10/07/06 23:23:48 PAXXtFbmO
堅くっても…皆家族がいるってのに)
そういえばこの間、田舎へでも戻ろうかと考えて、麻雛に別れ話を振った所だった。
渡りに船だ。このまま消えちまおう。
そう考えついた時、乗っていた電車がガクンと振動し減速しだした。
普段使わない駅名を耳にし、尾島は痛む身体を叱咤して立ち上がる。
さっきは、襲われたのが駅のホームで幸いだった。
数人に囲まれて殴る蹴るされていた所を駅員に見咎められ、
相手が隙を見せた時に滑り込んできた電車に何とか飛び込むことが出来たのだ。
自分はこれから夜の闇に紛れて、元居た仮の住まいまで辿り着かねばならない。
山に籠もるとしても当座の資金がいる。危険は承知の上だ。
尾島は、鉄臭くカサついた唇を今一度噛み締めた。