴まれた。
そのまま口にくわえたタバコを近づけてきたので、慌ててライターを持ち直して火をつけた。


90:ユ二コーソ太鼓唄 2/3
09/05/15 23:39:17 iSpPU6Z0O
小さな灯りで照らされた彼の顔は、満足そうに笑っている。

「サンキュね」

そう言うと、彼は俺の手首を掴んだまま再び歩き始めた。

「ちょっと、何やってんすか」
「…あ?ごめんごめん、こうじゃないか」

そう言って彼は俺の手からライターを取り上げると、空いたその手をギュッと握りしめてきた。

「…そういうことでも、ないんだけど」
「えっ違うの?」
「全然違うし」
「でもダメだよ、もう離さないから」

俺が離したくないの、と目を細めて笑う彼に釣られて、俺の顔も緩んでしまった。




91:ユ二コーソ太鼓唄 3/3
09/05/15 23:42:35 iSpPU6Z0O

…あぁ、そうだ。
きっとこの人には『老いた』とか『大人になった』とか関係ないんだ。
もちろんあの頃より人としても技術的にも成長はしてるけれど。
それでもこの人の根っこは何も変わっちゃいない、『あの頃のまま』なんだ。

ゴツゴツした彼の手から伝わる温もりを感じながら、そんなことを改めて思った。




□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

いまいちキャラ把握出来てないので微妙…でも書けて満足。


92:風と木の名無しさん
09/05/15 23:59:47 LKGienn60
保管庫って前から伏字やめてたっけ?

93:風と木の名無しさん
09/05/16 00:05:24 tAtqMQ5D0
>>92
保管庫は伏字当て字を直して保管してたと思う

94:風と木の名無しさん
09/05/16 01:21:31 knGkQmabO
正直伏せ字当て字の特徴で作者さんを弁別してるところがあったから、
できたら書き換えじゃなく併記にしてほしいんだよなあ…。

でも管理人さんむっちゃよくやってくれてるので
管理人さんが一番やりやすいやり方でやれればそれで良いと思うです、はい。

過去に遡るとかどんだけの作業量だろう。

95:風と木の名無しさん
09/05/16 02:13:57 JuTrZ2kP0
併記ってww
どこまで煩雑な表記にさせればいいんだよwwww
そこまでして伏字を保存したい感覚が正直分からん

96:風と木の名無しさん
09/05/16 02:17:37 yxxNTDE0O
え……?

97:風と木の名無しさん
09/05/16 07:10:10 6+GVIQp60
確かに伏字当て字だとわかりづらいってのもあるかもしれないけど
同じジャンルでも伏字や当て字で作者の違う所もあるし・・・

どっちもどっちじゃね?

98:ボカロ、KAITO×がくぽ 捨て犬のように 5
09/05/16 08:54:08 BsL09iqf0
                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     | 五回目です。純愛カイガク。
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|やっと彼が意識し始めました。
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

99:ボカロ、KAITO×がくぽ 捨て犬のように 5-1
09/05/16 08:54:55 BsL09iqf0
「がくぽーまた怒ったのー?入っちゃダメ?」
和室の前で、以前と同じ状況で、KAITOはきゅんきゅん鼻をならしていた。
「だ、駄目じゃ!入ってくるな!」
こういわれて、帰ってきてからずっと中に入れてもらっていない。
またキスしたのがまずかったかと思ったが、もう遅かった。
そうして数時間たった頃、マスターは帰ってきた。
「ただいまー。あれ、KAITOまた追い出されてるの?」
「おかえりなさい、マスター」
「!マスター?マスター、来てほしい」
マスターの声に、がくぽが反応した。
「どうしたの、入るよ」
心配そうに見つめるKAITOに、買ってきたアイスを渡し、ふすまから離れるように言った。

「マスター…」
布団にくるまっていたがくぽは、マスターの気配に起き上がった。
「どうしたの、気分でも悪いの?」
「違う。マスター…嫌わないで聞いてくれるか?」
真面目な話なのだろう。
マスターは小さく頷くと、がくぽの前に腰を下ろした。
「マスターは同性でこんな思いはしてはならないといった。でも、でも…」
「がくぽ…?もしかして…」
がし、と、すがるようにがくぽは、マスターの腕にしがみついた。
「たぶん、我はかいとに恋心を抱いている。どうすればいい、諦めなければと思ってもとまらない。かいとが好きじゃ」
「うーん」
マスターは天井を見上げた。
とはいっても天井を見上げて観察しているわけではない。
「異常な事なのだろう?でもやはり、あの腕が恋しくなる。どうしたら、忘れられる…?」
(重症だなあ…)
マスターは軽くがくぽの頭を撫でた。
「いつから好きになったの?」
「一週間前からじゃ。それからずっと想いは深くなって」
はあ、とマスターはため息を吐く。

100:ボカロ、KAITO×がくぽ 捨て犬のように 5-2
09/05/16 08:55:57 BsL09iqf0
 できれば女の子とくっついてほしかったけれど、本人がKAITOを好きだといっているのだから仕方ない。
「がくぽ」
「…はい」
「相思相愛で良かったじゃないか」
「え」
心底驚いたらしいがくぽは、涙目でマスターを見つめた。
「がくぽにもKAITOにも女性と一緒になってほしかったけどね。でもがくぽがKAITO好きなら仕方ないよ。ほら、立って、KAITOに伝えなきゃ」
思った以上に優しいマスターの言葉。
「良いのか?怒らないのか?かいとの時みたいに駄目とは言わない?」
うーん、と腕を組むと、マスターはため息をつく。
「正直微妙。でも二人とも仲良いし、がくぽもKAITO来てから明るくなったし、僕の好みを押し付けても仕方ないしなあ、なんて。それに僕がKAITOに駄目と言ったからがくぽがここまで悩んでるんだもん…責任感じちゃうなあ」
慌ててがくぽがフォローにまわる。
確かにそうだが、マスターのせいではない。
「違う、マスターのせいではないのだ」
「そう?がくぽは優しいね。ほら、はやくKAITOに伝えなきゃ」
そういわれて、がくぽの頬が紅潮する。
照れてるのだろう。
マスターにここまで伝えといて、いざKAITOに伝えるとなると、恥ずかしいようだ。
「KAITO、ちょっとおいで」
「?はい」
なんとも気の抜けた返事が帰ってくる。
アイスを食べている最中らしい。アイスの入れ物を持ち、スプーンをくわえたままやってきた。
「はんへひょう」
「アイスを置いてこっちおいで。がくぽから話があるって」
「はぇ。話。どうしたの、がくぽ」
アイスをカップとスプーンごとテーブルに置く。
がくぽの前に正座をすると、笑いかけた。
「あの…」
「うん」
がくぽも正座をする。
そして、KAITOの手を取ると、軽く握った。
「我の事は、まだ、好きか?」

101:ボカロ、KAITO×がくぽ 捨て犬のように 5-3
09/05/16 09:00:06 BsL09iqf0
きょとんとするKAITOに、不安を覚える。
「大好きだよ。世界中の誰よりも」
「かいと…」
次の瞬間、がくぽはKAITOに抱きついていた。
KAITOは驚いたようだったが、すぐに受けとめた。
「好きじゃ、かいと…」
「え、本当?」
「好き、好き、好き…」
呪文のように繰り返し、涙をこぼした。
これで受け入れられなかったらどうしよう。
不安を抱えながら、抱きつく腕に力をこめる。
「がくぽ」
「…?」
顔をあげたとき、不意討ちで口付けをされた。
けれど、嫌だとか、振り払いたいとかは感じなかった。
「KAITO君」
マスターの怒りのこもった声に反応して、はっとKAITOは身を離した。
「恋愛はしぶしぶ許したけど、キス以上の事は許してないよー?」
バキバキと手をならす。
今度はグーを片手で作って、パーの手にバシバシ殴りつけている。
意外とマスターも気が短い。
「すっ、すみません!」
「マスター、許してほしい。我はかいとが好きじゃ。接吻したいのは仕方ない。かいと…」
そ、と両手でKAITOの両頬を包むと、軽く口付けた。軽くてやさしい口付け。
舌を入れるディープキスなど知らないのだ。
だがマスターの目の前では教えにくい。
がくぽから口付けをしてくれて嬉しいが、マスターの目が光ってると来た。
KAITOはすぐにでも衣服を脱がして合体したいわけだが、そうも行かない。
良いかいがくぽ」
素敵な妄想をKAITOがしていると、とても優しい声で、マスターががくぽの両肩に手を添えてしゃべった。
「貞操を守るんだよ、絶対に」
「?うむ?」

102:ボカロ、KAITO×がくぽ 捨て犬のように 5-4
09/05/16 09:01:00 BsL09iqf0
扇子を広げ、口元に持っていく。
よく分かっていないのだろう。
パタパタと扇子を揺らして、KAITOを見た。
「…」
 とてもキラキラした目でがくぽを見つめるマスター。
信じているからね、と付け加えて、次はKAITOの前に座った。
肩が折れるかと思う程の力がこめられ、一見笑顔だが、とてつもない意志を感じた。
「がくぽに変な事しちゃ駄目だよ?」
変な事なら考えてました。
とは言えず、目を反らして軽く頷いた。

「かいと」
むしゃむしゃと今晩のおかずである茄子の浅漬けを食べながら、がくぽが話し掛けてきた。
「ん?」
こちらはアイスをこの寒いのに食べている。
散々がくぽに、お主はそんなものばかり食べて、と言われたが、どっちもどっちだ。
茄子野郎に言われたくない。
「暇じゃ、歌の練習でもするか」
「え」
とはいってもパソコンの中に入っている音源がなければ、歌の練習もままならない。
しかしそのパソコンを開いていいのはマスターだけで、がくぽたちには開くことは出来ない。
といったら、やはり発声練習からだろうか。
そう思ってるうちにがくぽは茄子を平らげると、マスターの部屋へと向かった。
「かいと、いくぞ。マスターは忙しいから我らだけでも頑張らねば」
こういう頑張りやな所は高く評価したい。
「うん」
がくぽの手を握って、二人はマスターの部屋へと向かった。

103:ボカロ、KAITO×がくぽ 捨て犬のように 5
09/05/16 09:02:48 BsL09iqf0
 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧お粗末さまでした
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

104:風と木の名無しさん
09/05/16 10:06:52 95Iu16kL0
どうしてボカロの人はいくつまであるのかちゃんと表記しないのかね?
あとそろそろ個人サイトでもやればどうかな、その量は。

105:風と木の名無しさん
09/05/16 11:19:38 lYkSYJ8g0
>>104

>>2でも「※シリーズ物・長編物の規制はありませんが、連投規制やスレ容量(500KB)を確認してスレを占拠しないようお願いします。」
とあるので、量は多くても少なくてもいいんじゃないかな?
どうしても気になるようだったら、専ブラいれてあぼーんという手もあるよ。

ボカロの方、もし良かったら>>2を読んでみて下さい。ナンバリングは決まりではないけど、付けて頂けると助かります。

自治厨レス、失礼しました。


106:風と木の名無しさん
09/05/16 13:01:22 BsL09iqf0
ボカロの人です。
ナンバリングすみません了解しました;;
今まで違うやり方だってので皆とあわせて見ます!

>>104
気に入らなかったら無視で御願いします。
ここまでUPしといて去るのは失礼な気がするので。

107:風と木の名無しさん
09/05/16 13:20:43 9s3hNHrY0
ボカロの人への文句は絡みスレでやってね

108:風と木の名無しさん
09/05/16 13:35:24 BsL09iqf0
と思ったけど、荒れそうなので今後投稿は自粛します。
すいませんでした。

109:風と木の名無しさん
09/05/16 14:21:48 TGowWv1Z0
生注意
高学歴ゲ仁ソ 炉算 京大×大阪府大


|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!



110:どっちが大事? 1/4
09/05/16 14:23:12 TGowWv1Z0
京大の実家では犬(♀)を飼っている。
ところがこの犬ときたら、仕事が忙しくほとんど実家に帰ることのない京大本人には、なかなか懐こうとしない。
そんな時、某局のTV番組出演の仕事が入ってきた。
企画の概要は、京大がその飼い犬と仲良くなれるように特訓をするというものだった。
京大のピンかと思いきや、今回は大阪府大も合わせて炉算として二人でやる仕事だ。
「犬と仲良くなるためには、まずスキンシップをとることですね」
そうトレーナーにアドバイスをされて以来、京大は東京や地方での仕事の時以外は実家に足繁く通い、出来るだけ犬

と一緒に過ごすように努めていた。

そんなオフのある一日、大阪府大は京大の携帯に電話をかけてみた。
「おお、菅ぁ。うん?あぁ今な、実家におんねん。今日はうちの家族みんな出とるんよ。そう、留守番や、留守番」
「……ほんなら、俺もそっち行っていい?」
やや間を空けてなされた大阪府大の問いかけ。
京大は特に気にも留めず、「おお、きーやきーや」と快諾する。

そんなこんなで、京大宅。
広い家の中には大阪府大と京大、ふたりだけだった。
いや、もうひとり…否、もう一匹。
かわいい『彼女』が、ふたりの間にちょこんと座っている。

111:どっちが大事? 2/4
09/05/16 14:25:15 TGowWv1Z0

「こいつ、最近俺がよぉ遊んでやってるからな。なんか少しずつ俺に懐いてきてん」
京大に紹介された『彼女』は彼の膝の上で、その長い毛に被われた小さな体を愛しむように撫でられ、いかにも気持ちよさげにまどろんでいる。
大阪府大は京大の隣に座り、京大がその犬を愛玩する様をじっと見ていた。
「はー、ほんまかわええなぁ。菅、おまえもそう思わへん?」
めいっぱい癒されたという顔で、隣の相方に同意を求める京大。
大阪府大は答えない。
愛犬の背をよしよしと撫でる京大の長い指を、先程から微動だにせず食い入るように見つめている。
「……どないしてん?」
いつもと異なる雰囲気に気づいた京大は、心配そうに大阪府大の顔を覗き込む。
大阪府大の表情は強かった。
人懐っこい笑みを浮かべて京大にすがってくる時の彼からは想像もつかないほど、険しい形相だった。
室内に立ち込める不穏な空気。
それをいち早く感じ取った小動物は、ひゃん、と小さく一声吠え、慌てて部屋の隅へと駆けていく。
京大は小さな重みが退いた膝を大阪府大の方へ向け、首を傾げつつ、先程まで犬の背に置いていた手をそっと伸ばした。
「なぁ、菅……」

次の瞬間。
ガバッ
京大の指が触れるより先に、大阪府大は目の前の細身の長身に抱きついた。
「ちょっ、どうしたん?いきなり何やの?」
大阪府大の突然の行動。
さっきまでの状況でどうして大阪府大がいきなり抱きついてきたのか、京大にはわからない。
わからないが、自分の胸に顔を埋めたまま離れようとしない相方の頭を、京大は子供をあやすようによしよしと撫でさする。



112:どっちが大事? 3/4
09/05/16 14:26:56 TGowWv1Z0

「……俺、妬いてたんや」
「は?」
やがて大阪府大の口から聞こえた小声の台詞に対して、今度は京大が怪訝な表情を浮かべる番だった。
「うじ、あの仕事入ってからずっとこっち(実家)通いやったろ?ここんとこ、仕事終わってからあんま一緒におれんようになって、俺めっちゃ寂しかってん」
ピンの活動でなければ、仕事の後もふたり一緒に過ごす。
彼らの中ではそれが不文律のように、というかもうすっかり当たり前のこととして定着していた。
だからこそ、炉算としてふたりで仕事をしながらプライベートの時間をなかなか共有できない今の状態に、大阪府大は何か違和感のようなものを覚えていた。
その違和感は、やがて彼の胸をちくちくと突き刺すものに変質していった。
「そんでオフになって、やっとゆっくり一緒に過ごせんねやて思うたら、今日も実家やて言うし。家の人おらんて聞いて来たら来たで、うじは犬ばっかかまって俺ほったらかし状態やし」
「菅……」
「おまけに、犬がうじに撫でられとるの見とったら、その手は元々俺のもんやねんぞ、大体今おまえが居るその場所も俺のポジションやねんぞ、て……その………」
言いたいことを昂ぶる感情に任せて、ひとしきり言い放ち頭が冷えたのか、大阪府大の語尾はだんだん小さくなっていく。
「アカン。俺、何言うてんねや。アホやんな。犬に嫉妬してどないすんねん」

大阪府大の自虐とも自戒ともいえる呟きに合わせて、盛大な溜め息が京大の口から漏れた。
「もう、おまえは……おまえってやつは、ほんまにアホやな」
「うじぃ…」
京大にとどめの一言を突き刺された途端、大阪府大の涙腺は緩み、みるみるうちに大粒の雫が目に溜まっていく。

「そんなん今更言わんでも、俺の手も膝も何もかも全部おまえだけのもんやて、わかりきったことやんか」
「え……」
続いた京大の意外な言葉に、大阪府大は驚いて、今にも泣き出しそうな顔をふっと上げる。
大阪府大の目の前には京大の優しい微笑みがあった。
いつものように京大の指先で涙を拭われる。
それが今の大阪府大にはいつも以上に心地よく感じられた。

113:どっちが大事? 4/4
09/05/16 14:28:20 TGowWv1Z0

「言うとくけどな、俺犬と遊んでやっとる時も、ずっとおまえのことばっかり考えてんで?」
不意に京大の両腕が、小柄な体躯をすっぽりと包み込みんだ。
大きな手が何度も何度も、大阪府大の背中を往復する。
「こうやって抱きしめて撫でてやったら、おまえすごい甘えてくるやろ?それ思い出して、あいつ(犬)にもお前にするんと同じようにしとるだけや。あぁ、菅もこうやって撫でたいわーとか考えながら」
「う、うじぃ…」
自分を上回る唐突で思いがけない相方の告白。
大阪府大は耳まで真っ赤になってしまう。
「犬は犬でかわいいし好きやけどな、俺にとってはやっぱおまえがイチバンかわいいし、イチバン好きなのはおまえやねん」
「うーちゃん…」
ふたりは見つめあい、どちらからともなく自然に唇を重ね合わせた。
最初は啄ばむように軽く、やがて卑猥な水音を響かせるように濃厚に。
「ん、んっ……」
京大とのひさしぶりのキス。
それだけで、大阪府大の中に先程まであった寂しさも嫉妬も、一瞬のうちに昇華してしまった。
自分は京大に愛されている。
それが再確認でき、こうして京大の腕の中にいるだけで、大阪府大は幸せだった。

「おかんたち帰ってきたら、マンション戻ろか。続きはそこでゆっくり…な?」
「うん、ええよ。だけど…」
「ん?」
「もっと抱きしめて、うーちゃん。そして俺をもっと、もっと撫でてや」
「もう、めっちゃ甘えたやなー、すがちゃん」
そしてふたりは、誰も見ていない部屋の中で…。
否、一匹の賢いわんこがお座りをしてじっと見守っている部屋の中で、再び熱い抱擁を交わすのであった。


「ちゅーか、犬に嫉妬するとか、菅めっちゃかわいい☆」
「う……それはもう言わんといて。忘れてや!」

114:風と木の名無しさん
09/05/16 14:29:46 TGowWv1Z0
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

>110は改行ミスってシマタ…読みにくくてスマソ
先日の歩地玉で京大が愛犬をなでなでしているのを見てハゲ萌えたんだぜ

115:風と木の名無しさん
09/05/16 15:54:55 adpAqr470
85です。返答ありがとうございました!
保管サイト見れました。直リンで行けなかっただけです。
お騒がせしました。

116:風と木の名無しさん
09/05/16 17:25:58 MU+Fr8ja0
>>114
GJ!先日の『亜目トーク』で萌えが再燃したばっかりだったから、余計に…ねぇ…ww
御馳走様でしたー!!!

117:風と木の名無しさん
09/05/16 17:26:41 DLqXNGHO0
>>109
おーっ来た来た!GJGJ!
前スレで三部作書いたもんですが、すげー萌えました。
拝読できてめちゃくちゃ嬉しいです。

ぽち○まって昨日だよね?仕事早・・・・。
自分も、愛犬と戯れる京大様を見て、何やら色々と複雑な気持ちになっていたのだけど、
そうかそんなやらしいこと考えながら抱き抱きしてたのかw
その後、京大のマンションに移った二人は勿論わんわんスタイルで(ry

廬山もっと来んかな~。
裏切り者の謗りを受けようが、ピン、即ちコンビ外カプでも構わん。

長文失礼致しました。

118:風と木の名無しさん
09/05/16 18:46:46 3EZzPCYY0
失礼します。
801未満のぬるさですが投下させてください。
ちょっと長いです。

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  駅擬人化 青梅線 拝島駅×昭島駅。
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  ローカル線でお里が知れる。
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


119:駅擬人化 拝×昭 1/9
09/05/16 18:47:45 3EZzPCYY0
俺はここのところイライラしていた。
何に対してかというと、昭島駅に対してだ。
ここ数年の昭島駅の駅前開発っぷりを見ていると、
あいつが調子に乗ってるのがひしひしと伝わって本当に腹立たしい。
自分の所属している青梅線は東京都を走ると言うのもはばかれるほどのローカル線だ。
まあ、八高線ほどではないけど。
立川駅で中央本線から分派して伸びるこの線は、中央線が遅れるとまず最初に見捨てられる。
直通運転がなくなっちまうんだ。理由は単純で、八王子方面に行く客の方が多いから。
それに、終電も中央本線に比べて30分も早い。
それくらいの線だから、最初はどの駅もどんぐりの背比べっこみたいなショボさだった。
しかしその中でも、俺と昭島駅はどちらかといえば発展していた方だったんだ。
青梅線の他に西武線と八高線が伸びていて地域のターミナル駅的存在の俺と、
大型デパートが入っていてスポーツ施設も充実している地域のエンターテイメント駅の昭島駅、どっちも線を代表する駅として
(一番でかい立川駅は自分が青梅線の駅にカウントされるのを断固否定してるから)けっこう仲良くやってた。かつては。


120:駅擬人化 拝×昭 2/9
09/05/16 18:48:17 3EZzPCYY0
全ては昭島駅にあった大型デパートモリタウンが、複合レジャー施設として大規模展開しだしたのが始まりだった。
地味なエスパデパートの隣にチャラチャラしたブランドばかり入った二号館ができ、MOVIXができ、トイザラスができ、それに伴って高層マンションも増えだした。
極めつけはなんだあのわけのわからない●本のアトラクションは!?
「ねえねえ拝島駅、今度うちに映画見においでよ。面白いのやるんだ。」
自分のホームで2,30分に一本しか無い貴重な八高線の一本を見送っていると、いつの間にか昭島駅が隣にいた。
「はあ?冗談。映画見るなら立川行くし。」
振り返って目に入った昭島駅の姿は、5,6年前からは想像もつかないくらい垢抜けている。
前は俺と同じようなジーンズ&パーカーだったのが、今は雑誌に出ているような服を着ている。変な形のジャケットだなおい。髪も染めててパーマでくしゃくしゃだ。
モリタウン内の美容室でやったそうだが、そこは頼めばコーンローもやってくれるんだと以前嬉しそうに言っていた。
俺は未だにコーンなんとかがなにか分からない。余計にムカつく。
「でも、ぼくんとこ金曜だったらペアで2000円だよ!だから一緒に…。」
「うるせー。おまえんとこガキばっかで嫌なんだよ。たかだか800円別にどうでも。」
やつが喋る度にやつの服がひらひらするのがに目に入るので、俺は背を向けて吐き捨てた。

121:駅擬人化 拝×昭 3/9
09/05/16 18:49:09 3EZzPCYY0
「そう…わかった。急に邪魔してごめん。じゃあまたね。」
案外あっさり引き下がった奴がいなくなった後、おれは若干の後悔と、そんな自分への腹立ちでため息をついた。
最近昭島駅とはめっきりこんな感じで参る。
昭島駅は以前のように俺とつるむ気でいるらしいが、今のやつと並ぶと自分が野暮ったく見えることに気がついてから
俺はあいつを極力避けていた。
俺んとこも、駅ナカができたりしてるけど規模では全然おいつかない。
今までは青梅線のツートップだった―利用者数が多い分自分のほうがちょい勝ってるとす ら思っていた―のに、
今は自分がその他停車駅に転がり落ちつつあるのである。そんなのは我慢できない。
そう思ってしまうので、昭島駅が話しかけてくる度に俺は不機嫌になる。
俺が不機嫌なのを察知して奴が俺の機嫌を無理に取ろうとする。
それが逆に惨めで俺がもっと不機嫌になる。
この悪循環に自分自身いい加減嫌気がさすが、どうしてもやめられない。
ホームで楽しそうに騒ぐ女子中学生グループを横目に、やりきれない気持ちで頭をガシガシと掻いた。

122:駅擬人化 拝×昭 4/9
09/05/16 18:50:13 3EZzPCYY0
雨続きで久々に晴れた日曜日、休日ダイヤの暇さも手伝って俺は久しぶりに昭和記念公園へ出かけた。
久しぶりの気候に浮かれた家族客を大量に飲み込んだ巨大な国営公園はそれでもまだまだ余裕のようで、
見ごろのポピーを惜しげもなく見ぜびらかしている。
おれは色とりどりのそれらを横目に公園の中心にある原っぱで寝転がった。
こういうレジャー施設に一人で来たところで何もする事がない。暇だ。

前は時間さえあれば昭島駅と遊んでいた気がする。
ここにもよくサッカーをしにきていたし、たまには都心に出かけたりもした。
都心に出た時の昭島駅はすごく面倒くさい。
いつも東京駅や新宿駅の人ごみにはしゃいであちこち動き回り、最後には人酔いして座り込んでしまう。
それを介抱するために自分は付き添っていたと言っても良い位だった。
物見遊山に最初の東京マラソンを見学に行った時なんか昭島と一緒に自分までが群集の気にあてられちまって、
どうにも動けなくなって結局東京メトロの駅達に送ってもらったな。
連絡を受けて出迎えに来た立川駅のあのバツの悪そうな顔!
「ははっ。」

123:駅擬人化 拝×昭 5/9
09/05/16 18:52:15 3EZzPCYY0
思い出して思わず一人で笑う自分にはっと気付いて空しくなった。

「チョリーッス拝島っち、僕ん所に一人で来るなんて珍しいね。」
そう声がして、不意に寝転がった自分の視界に覗き込むように屈んで立つ人物が現れた。
「西立川駅、良く分かったな。」
そいつは、立川駅の隣にぽつんと、昭和記念公園に行くためだけにあるような駅の主だった。

俺よりも数段地味で東中神駅だってもう少しましくらいのこいつは、
それにも関わらず外見は高校生位に見える俺や昭島駅よりもずっと年長で、
一番大人な立川駅と同じくらいに見える。
のわりには言葉も態度もヘラヘラしてて変な奴だけど。
「そりゃあ同じ線の仲間が近くにくれば気配でわかるよ。」
西立川駅はふわふわ笑いながら俺の隣に腰をおろした。
自分はなんとなくはわかっても場所までは特定できない。犬みたいな男だぜ。
「何か用か?」
「え?別に。一人で暇そうだから相手してあげようと思って。」
「…別に暇じゃねぇし。最近一人で清々してんだ。」
「前はいつも昭ちゃんと一緒だったもんねー。向こうが忙しくて相手にされなくなっちゃったのかなぁ?」
西立川駅がからかい交じりで幼稚園の先生のような甘ったるい声を出して俺の頭をなでた。
その態度が癪に障ってその手を思いっきり振り払う。

「なっ…ちげーよ!俺が一人がいいからあいつをシカトしてんの!」
「ふーん…。まあ、せっかくお隣さん同士なんだからもっと優しくしてあげなヨ。
彼も今大変な時期なんだから。」
はたかれた手を痛そうに振って言う西立川駅に俺は反論した。
「あいつのどこが大変なんだよ。チャラチャラした遊び場のおかげで多摩の核家族どもに囲まれてすげぇ調子乗ってんだぞ。」

124:駅擬人化 拝×昭 6/9
09/05/16 18:54:10 3EZzPCYY0
俺の言葉に西立川駅はそれまでの飄々とした表情が一瞬強張った様に見えたがすぐに元に戻った。
「昭ちゃんはそんなキャラじゃないじゃーん。」
「…キャラ関係なく普通そうなるだろ。あいつ最近やたら開発進んでるし。たまに会っても大変そうにはちっとも見えないぜ。」
そうかなぁと言って西立川駅は頭をわしわしと掻いた。
「まあ僕も直接昭ちゃんに相談されたわけじゃないから良くわかんないんだけど、
たっちゃんが結構心配してるから大変なんだと思うよ。」

青梅線の中で不敵にも西立川駅だけは立川駅の事をたっちゃんと呼ぶ。
気取り屋の立川駅は全力で嫌がってるけど、それがまた良いのだとよく分かんねぇ事を以前西立川駅は言ってた。

「立川駅が?」
あの立川駅が昭島駅の心配?およそ考え付かなかった。やつはいつも偉そうにしょってて、
自分はさも都会の巨大ターミナルだと言わんばかりに俺を見下しているからだ。
けどそれよりも気になるのは…
「昭島駅って、本当に今辛いのか?」
でもだとしたらなんで?
「えっマジで分かってなかったの?」
西立川駅が本当になんの含みもなく心底驚いた声で言ったので分からない自分が
恥ずかしくなり、それを隠すため声を荒げた。
「わかんねぇし!自分とこの駅が発展するのはいいことだろ!」
「あんさぁ、昭ちゃんは人一倍人の気にあてられやすいじゃない。」
西立川駅が呆れた様子でヒントをくれた。
「そうだけど…ぇ、あ…。」
表情が変わった俺を見てやっと気が付いたと確認した西立川駅は、もー鈍い。
鈍いよ拝島っち!と俺の背中をバシバシ叩いた。

125:駅擬人化 拝×昭 7/9
09/05/16 18:55:18 3EZzPCYY0
俺達駅は駅を使う人のエネルギーを受けて生きている。気の器みたいなもんだ。
小さい器に許容範囲以上の人の気が流れ込む負担は大きい。
だから小さい駅が急に人のあふれる大きい駅に行ったりすると具合が悪くなる。
何かのきっかけで自分の器の成長が追いつかないくらい駅に来る人が増えても同じじゃないか。
「まあ、急な利用者増加はこの線じゃあんまり起きないから気が付かないのも仕方ないけど、
そういうことだからもちっと気をつけてやってよお隣さん。」
ぽん、と今度は励ますように軽く頭を叩かれた。
「…西立川駅は知ってたんだな。」

こんな話は初めてだった。この線の他の駅の奴等だって縁のない話のはずだ。
昭島駅だってそんなこと一言も言ってなかった。いままでずっと辛かったんだろうか。
「僕?ああ、立川駅がさ、そうだったんだよ。奴のは規模が大きくてけっこう酷かったわ。
今もしょっちゅうだからあいつのはもはや持病だね。あ、僕が教えたことたっちゃんには内緒ね。」
自分の喋りすぎに慌てて西立川駅が口をおさえる。
それすら初耳だったが、言われてみれば確かに最もな話だった。全然気がつかなかった。
いつも堂々として偉そうに自分が一番だという態度をとっていたから。
他の駅達だって全然気付いてなかったはずだ。多分、西立川駅だけが知っていた。


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