09/12/23 19:50:33 gMnpKchKO
たぬきは恋多きうどんだった。
幾人もの天ぷらと付き合い、別れるたびに想い出の天カスが一つ増えていく。
もう数え切れないほどに増えた天カスは、素朴だったたぬきを誰からも愛される
魅力的なうどんへと変えた。
二人で街を歩くといつも天ぷら達に声を掛けられる。天ぷらといる時のたぬきは
とても楽しそうだ。
それでも自分が一緒の時は、どんな誘いも必ず断ってくれた。
引っ込み思案な自分に気を使ってくれてるのだろう。その優しさを嬉しいと思うのと
同じぐらい、出会いの機会を奪ってしまう事を申し訳ないと思ってしまう。
そんな気持ちが顔に出てしまったのか、たぬきが気にするなと笑う。
「俺はきつねといる時が一番楽しい。そりゃ天ぷら達は大好きだけどさ…
でもお前は特別だから!」
そう言ってくれるたぬきをまっすぐに見る事が出来なくて俯いてしまう。
「ほらそんな顔すんな!メシ食いに行こうぜ」
背中を叩かれて、ようやくぎこちない笑顔を返せた。
どんな時も自分にだけは優しいたぬき。
その優しいたぬきが天ぷらを見つめる瞬間、瞳の奥に淫らな光を燈す。
その淫らな光と艶めく天カスにこそ引き付けられてる自分を彼は知らない…
たぬきが淫らに成り切れませんでした…orz