14/05/20 03:27:21.94 voqbYSku
仰山が洪恩に尋ねた、「仏性(本来の自己)とは何ですか?」
洪恩は答えた、「譬えてみるとここに一つの家があるとしよう。その家には六つの窓があって、その中に猿が一匹居る。
この猿を東の窓から『猿さん、』と呼ぶと、その猿は『うん、うん』と言って返事する。他の窓から呼んでも同じことで、
六窓倶(とも)に喚(よ)べば倶(とも)に応(こた)うである。こんなものだ。」
仰山は、「御垂誡誠にありがとうございます」とお礼を言って、次ぎのように尋ねた。
「お話の趣、一一承知しましたが、未だお尋ねしたいことがあります。
内の猿めがくたびれて睡っている時、外の猿めが何とかして相見したいと申しましたら、どういうことになりましょうか?」
こう問われて洪恩は小僧の仰山の質問がなかなか核心をついたものであるのに驚き、この小僧(仰山)はただものではないと気づいた。
そこで洪恩はうれしくなって、自分が坐っていた縄床から下りて仰山の手を取って一さし舞い出した。
そうして言った、「お猿さん、おまえとの相見はもう済んだよ」。