モララーのビデオ棚in801板45at 801
モララーのビデオ棚in801板45 - 暇つぶし2ch2:風と木の名無しさん
09/01/21 05:42:48 JcrBgp3b0
★モララーのビデオ棚in801板ローカルルール★

1.ノンジャンルの自作ネタ発表の場です。
書き込むネタはノンジャンル。SS・小ネタ・AAネタ等801ネタであれば何でもあり。

(1)長時間に及ぶスレ占拠防止のためリアルタイムでの書き込みは控え、
   あらかじめメモ帳等に書いた物をコピペで投下してください。
(2)第三者から見ての投下終了判断のため作品の前後に開始AAと終了AA(>>3-7辺り)を入れて下さい。
(3)作品のナンバリングは「タイトル1/9」~「タイトル9/9」のように投下数の分数明記を推奨。
   また、複数の書き手による同ジャンルの作品判別のためサブタイトルを付けて頂くと助かります。

※シリーズ物・長編物の規制はありませんが、連投規制やスレ容量(500KB)を確認してスレを占拠しないようお願いします。
※感想レスに対するレス等の馴れ合いレス応酬はほどほどに。
※「公共の場」である事を念頭にお互い譲り合いの精神を忘れずに。

相談・議論等は避難所の掲示板で
URLリンク(s.z-z.jp)

3:風と木の名無しさん
09/01/21 05:43:30 JcrBgp3b0
2.ネタ以外の書き込みは厳禁!
つまりこのスレの書き込みは全てがネタ。
ストーリー物であろうが一発ネタであろうが
一見退屈な感想レスに見えようが
コピペの練習・煽り・議論レスに見えようが、
それらは全てネタ。
ネタにマジレスはカコワルイぞ。
そしてネタ提供者にはできるだけ感謝しよう。

  / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  | ネタの体裁をとっていないラッシュフィルムは
  | いずれ僕が編集して1本のネタにするかもね!
  \                           | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄V ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  | | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| . |
                               | | [][] PAUSE       | . |
                ∧_∧         | |                  | . |
          ┌┬―( ・∀・ )┐ ピッ      | |                  | . |
          | |,,  (    つ◇       | |                  | . |
          | ||―(_ ┐┐―||        |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   |
          | ||   (__)_), ||       |  °°   ∞   ≡ ≡   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

4:風と木の名無しさん
09/01/21 05:43:52 JcrBgp3b0
3.ネタはネタ用テンプレで囲うのがベター。

別に義務ではないけどね。

テンプレ1

                    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     |  モララーのビデオを見るモナ‥‥。
 ____________  \            / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | __________  |    ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄|  きっと楽しんでもらえるよ。
 | |                | |             \
 | | |> PLAY.       | |               ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | |                | |           ∧_∧ ∧_∧ ∧∧ ドキドキ
 | |                | |     ピッ   (´∀` )(・∀・ )(゚Д゚ )
 | |                | |       ◇⊂    )(    ) |  ヽノ___
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _) ┌ ┌ _)⊂UUO__||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)(_(__).      ||  |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ ヒトリデコソーリミルヨ
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

5:風と木の名無しさん
09/01/21 05:44:15 JcrBgp3b0
テンプレ2
          _________
       |┌────┐|
       |│l> play.      │|
       |│              |│
       |│              |│
       |│              |│
       |└────┘|
         [::::::::::::::::MONY:::::::::::::::::]
   ∧∧
   (  ,,゚) ピッ   ∧_∧   ∧_∧
   /  つ◇   ( ・∀・)ミ  (`   )
.  (⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒)
  |            ┌‐^───────
  └───│たまにはみんなと一緒に見るよ
                └────────

          _________
       |┌────┐|
       |│ロ stop.      │|
       |│              |│
       |│              |│
       |│              |│
       |└────┘|
         [::::::::::::::::MONY:::::::::::::::::]

                 ピッ ∧_∧
                ◇,,(∀・  ) ヤッパリ ヒトリデコソーリミルヨ
.  (⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒)
  |                                |
  └────────┘

6:風と木の名無しさん
09/01/21 05:44:38 JcrBgp3b0
テンプレ3
               ,-、
                 //||
            //  .||               ∧∧
.          // 生 ||             ∧(゚Д゚,,) < みんなで
        //_.再   ||__           (´∀`⊂|  < ワイワイ
        i | |/      ||/ |           (⊃ ⊂ |ノ~
         | |      /  , |           (・∀・; )、 < 見るからな
       .ィ| |    ./]. / |         ◇と   ∪ )!
      //:| |  /彳/   ,!           (  (  _ノ..|
.    / /_,,| |,/]:./   /            し'´し'-'´
  /    ゙  /  /   /                    ||
 | ̄ ̄ ̄ ̄ |,,./   /                 /,!\
 |         |   /                   `ー-‐'´
 |         | ./
 |_____レ"
               ,-、
                 //||
            //  .||               ∧∧
.          // 止 ||             ∧(゚Д゚,,) < やっぱり
        //, 停   ||__           (´∀`⊂|  < この体勢は
        i | |,!     ||/ |           (⊃ ⊂ |ノ~
         | |      /  , |           (・∀・; )、 < 無理があるからな
       .ィ| |    ./]. / |         ◇と   ∪ )!
      //:| |  /彳/   ,!           (  (  _ノ..|
.    / /_,,| |,/]:./   /            し'´し'-'´
  /    ゙  /  /   /                    ||
 | ̄ ̄ ̄ ̄ |,,./   /                 /,!\
 |         |   /                   `ー-‐'´
 |         | ./
 |_____レ

7:風と木の名無しさん
09/01/21 05:44:59 JcrBgp3b0
テンプレ4

携帯用区切りAA

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

中略

[][] PAUSE ピッ ◇⊂(・∀・;)チョット チュウダーン!

中略

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

8:風と木の名無しさん
09/01/21 05:45:23 JcrBgp3b0
 / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | 僕のコレクションに含まれてるのは、ざっと挙げただけでも
 |
 | ・映画、Vシネマ、OVA、エロビデオとかの一般向けビデオ
 | ・僕が録画した(またはリアルタイムな)TV放送
 | ・裏モノ、盗撮などのおおっぴらに公開できない映像
 | ・個人が撮影した退屈な記録映像、単なるメモ
 | ・紙メディアからスキャニングによって電子化された画像
 | ・煽りや荒らしコピペのサンプル映像
 | ・意味不明、出所不明な映像の切れ端
 \___  _____________________
       |/
     ∧_∧
 _ ( ・∀・ )
 |l8|と     つ◎
  ̄ | | |
    (__)_)
       |\
 / ̄ ̄ ̄   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 | 媒体も
 | 8mmフィルム、VCR、LD、ビデオCD、DVD、‥‥などなど
 | 古今東西のあらゆるメディアを網羅してるよ。
 \_________________________

9:風と木の名無しさん
09/01/21 05:46:07 JcrBgp3b0
   |__[][][][]/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
   | ̄ ̄ ̄|   じゃ、そろそろ楽しもうか。
   |[][][]__\______  _________
   | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ || |       |/
    |[][][][][][][]//|| |  ∧_∧
   | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ || | ( ・∀・ )
   |[][][][][][][][]_||/ (     )
    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄   | | |
              (__)_)

10:風と木の名無しさん
09/01/21 05:49:19 Ou0pTc0q0
>1乙
前スレの人どうしたんだろう
投下したいけどできないww

11:木目木奉  プロの目(※沢から見たウキョ)
09/01/21 06:28:37 Ou0pTc0q0
前スレの人が戻ってこないので投下しちゃいます。

 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | |>PLAY.       | |              
 | |                | |           ∧_∧板ミ→瓶では感想ありがとうございました。
 | |                | |     ピッ   (・∀・ ) 今回はちょっと視点を変えて…
 | |                | |       ◇⊂    ) __  インフルで出勤停止なのに優雅にこんなもん書いてごめんなさい。
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  | タミフルが効いてよかった
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

12:風と木の名無しさん
09/01/21 06:30:06 oLIYDaTkO
1乙です
前スレ547さんありがとう。
ジャンルマイナーな上に内容がカプ未満なんで、レス貰えて幸せでした。

前スレの方は
新スレの存在に気づかず寝てしまったのかも。
萌えないの人みたく後から現れる可能性も
あるンジャマイカ。

13:木目木奉  プロの目 1/5
09/01/21 06:30:10 Ou0pTc0q0
どうも、私警視庁乾式課の※沢守と申します。

就職難といわれるこのご時勢。有難い事に毎日忙しく働き続けております。
非常にやりがいのある仕事であることはあるのですが…
毎日刑事や乾式が働きづめというこの社会の現状を思うと少し複雑といいますか


あと、少しだけ空いた時間にふと思い出してしまう、逃げてしまった女房のこと……
…いやはや、失礼致しました。話が脱線してしまいましたね。


本日も私、一課の方々に隠れて匿名係の椙下警部に捜査資料を運ぶ使命を果たしておりました。
冬の寒さの所為でしょうかこう、なんと言いますかどことなく寂しさを感じてしまう今日この頃。



そう、瓶山さんが居ない と言うことが一番の原因でしょうか。
表面上では椙下警部と板ミ刑事は何事も無かったかのように見えますが。
ふむ、まあ素人目にはわからないでしょうな。
私プロの乾式の目はごまかせません。
例えば…

14:木目木奉  プロの目 2/5
09/01/21 06:31:29 Ou0pTc0q0
「※沢さん」
「はっ!!」


いつの間にやら椙下警部が背後に立ってこちらの様子をを伺っておりました。
危ない危ない。


「何やら考え事をなさっていたようでしたので」
「ああ、いえいえ、例の件ですが新事実が浮上いたしまして…」
「被害者の爪に付着した皮膚組織のことでしょう。丁度それを伺おうと思って来たところです」


「さすが椙下警部、情報がお早い。説明する手間が省けました。どうぞ、こちらが検査結果です」
「ありがとうございます」
「くれぐれも…「くれぐれも板ミ刑事達にはばれないように…ですね。心得てますよ」

「ふむ。無用な心配でしたね。表立っては行動できませんがこうしてこっそりとご協力させていただきます」


椙下警部は薄く微笑み、内ポケットから新宿末広亭の座席指定券をちらつかせております。
いやはやわかっていらっしゃる。
まあ、そんなものなど無くても私は椙下警部へ全面的に協力してゆく所存でありますが。
いや、まあ。はい…でも いただけるというのなら…いやいやそんな決して賄賂などでは。

15:木目木奉  プロの目 3/5
09/01/21 06:35:20 Ou0pTc0q0
「※沢さん」
「へぃ?」


いそいそと指定券をポケットに仕舞っている時に椙下警部から声を掛けられ
思わず気の抜けた声が出てしまいました。お恥ずかしい限りです。


「プロの乾式の目からは僕はどういう風に映っているのでしょうかねぇ」
「…はっ」

「何事も無かったかのように見えるとおっしゃられても、実際、何事も無いのですから そのように振舞う他ありませんよ」
「…」


どうやら途中から口に出してしまっていたようで。
もう滑り出してしまった言葉。取り戻すことはできないとわかってはいるのですが
思わず口元に手を当ててしまいます。

人間の習性とでもいいましょうか。私、背中に軽く汗をかいてしまいました。
なんとかその場を取り繕うと思案をするわけですが…
椙下警部には全く通用しないでしょうな。無駄なあがきだと分かっております。ええ。


とりあえず指定券はしっかりとポケットの奥に仕舞わせていただきました。
流石に今更返せといわれても手放すには惜しいものですので。


16:木目木奉  プロの目 4/5
09/01/21 06:38:15 Ou0pTc0q0
「差し出がましい事とは思いますが、あまり 個人の事まで詮索なさるのはどうかと思いますがねぇ、僕は」
「以後、気をつけます」
「仕事熱心なところは、僕は評価しているつもりですよ」
「ありがたきお言葉、痛み入ります」


プロの乾式の目はごまかせませんよ。椙下警部。
貴方が僅かに饒舌になる時は図星の時。
付き合いの浅い連中はそのポーカーフェイスに騙されてしまうのでしょうがね。





「おっと、もうこんな時間ですね。それでは、何かありましたらまたよろしくお願いいたします」
「了解致しました」

思い出したように時計に目をやり、椙下警部は資料を持って颯爽と乾式を後にしました。
…と思ったらすぐに戻ってきて扉から顔をのぞかせております。

「今の話は、他言無用で」
「そちらも、了解致しました」

ふむ、気づいたことに気づかれていましたか。
私もまだまだ ということですな。

17:木目木奉  プロの目 5/5
09/01/21 06:39:24 Ou0pTc0q0
ポケットからちらりと取り出してみた夜の部座席指定券。
仕事もひと段落ついたところです。早速帰り支度をば…。




おっと、そろそろ捜査に行き詰った一課から連絡がくるかもしれません。
携帯の電源を切っておきましょうか。
椙下警部が私にこれを渡したということは今日中に解決するという事。
とりあえず私の役目はこれにて終了ということで。

私はささっと一課の前を一過して末広亭へと足を運んだのでございます。



お後が宜しいようで。



 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | □ STOP.       | |
 | |                | |           ∧_∧ ※沢さん難しいね
 | |                | |     ピッ   (・∀・;) お粗末!
 | |                | |       ◇⊂    ) __ 今回だけ許して。
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  | 無事投下できたら真面目にインフル治すんだ…!
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |  いつか板ミ編も書きたいよね。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

18:風と木の名無しさん
09/01/21 09:05:07 HlQtA0Ha0
>>9
姐さんGJ!いまや乾式、ヒマカ、大小が心のオアシス…。
早く元気になって板編を投下プリーズ!!

19:風と木の名無しさん
09/01/21 09:47:16 oLIYDaTkO
>>17
邪魔してごめんなさい。
カンキツさん可愛いのに切ないよ。
お大事にね

20:ヴェネツィアものの人
09/01/21 09:58:45 Q5disdrc0
               ,-、
                 //||
            //  .||               ∧∧
.          // 生 ||             ∧(゚Д゚,,) < 前スレの人だよ
        //_.再   ||__           (´∀`⊂|  < ごめんね、スレ占領しちゃってごめんね
        i | |/      ||/ |           (⊃ ⊂ |ノ~
         | |      /  , |           (・∀・; )、 < 一応最後まで投下させてください
       .ィ| |    ./]. / |         ◇と   ∪ )!
      //:| |  /彳/   ,!           (  (  _ノ..|
.    / /_,,| |,/]:./   /            し'´し'-'´
  /    ゙  /  /   /                    ||
 | ̄ ̄ ̄ ̄ |,,./   /                 /,!\
 |         |   /                   `ー-‐'´
 |         | ./
 |_____レ"

21:ヴェネツィアもの
09/01/21 10:00:24 Q5disdrc0
「ひっ……!」
いきなりアルベルトさんは僕を抱き締めた。その腕の強さはあの夜を更に強烈に思い出させる。身体中の
血管に氷が流されてたような錯覚に陥ってしまいパニックになった。何も分からず、ただ僕を押さえ
つける手を引き剥がそうともがく。
「…だっ…!やだやだやだっ!離しっ…!やめて!嫌だっ……!」
ぼろぼろ泣きながら多分、僕は酷いことをした。叫んで突き飛ばそうとしたり、殴り付けたり、酷く
傷つける言葉で罵ったり…噛みついたりもしたと思う。でもアルベルトさんは僕を離さなかった。
何度もごめん、ごめんと壊れたレコードみたいに繰り返して。僕を抱き締める腕の力だけは強いままで。
僕はずっとアルベルトさんの腕の中で泣いていた。


「……痛くないですか?」
月が高くなった頃、少しだけ血の滲んだ手の甲を撫でながら僕は聞いた。アルベルトさんはいつもの
穏やかな仕草で僕の背を撫でてくれる。
「……離せばよかったんです。」
散々暴れた僕はもう疲れ果てて動くのも億劫になっている。でもアルベルトさんは僕を離さないでいた。
今だって僕の頭を撫でていてくれる。怖いとか、嫌だとかいう気持ちはまだあったけど、それでも
さっきよりずっとずっと心は静かになってた。
「……何であんなことしたんですか。」
アルベルトさんは答えない。
「とっても怖かったんです…」
アルベルトさんはまだ答えない。
「…何で…何も話してくれないんですか…」
何度も何度も聞いた。それでもアルベルトさんは何も答えてくれない。諦めにも似た感情が込み上げる。
その時、僕の唇が意思とは無関係に動いた。
「…僕は…あなたが好きだったのに……」
自分でも驚いた。でもそう口にして、初めてはっきりと気づいたんだ。

22:ヴェネツィアもの
09/01/21 10:04:33 UwJsPCzv0
僕はアルベルトさんが好きだった。
ずっと一緒にいるうちに、いつの間にか、好きになっていた。
その気持ちはシーモやルイージに感じてるような友情とか親近感なんかじゃない。
もっともっと強くて熱くて大切な気持ちだ。
あんなことされて、恐くて悲しくてどうにかなりそうだったし、二度と会いたくないと思った夜もあった。
でもきっと心の奥底の方ではアルベルトさんが好きだって気持ちが消えずに残っていたんだ。
だからアルベルトさんに真実を、本当のことを聞きたくてどうしようもなかった。
自分でもおかしいと思うけれど、酷い目にあってなお、僕はアルベルトさんに嫌われたくない、
また一緒に同じ時間を過ごしたいと思っていた。
(僕は馬鹿だ……)
アルベルトさんは黙ったまま、何も答えてはくれない。
また目の奥がじんと熱くなってくる。
「……俺は、君を愛してる。」
時間が止まった。
風も、波の音も、葉のざわめきもみんな止んだ。
ゆっくり伏せていた顔をあげて、アルベルトさんを見た。月明かりに照らされたその顔は、泣き顔にも
笑い顔にも見えた。
「君が好きだ。最初は僕と同じ瞳を持ってる君に興味を持っただけだった。僕は孤独だったから。
独りでいる時間をなくしたかった。」
よくわからない。アルベルトさんが、僕を?
「でも、君と過ごすようになってから変わったんだ。あんまり君が純粋だから。あんまり君が優しいから。
『独りは嫌だ』から『二人じゃなきゃ嫌だ』に。―だからユーキが俺以外の人間に盗られてしまうと
思ったら…いてもたってもいられなかったんだよ。」
くしゃりとアルベルトさんが笑った。僕はそれを呆然と見ていることしかできない。
「最悪だろう?子どもだってこんな質の悪い我が儘なんて言わない。
ましてや、力ずくで奪うなんてこと―」
そこまで言うとアルベルトさんはずっと僕を抱き締めてくれていた手を離して立ち上がった。体が急に
冷たい風に晒される。その時アルベルトさんの温もりが僕から離れていくのを嫌と言うほど
感じさせられた。

23:ヴェネツィアもの
09/01/21 10:09:40 UwJsPCzv0
「ユーキ。いくら謝っても償いきれないのはわかってるけど、俺の気持ちだけ伝えたかったんだ。…最後までエゴだらけでごめん。」
僕はまじまじとアルベルトさんを見上げた。寒くて寒くて仕方なかった。なのに、胸の奥だけ熱くて
死んでしまいそうだった。

好きだ。

ただそれだけなのに、その言葉を聞いただけでとめどなく感情が湧き上がる。
「君の望む罰を受けるよ。警察に行こうか。それとも、気が済むまで殴る?一層ココを刺してみるかい?」
アルベルトさんはそう言ってとんとん、と自分の胸を指でつついた。
「僕は…そんなこと……っ……」
そんなこと望んでなんかいない。
そう言いたかったけれどダメだった。
先に涙が零れだして、声がでなかった。
だから僕はアルベルト思いっ切り抱き付いた。
抱き付いたというよりも、タックルしたという方が正しいかもしれない。アルベルトさんはよろけて尻餅をついた。
「ユーキ……」
「アルベルトさんっ……アルベルトさんっ……アルベルトさんっ………!」
僕はもう一度アルベルトさんの胸で泣いた。
今度は突飛ばしたりせず、逆に絶対離すもんかとしがみつきながら。アルベルトさんは驚いていたみたい
だけど、そんなの気にしてられなかった。
きっと今こうしないとアルベルトさんは二度と僕の目の前にいてくれなくなる。そう思った。だからどんなに身体が震えてもこうしなきゃいけないって思った。
「ユーキ……僕は君に最低なことをしたんだ。」
「…っ…はいっ…すごく、いや、で…したっ……」
「僕は君を傷つけたんだよ。」
「…は…いっ……すっごく…くるし…かった…です…」
「僕は許されない罪を犯したんだ。」
「…っ…はい…すごく…すご、く……こわかっ、た………」
「……それじゃあどうしてユーキは僕を抱き締めてくれるんだい?」
そんなの一つしかない。近過去でも、半過去でも何でもない。この気持ちは『今』のものだ。
今、ちゃんと伝えなければもう二度と伝えられないかもしれない。

24:ヴェネツィアもの
09/01/21 10:10:03 UwJsPCzv0
「…っ……っ……好き、ですっ…アルベルトさんっ……」

僕は自分の言葉で、自分の気持ちを精一杯の思いを込めて伝えた。
「『スキ』…?」
アルベルトさんは不思議そうな、不安そうな声で聞き返してきた。僕は一気に胸の中に詰まって
いたものを吐き出した。
「そうです、『スキ』です。アルベルトさんが好きです。大好きです。アルベルトさん、
アルベルトさん、好きです。好きなんですっ……!」
次の瞬間、アルベルトさんは信じられないくらい強い力で僕を抱き締めて、大声で泣き出した。
「ユーキ…済まない……!ユーキ…ユーキ……愛してる、愛してるユーキっ!……」
静かな僕とアルベルトさんだけの秘密の場所で、僕とアルベルトさんはずっとずっと抱き合っていた。


くしゅん、とアルベルトさんがくしゃみをする。もう大分夜もふけて、僕達の身体は思ったよりも
冷えていた。さっきまで涙で濡れていた頬なんか寒さもあって真っ赤になっていて、僕達はくすくす
笑った。
「無理をさせたね……ゴンドラにコペルタ(毛布)があるから。行こう。」
アルベルトさんに手を引かれ、僕はゴンドラに乗る。差し出されたコペルタはアンゴラのようで、
ぱちぱちと静電気が起きた。僕は肩にそれを羽織り、アルベルトさんはコペルタと一緒に置いてあった
ピーコートを着る。
「家まで送るよ。」
その言葉を合図に、ゴンドラはゆっくりと動き出す。波とそれを割る船首の水音が気持ちいい。
コペルタのお陰で寒さも大分和らいだ。
「あ…そうだ。まだ大丈夫かな……」
ふと僕は鞄を探る。教科書や筆箱をかき分け底を覗き込むと、鈍い金属の肌が見えた。
「アルベルトさん、少しいいですか。」
「何だい?」
きょとんとした顔でアルベルトさんは僕を見た。
「約束しましたよね。いつでもどこにでも、って。」
その一言でアルベルトさんは僕が何を言いたいのか分かってくれたみたいだった。いつか見たような
優雅なレモ捌きで向きをかえて、ゴンドラはゆっくりと海を進んだ。

25:ヴェネツィアもの
09/01/21 10:12:30 UwJsPCzv0
「やっぱり沖は風が強いね。」
「でも星がきれいです。」
ゆらゆら揺れるゴンドラの上で僕達は並んで座っていた。二人して膝にはコペルタ、肩にはコートを
かけると肌寒さは殆んど無くなった。僕はルイージから貰った魔法瓶を取りだし、中身をカップに
注いだ。ふわりと甘酸っぱい香りが辺りに広がる。
「……凄い。まだ温かいです。」
「さすが日本製,保温力抜群だねえ。」
くつくつと笑いながらアルベルトさんにカップを渡す。アルベルトさんはそれを受けとると少し香りを
堪能してから口に運んだ。
「ミエーレ(蜂蜜)とリモーネ(レモン)たっぷり。エルバ(香草、薬草)もいい。
素晴らしいヴィンブルレだね。」
ぐいっと飲み干すと、アルベルトさんはお代わりをする。結構気に入ったみたいだ。
「ヴェリタスとルイージのお母さんのアモーレ入りの特製だそうですから。」
それを聞くとアルベルトさんは大笑いをした。よくわからないけど、ツボに嵌まったらしい。
「あははははは、なるほど、なるほどね。マンマのアモーレか。それは体に良さそうだ。
くっくっくっ…だけどヴェリタスの方はどうなんだろうね?ははっ、風邪に聞くなんて話は
聞いたことがないけど。」
ついに涙まで浮かべながらアルベルトさんは言った。…本当に息が苦しそうだ。
そんなに笑わなくてもいいのにと言おうと思ったけれど、アルベルトさんが笑っていてくれるのは
嬉しいから、僕は言うのをやめた。その代わり視線を手にした魔法瓶にやりながら僕はそっと囁いた。
「……少なくとも僕は、元気になりました。」
一瞬の沈黙。風の音だけが聞こえた。
「本当のこと、教えてくれてありがとうございます。アルベルトさん。」
僕はそのままアルベルトさんの肩に身体を寄せて頬擦りした。アルベルトさんはその温かい手で
僕の肩を抱いてぐっと抱き締めてくれる。心地いい体温がじわりじわりと僕の身体全体に伝わっていく
のが分かった。

26:ヴェネツィアもの
09/01/21 10:12:53 UwJsPCzv0
「……まだ僕が怖い?」
「……はい。」
「もう二度としない。絶対傷つけるようなことなんかしない。誓うよ。」
「……はい。」
自然と僕達はお互いに見つめあっていた。
きれいな勿忘草の瞳に僕の姿が写っている。それがなんだか嬉しかった。
ゴンドラを揺らす波のように、ゆっくりと僕達の距離が無くなっていく。あと少しで距離がゼロに
なるという時、急にアルベルトさんがびくりとして止まった。
「……?」
不思議に思い、首をかしげる。アルベルトさんは目を附せ、何か躊躇うように視線を巡らした後、
小さな声で僕に聞いた。
「…ユーキ、その…キスをしても…?」
怯えたような声に驚いたけれど、僕を気遣っていてくれるんだと気付くとその声も視線も全てが愛しく
なった。僕は答える代わりに目を閉じる。澄んだ波の音と頬を撫でる風の中に僕達はいるのだと改めて
感じる。ふいに甘い香りがした。
それから温かくて柔らかな感覚が僕の唇を包んだ。

アルベルトさんの唇は、甘酸っぱい、ワインの味がした。

27:ヴェネツィアもの
09/01/21 10:19:28 UwJsPCzv0
               ,-、
                 //||
            //  .||               ∧∧
.          // 止 ||             ∧(゚Д゚,,) < 以上ですだよ
        //, 停   ||__           (´∀`⊂|  < ご迷惑おかけしました
        i | |,!     ||/ |           (⊃ ⊂ |ノ~
         | |      /  , |           (・∀・; )、 < 二度寝してくるよ!
       .ィ| |    ./]. / |         ◇と   ∪ )!      
      //:| |  /彳/   ,!           (  (  _ノ..|
.    / /_,,| |,/]:./   /            し'´し'-'´
  /    ゙  /  /   /                    ||
 | ̄ ̄ ̄ ̄ |,,./   /                 /,!\
 |         |   /                   `ー-‐'´
 |         | ./
 |_____レ


28:風と木の名無しさん
09/01/21 13:18:39 0q+k8EcOO
長編乙
でもだからこそ番号はふっといてほしかったかな

29:風と木の名無しさん
09/01/21 17:33:57 J3aeQw7j0
>>1
さるったのかと思って、500超えてるのにしばらく気付かなかったわ

>>28
同意


30:風と木の名無しさん
09/01/21 22:36:33 iI5htfg+O
>>11
姐さんGJ!
見事に※沢さんの声で脳内再生されました。
お大事に!

31:オリジナル 戦争モノ 0/9
09/01/22 02:32:33 Yk1CJYtsO
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!
オリジナルの仮想戦争モノ。敵国同士の組み合わせ。



多分死ぬなら死ぬで数日前に運命は決まっていただろうし、今更じたばた足掻くつもりも無いが、
生きている限りは頭を動かし考え抜く。それが自分の矜持だが。
それにしても何日経ったか、果てさて。随分と腹も減った。
ごつごつした壁、幾重にもはりそこかしこを走るパイプ、もう何度も何度も追ったそれを見ながら目を
閉じる。
小窓の一つも無く薄暗いのは、ここが船倉の奥の奥だからだとはわかっていた。冷たい鉄壁に耳を
当てれば、聞きなれぬ重機の蠢く音が常に聞こえる。
これを聞きにきたのが目的だった。だが、伝えには帰れぬだろうと思う。運がよければ生きて彼の
国へ俘虜として送られるのがせいぜいであろうし、運が悪ければ甲板から凍結する冬海へ突き落と
されるだけ(その前にこの身には弾丸のいくつかが食い込むことだろうが)、と、降伏した数日前は
思っていた。
あまりにも巨大な軍艦に、潜入前息を呑んだ、それが最後の生々しい記憶だった。下っ端曹長の
仕事としては、あまりにも巨大で手に余ると心の中では嘯いた。

32:戦争モノ 1/9
09/01/22 02:34:12 Yk1CJYtsO
そのとき河口から海へ渡る北風の、まさに耳を切るような冷たさも覚えている。
黒々とした海に海面との境界のない夜空は、また吸い込まれるように黒かった。そしてさらにずんと
それは、まるで切り立った崖のように眼前にそびえて、小船の上の自分を圧倒していた。
追い詰められたとき、己の口笛と引き換えに逃がした副官のあいつだけでも、うまく戻れていれば
いいのだが。
「そうでなければ、僕が浮かばれぬ」
ジュノは声に出して笑った。独り言を言うのも久しぶりだった。
壁から耳を離せば珍しく、人の声らしきものが聞こえる。どこからか。ずりずりと這いずって、べたりと
閉じきったままの固い扉に耳を寄せる。
「…サン、…ぎる」
「いや…、…だ」
公用国語なら少しはわかるが、彼の国の言葉には詳しくない。士官学校も出てはいない、たたき
上げの自分だ。
だが二人以上の声だということと、その会話が少しずつどうも近づいてくるというのはわかった。
がたがたと足音。こつこつと足音。軍靴のかかとの音か、ならばこれは、身分のあるやつ、それも
二人。
「僕の運命も…決まったか?」

33:戦争モノ 2/9
09/01/22 02:36:26 Yk1CJYtsO
一人で言う最後の冗談、とジュノがふっと片頬をゆがめた時、身を寄せていた扉ががちゃんと重い
音を立てた。身を離せばゆっくりそれが開く。廊下側はまぶしい。
「…俺は、こいつを開放する」
その影の一つがぽつりと言った。公用国語だった。
「城山サン。あんたは…」
「誰が何と言おうと、この艦内の指揮官は俺だ」
もう一つの影が割ってはいる。だが先に言った方の、その声には聞き覚えがあってジュノは息を
呑んだ。
あの中尉殿じゃあないか。
このふねは、それ以外にもいくつもの小艦を引きつれ、艦隊の具合を取っていた。だが意外だった、
拘束された自分の生け捕りを命じたあの中尉殿が、まさか指揮官とは。
声も見た目も若かった。
割って入ったほうは目つきが鋭いが、これまた若い。いや中尉よりもいくつか年下か。だがこちらへ
流す目つきの、あふれる敵意は既に軍人のそれで、彼の上官よりもよほどジュノの肝を冷やす。
「たった一人、乗り込んできたような奴だ。大した身分じゃない」
「だから城山サン、甘い。敵の間諜なんだぜ、何を見られたか…」
「井藤」
制され、呼ばれた男は軍帽を脱いで、悔しげに会釈する。

34:戦争モノ 3/9
09/01/22 02:39:24 Yk1CJYtsO
光にやっと目が慣れれば井藤という男は、これはなかなかの男前だとジュノはのんびり思った。
端正な顔にとってつけたような口ひげが、だが意外と似合う。
城山は、中尉のほうは童顔だった。ああ押さえつけられ、ちらり見上げたあの夜から、そう思って
いた。
何だか、僕を殺しそうに無い人だとも。
「ジュノ、きみを返す」
柔らかい声、その中尉が呼んだ。細い目を精一杯丸くした。
いつこの人は、僕の名前を知ったんだ?
上官のこと、大地のこと、川の水や北風の冷たさまでもが、淀んだ意識のそこから一気に蘇った。
戦争のことも、生々しさも。ついぞ忘れていた感覚だった。
「…」
まさかと思った。
開放すると、この中尉は言った。意外すぎて膝ががくがくした、数日間寝転がっていてなまっただけ
ではなく。井藤に引きずり上げられたのは、ちょっとだけ癪だった。
そのまま引きずられるように穴倉のそこから這い出、甲板に放り出された。
一瞬で頬を冷たい外気が叩く。
見上げれば、夕焼け空だった。
「立てるか」
ここも鉄の甲板の、船室の影からリールの影から、いくつもの視線が突き刺さっている。
敵の手の中だと思い知る。
「お手は無用」

35:戦争モノ 4/9
09/01/22 02:40:53 Yk1CJYtsO
「…そうか。きみを開放する…ええと、俺の言葉はわかるかな」
「公国語なら、多少は」
さえぎるものの無い甲板に吹く風は相変わらずの厳しさで、ジュノは少し頬をゆがめた。自分より少
し背の低い中尉は、見るからに仕立てのよい外套の肩をそびやかす。
その肩も、軍帽の頭も、どっぷり燃えるような夕日に照り映えていた。
言葉にも鉛が無く、発音が美しい。戦場でとびかう怒号の気配が無い。
「ジュノ」
多分、生きてきた道が違うんだ。それはわかる。
だが今までこんなに柔らかな声で、僕の名前を呼んだ人はいない。僕の国にもだ。
まるで安らいでしまう、と柄にもなく思う。
「…泣かないで下さいよ、城山サン。権威が地に落ちる」
「わかってるよ、井藤」
「泣き虫中尉、って俺まで揶揄されるのはごめんです」
「泣かない」
傍らから、この寒さを苦にもしない様子で井藤が言った。泣き虫だと、とジュノは一瞬噴出しそうに
なった。
戦場だということを忘れそうになる。
まるで、親しい友人の会話を聞いているような。
「俺には、こんなことしか出来ないけれど」
井藤が静かに、己のそばを通り過ぎる。背後で船室の扉のしまる重い音がする。

36:戦争モノ 5/9
09/01/22 02:42:11 Yk1CJYtsO
運命とかそういうものがあるならば、それが途絶える音のように聞こえる。耳たぶが、川風と海風に
痛い。
中尉がまた名を呼んで、こつんこつんと硬い軍靴の音を響かせながら夕日のほうへ歩いた。
一人だとどうにも頼りない印象を受ける、とジュノは思った。井藤が怖いのは、この人のこの印象を
補うためだなとも思った。やせっぽちでよく喋る自分の副官に、ごつく無口なユファンがいるようなもの。
「俺は、これからきみの国を蹂躙しにゆく」
城山が言った。
「だから、俺にはこんなことしか出来ない」
「…。」
彼は突風に首をすくめる。ジュノは慣れているから平気だ。
この国の寒さは、ああこの人にはつらいだろう。ぼんやり思った。
「きみの大地を踏みにじり、きみの水を汚し、きみの花を散らしにゆくんだ」
柔らかい声だったり、泣きそうな声だったり。
夕日を受ける横顔が、ゆがんでいるように見えたり。
「…中尉殿、老婆心ながら一つ申し上げれば」
「うん?」
「お心をお決めになったのなら、敵の下士官にそのような迷いをお見せになるべきではない」
「…。」
「僕には存外、そのお言葉は堪えます」
「ジュノ」

37:戦争モノ 6/9
09/01/22 02:44:48 Yk1CJYtsO
「さりとて、はてさて偽善…とでも、申し上げれば?僕は斬首となりましょうか?」
戦場に来る人じゃないとつくづく思った。
出会ったのがむしろ、不思議な気がしていた。
「…きみは、よくわかっているな」
ああしかし、この男は、言われなくても知っている、という顔をしている。
そしてさらにふっと微笑んで、子供のように、夕日が美しい、と言う。本当に、戦場に来る人じゃないな。
夕日が綺麗だとか、そんなこと、僕は思ったことも無かった。
「きみの…なんと言ったかな、彼がほら、あそこに」
彼の指差す先の黒々とした小さな影が、赤い水面をぐらぐらと漂う。
それが徐々に人影を成し、また見覚えのある姿にまで近づくのを、二人の男は黙って眺めていた。
「ムグンファ」
「…はい?」
「無窮花も、美しいのかな」
ぼつり呟く声はまるで、どっぷり浸かる夕日の音のほうが大きく聞こえるほどで、ジュノは思わず顔を
上げた。
今度は夕日を背にしている、その男のかおは黒々と、どっと押し寄せる光の逆でその影に濃く彩られ
てはいたが、眼は潤んでいた。泣き虫の中尉殿、と彼の副官が、失礼を承知で言っていたのを咄嗟に
思い出す。
確かに涙腺のゆるい男らしい。

38:戦争モノ 7/9
09/01/22 02:46:45 Yk1CJYtsO
だがそこに嘘はない、直感で感じるのは、そう莫迦にできたことではない。
「この国は、春になれば、一面の景色です」
「…見てみたいが、それは叶わないだろうな」
「中尉殿のお国には?」
「桜という、美しい華はあるけれど…すぐに散る」
「無窮花は、ふた月は咲きます。きっとお気に召すでしょう」
うン、と頷き、ぐしゃぐしゃと顔をゆがめて城山は笑った。天然の愛嬌を備えている、とジュノの心の
どこかがぞくぞく総毛立つ。
最も彼の副官のほうは、そう舐めたものでも無い様だが。
ゆうらり、艦下の水面が鉄を叩くあたりから、遠い叫びが聞こえる。見下ろせばざっと、あの男が敬礼の
姿勢をとり、真っ直ぐ自分を見上げている。
小船にはほか、漕ぎ手と公用旗(このいくさばにおいてそれは中立の意味を成す)を掲げる旗手、それ
だけだ。二人とも見覚えのある顔ではない。
「ここに皇室陸軍、東方第三師団中尉、城山隆介の名において、王軍、慶常道第二陸兵団曹長を
 解放する」
ばっと、似つかわしくないその敬礼で、彼は怒涛のように一気に言ってのけた。
夕日が美しい、だと。無窮花が見たいだと。
ああ、あんたは。
あんた、何でこんなところにいるんだ。
「ジュノ」

39:戦争モノ 8/9
09/01/22 02:47:46 Yk1CJYtsO
いや、意識を飛ばしすぎた。
気付けば泣きそうなその男の顔が思ったよりずっと近く、そしてそれゆえ避ける間もなかった。
童顔の、泣き虫の中尉殿。
まるでくちづけも女みたいな、そう言えば流石に怒っただろうか。皮手袋の指が不器用に、それは生来
のものなのか緊張かはたまた寒さによるものか、見ようによってはいとおしげにジュノの頬を伝った。
ああ、だがこの寒風の中でも、この唇は思ったより柔らかいな、それに温い、などと不遜な言い回しが
浮かんでは消える。
やれやれ、僕は冷静冷酷なのか?それとも思い切り混乱しているのか?
あんたは敵国の中尉殿だろう。何がそうさせたのかは知らないが。
何をどうしたいのかは知らないが。
「…元気で」
ぐしゃぐしゃの顔を上げず、騒がず、しばらくしてぐっと身を離したその男は、およそ軍人らしからぬ声と
台詞を残した。
「きみの、武運と、成功を祈る」
彼が軍靴の音も高らかに甲板を離れた後、まっすぐに夕日の眩しさと、それに包まれる不器用な副官
の姿が嫌でも網膜を焼いた。
「…ジュノさん?」
「ユファン」
「はい」
「僕、今どんな顔してる」
「…心持ち、笑っているとでも?」
「そうか」

40:戦争モノ 9/9
09/01/22 02:49:09 Yk1CJYtsO
落ち着け、焦ると指が震える。
甲板から降りるのは案外一苦労だった。眩しさからか、畜生、縄梯子というのがこんなにも頼りないとは。
よたよたと足が縄を、その締め付ける感触を手掴むのにも一苦労だ。
川と海の面を光が渡る。傍から見れば夕日の圧倒する紅色の中であろうが、当人にとっては輝く命の残り
火に過ぎぬ。
小船が離れ見上げれば、ふねは黒々とそしてじりじりと照り映えながら、無言で川の水を受けていた。
まるで沈黙だね。
もう手が届かぬ。
「…僕、もうひと月は風呂に入ってないんだがな」
本当にもう、離れるだけ。
そして今はまた泣いているであろう、あの男のことを思った。僕の国を滅ぼすと、泣いていた中尉殿。
僕は。
僕のほうも?僕は、あんたの何かを?
「中尉殿ともあろう人が」
「…ジュノさん?」
「全く。そのうち、その涙も凍傷となろうに」
泣き虫の中尉殿、と呟いてみた。
切り裂く北風に、特にそれはきりもまれて消えた気がした。



□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

41:木目木奉  プロの目Ⅱ 伊丹編
09/01/22 06:25:22 H7gRD5DN0
>>31
GJです。切な過ぎる…!こういう人たちだってやっぱり人間だもんな!
やっぱり戦争イクナイ




この大作の後にこれって気が引けますがwww板ミ編書きました。
布団の中で雑炊食べながらテレビ見てて…なんかもう…自重できませんでした。

 ____________
 | __________  |
 | |                | |
 | | |>PLAY.       | |            感想ありがとうございます!いつまでも瓶を引きずっててごめんなさいww  
 | |                | |           ∧_∧※沢の口調が相変わらず怪しいですが「プロの目」パートⅡ伊丹編
 | |                | |     ピッ   (・∀・ )  ウキョ→瓶←板 といったところ。 
 | |                | |       ◇⊂    ) __  
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  | 明日には職場復帰できそうです。インフル怖いね。
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   | 「お前たちも、気をつけて」(オニョダさん風に)
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


42:木目木奉  プロの目Ⅱ伊丹編  1/9
09/01/22 06:27:01 H7gRD5DN0
皆様尾無沙汰しております、※沢です。

いやあ、先日は椙下警部の粋なはからいにより
非常に有意義な時間を過ごすことができました。
やはり仕事のあとの寄席というものはいいものです。
そもそも私と落語の出会いは……


…おっと、またまた 脱線してしまいました。
どうもひとつのことに夢中になるとついつい。治さねばなりませんね。
しかしこの歳になるとなかなか…
椙下警部の言葉を借りるなら私の「悪いクセ」とでも言いましょうか。

いやはやまたしても脱線。
今日も椙下警部に頼まれ、被害者の遺留品を細かくチェックしておりました。
各部署に手配し、必要なものを揃え
こうして今椙下警部の元へと向かっているところでございます。はい。

43:木目木奉  プロの目Ⅱ伊丹編  2/9 
09/01/22 06:29:24 H7gRD5DN0
5課に足を踏み入れ、がちゃがちゃと鳴る重い箱を抱えながら
目指すはその奥、匿名係。各田課長の脇をすり抜「ちょっとちょっと、俺出番これだけ?」

不意に声を掛けられてしまいました。取り敢えず足を止めてみることに。

「いや、お暇ではないと伺っていたので」
「まあ、そりゃ暇じゃないけどさぁ、今か「では、失礼致します」
「おいおい!そりゃないんじゃないのお?!」

課長との話はまた別の機会に。

「ほんとぉ?じゃあ待ってるからねっ。あ 俺帰るから」

未定ですが。
というか心の声と会話をしないで頂きたい。

私と各田課長のやり取りを聴きつつ訝しげな視線を向ける5課の凸凹コンビの間もすり抜け
ようやく匿名の入り口にたどり着いた次第であります。


44:木目木奉  プロの目Ⅱ伊丹編  3/9 
09/01/22 06:31:21 H7gRD5DN0
「あれっ」
なんと椙下警部は退席中のようで匿名はもぬけの殻。
「ま、戻ってくるでしょう。すぐに」
大事な証拠品もあるので置いて戻るわけにもいけませんからね。
ふむ、少しの間そこのソファで待たせていただきましょうか。

と腰をおろすべく身をかがめた瞬間。

「あっ!!!」
「あっ」

「乾式の※沢ぁ~」
「ふむぅ…どうにも懐かしい響きですね」

厄介な相手に見つかってしまいましたな。
私どーもこの人苦手なんですよ。悪人面だし。偉そうだし。

「乾式のお前がどーーーーして匿名なんぞにいやがるんだコラ」
「黙秘致します。それゆえ今後一切発言しませんので、悪しからず」
「ここは取調室でもなんでもねーんだよコラ※沢!オメー警部殿にコソコソ情報流しやがって」

「…」
「黙秘決め込んでんじゃねーよ!」

45:木目木奉  プロの目Ⅱ板ミ編  4/9 
09/01/22 06:32:36 H7gRD5DN0
「…」
「…」
「……」
「……はぁ~」

だんまりを決め込む私に盛大なため息をつきながらこの悪人面…もとい板ミ刑事は
私が運んできた遺留品、証拠品の品々を手にし始めました。

「…被害者の遺留品にィ?携帯の着信記録と発信記録…と、…こんなものまで!」
「まあ私も事件の早期解決を願っておりますので。苦肉の策 ということで」
「一課にまわしゃ十分だろぉが」
「お言葉ですが……まあいいか…」
「おい!!言いかけたら言えよ!!!気になンだろ!!」
「…」


「…また黙秘かよ」

イラついたように吐き捨て、遺留品を机に置くと何故か私の向かい側のソファにどっかりと腰掛けました。
ははあ、椙下警部に何か用があると。
どうにも気まずい沈黙が流れます。
椙下警部~早く戻ってきてください~。

46:木目木奉  プロの目Ⅱ板ミ編  5/9 
09/01/22 06:35:31 H7gRD5DN0
覗き込んでいた凸凹コンビもいつの間にか帰ってしまったようで
聞こえてくる音といえば時計の秒針と時折聞こえる板ミ刑事の舌打ちのみ。
私少しばかり下を向いておりましたがちらりと板ミ刑事の顔を盗み見てみました。うわあ悪人面。

「チッ、碌な奴がいねーよ警部殿の周りにはよぉ!お前といい、かめっ……」 

そこまで言いかけ、ごほんと咳払いをする板ミ刑事。
ほほう、なかなか。椙下警部よりも余程分かりやすい。
前回の言葉、撤回しましょう。
この人は素人の目も誤魔化せませんなあ。

「…なんだよ」
「いえ」

「…」
「…板ミ刑事」
「あ?」
「板ミ刑事はバカがお好き という噂を小耳に挟んだのですが」
「……はァ?」

突然の私の言葉に心底訳が分からないという顔で板ミ刑事が睨んできます。
ここはもう少し揺さぶってみましょうか。こんな事滅多にできないし。

47:木目木奉  プロの目Ⅱ板ミ編  6/9 
09/01/22 06:37:14 H7gRD5DN0
「熱血なバカがお好きだと」
「はあああ?」
「この間ロビーで日ダリ刑事に…」

その言葉を聴いた途端目を剥き、眉間に皺を寄せる板ミ刑事。すかさず追撃といきますか。

「そういえば瓶山さんが辞職する際、廊下で大声で「だあああああ!!!なんっなんだよオメーはよ!!!」
「成る程成る程、重ねて見ていらっしゃったと…「誰もンなこといってねーだろ!!!!誰があんなバ瓶なんぞ!」

「私は別に熱血バカが好き=瓶山さんが好きとは一言も言っておりませんがね」
「……!!!~~~っ!!」

怒りなのか恥ずかしさからなのか少し額に汗がにじんでいるように見えます。
好きという言葉を聴いた途端落ち着きがなくなった様子。
ふむ、体温も1度程上昇、脈拍、呼吸共に上昇…と見受けられます。

手元を見ればスジが浮き上がるほどに拳を握り締めています。
まあこのくらいにしておいてあげましょうか。
にやにやと笑う私をものすごい目で睨みつけていますがちっとも怖くありませんな。
うむ、人の弱みを握って強請りをはたらく輩の気持ちが少しばかり分かったような気がします。


まあこの人から何かをもらおうなどとは考えてませんけど。
第一、趣味あわなそうだし。


48:風と木の名無しさん
09/01/22 06:40:16 uEOpp7QVO
支援

49:風と木の名無しさん
09/01/22 06:44:04 uEOpp7QVO
うむ。セルフ支援したけどやっぱだめか
規制にひっかかりました
解けたら続き投下します

50:風と木の名無しさん
09/01/22 06:46:18 bIjEM4+JO
>>47
姐さんGJGJ!
リアルタイム初めてでドキドキしたよ。
姐さんの乾式タンもイタミンも可愛いよ。
待ってます

51:木目木奉  プロの目Ⅱ板ミ編  7/9 
09/01/22 17:21:50 H7gRD5DN0
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )サイカーイ!!


「おやおや、板ミ刑事に※沢さん、これはまた珍しい 組み合わせで」

さらに重苦しくなった沈黙に耐えかねた頃、書類を手にし、椙下警部が戻ってこられました。
私と板ミ刑事を交互に見やり、意外そうな顔で入り口に立っております。

「あっ…!」
その瞬間板ミ刑事がしまった というような表情を浮かべて立ち上がり、此方に視線を向けてきました。
板ミ刑事の心理を知ってか知らずか、柔らかく口角を吊り上げながら椙下警部が声をかけます。

「板ミ刑事、残念ながら瓶山君からの連絡はまだ入ってませんよ」
「だっ…!!」
第三者がいるこの場でのその言葉は板ミ刑事にとって相当なダメージだったようで、額に手を充て口をぱくぱくとさせています。
ふむ、その様子はまるで酸欠の鯉さながら。
仏頂面の割には多彩なリアクションをみせてくれますね。この人は。

「まあ彼も忙しい身ですし、電話も中々掛けられないと思いますよ。気長に待ちましょうか」
そう言いながら椙下警部は書類を持った右手の手首をそっとなぞりながら柔らかく微笑んでおられます。
……しかし私、少々場違いというか、浮いているような気がするのは気のせいでしょうか。

52:木目木奉  プロの目Ⅱ板ミ編  8/9 
09/01/22 17:22:48 H7gRD5DN0
「それでは椙下警部、私はそろそろ…」

取り敢えずこの場から脱するべくソファから立ち上がったところで椙下警部に呼び止められました。
「ああ、すみません※沢さん 実はもうひとつ調べていただきたいことが…乾式に向かったところすれ違ってしまったようですね」

「成る程、そういう訳でしたか。こちらに伺う前に一言ご連絡すべきでしたね。それではお預かりします。あ、遺留品は明日の朝までに」
「わかってますよ。どうも、ありがとう」

「では、私はこれで、結果が分かり次第お知らせしますので」
「よろしくお願いします」


椙下警部から渡された書類袋を手に私は匿名を後にしました。
板ミ刑事も先程の椙下警部の暴露で用事が済んでしまったのか
後ろからものすごいスピードの早歩きで近づいてきます。

「※沢ァ~!今の事は絶対にあの二人には言うなよ!特に背利沢にはな」

あまりに切羽詰った表情で凄んで来るので、私は思わず鼻で笑い
「…寂しいなら寂しいって素直に言えばいいのに」


53:木目木奉  プロの目Ⅱ板ミ編  9/9 
09/01/22 17:24:28 H7gRD5DN0
言ってやりましたよ、ええ。
てっきり怒鳴られるかと思いきや、はあーとため息をついた板ミ刑事。
あれあれ?やだなぁ、調子が狂うじゃないですか。ねえ。

「…うるせーよ、バカヤロ!」
「あ痛い!何で私が体当たりされなきゃならないんです。理不尽な!」
「るせー!その肉ならたいしたダメージにもならねェだろーがよっ!」

名誉毀損で訴えますよ。大体どうして私の隣でずっと並んで歩くんですかね。
いや全く、訳が分かりませんなこの人は。

「……乾式の※沢ァ~…」
「なんですか」
「…ダメだ。しっくりこね」

「ああ、そうですか」
「…しっくりこねーんだよ!」
「それなら、匿名係の瓶山ァ~がしっくりくるかと」


しばし沈黙。


「……俺、お前嫌い」
「ははあ、奇遇ですね。私も嫌いです」

睨み合った後、先を争うように早歩きでそれぞれの部署に戻った訳でございます。



お粗末。

54:木目木奉  プロの目Ⅱ板ミ編
09/01/22 17:27:29 H7gRD5DN0
 ____________
 | __________  |  1の訂正 尾無沙汰→ご無沙汰
 | |                | |   前半のタイトル伏せ忘れすみません。
 | | □ STOP.       | |                いや、ご迷惑おかけしました。
 | |                | |           ∧_∧ 大小コンビもいいですね。課長は未定w
 | |                | |     ピッ   (・∀・ ) ではこれにて。
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

55:風と木の名無しさん
09/01/23 01:01:13 1XTDkltO0
>>54
まさかレフトが出てくるとはww
超GJ!芹編も期待してもいいですか

56:08単車乗り 「長い夜」 1/6
09/01/23 02:08:08 BKqy6hZf0
08単車乗り牙ット×渡
擬人化なし。流れ的に本編の序盤辺り?
一応微エロ・微グロ注意

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

57:08単車乗り 「長い夜」 2/6
09/01/23 02:09:08 BKqy6hZf0
卓上のランプがぼんやりと光を放つ、薄暗い部屋の中。
糸を引くような細い音が、流れては切れを繰り返す。
同じ旋律を幾度もなぞるそれは、一向にその先を奏でようとしない。

憮然とした表情を浮かべ、渡はバイオリンを持つ腕を下ろした。
静かになった部屋の片隅から、ばさばさと羽音が近づく。

「どうした渡。また何か悩んでるのか?」
「……別に、何でもないよ」
目の前に飛んできた牙ットを一瞬だけ見て、渡はそっけない答えを返した。
そして自分の反応に驚いている様子を無視して、その場から離れる。

「何でもない割には、全然弾けてなかったじゃねーか」
バイオリンを戻しに行く後を飛びながら問いかける牙ットに
二度目の答えは返さず、代わりに不機嫌そうな表情のまま室内を歩く。

寝室に向かう途中で卓上のランプを消すと、部屋はたちまち暗くなる。
しかし完全な闇にはならず、今度は天頂高く昇った満月と星の光が
全ての窓から部屋をぼんやりと照らす。

「何かあったなら言ってみろって」
「何でもないって言ってるだろ……」
さっきと変わらず周りを飛びながら問いかけは続き、ベッドに腰掛けた渡は
ますます不機嫌さと鬱陶しさを表情に出して答える。
「いや、今日はずっと変だったぞ。特に昼間一緒に外に出たときから―」
「――っ」
そこまで言いかけたとき、渡があからさまに動揺した様子を見せた。
予想外の反応に少し驚いて、一瞬、沈黙が流れる。

「……あー、なるほど」
全てを察し、牙ットは一人ごちる。
そしてニヤ、と一度笑い、俯く渡の膝の上に降りた。

58:08単車乗り 「長い夜」 3/6
09/01/23 02:10:57 BKqy6hZf0
嫉妬してたのか、お前」
「………!」
直球に言われ、渡の表情が固まる。

「俺様が街行く美人ちゃん達を見てたのが、そんなに気に入らなかったのか?」
「っ……そんなこと」
「“ない”って言ったら嘘だよな?」
言葉を否定できず、渡はさらに深く俯いて黙り込む。
「まー確かに、どの娘もうまそうだったしなぁ」
わざとらしく呟くと、渡は再び不機嫌そうな表情で牙ットを見る。
それを面白がるように笑い、牙ットは方翼を伸ばすと
俯いて近くなった渡の頬をその先で軽く撫でた。

「心配しなくても、俺様は心変わりなんてしねーよ」
急にきた感触と、何時になく優しい声に、渡は少し顔を上げる。
「散々言ってるだろ、俺様が本気で惚れたのはお前だけだって」
「………でも」
まだ不満そうな渡の顔を見上げ、牙ットは溜め息をついて軽く羽ばたく。
自然と差し出された手の上に留まり、二人の距離が近くなる。

「なんだ、信用ならないって言うのか?俺様はこんなにも
お前のこと、可愛がってるのになぁ」
低く囁いて、牙ットは頬に伸ばしていた羽を首筋へ這わせる。
そうしてびく、と肩を強張らせる渡を見てもう一度ニヤリと笑う。

「嫉妬してるのもそうだが、そういう反応がまたそそられる。
……それに、お前の肌の噛み心地は最高だ」
「………っ」
首筋を襲う感触と言われる台詞の気恥ずかしさで、渡は顔を赤らめる。

59:08単車乗り 「長い夜」 4/6
09/01/23 02:12:18 BKqy6hZf0
「そういや、ここはまだだったな。その顔といい、さぞかし
良い噛み心地でうまいんだろうな」
楽しそうに囁きながら、牙ットは羽先で撫でている反対側の
あまり血色の良くない白い肌へ口を近づける。

「ちょ……それやりすぎ………っうわ!」
さすがに身の危険を感じ、慌てて振り払おうとした反動で
渡はベッドへ倒れた。
そこへすかさず降り立ち、牙ットは渡の首筋へ牙を軽く押し当てる。

「き……牙ット……ダメだって……っ」
「そんな可愛い声出して何言ってんだ。そもそもお前、嫉妬してたんだろ?
 なら丁度いい、俺様の愛情が伝わるまで可愛がってやるよ」
「何だよさっきから……っ変なのは牙ットの方じゃないか……!」
「ああ、……今日はキレーな満月だからな。俺様は上機嫌なんだよ」

振り払われぬよう手を押さえ込み、渡の反応を逐一楽しむように煽りながら
牙ットは牙を突き立てた。

60:08単車乗り 「長い夜」 5/6
09/01/23 02:13:59 BKqy6hZf0
「!――っ」
棘の刺さるような感覚に、渡は体を強張らせる。
そこへ押し当てられた生温かい感触が、本来できるはずの痛みをかき消して
甘い刺激となって全身へじわりと染みていく。
「…………ぁ」
肌に針穴のような傷が生まれ、ほんの僅かに流れ出た血を舌で受け止め
存分に味わってから、牙ットは満足そうに笑う。

「……可愛いぞ、渡」
紅潮した頬を再び撫で、牙ットは心底嬉しそうに呟いた。
その一言で力が抜け、渡は熱くなった息を吐き出す。
熱さと恥ずかしさで揺らぐ意識が目に映り、それを見た牙ットは
呆れたように苦笑する。

「これくらいでのびるなよ、……まだ終わらせるつもりはないからな」
何処か意地悪く、楽しそうに笑う牙ットへ視線を向け、渡は再び頬を染める。
そんな渡の様子を堪能しながら、牙ットは渡へ静かに口付ける。


自分の腕を押さえつける力は既になくなっていたが
渡は心地良い熱に身を任せ、そのまま受け入れて目を閉じた。

61:08単車乗り 「長い夜」 6/6
09/01/23 02:15:00 BKqy6hZf0
□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

62:風と木の名無しさん
09/01/23 02:19:54 Pxul5nG7O
>>54
イタミソは絶対レフトと瓶を重ねてるよねww
姐さんGJでした!
ニヤニヤの止まらない作品ありがとう!

63:吸血鬼と狼男 1/8
09/01/24 12:24:44 93QA04lI0
オリジナルの吸血鬼×狼男。リバでもおk
               ,-、
                 //||
            //  .||               ∧∧
.          // 生 ||             ∧(゚Д゚,,) < 糖分低めで
        //_.再   ||__           (´∀`⊂|  < ごめんなさい
        i | |/      ||/ |           (⊃ ⊂ |ノ~
         | |      /  , |           (・∀・; )、 < 微グロ注意
       .ィ| |    ./]. / |         ◇と   ∪ )!
      //:| |  /彳/   ,!           (  (  _ノ..|
.    / /_,,| |,/]:./   /            し'´し'-'´
  /    ゙  /  /   /                    ||
 | ̄ ̄ ̄ ̄ |,,./   /                 /,!\
 |         |   /                   `ー-‐'´
 |         | ./
 |_____レ"

二十年前のことだった。
たった一度の出会いが、取り返しがつかないほどに運命を捻じ曲げた。
否―出会いというよりは「災厄に見舞われた」というべきか。
その「災厄」はまだ少年だった男から、文字通り全てを奪っていった。
貧しいが仲の良かった家族、一緒に野山を駆け回った幼馴染、ほのかな恋心を抱いていた二軒隣の家の少女。
それら全てが「災厄」に呑み込まれた。
そして「災厄」の更なる影響を断ち切るために、男は故郷さえも失った。
血と腐肉の匂いが立ち込める村に火を放ち、疲れた身体に鞭打って
泣きながら―やがてはその涙すら枯れ果てて、月の明りを頼りに、
ただひたすら夜の山道を駆けていった。

二十年前のあの日と同じような、不吉なほどに美しい満月が夜空に浮かんでいる。
その冴え冴えとした光を全身に浴びて、男はぎちりと歯を噛み鳴らした。

64:吸血鬼と狼男 2/8
09/01/24 12:27:05 93QA04lI0
一度「印」をつけてしまえば、支配は容易い。
魅了された魂は「印」の主を恋い慕い、如何なる障害があろうとも支配者を迎え入れる。
吸血鬼であるドラコにとって、それは効率よく「糧」を得るための術であり、
またそれ以外の何ものでもない。一度内側に入り込んでしまえば、後は満足するまで喰らい尽くすだけだ。
そもそも、容易く支配を許すような弱い魂の持ち主に興味はない。眷族を増やすつもりは毛頭なく、
喰らった後は残り滓が「目覚め」ないよう、心臓を潰して首を切り離す。それがドラコの流儀だった。

人間のフリをして夜会に潜り込み、美味そうな娘―時には青年に目をつけて魅了する。
その娘に手引きをさせ、舘の中に入り込み、中にいる人間の血全てを啜り尽くす。今夜も、そうなる筈だった。

「ああ伯爵、早くお入りになって」

夜風に揺れるカーテンの向こうで、しどけない姿の若い娘がドラコを呼んでいる。
たとえ聖水や聖灰で結界が張られていようとも、印をつけた者の呼びかけがありさえすれば、
それは力を失ってしまう。そもそも、ドラコのように年を経た吸血鬼の手にかかれば、
ちゃちな祝福を受けたモノなど障害のうちにも入らない。
だが、美味そうな得物を目の前にして、ドラコはバルコニーから先へと進むことが出来なかった。

「これは―何の匂いだ?」

微かに鼻をつくその異臭は、まるで髪の毛を燃やしたような……いや、違う。
髪の毛などではない。この独特の生臭さは、生きた獣の毛の匂いに他ならない。
この匂いがするということは即ち、吸血鬼にとって唯一にして最大の天敵が
すぐ傍にいることを意味していた。

65:吸血鬼と狼男 3/8
09/01/24 12:29:50 93QA04lI0
「隠れていないで姿を現したらどうだ、リカントロープよ」

ゆったりと手を広げ、芝居がかった仕種でドラコは呼びかけた。

「それともこの美しい月の前に、貴様の醜い毛むくじゃらの姿を晒すのは
恐ろしいか?ふふ、無理もない……リカントロープの魂は、月の狂気に
支配されているからな。物陰に隠れているとはいえ、そろそろ理性を保つのが
難しくなってきたのではないか?」

月光を浴びて微笑むドラコの青白い典雅な面差しには、嗜虐的な笑みが浮かんでいた。
確かに吸血鬼にとって、人狼は最大の天敵だ。しかしそれはあくまでも
「同じ条件下で戦った場合、両者の力が拮抗している」という意味であり、
月光で容易く理性を失ってしまう人狼をあしらう術なら、ドラコは幾つも心得ていた。
それに、人狼の出現はドラコにとって好都合だった。このところ少々食い散らかしすぎたせいか、
人間どもの中に「吸血鬼」の噂が流れている。伝え聞いたところによると、つい最近
トランシルヴァニアを根城にしていた血族の一人が、イギリスからやってきた男達に狩られたらしい。
彼らがここまでやって来るとは思えないが、喰ったのは吸血鬼ではなく人狼の仕業だと
思わせることができれば、安全にこの地から離れることができる。

「考えてみれば、我らが天敵同士というのも妙な話だ……どちらも闇の祝福を
受けた身、争う理由はない筈だ。私の『食事』の邪魔をしなければ、『餌』の
一つや二つはくれてやる」

66:吸血鬼と狼男 4/8
09/01/24 12:32:14 93QA04lI0
優雅にそして傲慢に言い放つと、ドラコはカーテンの向こうへと手を差し伸べた。
白い手袋を嵌めたその手首を、不意に下方から伸びてきた鋼色の光が薙ぐ。
胸が悪くなるような音とともにドラコの手首が斬り飛ばされ、庭の茂みのどこかに落ちた。

「貴様……!」

溢れる血潮もそのままに、ドラコは凄まじい形相で屋根の方へと視線を向けた。
ねばつく血の塊はやがて蝙蝠へと姿を変え、ドラコの輪郭と同化する。
腕を一振りすると、断ち切られた袖口の先から、新しい手首が生えた。

「吸血鬼の血は、腐った匂いがするという話だが―なるほど、確かに臭い」

ドラコが視線を向けた先―急勾配の屋根の上には、細身の長剣を手にした背の高い男が
立っていた。人狼の匂いは間違いなく、その男の身体から発せられている。
しかし月の光を浴びているにもかかわらず、男の輪郭はヒトの形を保っていた。
男は人狼の姿をとることなく、地上からバルコニーへと跳躍し―吸血鬼であるドラコにも
視認できないほどの素早さで手首を斬り飛ばし、屋根の上に降り立ったのだ。
その事実に気づいたドラコは、自ら人であることを止めてからはじめて、戦慄を覚えた。

「満月の光を浴びても姿を変えないリカントロープだと……?貴様、一体どんなまじないを
施している!そもそも、リカントロープの大半は二百年前の魔女狩りで、大半が捕えられ
死に絶えた筈だ!この私を傷つけることができるほど、古くて強い血族が残っているわけがない!」

67:吸血鬼と狼男 5/8
09/01/24 12:36:19 93QA04lI0
ドラコの問いに、男は黙って袖口を捲ってみせた。
がっしりした手首には小さな銀の十字架をつけたロザリオが幾重にも巻かれ、ロザリオが
巻きついた皮膚はただれて引き攣れている。そのただれた皮膚の少し上には、ラテン語らしき
文字が刺青で刻まれていた。
男は聖別された銀が齎す苦痛と、聖書に書かれた言霊の力―IESVS NAZARENVS REX IVDAEORVMにより、
己の理性を保っていたのだ。

「貴様、ヴァチカンの飼い犬か!」
「魔女狩りで全ての人狼が処刑されたわけじゃない。吸血鬼を狩る為の切り札として、
ヴァチカンは最も古いネブカドネザルの血族を手元に置いていたんだ」
「ふん、だが貴様がネブカドネザルの直系とは思えんな……純血にしては匂いが薄い。
神の恩寵を捨ててリカントロープの呪いを受けた、志願兵といったところか。
なりたての眷族ごときが、思い上がるなよ」

相手が純血の人狼でなければ、ドラコにも充分勝ち目がある。邪法を使い、自ら吸血鬼となり、
数百年の時を経たドラコの力をもってすれば、人狼の呪いに染められた目の前の男を魅了するなど
容易いことだ。魅了の呪縛を込めた吸血鬼の紫色の双眸が、男を見据えて妖しく光る。
しかし男は魅了の視線をものともせず、剣の切っ先をドラコに向けた。

「無駄だ―ネブカドネザルの呪いは、お前の力よりも強い。お前が俺を呪縛する前に、
この剣がお前の心臓を貫き、首を斬り落とす」
「ふ……虎の威を借る狐とは、まさにこのことだな。いくらネブカドネザルの呪いが
強力であろうとも、貴様自身は後天的なリカントロープに過ぎぬ。所詮は付け焼刃、
果たしてネブカドネザルの呪縛を受け止めるだけの器があるのかな?そら、切っ先が震えているぞ」

68:吸血鬼と狼男 6/8
09/01/24 12:38:13 93QA04lI0
男の目を見据えながら、ドラコは滑るような足取りで近づいた。
バルコニーの手すりを挟んで相対し、男がほんの少し腕に力を込めれば、剣の切っ先が
ドラコの胸を貫く位置でぴたりと止まる。男が喉の奥で、狼を思わせる低い唸り声をたてた。

「少しは骨のある男かと思ったが、所詮リカントロープの呪いに魂を明け渡しただけか。
弱い人間に興味はない―貴様には、月夜の狂気がお似合いだ」

優しげな声で囁くと、ドラコは男に向かってふうと息を吐いた。
甘ったるい腐臭の漂う吐息が夜風にのって、ロザリオを巻いた男の手首に絡みつく。
数珠を繋ぐ糸が一瞬にして朽ち、バルコニーの床に珠が散らばった。
男が獣じみた咆哮をあげ、剣を横に薙ぐ。食いしばった口元から犬歯がせり出し、
首から肩にかけての筋肉がぐうと盛り上がる。
ドラコを睨み付ける目が金色に輝いたが―男の変化は、それだけだった。

「二十年前モそウだっタ……そノ腐ッた匂い、紫の邪眼―オ、前が」

理性と獣性がせめぎあうぎりぎりのところで、男が唸り声混じりに呟いた。
ロザリオの封じを失った今、一体何が男の理性を支えているのか。

69:吸血鬼と狼男 7/8
09/01/24 12:39:46 93QA04lI0
―今は程よく腹も膨れているし、これ以上喰うのも殺すのも手間だからな……
お前は生かしておいてやろう

血と腐臭が立ち込める村の中で、悠然と佇む美しい男。
生気を感じさせない青白い肌の中で、血に濡れたような紅い唇だけが鮮やかに。

―ああ、幾つかは後始末が不充分だったな。心臓に杭を打ち込み、火をかけろ。
でないと目覚めてしまうぞ?そら、もう起きだした奴がいる

優雅な挙措で惨酷な台詞を囁き、紫色の瞳がこちらを覗きこむ。
不吉なまでに美しい満月に向かって飛んでいった典雅な男の背には、蝙蝠のような
翼が生えていた。

男の言葉に従い、二十年前、一番最初に杭を打ち込んだ「起きだした死体」は。

二軒隣の家に住む、歌声の綺麗なマレーネだった。

70:風と木の名無しさん
09/01/24 12:45:50 uAJpyXmP0
�C?

71:吸血鬼と狼男 8/8
09/01/24 12:46:09 93QA04lI0
「ク……はは、そうか。そういうことか」

二十年前の、プロイセンの片田舎で起こした「気紛れ」は、数百年の時を生きたドラコの記憶にも
残っていた。
あの時見逃してやった十五、六の少年が、吸血鬼を狩るヴァチカンの飼い犬となって、
自分の目の前に姿を現した。
普通ならば、いくら憎むべき仇とはいえ、強大な力を持った吸血鬼が相手では、
復讐しようなどという気も起こらないだろう。
それを目の前にいるこの男は、人狼の呪いをその身に受けてまで、自分を追いかけてきたのだ。
嗚呼―これ以上の呪縛が、他にあるだろうか。

容易く支配を許すような、弱い魂の持ち主に興味はない。

服従するだけの眷族など必要ない。

欲しかったのは―そう、己の意思で、この自分を求める存在だ。

なんて―愉快な。

「リカントロープよ、貴様の名を訊いておこう。私はドラコだ」

 ―ヴォルフガング。

殆ど狼の唸り声と化した男の声は、ドラコの問いに確かにそう応えた。

72:吸血鬼と狼男
09/01/24 12:47:30 93QA04lI0
               ,-、
                 //||
            //  .||               ∧∧
.          // 止 ||             ∧(゚Д゚,,) < 以上自作自演でした
        //, 停   ||__           (´∀`⊂|  < お粗末さまでした
        i | |,!     ||/ |           (⊃ ⊂ |ノ~
         | |      /  , |           (・∀・; )、 < それでは失礼します
       .ィ| |    ./]. / |         ◇と   ∪ )!
      //:| |  /彳/   ,!           (  (  _ノ..|
.    / /_,,| |,/]:./   /            し'´し'-'´
  /    ゙  /  /   /                    ||
 | ̄ ̄ ̄ ̄ |,,./   /                 /,!\
 |         |   /                   `ー-‐'´
 |         | ./
 |_____レ


73:風と木の名無しさん
09/01/25 02:21:24 gKUevvj1O
>>72
吸血鬼好きなんで面白かったです!GJ

74:風と木の名無しさん
09/01/25 19:18:45 mA7a7DDm0
木目木奉 プロの目の姐さんへ
遅ればせながらGJ!
右手の手首をそっとなぞる警部殿に萌えました~
課長編も期待しております!

75:木目木棒  プロの目1,5 斧ダ→ウ京
09/01/26 00:02:34 o1sziuiw0
 ____________
 | __________  |   ※沢さん視点じゃないですが
 | |                | |   番外編、プロの目1,5です
 | | |>PLAY.       | |               プロの目1(ウ京編)と2(板ミ編)の間
 | |                | |           ∧_∧
 | |                | |     ピッ   (・∀・ ) ざくざく投下申し訳ない。
 | |                | |       ◇⊂    ) __  感想もありがとうございます。
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  | 妄想が止まらないよ。
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

76:木目木棒  プロの目1,5 斧ダ→ウ京  1/5
09/01/26 00:03:51 o1sziuiw0
一通のエアメール
 
先日届いたものなのですが。
さて、教えてあげるべきですかねぇ。彼に。








「嬉しい事?」
「何の事でしょう?」

「お前のね。顔を見てるとわかるよ。何かいい事が書いてあったんじゃないかしら」
「いいえ、特には」

都内某所のオープンカフェ。
ウ京と斧田は向かい合うように腰掛けていた。

探るような視線を向ける斧田の問い掛けにウ京はそっけなく返事をする。
ウ京が手にしたエアメールを指差し、斧田は軽く目を細めた。

「どう?瓶山君は元気そうかな?勿体ぶらずに見せなさいよ」
「元気そうですよ…あっ」手紙を開こうとした瞬間、斧田にそれを奪われてしまった。
ウ京は肩を竦めながら紅茶を口にする。

手紙と一緒に一枚の写真。
猿ウィンの子供たちと一緒に
陽に焼けた真っ黒な顔で満面の笑みを浮かべる瓶山の姿があった。

77:木目木棒  プロの目1,5 斧ダ→ウ京  2/5
09/01/26 00:06:53 d1p3edR/0
「あちらは空が綺麗だね」

「ええ、ほぼ手の付けられていない自然。その分過酷です」
「こちらの空はさしずめ人工の空、かしら」


二人は頭上に広がるくすんだ青色を眺めた。


「…どうでしょうねぇ」
「繋がっているなんて、考えられないね」

他愛のない会話を続けながら斧田は瓶山からの手紙を読む。

ウ京に語り掛けるように近況を報告する内容。
斧田は軽く首を傾げた。
そして手紙を斜めにしたり、顔を近づけたり遠ざけたりしている。
その大げさな動作にウ京も軽く首をかしげた。

「…何をなさっているのですか」
「何、僕の事書いてないじゃない」

手紙を読みながら不満をもらす斧田にやれやれといった表情を浮かべると
ウ京は向かい側から手紙を覗き込んだ。


そして文末を指差す。

「ほら、書いてあるじゃありませんか。ここに」

78:木目木棒  プロの目1,5 斧ダ→ウ京  3/5
09/01/26 00:08:37 d1p3edR/0
―皆様にも宜しくお伝えください。




「その他大勢としてひと括りにされるのは不本意かなあ。…ところで椙下」

斧田は不満をもらしながらもどこか楽しげな様子で言葉を続け
至近距離にあるウ京の顔を見つめた。


「何か」
「お前が楽しそうなのは、この一文の所為かな?」

悪戯っぽく笑いながら、今の文章のもう一行下をとんっと軽く指で弾く。



―あ、板ミには宜しくしないでいいですからね!(笑)



「…相変わらずだと思いましてね」
「板ミ君…誰だったかな?」
「瓶山君の…一課の同期ですよ」


簡単に説明をするウ京を斧田は更にまじまじと眺める。
その視線に居心地の悪さを感じたウ京はおもむろに身を引き、僅かに温くなった紅茶に口をつけた。


79:木目木棒  プロの目1,5 斧ダ→ウ京  3/5
09/01/26 00:11:15 d1p3edR/0
「…どちらかというと何か企んでいる目かしら」
「仰る意味がわかりかねますが」

「何を企んでいるの?」
「何も」

ウ京も悪戯っぽく口角を上げ、斧田に笑顔を向ける。

「僕は皆様、なのにお前や彼は別格だね」
「考えすぎです」


「教えてないんだ」
「本日はお会いしてないだけです」
「独占欲?」
「面白いことを仰いますね」
「じゃあヤキモチだ」
「観望長にしてはつまらない表現をなさる」

斧田の言葉にウ京が沈黙する。
斧田はじっと様子をうかがっていた。
暫く後、ウ京が口を開いた。


「…ハンデ…とでも申し上げておきましょうか」
「ハンディ?」
「少しくらい黙っていたって構わないでしょう」
「そうなの?」
「…僕の知らない昔の事をよく知っていますから」

くいっと両方の口角を上げながら、敢えて主語を濁した曖昧な表現でウ京は笑った。

80:木目木棒  プロの目1,5 斧ダ→ウ京  5/5
09/01/26 00:12:10 d1p3edR/0
紅茶を飲み終えたウ京は席を立ち、斧田に一礼する。
斧田は優雅に椅子にもたれながらウ京を見上げた。


「意地が悪いね、お前」

斧田がエアメールを差出しながら肩を竦めてみせる。
それを受け取りながらウ京は目を細め口を開いた。


「おや、とっくに御存じかと思っていましたが」

「育て方、間違えたかしら。まあいいけど、あまりいじめちゃまた孤立するよ」
「ご忠告、有難うございます。ご心配には及びません」

「まあ、孤立したらいつでもおいで。囲ってあげる」

冗談か本気かわからない斧田の言葉に軽い会釈を返すと
ウ京はしゃんと背筋をのばし、しっかりとした足取りで喧騒の中へと消えていった。




「気付いてるクセに気付いていない振りをするところも意地悪だね、お前は」

その背中を見送りながら、斧田は目を細めたのだった。

81:木目木棒  プロの目1,5 斧ダ→ウ京  
09/01/26 00:15:01 d1p3edR/0
 ____________
 | __________  |  名前欄訂正 ○4/5です。
 | |                | |      そういえば観望長って昔は俺って言ってなかった?
 | | □ STOP.       | |              記憶が曖昧だけど。案外一人称って思い出せなかったりするから困る。
 | |                | |           ∧_∧
 | |                | |     ピッ   (・∀・ ) ありがとうございました。
 | |                | |       ◇⊂    ) __
 |   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |       ||―┌ ┌ _)_||  |
 |  °°   ∞   ≡ ≡   |       || (_(__)  ||   |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


82:風と木の名無しさん
09/01/26 00:36:02 STNhP/e/O
>>81
姐さんGJー!!
そうか、それでイタミソのあれに繋がるんですね、萌えます。
乙でした!

83:警察萌え 1/3
09/01/26 03:57:43 AXzuI4KJ0
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!

懐かしの洋楽。英国産「世界一」とか言われたこともある3ピースバンド。
メンバー(ドラム)がバンド内を撮ってきたフィルムで作った内情映画より電波受信。
「警察萌え萌え話。「大手レコード本社訪問、案dy男前大作戦」、の巻き」

 (1970年後半、警察はとうとうメジャーレコード会社との契約を取り付けられそうだった。ツアーというドサの最中、
  大手会社の社長と面会する機会を得た彼らは、マネージャーのmyルスの思惑で、「顔つきが優しい」案dyを前面に
  出して話し合いに臨んだ。結果は上々。しかし、その日の夕方、社長秘書からmyルスに連絡が入る…)
(素=素ティン愚(ベース) 酢=酢チュ(ドラム) 案=案dy(ギター) 舞=myルス(マネージャー・酢の兄)

素「myルス、聞いた話によると某社長が夜に案dyとメシ食いたいって、いってきたんだってな」
舞「うわ、誰からきいたんだソレ」
酢「おれだよ、兄ちゃん!」
舞「…伊アンの野郎、後でウメボシの刑だ!」(伊アンは舞の弟で酢チュの兄貴。きっと末っ子の酢に甘い)
素「兄弟の内ゲバは後でゆっくりやってくれ。問題は今だろう! おい、まさか案dyを差し出すんじゃねえだろうな」
舞「差し出すって、別に飯食うだけだろ?」
酢「兄ちゃん、うそついてる目だ」
舞「お前、後でゾウキンの刑にするぞ!」
素「なんで案dyなんだよ! オレじゃないの!?」
舞「ああ、そっちね。お前つくづくナルシーだなあ(pgr)」
素「いいから、案dyじゃなくてオレを差し出せよ! そいつを一発殴ってこの話をご破算にしてやるから!!!」
舞「それじゃ困るんじゃあ!」
酢「案dyには、その話、行ってるの?」
舞「ああ、もうそろそろ用意して車を待ってるんじゃないか」
素「ちょ、それ早く言ってってば」
酢「素ティン愚、待って! 兄ちゃん、話は後で!!」
舞「おい、お前ら! …案dyは、納得してるんだよーって、聞こえないか。おお、もうあんなに小さくなって」



84:警察萌え 2/3
09/01/26 04:00:44 AXzuI4KJ0
(ホテルのフロアを歩く案dyに、素、酢が追いつく)
素「案dy!!」
案「おお、素ティン愚。どーした」
酢「どうした、じゃないよ! 話を聞いたぜ」
素「お前が嫌な思いするなんて、おかしいだろ?」
案「…まともな物言いの、その裏は?」
素「オレが食う前に、他人に食わせてたまるかい」
酢「同意」
案「あのなあ…。ま、いいや。なんかお前ら勘違いしてるよーだが、俺は別にムリヤリ行かされるわけじゃないぞ」
素「は? なんだそりゃ」
酢「案dy、まさか…」
案「あー、いやいや。そんなことじゃなくてw。俺はこんなこと慣れっこだから」
素・酢「慣れっこ?」
案「この世知辛い業界だぜ? 自分で売れるもんがあったらなんだって売ってきたからさ。だから今回のことだって別段どーとも思ってないから、心配すんな」
酢「だって、嫌じゃないの?」
案「(カラカラ笑って)ああ? だーいじょーぶ! 今迄だって、おっさん等が
  俺の上で頑張ってる間、目え瞑って顔作って、10数えてりゃ終わっちまうもん。
  あいつら3分持てば長いほうだからよ」
素「…そ、か?」
案「お、車きたな。んじゃちょっくら、いってくるわ。一人でうまいもん食ってくるから。わりいな!」
酢「ああ…うん」
案「契約、期待してろよ。じゃーな!!」
素・酢「…いってらっしゃーい…」
(車が走り去ったあとも呆然と立ち尽くす2人)
酢「…慣れっこって…」
素「…3分、か」
酢「どんだけスゴイんだ」


85:警察萌え 2/3
09/01/26 04:04:47 AXzuI4KJ0
素「(視線を上に持っていって、なんか数を数えてる)…5分は持つ、と思うんだがなあ」
酢「お前なんか、秒殺だろ」
素「言ったなてめえ! この馬並み「だけ」野郎のくせに!!」
酢「時間が長けりゃいいってもんでもねえぞ、遅○野郎!!!!」
素「なんだと!?」
酢「ああ!!」
 (車がすーっと帰ってくる。中から案dyが降りてきた)
案「なんだ、お前ら。まだいたの?」
酢「ええええええええ!?」
素「なんだ、そりゃああ!!!!!」
案「あ、そうだ。酢チュ。ホレ」
素・酢「?」
案「契約書。仮だけど。myルスに渡しといて」
酢「へえ!?」
素「あ、案dy、さん?」
案「飯ナシだったぜ! まったくシケた話だよなあ。しかも社長の机の上で、たった1分で終了なんだもん(笑)。ダメだねー」
素・酢「…」
案「あーはらへった。メシまだ残ってる?」
酢「ボクの部屋に、ピザとビールが、ありますが」
案「あそ。鍵貸して。んじゃ、食わせてもらうわ。先戻ってるぞ」
素・酢「ハイ」
 (足取り軽く、すたすた前を行く案dyを、言葉なく見送る若造2人)

「案dy・夏男…ギラついたボーカルと、やたらデカくて騒がしい
ドラムの間で目立たないが、秘かにバンド中で、実は一番おっとこ前
なんじゃないかと思われる男…」

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

てなわけで、去年ちょっとだけ再結成された警察の若い頃のお話でした。
判らない方も多いと思いますが、ごめんなさい。


86:義羅義羅 先エル英世氏
09/01/26 22:13:30 +nTjgGdo0
今更ですがドラマ義羅義羅。
記憶を頼りに書いたので少しおかしいかも。
|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!


「先エル、」

俺は心を決めた。

「俺をリンクに帰して欲しい」

やっぱり、俺はリンクが好きだ。
工兵さんの嘘に勝手に裏切られて気になって飛び出したけど、
工兵さんの嘘はあいつの嘘とは違う。
家族を守ろうとしたんだ。
俺にはもうリンクに帰らない理由が無いんだ。

「お前は馬鹿な先輩をもって幸せだな」

咲きえるは俺の顎を掴むとそういった。
そう笑った顔が瞬間、寂しそうな顔になった気がした。
でもそれはまた笑顔に変わって、じっと俺の目を覗き込んできた。
一瞬、俺はキスされるんじゃないかと思ってしまった。
それ位、何だかその目は真剣に見えたんだ。
でもそれは俺の思い過ごしで咲きえるは街の雑踏に消えていった。

俺はなんだったキスされるんじゃないかなんて思ってしまったんだろう。
いくらあの目が真剣に見えたからって、何で……

もう一度先エルに会ったら、自分のこの気持ちに答えが出るんだろうか。

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

87:風と木の名無しさん
09/01/27 00:11:12 sSvMsL3I0
亀だが>>63GJ!
こういうオドロオドロしくて、でもきらびやかなのって好きだな~。
人外と月と紫と、そして801は、柳に幽霊くらいよく似合う(と思う)。

IESVS NAZARENVS REX IVDAEORVM 
十字架上に掲げられた言葉「ユダヤの王 ナザレのイエス」だよね?
ネブカドネザルってあのネブカドネザル?それとも別人?
なんか色々入ってて、宝石箱みたいな作品だ。

88:風と木の名無しさん
09/01/27 12:40:28 xrampkaqO
遅レスながら>>72

吸血鬼と狼男の組み合わせが大好物なのでwktkでした。
しかも探していた狼男受けで敵対しあう二人…!好み過ぎ!
続きがもしあるのならwkwkでお待ちしています。

89:風と木の名無しさん
09/01/27 15:20:00 cfjHfhwO0
>>83 GJ!
まさか今になってその3人+もう1人の話が読めるとは。
再結成万歳!

ベー素が遅○はガチだな…。

90:芸任 シシミ×ズニア
09/01/28 13:55:09 gPEmFEi10

|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ )ジサクジエンガ オオクリシマース!



ゲイニン土利杏子のシシミ×血腹ズニア妄想文です。
ネタ元は「ズニアのすすめの処/刑/の/す/す/め」トークからですが、
100%フィクションでございます。。


91:芸任 シシミ×ズニア 1/9
09/01/28 13:56:29 gPEmFEi10
<1>
「つ/つ/みィッッ!」
久しぶりに会えたと思った瞬間、案の定俺は盛大にど突かれて思わず「すみませ
ん兄さん」と情けない声を出すしかなかった。いきなり出会い頭に叱られること
はよくあるけれど、久々の逢瀬でマックスまで上がっていた俺のテンションがガ
タ落ちするのは不可抗力だった。

------------------

兄さんから電話がかかってきたのは深夜11時を回った頃だった。
ちなみに兄さんとは今をときめくお笑い芸人、千/原/ジ/ュ/ニ/ア/さんのことだ。
ダ/ウ/ン/タ/ウ/ンさんや島/田/紳/助さんの後を継ぐのはこの人しかいないとい
う評価もあるほどセンスと技術のある人で、俺は兄さんを心底尊敬している。
そんな人から電話がかかってくるということだけでもまだ無名芸人な俺にとって
は本当に身に余る光栄なのだけれども、それ以上に俺たちにはもっと人に言えな
い関係があった。

―あ……っ、
一番最後に逢瀬を重ねた時の兄さんの声が脳裏をよぎり、その瞬間に俺の股間は
現金な反応を示す。
俺はごちゃごちゃと雑多に物が置いてあるテーブルの上で兄さん専用の着信音を
鳴らす携帯電話に手を伸ばしつつ、一週間前のことに思いを馳せていた。

―やめぇやっ、……もっ、つつ……みィッ!
目元を赤くして身を捩るその人。兄さんは「もうキツイ」と嫌がる素振りを見せ
るけれど、本当はもっと追い詰められたいんだってことを知っている。逃げ場が
ないとこまで追い込まれて、何もかも搾り取られて、しまいには気絶するような
セックスが兄さんは好きだ。指一本まで動かせなくなるぐらいむちゃくちゃに抱
かれることを好むその人は、自称"ドM"である。


92:芸任 シシミ×ズニア 2/9
09/01/28 14:01:50 gPEmFEi10

<2>
―そう、俺たちはいわゆる"そういう関係"だった。恋仲というか、セフレとい
うか、「俺たちどないな関係やねん」なんてお互いはっきりと示し合わせたこと
はないけれども、セックスをしちゃうような、普通の関係ではないことは確かで
ある。何かのライブで俺のことを兄さんは「ほぼ365日一緒におる奴」と形容
していたけれど、さすがに365日は冗談だとして、それでも一週間に一度以上
は顔を合わせて体を重ねる関係だった。
今日はちょうど「もう一週間も兄さんに会っとらん」と凹んでいたところで、同
居人にウジウジすんなやと呆れられていたりしたとこだった。
テレビでは毎日のようにその姿を確認出来るけれど、やっぱり直接会って抱き締
めたいと思うのが男じゃなかろうか。忙しい人だからこちらから予定を聞くこと
なんて不相応だから絶対にしないけど、それでも「兄さんに次会えるのはいつか
いな」とそわそわしていた今夜。
兄さん専用の着信音が鳴った瞬間、同居人が苦笑するほど俺の肩が跳ね上がった
のは仕方がないと言えるだろう。
すごく嬉しいけれど、あまりにも声を弾ませて電話に出るときっと兄さんから鬱
陶しがられりと思って、出来るだけ平静を装って電話に出た。
「……はい」
受話器からは兄さんの少し疲れた声。
「おう、俺いま日テレの仕事終わってんねんけどいまお前どこにおる?」
「あ、家です」
どこにおる?って聞かれただけで、次に続く兄さんの言葉が分かるから俺の鼓動
は早くなる。
「飯、食った?」
「いえ、まだですけど……」
「じゃあ飯食いに行こうや」
「はい!」

93:芸任 シシミ×ズニア 3/9
09/01/28 14:04:48 gPEmFEi10
<3>
最後だけはどうしても元気の良い返事になってしまった。兄さんが苦笑する気配を受話器の向こうから感じつつも、
俺は名残惜しく電話を切る。
待ち合わせは兄さんのマンションになった。兄さんは後20分ほどで着くというから俺も10分後ぐらいには家を
出ないといけないのだけれど。俺は浮かれつつも、自分がまだジャージにボサボサ頭だということに気付いた。
(風呂入らな……!)
咄嗟にそう思った。久々のデートだ。どうせならばっちり決めていきたい。
10分しか支度する時間はないのだけれど、久方振りに愛しい人に会うんだからこればっかりは譲れない。
(えーと、シャンプーに二分、体洗うのに三分、髪乾かすのに一分で、三十秒で髪セットして……)
途中、計算してる時間が勿体無いということに気付いて、とりあえず風呂に入ることにした。
この時、面倒がらずにちゃんと時間の計算をしておけば、後で兄さんに雷を落とされることもなかったのだけれど。

―お風呂自体はそれこそ10分以内に上がって、後は服を着てバイクで兄さんのマンションに駆けつけるだけだった。
俺の誤算は、服を選ぶ時間を計算に入れていなかったということだ。

「俺のドルガバのシャツはぁッ!?」
俺がクローゼットを覗きながらそう悲痛な声をあげた時、「ん?」と言って振り向いた同居人が正にそのドルガバの
シャツを着ていた。
「なんでお前が着とうとや!」
思わず博多弁丸出しになって同居人に食いかかるも、俺が泣きそうな顔をしていた為か同居人は怯むというより申し訳
なさそうな顔で「あ、ごめんなさい」とスルメイカをかじりながら呟いた。
「あああ~っ、これ着ようと思っとったのに!」
頭を抱えながらも仕方ないから他の候補を探す。しかし代わりにしようと思ったスウェットもカットソーも見当たらない。
「俺の白いスウェットと黒のカットソーは……ッ!?」
またもや悲痛な絶叫をあげると同居人は申し訳なさそうに「たぶん洗濯機の中……」と零した。

94:芸任 シシミ×ズニア 4/9
09/01/28 14:06:29 gPEmFEi10
<4>
「えああッ?!」
ドルガバの服はクリーニングにしか出さないと決めているのに。やはり泣きそうな顔で同居人を睨むと、マイペースな
同居人は「これ食べる?」と言った体(てい)でかじりかけのスルメイカを俺に差し出してきた。
俺はもうそれこそ涙目で愕然とするしか出来なくて、それでも服は選ばないといけないから悩みに悩んだ末、高級レス
トランにも入れそうな真新しいカッターシャツにネクタイを締めて出掛けることにした。下にはドルガバのパンツを合
わせる。
そしてようやく家を出て駐輪場に着いた時、腕時計を忘れたことに気がついた。
しかし取りに帰る時間が勿体無いのでもうそのまま出発することにする。兄さんとの待ち合わせにどれだけ遅れるのか
確認する余裕もなく、とにかくバイクを発車させる。
途中兄さんから着信があって、路肩にバイクを止め慌てて電話に出ると、受話器からはのんびりとした兄さんの声が聞
こえてきた。
「おう、いまどの辺?」
「あっ、いま兄さんのマンションと俺んちの間ぐらいです……っ!」
「そうかあ、分かった。気ぃつけて来いよ」
兄さんはそれだけ言うとあっさりと電話を切ったのだが、俺は同居人への怒りが完全に帳消しになるぐらい、その声だけ
でうなぎ登りにテンションをあげた。
(もうすぐ会える……!)
兄さんの声は普通だったからそれ程遅れていないのかもしれない。それどころか"気ぃつけて"と気使ってくれる優しい兄
さん。嬉しくてどうしようもなく鼓動が高鳴る。胸が弾んで「フン」と興奮の鼻息を吐き出すと、俺は再びバイクを発車
させた。

それから五分ほどで兄さんのマンションに到着して、俺は駐輪場にバイクを停めると合い鍵を持って兄さんの部屋まで猛
ダッシュした。
(会ったらやっぱり真っ先に抱きつこうかいなあ)
そんな幸せな予感にウキウキとしつつ兄さんの部屋に到着して、呼び出すのも悪いから合い鍵で部屋に入る。
「兄さーん!」
しかし玄関の明かりが点いてない時点で、部屋に兄さんはいないということに気づいた。
(あれ?)

95:芸任 シシミ×ズニア 5/9
09/01/28 14:07:56 gPEmFEi10

<5>
そこで俺は「ちょっと待てよ」と自分自身に言い聞かせた。
(もしかして気付かんだけで玄関で待ってた……?)
よくよく考えたら二人で食事にいくのだから、下で待っていてもおかしくない。
もしそうだとしたら吹きさらしの中、深夜だというのにたった一人でかなりの時間待たせていることになる。
俺は若干焦りつつマンションの玄関へと行きよりも猛ダッシュで戻っていった。
(兄さーん……ッ?)
具体的な時間は確認してないけれど、もう結構な時間兄さんを待たせている筈だ。今度こそ会えるようにと念を送るように
兄さんの名を呼んでみたけれど、しかしその玄関にも兄さんはいなかった。

(あれ……?)

なぜいないのだろう。東京の夜の中、煌々とそびえ立つ高級マンションの玄関には、猫一匹すらいなかった。
俺はある予感に目眩を覚え始めていた。遅刻とかよりももっと深刻で、全然違う、別の予感。すごく胸騒ぎがして俺は一人焦
り出す。
(………もしかして、……………事故……?)
その瞬間サアアと全身から血の気が引いていくのが分かって、俺はいてもたってもいられず駐輪場に停めたバイクに跨りエン
ジンをかけ兄さんを探しに行くことにした。
俺の頭の中はもう頭から血を流して気を失った兄さんの妄想でいっぱいになっていた。なんでいきなりそんな突飛な発想にな
るのかと普通ならツッコまれてもおかしくないのかもしれないけれど、兄さんの場合は前科があるから洒落にならないのだ。
というか普段からも、兄さんがふいに姿を消したり、時には靴紐が切れただけとか、何か事ある度に嫌な予感がよぎってしまう
のは半ばもう俺の癖になりかけている。

96:芸任 シシミ×ズニア 6/9
09/01/28 14:09:22 gPEmFEi10

<6>
いつもの発作を収めるように、無事でいて下さい、と祈るように目を瞑って俺はバイクを発車させようとした、その時だった。
自慢のドルガバ製パンツの後ろポケットに入れた携帯が兄さん専用の着信音と共に震え出したから、俺はいっぱいいっぱいに
なりながらそれを取り出した。震える指で通話ボタンを押して、「無事ですか!?」とか言いたいことが沢山ありすぎてうま
く言葉に出来ないでいると、電話が通じるなり俺の第一声を待たず兄さんの怒号が飛ぶ。
「いまどこやッ!」
「えっ、あ、」
さっきとあまりのテンションの違いに俺はテンパってうまく言葉が紡げなかった。
元気過ぎる兄さんの声。とりあえず頭から血は流していないようだ。そして兄さんがめちゃくちゃ怒っている、ということだけ
はとにかく分かった。

「兄さんのマンションの、その……、げ、玄関にいます……!」
「そっち裏やろおがッ、俺おるのは正門の方やっ!どんだけ待たしとんと思とんねん!はよこっち来いやあッッ!」
「あっ!は、はい……ッ!」
元気どころか今なら殺しても死なないような勢いだった。もう俺はそれこそ限界までテンパって、泣きそうになりながらバイク
で正門へと急いだ。

そして、冒頭の「つ/つ/みィッッ!」に戻る。
とにかく会うなり、一通り兄さんが溜め込んでいた怒りを全てまくしたてられて、俺はしゅんと小さくなるしかなかった。抱き
つくどころの騒ぎじゃない。30分も待ってんねんぞとか、なんで小洒落たネクタイしとんねんとか、なんで車で飯食い行くの
にバイクで正門来んねんとか、とにかくすごい勢いだった。


97:芸任 シシミ×ズニア 7/9
09/01/28 14:11:01 gPEmFEi10

<7>
そして結局食事には行ったものの、兄さんの機嫌はめちゃくちゃ悪くて、俺と一言も口をきいてくれなくて、最悪な雰囲気のまま
食事を終えてまたマンションへと戻ってきた。

俺はもう「今日は無理やな」と考えてた。兄さんとかどうにかなるような甘い空気は一切ない。早めに退散するのがきっと一番い
いと思って、マンションに着くなり「ご馳走様でした」とだけ言ってバイクの停めてある駐輪場へと行こうとしたのだが。
車を降りようとした瞬間、一張羅のYシャツの裾を掴まれて。
驚いた俺が振り返ると、相変わらず不機嫌なままの兄さんが「今日はとことんお前をど突かんと気がすまんわ。部屋に寄っていけ」
と一言。
ああ、説教されるんやなと思ってしょぼんとうなだれながら兄さんの後をついていくと、兄さんは部屋に入ってすぐソファーにドカ
ッと腰をかけて、「エアコン。テレビ。電気。」と言った。

「は、はい」
言われるまま部屋の明かりをつけ、テレビをつけ、エアコンを稼働させる。
言いつけを終えてちらっと上目使いで兄さんを見上げると、フンと怖い顔で俺を見下す兄さん。どうするか考えあぐねているようだ。
「お前には……お仕置きが必要やな」
「お、お仕置きっすか……」
ソファーで持て余すように長い足を組む兄さんのその言葉の続きを、俺は床に正座した状態で恐る恐る待つことにした。
「そうやなあ……」
兄さんはジャックナイフ時代を思わせる怖~い顔で視線を泳がせて何やら思案する。
「とりあえず……その小洒落たネクタイで、俺を縛ってもらおうか」
「えっ!?」
このドルガバのネクタイで兄さんを縛る。ツッコミどころが多いその言葉に、俺は一瞬どう反応していいか分からなかった。俺は芸人
のクセに反射神経が悪い。だから「お前はダメやねん」と言われてしまうのだろうか。
とりあえず数秒の間にものすごく頭をフル回転させて、一番兄さんの逆鱗に触れないような言葉を探した。

98:芸任 シシミ×ズニア 8/9
09/01/28 14:12:22 gPEmFEi10
<8>
「あ、の……、縛れば、いいんですね」
兄さんは自らの顎をクイと動かして「そうや」という反応を示す。
「ど、どこを………」
そう言った瞬間兄さんの左眉がピクリと上がって、それはそれは低い声でこう言った。
「ネクタイで亀甲縛り出来るかあ…?縛れるっつったらせいぜい手首ぐらいやろ……」
「あ、て、手首ですね」
俺は自分のつけていたネクタイを解くと、「失礼します」と言って後ろ手に兄さんの両手首を縛った。縛るのは特技なのでなんら問題なく
出来るのだが、ドルガバのネクタイは皺だらけになっていた。この地味なダメージが"お仕置き"なんだろうかなんて考えてしまう。

縛り終えると次に兄さんは「乳首舐めろや」と言ってきた。俺にとっては嬉しいだけでお仕置きでもなんでもないけど、兄さんが怖いので
言われるがまま俺は兄さんの乳首を舐めることにした。
兄さんの着ている黒のスウェットを裾から捲りあげて白い肌を露わにすると、小さな突起にそろそろと舌を這わす。左胸の乳首を吸ったり
舌で転がしたりすると、やがて兄さんの口から甘い吐息が零れ始めた。兄さんが小さく身悶えするからそれに合わせて上質なソファーが衣
擦れの音を出す。
「ふぅ……っ、……ん」
兄さんの前髪が揺れて俺はそれを上目使いで見つめる。すごくエロいから俺の股関はすぐに元気になってしまって、パンツのチャックを下
ろして前を緩めようと思ったのに、俺がそこに手を這わした瞬間、兄さんはピシャリと「ダメや」と言い捨てた。
その剣幕に驚いて俺は強めに乳首を噛んでしまい、どちらかというと痛いのも好きな兄さんは悦びの声をあげて肩をビクンと跳ね上げる。
「あァ……ッ!」


99:芸任 シシミ×ズニア 9/9
09/01/28 14:13:46 gPEmFEi10
<9>
俺は仕方なくそのまま乳首を舐め続けることにした。とにかく股関に触るのはNGらしい。なんとなく、"お仕置き"の意味が分かってきた
ような気がする。
両胸が俺の唾液でぐっちょり濡れそぼった頃、今度は兄さんは「しゃぶれ」と言い出した。俺は従順に兄さんのいきり立ったものをズボン
から取り出し、思い切りよく口に含む。完全に勃起していたソレは俺の口内には全部入りきらず、とにかく亀頭と茎は別々に愛撫するしか
なかった。
俺の股関も限界まで張り詰めていて、下手すると先走りがパンツにまで染み込んでいるかもしれないと思った。自慢のドルガバ製パンツが
我慢汁で汚れるというのも、地味にダメージが大きい。
頑張って奉仕しているとやがて兄さんの声は益々大きくなって、ほどなくして俺の口の中で果てた。俺は迷うことなく兄さんの放ったもの
を綺麗に全て飲み干す。溜まっていたのかかなり濃い味だったけれど、それだけオナニーも浮気もしてないってことなので俺からしたら嬉
しいことだ。
兄さんは暫く息を荒くしていたけれど、一度ハアと大きく息をついて上下する肩を落ち着かせ、そして未だ中腰で兄さんを見上げていた俺
を見ると、「お仕置き終わり」と言ってニヤリと笑った。
そして続けてトドメとばかりに「帰れ」と一言。

「えっ!!」
その時の俺の声は本当に情けなかった。子犬が腹を蹴られたような、可哀想な声。
「か、帰れって……」
ぷるぷる震える俺を見て、兄さんはとても上機嫌だ。
「おう、お仕置き終わったんやから帰れ。あ、これは解いていけよ」
そう言って手首を俺に見せつける。

俺は半泣きで兄さんのネクタイを解いて、唇を噛みながらも「帰れ」コールをする兄さんに一礼して兄さんのマンションを後にするしかな
かった。



我慢出来ずにマンションの駐輪場でオナニーしてしまったのは兄さんには内緒の話。

100:芸任 シシミ×ズニア
09/01/28 14:15:47 gPEmFEi10

□ STOP ピッ ◇⊂(・∀・ )イジョウ、ジサクジエンデシタ!

なんかズニアがSっぽくなってしまったけどヘタレなシシミが書けて満足です。
ここまでお付き合いありがとうございました!

101:生ゲイニソ:コラボコント内設定のイケメン×チャラ男
09/01/28 18:56:37 RJ+ExOBz0
お笑いゲイニソのイケメン(かのえいこう)×チャラ男(K)ですが、
赤カーペットのコラボ企画で彼らが演じたコントのシチュエーションで
「自称イケメン芸人と彼に絡んでくるチャラい素人」
という架空の設定上の二人の話です。


|>PLAY ピッ ◇⊂(・∀・ <イケメン視点でカップリング要素は薄いです

102:生ゲイニソ:コラボコント内設定のイケメン×チャラ男(1/5)
09/01/28 18:57:17 RJ+ExOBz0
やあ、僕イケメン。多忙な毎日を送る僕だけど、なんと今日はオフなんだ。
貴重な休日とくればやっぱり自宅でのんびりと疲れを癒したいところ。
だからさ、こんなとこにいるのはおかしいんだよ。こんな、渋谷のど真ん中なんかに。
「ちょ、あれイケメンじゃね?」
ああ、さっきから道行く若者が朴を見ては瞳を輝かせ写メを撮る。
え、何? 僕のギャグが見たい? まったくしょうがないな。
まあここはリクエストにお応えして、ラーメンつけ麺ボク……って見てないじゃないか!
いい加減にしてくれよ君達!

そもそも何故こんな思いまでして僕が渋谷にいるのかというと、とある男を捜してるからだ。
いつだったかこの通りで会って、この僕を散々振り回した、忌々しいチャラ男。
あいつに一言、文句を言いたい。芸人やってる以上は変な奴に絡まれることも少なくないし、
絡まれてもいちいち覚えてられないぐらい僕もそういうのには慣れちゃってるけど、
あのひょろ長いチャラ男だけは何故か未だに忘れられない。
思い出すたびに、何かこう、胸が熱くなる。これは怒りだ。
もう何週間も経ってるってのに未だ冷めやらぬほどの激しい怒りなんだ。
これはもう、再び奴と会って直接文句を言わなきゃ収まらない気がする。

それにしても、ここらでたむろしてるチャラ男はどいつもこいつもそっくりで紛らわしい。
さっきから何度騙されたことか。中には男か女かすらわかんない奴までいるじゃないか!
邪魔だよ全く! あいつが見つからないじゃないか!

103:生ゲイニソ:コラボコント内設定のイケメン×チャラ男(2/5)
09/01/28 18:57:58 RJ+ExOBz0
ああもう、雨まで降り出した。天気予報はそんなこと言ってなかったはずだぞ。
くそ、どうするかな……冷静に考えれば、一回会ったきりの奴をこんな風に
あてもなく捜したところで見つかるわけがないんだよな。でも他に目ぼしい場所もない。
いいや、どうせ今日はもう一日を棒に振る覚悟で来てるんだ。
とりあえずどっかで適当に雨宿りでもしながら、作戦を練ろう。
「うーわヤベ、マジ雨ザイルなんだけどこれ!」
うわ、何か変な奴が来たっぽい。走ってきて僕の横に来るなり盛大な独り言だ。
なんだよ雨ザイルって…………ん、あれ? ちょっと待って今の声。もしかして─
「……あれ?」
「あ」
「あっれーもしかしてエイコーじゃね? エイコーだよね! エイコー、チュリッス!」
─あ、ああああ! いた! いたよ! すごい、本当に会えた!
何、何だこの展開? これ、これってもう、もはや運命……!
あ、いや、落ち着け。落ち着け僕。ここで会ったが百年目、イケメンらしくスマートに苦情だ。
「や、やあ……久し振りだね」
「お久しブリトニー! あれ、でもフツーに初対面じゃね? 俺ら」
なっ!? あ、会ったことを忘れてるっていうのか!?
普通、芸能人と会ったらそうそう忘れたりしなくないか!?
ああ、ダメだダメだ。こんなところで取り乱したら色々と台無しだ。落ち着け僕。
「37日前の午後にここで会ったことがあるだろう」
「37ぁ? ちょ、エイコー細か過ぎんべ! どんだけカレンダーだよマジウケんだけど!」
……ああまただ、またその顔で笑うか。心底楽しそうな顔で。僕にとってはそれがとても苛立たしい。
だってほら、現に心臓がばくばく跳ねて暴れてるし、顔も熱い。ものすごく熱い。


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