14/03/01 15:39:09.40
>>361
下記がなかなか分かりやすい
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2010/5/26(水) ポアンカレ予想(ジョージ.G.スピーロ)」の紹介(第259回) 古村 哲也 講演資料ダウンロード ① ② ③
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11章 消える特異点、消えない特異点
さらには「葉巻型特異点」もある。これがなんともいまいましい代物なのだ。葉巻の表面は二次元物体だ。
ここでそれに一次元の線分を掛けて四次元空間に浮かぶ三次元物体を作る。葉巻の端部分は曲がっているため、曲率が増えどんどん曲がって小さくなり、ついには収縮しきってしまう。ところがもう一つの方向では、線分は真直ぐで動かない。
こうして物体は二つの次元では縮むが、残りの次元ではそのままになる。シャボン玉のように「パッ」と消えるわけでなく、腹を割かれた風船のように「パフッ」と萎む。
ハミルトンは十年を費やし解決法を探し、厄介な病変部を取り除く手術を見つけた。
たが、葉巻型特異点だけは、手術によっても問題を排除できなかった。
12章 葉巻の手術
新しいエントロピーの概念が得られたので、ペレルマンの葉巻型特異点に対する準備は整った。ペレルマンは彼流のエントロピー概念と込み入った数式を使って、多様体が余り強く婉曲できないことを証明したのだ。
「パッ」と消える多様体を除けば、潰れていく傘体の間にエンドウ豆が挟まるように、小さなボールが残る余地は充分あるに違いない。
したがって、放物型リスケーリングという条件の下で見た場合、多様体はリッチ・フローのさなかに崩壊できないことになる。
全面的に潰れ込むのをエンドウ豆が防ぐのだ。多様体は「パッ」と消えることはできても、「バフッ」と萎んで消えることはできない。
この局所非崩壊定理とよばれることになった定理は、葉巻型特異点に対処するうえで欠かせない、要の要素である。
前に見たように、リッチ・フローの法則によれば、葉巻は最終的に崩壊するはずである。その一方で、ペレルマンは崩壊があり得ないことを証明した。
この二つの事実を組み合わせれば、葉巻型特異点の出現は数学的にあり得ないということになる。