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毎日新聞 2003年
理系白書 私の提言 8
本気で育てる気あるか -院生に給与保証を 実践的教育も必要-
●東京大学大学院博士課程1年・倉本由香利さん●
博士の就職難は深刻です。国が期限付きで支援する「ポストドクター」制度も
ありますが、それでも毎春、3割の博士は就職が決まらないのです。
大学院重点化政策で院生の数は倍増したのに、教員の定数は横ばいで、
若手のためのポストが不足しているのが大きな原因です。
もともと、日本で博士号を取るのは、経済的に大きな負担を
伴います。奨学金の支援を得ても、国立の大学院に5年間通うと
600万円を超える借金を背負うことになります。日本育英会の場合、
教員にならないと返却が義務付けられるからです。つまり
奨学金ではなく教育ローン。無償の奨学金がもっとあれば
いいのにと思います。
1件あたりの給付額も10万円程度で、生活費を賄うには
不十分。私の場合、生活費は日本育英会の奨学金と企業の奨学金を
受けていますが、極めて恵まれたケースです。世間では「半人前」と
見られ、借金しながら苦労して博士になったら就職難。これでは
条件のいい海外への「頭脳流出」は増える一方です。