14/07/13 08:32:19.35
>>373 つづき3 of 7
では更にこれらの二つの思考様式の違いを、論理的に明らかにして見よう。
演繹的思考様式では、この世に数多存在する”先生”や”師匠”などの、その道のプロを謙虚に信奉し、指導を乞いながら為されていく場合が多い。
教える側も、かつて他の者から教わったことを教えるのであるから大きな見当違いや錯覚とも無縁であり、一人の良い教師の存在があれば十分である。
しかし演繹的思考様式の欠点は、どこまでもテンプレート化した公式に則った事務処理思考であるために、悩み苦しんだ末の真の意味での思考がないという点だ。
テンプレートとは過去の産物であり、他者が考えた一般論であり個別の事情に配慮されていない。
そして一方の帰納的思考様式では、「あれとこれに共通する原理原則は何だろう?」とか「この場合、Bというファクターをもっと強めれば何が起こるだろうか?」などと、
個別の人間により、個別の状況に特化した熟考がなされる。帰納的思考様式とは言い換えれば今、自分がおかれている特定の状況に最も適合した観念を創り出す創造行為である。
ちなみに帰納的思考様式とは、スケールが大きくなればなるほどその各々の過程において多くの演繹的思考様式も取り込んでいく。
すなわち良い帰納的思考様式とは、演繹的思考様式で基礎能力を固めつつ、幅広い経験・知識・観察力・分析力・合理的思考能力を応用的に結集したものであり、
これらの情報(単なる情報の山でなく、整理されたデータベース)は多ければ多いほど良いから、帰納的思考様式の最良の形態は多数の優秀な思考者が参加した「集合知」を用いることである。
すなわち『重要問題の圧倒的多数は、一筋縄ではいかない複雑さがあり、それゆえに帰納的思考様式を必要とし、
それを優れたものにするためには、有能な人々が結集した集合知を利用するのが最適である』ということになる。
つづく