07/06/14 11:55:06.50 aVHO0qQ20
「そう、それは大変だったわね」
そう言ってジョーイさんはコロコロと笑う。どうにもその笑顔に慣れない俺は、手渡されたジュースを
ぐいっと傾けた。久しぶりの水分に生き返る気がした。
あの後、なんとかポケセンに着いた俺はいつものように手持ちのポケモンを預けると、ジョーイさんと
世間話に華を咲かせていた。本来なら直ぐに終わる作業なのだけれど、ボールに入りたがらないミュウツ
ーの治療に少しばかり時間を取られる為だ。
「それにしても、ゴースに怖がっていた男君がまさかこんな有名人になるなんてねえ」
また言ってきたよこの人は。全員同じ顔のジョーイさんの中でも、ここヤマブキシティのジョーイさん
とは仲が良い俺はいつもこんな風におちょくられる。まだシルフスコープを持っていない時にこの人に泣
きついたのが運の尽きだったのだろう。それでも親切に教えてくれたので頭が上がらないのも、原因の一
つと考えられる。
「そういえば、ナツメさんはどこにいるの?」
「ああ、リーダーなら少し私用があるからって。多分、そろそろ戻って」
こっちを見ていたジョーイさんの視線が俺の背後に移る。俺もそれを追って後ろを振り向いた。
始めに見えたのは誰かに抱えられたケーシィだった。相変わらず気持ちよさそうに寝ているソイツから、
徐々に目線を上に上げる。
「やあ、男。さっきのバトル、見事だったわ」