上条「お前、本当についてねーよ」フレンダ「……」at NEWS4VIP
上条「お前、本当についてねーよ」フレンダ「……」 - 暇つぶし2ch153:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします
21/05/03 12:55:54.434 K9NOROm30.net
「それでもあいつの周りにいると、そういった事に巻き込まれてしまうのに変わりは無い。
 そして普段から事故や事件に巻き込まれている人間の周りでその事故とやらに巻き込まれて
 しまったら、そういった事が何度も起こってしまったら、次第に憎悪の向く先は事件や事故
 よりもその事故の中心に常にいるあいつに向くようになっていた」
フレンダ「結局、事件も事故も起こした人間が悪いんじゃない? それって八つ当たりな訳よ」
 「そうだろうな、だが周りの人間はそうは思っていなかった。だから私は不幸なんて曖昧な
 もののせいであいつに恨みが向けられないように、この科学の最先端に入れたんだが」
 何かを思い出すように軽く腕を撫でて
 「この街にあいつが行く寸前に家族ごと事故に会ってしまってね、その時にあいつは回りに
 いる人間を巻き込んでしまうと確信してしまった。更に、入れてしまってからわかったこと
 だが、あいつは私が不幸に縛られないようにと思ってここに入れたと言う事にも気付いてし
 まっていたらしい。前者の理由であいつは必要以上に私たちとも関わらず、後者の理由で
 会っても本当のことを言わないのだよ」
フレンダ「じゃあ、五歳から知らないっていうのは本当なの?」
 「ああ、今回会うのもせめて目立った外傷がないことを確認できればそれでいい」
 これで隠していることは何も無い、というように開いた両手をこちらへ見せた。
 確かに、男がその状態を置き去りと表現したのは理解が出来たし、全部ではないが納得でき
る部分もある。それでもやはり、実際に捨てられたのとは違うよなという考えは変わらないが。
 滝壺もそれで納得はしたように、そうだったんだね、とそれ以上の追求はしなかった。
 男はもう一度だけ滝壺に悪かったね、と謝ってから
 「それと、君には一つだけ言っておきたい事がある」
 そうフレンダへと言葉をかける。

154:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします
21/05/03 12:57:11.661 K9NOROm30.net
「あいつ自身がその子にここに来ることを教えたのだから、君がこの後あいつに関わろうが
 それを止めはしない。だが、中途半端に興味を持って近づくなら止めておくことを勧めるよ、
 巻き込まれてからではどうにもならないことだってあるからね」
 禁止や命令といった強い言い方こそしていなかったが、事実上その子に深入りするなという
警告に等しかった。
 その言葉に何かフレンダは言おうと口を開きかけるが、それより先に新たな声が割り込む。
上条「何やってんだ親父、母さんに何言われても知らない……あ」
 若い男の声に顔を上げると、
麦野(ああうん、確かにこれはツンツン頭って言いたくなるわ)
 件の上条なる少年が立っていた。

155:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします
21/05/03 12:59:46.023 K9NOROm30.net
聞き間違いの無い声に後ろへ振り向いて、上条と目が合う。
 さっきまで会いたいとは思っていたが、こうも不意打ち気味に会ってしまうと心の準備も出
来ていないこともあってすぐに言葉が出てこない。
 一方の上条はこちらの姿を確認して何でここにいるんだ、と少しの間驚いていたがすぐにい
るならいるで仕方が無い、とこちらから視線を外した。
「どうだ元気にやってるかい?」
上条「ああ、こっちは何時も通りだよ。母さんも元気にやってるのか?」
 「私たちは大丈夫さ、今日は私の仕事でここに来ているから着いて来てはいないがね」
上条「そうか、それなら良かった」
 そうだと知っていなければこれが親子だとは思えないほどに淡々と、さっさと会話を終わら
せてしまおうという意思をそのまま言葉にしたようなそっけない返事を返していく上条。

156:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします
21/05/03 13:01:25.934 K9NOROm30.net
つい先に話しかけていなくて良かったとすら思ってしまった。きっとそうしていたら、一言
目で何もいえなくなってしまっていただろう。
上条「それで、これが成績表。高校は前言った所になったよ」
 しかも近況報告とやらはそれで終わりらしく、上条はポケットから三つ折の紙片を引き抜く
と上条さんのほうへ滑らせて「じゃあ、伝えることはこれだけだから。また」
フレンダ「ストーーップ!!」
 立ち去ろうとした上条の手を握り締めていた。
 「うぉ?!」そんなに強く握ったつもりは無いが、あまりにも突然すぎたせいか、はたまた
大声を出してしまったせいか、上条の体がビクリと跳ねる。
フレンダ「ご、ごめん。強くしたつもりは無かったんだけど」
上条「い、いや。ただビックリしただけだから気にすんな」
 実は今握った手は絹旗が圧迫骨折させそうになった手のほうで、上条の反応を見て本当に折
れていないのだろうかと絹旗がだらだら冷や汗をかいていたのだが、そんな事に気付けるほど
フレンダにも余裕があるわけではなかった。
フレンダ(ヤバ、ここで別れたら一生会えない気がして呼び止めちゃった訳だけど……)
 正直に言って何と言おうか全く思いついていなかったのだ。

157:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします
21/05/03 13:02:24.814 K9NOROm30.net
今更ながら頭の中で纏まらない感情を追い掛け回すが、それが言葉になる前に上条は落ち着
いたのか声の温度を下げて話し始める。
上条「で? 何か用があるのか」
 まるでお前とは何の接点も持っていないだろう、と初対面の人間を相手にしているのかのよ
うに。いやそれよりも更に冷たく、氷の裂け目に相手を叩き落すような言葉に口を開くことす
ら躊躇われる。
 だが、上条あらため当麻が不幸だと、そしてその不幸に周りの人間を巻き込んでしまうとい
う話を聞いていたからこそ、真っ白く凍らされた言葉の真意が予想できる。
 巻き込みたくないから近づくな、と。
フレンダ「昨日は、助けてくれてありがと」
上条「礼を言われることじゃねえよ、たまたま通りかかっただけだから」
 しかし予想したとはいえそうであるという確証が全く無いために、ひたすらにそっけなく、
わざと距離をとるために選ばれたような言葉を向けられると、昨日だって本当は、面倒ごとに
巻き込みやがって近づくなよ、とか思って何も言わずに立ち去ったのかも知れない、などと考
えてしまって。それでも助けてくれたことに変わりは無いから、と言うべき言葉は見つかって
もそう口から出て来ない。

158:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします
21/05/03 13:03:08.031 K9NOROm30.net
何も言えずに過ぎ去った一瞬のような数秒の後。
上条「それだけなら、もう行くぞ」
上条が今度こそ立ち去ろうとする。
 結局フレンダは上条を呼び止めれなかった。

159:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします
21/05/03 13:07:39.791 K9NOROm30.net
絹旗「超待ってください上条、私は超用があるのですか」
 代わりに上条を捕まえていたのは絹旗。
上条「はいはい、何でございましょうか絹旗様」
 さっき会ったと言っていたし上条も絹旗の力に勝てないことは知っているのか、絹旗は制服
の端を軽く掴んでいるだけだったが上条は両手を挙げて降参を示していた。
絹旗「超真面目な話ですから」
 ふざけたような上条にむっ、としながらも絹旗は顔だけ滝壺の方を振り向いて「滝壺さん、
 上条の能力分かります?」
 ん、と頷くと滝壺はじっ、と上条のほうを見てから首をかしげる。
滝壺「AIM拡散力場が無いから、無能力者のはず」
 滝壺の答えを聞いた絹旗の行動は早かった。
 無いから、の時点で既に立ち上がって、言い終わった時点で既に上条と絹旗の場所が入れ替
わっていて
絹旗「立ち方がおかしいと思っていましたが、やっぱり超そうですよね。麦野、救急キット使っ
 ていいですか?」
とか疑問系ではあるが既に文庫本を半分にしたくらいの大きさのプラス
チックケースを開けていた。

160:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします
21/05/03 13:08:40.284 K9NOROm30.net
麦野「いいけど、あんた怪我させたとかじゃないでしょうね?」
絹旗「いえ、そうではないですが私の超不注意のせいですので」
 そう麦野に答えながら、しゃがんで上条のズボンの裾をひざ上まで一気にまくり上げると
絹旗「LV3の肉体修復だなんて嘘までついて、超そこまで私と離れたかったんですかね」
 くるぶしからふくらはぎのあたりまでかなり広い範囲に包帯が巻かれており、足の側面部分
を中心として痛々しく赤色で濡れていた。
 上条「これ位で大げさすぎだろ」
上条はそうため息をついたが、一般的な怪我の基準から言えば
十分に酷い怪我の部類であった。

161:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします
21/05/03 13:10:07.070 2gykky5k0.net
見てるぞ

162:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします
21/05/03 13:11:47.906 K9NOROm30.net
絹旗「おおげさとかそういう問題じゃ無いです! 私をかばって怪我したんですから、これ位は
 させてもらわないと超納得いきません。フレンダ、包帯足りないんで出してもらっていいで
 すか」
 汚れた包帯を解いて、救急キットから止血と回復促進及び痛み止め、三つの効果があるとか
いう軟膏を指で掬い取りながら指示を飛ばす絹旗は、疑問符が飛ぶ程度にはイライラしていた。
フレンダ「かばったって……割と酷い怪我だと思うけど、一体何があった訳?」
 能力を使って引っ張り出した包帯を受け取って、絹旗は手短に説明する。
絹旗「ここに到着する直前に、トラックに轢かれそうになった所を引っ張って助けられたんです
 が、その時上条が跳んだ先にガラスが散らばってて……」
 今までの話から、絹旗がイライラしている理由がなんとなく分かった。
フレンダ「結局、絹旗は自分の不注意で上条が怪我をしたのに、それすらも自分の不幸のせいだと関
 わらないようにした上条にイライラしてるって訳ね」
 ぴたり、と包帯を巻いていた絹旗の動きが止まった。そうかやっぱりそういう事だったんだ
な、でも絹旗もはっきり言えばいいのにとそこまで考えてようやく気付いた。
フレンダ(あ。今の言い方だと何でお前がその事知ってるんだよ、って事になるんじゃない!?)
 しかし気付いたときには時既に遅く。目の前の絹旗が少しは考えろよ、と怒りを通り越して
呆れの混じったジト目で睨んでおり、もちろん横からは麦野が、後ろからは滝壺が、それぞれ
同様のまなざしを向けてるのが見えなくても分かってしまう。こと普段は大丈夫だよ、とか応
援してるとか(若干応援するものがずれていてそのせいで致命傷になることもあるが)フォ
ローしてくれる側の滝壺からの視線が一番痛い。
上条「……聞いたのか」
フレンダ「ごめん」
 どうがんばっても言い訳のしようがなかった。それに、誰にだって知られたくない、思い出
したくない物があることぐらい私も分かっている。
 正直何を言われても仕方が無いと思ったし、これで本当に、知られたくない部分に土足で踏
み込む嫌な奴という風に扱われることとも覚悟したのだが。

163:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします
21/05/03 13:13:02.054 K9NOROm30.net
上条「俺が不幸なのは事実だ、それに誰かを巻き込んでしまうのもまた事実だしな。だから、お
 前が謝る必要はねえよ」
 予想していたように軽蔑することも無く、怒ることも無く、上条はそう言っただけだった。 
 まるでこちらの失言すら自分の不幸のせいだというように。
 いっそのこと責めてくれた方が気が楽だったかも知れないと、責められないという責め苦に
耐えながらも、先ほどより少し口調が柔らかくなっていることに気付く。
 しばらく考えて自分の周りにいると不幸になるという事を知っているのなら、わざと冷たく
振舞って自分から距離をとらなくても離れていくと考えているからではないかと思い当たった。
ということは昨日何も言わずに去ったのもそういう事なのだろうかと、もうこれ以上の失言の
しようもないしと思い切って聞いてみる。
フレンダ「昨日何も言わずにに去ったのもやっぱり私と関わって巻き込まないようにって事?」
上条「そうだな」
 知っている以上は隠す必要がないという判断なのか上条はあっさりと首肯する。
 やっぱりそうか。上条が連絡先も教えずに立ち去ったのは巻き込まないためだったと確証が
持てた今、さっき飲み込んだ言葉を躊躇わせる物は何も無かった。
フレンダ「だったら言わせて貰う訳よ!」
 びしりと上条に人指し指を突きつける。何故かいきなり声を荒げられた上条はあっけに取ら
れていたが、完全に逆ギレ状態なのは承知の上。
フレンダ「結局!! 私は昨日助けられただけで、何か上条の事知ってる訳じゃないけどさ。少なく
 とも私は上条に会って不幸になったとは思ってない。もしろそんな風に不幸に巻き込んだ、
 とかそんな事考えてるのか知らないけど冷たくされる方が迷惑かけたんじゃないかって不安
 になる訳! だから―」
 さっきは冷たくに流されてしまった言葉をもう一度。
フレンダ「改めて、昨日は助けてくれてありがとう、上条」

164:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします
21/05/03 13:14:29.423 K9NOROm30.net
きっと、今までこういう風にお礼を言われることがあってもずっと、ああやって冷たい人間
として振舞って関わらないようにしてきたのだろう。気まずそうに「ああ」とだけ返す上条に
フレンダはニッと笑って応じる。
 だが、そんな風に上条にお礼を言えて満足げなフレンダは、完全に上条の足元にいる人物の
事を忘れていた。
絹旗「人の心情かってに代弁しやがった上で、よくそォんな風にぺらぺら喋ってられまねェ」
フレンダ「げ……」
 ゆらりと立ち上がる絹旗を見て顔が引きつる。そういえば絹旗に何があったか聞いといて、
途中から自棄になって自分の話にしてしまっていたんだった。口調からするに、絹旗はキレか
け寸前。
 脱出しようにも通路側の席には上条が座っており更にその先は絹旗が待っていて、だからと
いって逆側、滝壺を飛び越えて二階の窓を突き破る訳にもいかない。
絹旗「上条、手当て終わりましたよ。それから私からも、助けてくれてありがとうございます」
 どちらにしろ逃げ場が無いのは絹旗も織り込み済みなのか先に上条に話しかけているが、上
条に対しては普通の口調なのが更に恐怖を煽る。
 そして話し終わるとそのまま上下に一ミリのブレも無く、振り向く速度も一定に首をゆっく
りと回して。
絹旗「さァて、お待たせしてしまいましたねェ。ちょォっと席、外しましょォか?」
 口角が上がるように口元を歪めているが、どう見たって笑顔とは対極の位置にある表情だっ
た。

165:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします
21/05/03 13:16:53.125 K9NOROm30.net
フレンダ「い、いやー。私何も待ってない訳よー。なんて」
絹旗「遠慮ですかァ? フレンダらしくないですよォ」
 がしりと肩に手がかかる。かかる力が冗談ではすまないレベルで。
 このままだと席を外す前に肩は確実におしゃかになる、と慌ててこの場にとどまれる理由を
考える。が、ろくな理由が思いつかない。
フレンダ「ほら、私上条に連絡先聞かないといけないし―」
 結局、口から出たのはそれだった。言った瞬間に自分で絹旗に強制連行されるのが確定した
な、と思ったのだが意外にも絹旗はその理由に少し考えてから。
絹旗「……そういう事であれば、超多少待たないことも無いですが」
 (これは―)上条と知り合ったと言っていた時そういえば絹旗が顔を赤らめていたのを思
い出す。
フレンダ(絹旗も超が付くほどの映画バカって言った所で、やっぱり女の子であることにかわ
 りは無いって事な訳よ)
 にひ、と同僚の意外な一面にニヤつきたい気持ちを抑えて、肩を掴んでいる腕を軽く叩いて
だったらちょっと離してと伝えて
上条「連絡先? 何か用があるなら、出来れば今終わらせて欲しいんだけど」
フレンダ「ほら、昨日制服貸してもらったままな訳よ。だから返さなきゃいけないじゃない?」
上条「だったら今ここで返してくれればいいんじゃねえのか?」
フレンダ「それはダメ! だって、今日私着て来ちゃってる訳よ、だから」
上条「いや、そんなの気にしないからさ」
フレンダ「そんな事言って、においが付いたままの制服でなにしようとしてる訳よ!!」
上条「何もしねぇよ?!」

166:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします
21/05/03 13:19:07.994 K9NOROm30.net
フレンダ「ありがとー、上条」
 それから三分後、そこには項垂れる黒髪の少年と嬉々とした金髪の少女という実に対照的な
二人が並んでいた。
上条「『ありがとー』って、お前がケータイ渡すように仕向けたんじゃねーか」
 ケータイを返すと肩は落としたままぐりん、と頭だけ上げて恨みがましい視線を上条が向け
てくる。
フレンダ「でも結局、渡したのは上条だよね? ああなるほどこれが俗に言う嫌よ嫌よも―」
上条「違えよ!! あの状況で渡さないと俺が犯罪者になってただろ?!」
フレンダ「自分から渡した言質いただいた訳よ」
上条「ぐ、が……。ちくせう、不幸だ」
 ガックン、とさっきよりも首の位置が落ちて、何か前から見ると頭が首から落ちる隠し芸的
な領域に到達していた。確かに普通に聞いても教えてくれそうに無かったからとはいえちょっ
とやりすぎたなと反省する。
フレンダ「なんか、ごめん上条」
上条「もうお前の謝罪が次の布石なんじゃないかって、上条さんは内心凄くびくびくしているの
 ですが」
 もう信用が無いどころか軽くトラウマ化していた。
 そんなあまりに哀れな上条に流石に同情したのか麦野が間に入ってくる。

167:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします
21/05/03 13:22:08.866 K9NOROm30.net
麦野「あー。上条君、でいいのよね? ごめんね、ウチの馬鹿があまりに馬鹿すぎて」
上条「いえ大丈夫です……でも、正直こうなるんだったらさっさとメルアドぐらい教えてれば良
 かったと後悔はしてますが」
 ははは、とシリカゲルを口に含んで笑ってるのかというぐらいに愛想笑いが乾燥しているの
に麦野は苦笑してから
麦野「それでも一回ぐらいは会ってあげてちょうだいな、この子もいやがらせで連絡先聞き出し
 た訳じゃないから、ね?」
フレンダ「その、今日は上条に会うなんて全く思ってなくてさ。やっぱり返すときは綺麗にしてから
 返したいっていうのは本音な訳よ」
 麦野の仲介もあってか上条はまあそういう事なら、とため息をついて
上条「確かに、俺もこんなところで会うとは思ってなかったしな」
 次会った時こそちゃんと返す、という事で話が付いた所で上条が立ち上がった。
上条「じゃあ、俺はそろそろ行くよ。用事があるからさ」
フレンダ「そうなの? 何か本当に引き止めて悪かった訳よ」
上条「まぁたいした用じゃないから良いけど、そんじゃあな」
麦野「じゃあね、上条君」
絹旗「超気をつけて帰るんですよ」
滝壺「ばいばい、かみじょう」
フレンダ「じゃあまた今度ね」
 上条は少しの間動きを止めて、そうか、また今度になるのかと呟いてから。
上条「また今度な」
 そう言って背中を向けた。
 そしてそのまま店を出るまで背中を見送ったところでずっと黙っていた上条さんが口を開く。
 「さっきの話を知って、それでもあいつと関わるのかい?」
 そんなもの、答えは決まっていた。
フレンダ「誰がどう言おうと、私は上条に会えて幸運だったと思ってるって訳よ」

168:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします
21/05/03 13:33:28.399 K9NOROm30.net
~~~~~


 「あの娘たちには近づいて欲しくないと思っていたんだが」
 彼女らが後ろ暗い仕事をしているのは早々に気付いていた、どこだかで会った少年兵のよう
な目に、実戦を経験したからこそ生み出せる殺気。この街にそういった物があることにも驚い
たが、それ以上に金髪の子が着ている制服が見覚えのあるものだった時、あいつがそういった
側の世界に関わってしまっているのかもしれないと、ついあの子らを呼び止めて聞いてしまった。
そして関係が無いと確認した以上は出来れば関わって欲しくはないと、自分が一番嫌っていた
はずの迷信を、あいつの周りにいると不幸になる、そうまで言って引き離そうとしたのだが。
 「なのにそういう風に言ってくれるとはね」
 会えて幸運だった、言われた言葉を思い出す。ここに来る前にああいってくれる人間に会え
ていれば、あいつも『疫病神』なんて言葉に縛られずに済んだのかもしれない。
 しかし何より、引き離そうと思って話した結果がこれである。どうあっても神様とか言う奴
は素直にあの子に運を分ける気はないらしい。
 しかし、そういってくれる人間に会えただけで十分だ。彼女らがどんな仕事をしていようが、
そういう人間であることに変わりは無い。それに彼女らもまた不幸な境遇の末に、そうするし
か生きる術が無いようであった。
 それならば、今は暖かく見守るとしようか。
「全く…人生とはわからんものだな」
 尤も人生語れるほど生きてもいないがね、と誰も答える者が居なくなったテーブルに向かっ
て独り言を吐いた。

~おわり~

169:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします
21/05/03 13:43:32.230 XW4yOOqK0.net

まさかこのご時世に安価でもないまともなSSをVIPで見られるとは

170:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします
21/05/03 13:43:46.697 gb6UNjcK0.net
おつ

171:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします
21/05/03 13:52:12.644 CBH5FnIBd.net
おつ

172:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします
21/05/03 13:53:12.466 9QxPVPtCr.net
超乙です
超久しぶりに禁書SSを読みましたがやはり超面白いですね
超諦観してる感じが記憶喪失前の上条ぽくて超いい感じでした
ただ麦野の性格が原作の超改心した後でもないのに超丸い気がして気になりました
それと絹旗との戦いで超右手を使わなかったのも気になりました
後者は何か理由とか超あるのでしょうか?

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