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2,2011年11月Nature Communicationsに掲載された「Wide-band quantum interface for
visible-to-telecommunication wavelength conversion」(DOInumber:10.1038/ncomms1544)
の研究を紹介します。近年量子コンピューターや量子暗号の研究が注目されています。これは
量子物理と情報理論が結婚して生まれた突然変異というべき分野ですが、井元研では光と
物質が絡む量子情報処理の研究を理論・実験両面から行っています。
通常の情報と異なり量子情報は「それを作った人でなければコピーできない」とか「マルチタスクを
時分割せず重ね合わせて同時進行させることが出来る」とか「エンタングルメント(量子もつれ)という
特殊な相関状態がある」という特徴があります。この量子情報を運ぶことと保持することが応用に
おいて欠かせません。運ぶことは光で、保持することは物質で行いますが、物質から光への量子
情報のread、あるいはその逆のwriteを高速かつ確実に行うことは未だ基礎研究段階にあります。
特に光通信では波長1.5ミクロン近辺の赤外光が使われるのに対し、read/writeにはその半分
ほどの波長の可視光が使われます。この波長のミスマッチを解決する研究が世界的に鋭意行われ
ており、先行研究としては長波長帯から短波長帯への高速変換、および特定の短波長から特定の
長波長への低速変換の実験がありました。しかし最後の砦である「短波長帯から長波長帯への
自由な変換」において実際に量子情報の維持を確認した実験はなかったのです。
本研究では疑似位相整合ニオブ酸リチウムという特殊な人工的結晶を用いて、光の差周波発生
という現象を利用し、その実証実験を初めて行ったものです。これにより「量子read & writeのための
波長変換ラインナップ」が完成したと言えます。
[研究室の研究紹介]上記以外にも量子雑音の除去、多体量子もつれの発生・操作、クラスター
ステートを用いた量子計算、量子暗号理論、量子力学の基礎を深める研究等を行っています。
井元研究室のホームページ URLリンク(www.qi.mp.es.osaka-u.ac.jp)