14/07/13 08:31:08.81
>>372 つづき 2 of 7
ところが例えばビジネス戦略の現場では、演繹的思考様式のみを武器とするアナリストや会計士に可能なのは、基本的には簿記計算に関する事柄や既存事業や統計等を基にした収益予測くらいのものである。
むしろビジネス戦略の本質問題とは、どうやって消費者に商品を買う気にさせるかという「創造性」であり、多少なりとも何らかの現状打破や進歩・発展性を求められる。
すなわち既成事実(経験)やアプリオリなものを拠り所とする演繹的思考様式よりも、思考者の観察能力/気づきを随時、取り入れるような帰納的思考から多様な仮説を導くのがビジネス戦略の要諦なのである。
このようにビジネス戦略の現場で要求される思考様式のように、一義的な答えが存在せず、解答者の観察能力/経験/気づきや思考の
広がりによって多様に変化するような解答を容認しようとする思考態度を、「帰納的思考様式」と呼ぶことにする。
そしてビジネス戦略のみならず社会問題、人生の大事に関わる問題は、極めて多様で複雑な要因が錯綜(さくそう)しているから、帰納的思考様式を必要とするケースが圧倒的に多い。
このことをさらに具体的な実例から確認してみよう。例えば、結婚式の準備をするというような時、どんなタイプの式にしてどんな人たちを招待するのかを決め、
次にそれにふさわしい式場や演出を決め、日取りを決め、引き出物を決めていくというようにやるべき事の順序は誰でもほぼ似たような定型的な手順になる。
このように人生の大事でもテンプレート的な処理を一つ一つ積み上げていく、すなわち演繹的思考様式の方が無難で良い結果になるケースは数多くある。
しかしなんといっても圧倒的に多いのは、演繹的思考様式では失敗してしまうようなケースである。
例えばある職業に就くための方法とか友達や仲間を作るための方法などは、決まりきったテンプレートもあるにはある一方、その人その人にふさわしい対策が必要な場合の方がはるかに多い。
このような時に必要なのが、個人の経験からの気づきを合理的思考で定理化(観念化)していく帰納的思考様式である。
つづく