シンジ「君が、葛城ミサトちゃんだね」at NEWS4VIP
シンジ「君が、葛城ミサトちゃんだね」 - 暇つぶし2ch2:
20/11/22 13:03:00.943 JsiiAkaUr.net
電話「特別非常事態宣言発令のため、現在すべての通常回線は不通となっております」
ミサト「…だめか」
手元にシンジの写真と父親からの手紙
ミサト「…やっぱり、来るんじゃなかった…」

ミサト「……シェルターに…行ったほうがいいわよね」
爆風
ミサト「あぅ…っ、」
使徒が歩いている
ミサト「な……!」

3:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします
20/11/22 13:03:56.522 D6NouGvIp.net
ふーん

4:
20/11/22 13:06:00.451 LIIiGtQh0.net
オペレータ「正体不明の移動物体は依然本所に対し進行中」
ケンスケ「目標を映像で確認。主モニターに廻します」
カヲル「15年ぶりだね」
葛城「間違いない……使徒だ」

国連軍「目標に全弾命中!……ぐわあっ!」
激しい戦闘
ミサトの前に車が止まる

シンジ「ミサトちゃんっ!怪我はない!?」

5:
20/11/22 13:09:13.802 JsiiAkaUr.net
ケンスケ「目標は依然健在。現在も第3新東京市に向かい、侵攻中」
オペレータ「航空隊の戦力では足止めできません!」
司令官「総力戦だ!厚木と入間も全部挙げろ!」
司令官「出し惜しみは無しだ!なんとしても目標を潰せ!」
攻撃をものともしない使徒。
司令官「なぜだ!直撃のはずだ!」
司令官「戦車大隊は壊滅、誘導兵器も砲爆撃もまるで効果なしか」
司令官「ダメだ!この程度の火力では埒があかん!」
カヲル「やはり、A.T.フィールド…」
葛城「ああ…使徒に対して、通常兵器での攻撃は通用しない」
司令官「分かりました、予定通り発動いたします」
カヲル「……連中、痺れを切らしたようだね」

6:
20/11/22 13:13:25.233 LIIiGtQh0.net
シンジ「まさかっ、N2地雷を…!?」
シンジ「伏せて!!!」

司令官「やった!」
司令官「残念ながら、君たちの出番はなかったようだな」
オペレータ「衝撃波、来ます」

シンジ「……けほっ…大丈夫だった…?」
ミサト「……はい、なんとか…」
シンジ「よし…怪我も…、ないね。良かった」
シンジ「ちょっと待っててね、今、これを…!……」
横転した車。

7:
20/11/22 13:17:17.656 JsiiAkaUr.net
シンジ「ふぐ…っ!」
シンジ「んぐ…っ!」
シンジ「はぁ…はぁ…」
ミサト「……」
ミサト「……あ、あの…手伝います」
シンジ「ご…ごめんね…!じゃあ…」
シンジ・ミサト「…せーのっ!」

シンジ「…ハァ、ハァ…ありがとう、ミサトちゃん。助かったよ」
ミサト「いえ、わ、私の方こそ。その、碇さん」
シンジ「…シンジでいいよ。…あらためて、よろしくね。葛城ミサトちゃん」
ミサト「はい!…し、シンジさん」

8:
20/11/22 13:21:09.092 LIIiGtQh0.net
司令官「その後の目標は?」
オペレータ「電波障害のため、確認できません」
司令官「あの爆発だ。ケリはついてる」
ケンスケ「センサー回復します」
オペレータ「爆心地に、エネルギー反応!」
司令官「なんだとぉっ!」
ケンスケ「映像、回復します」
司令官「おお…」
司令官「われわれの切り札が…」
司令官「なんてことだ…」
司令官「化け物め!」

9:
20/11/22 13:25:20.327 JsiiAkaUr.net
(通話)
シンジ「……うん。なんとかなったよ…はは…ありがとう心配してくれて。うん、ミサトちゃんも無事」
シンジ「うん…え…悪いよ……確かに、そのほうが早いけど……あ、ごめんそれは……途中で車が……うん、うん……分かったよ…じゃあよろしく。また本部で」
シンジ(はぁ…大切に乗ってたのになぁ…ボコボコだ……。長く乗った車だから愛着があるけど…修理はもう無理かな…)

シンジ「…買い換えどきか…」
ミサト「えっ?」
シンジ「あ…なんでもないよ、別に…!はは」
ミサト「……」
シンジ「あれっ、ミサトちゃん…」
シンジ「擦りむいてるじゃないか、ここ」
ミサト「あ…いえ、平気です!ほんとに少しですから」

10:
20/11/22 13:31:17.531 LIIiGtQh0.net
シンジ「そういうわけには…。ちょっと待ってね、確かここに…」ガサゴソ
シンジ「あった!…はい、絆創膏」

ミサト「あ……ありがとう、ございます…」

シンジ「……ごめんね。来て早々、嫌な思いばかりさせちゃって」
ミサト「そんなこと……私より、シンジさんが…」
シンジ「はは……僕は、これが仕事だから」
ミサト「……」
シンジ「優しいね、ミサトちゃんは…」
ミサト「えっ」
シンジ「ありがとう、心配してくれて」

11:
20/11/22 13:35:13.943 JsiiAkaUr.net
カヲル「予想通り、自己修復中か…」
葛城「そうでなければ単独兵器として役に立たない」
カヲル「ごらんよ…機能増幅まで可能なようだ」
葛城「…知恵をつけてきたな…」
カヲル「再度進攻は、時間の問題だね」

アナウンス「ゲートが閉まります。ご注意ください。発車いたします…」
ミサト「…特務機関、ネルフ…」
シンジ「うん。国連直属の非公開組織なんだ」
ミサト「父のいるところですよね…」
シンジ「そう…お父さんから仕事のこと、聞いてる?」
ミサト「人類を守る大事な仕事だ、って……おじさんから」
シンジ「…そう……」

12:
20/11/22 13:39:18.096 LIIiGtQh0.net
司令官「今から本作戦の指揮権は君に移った。お手並みを見せてもらおう」
葛城「了解しました」
司令官「葛城君、われわれの所有兵器では目標に対し有効な手段がないことは認めよう」
司令官「だが、君なら勝てるのかね?」
葛城「そのためのネルフです」
司令官「期待しているよ」
オペレータ「目標は未だ変化なし」
トウジ「現在迎撃システム稼働率7.5%」
カヲル「国連軍もお手上げのようだ…どうする?」
葛城「…初号機を起動させる」
カヲル「初号機を?パイロットは不在では?」
葛城「……じき到着する」

13:
20/11/22 13:43:08.943 JsiiAkaUr.net
ミサト「…これから父のところへ、行くんですか…?」
シンジ「…そうだね、すぐには…会えないかもしれないけど」
ミサト(…お父さん…)
シンジ「あ、そうだ、お父さんからIDは貰ってない?」
ミサト「あ、はい、あります…」
シンジ「…うん、確かに。じゃ…ミサトちゃんには、これを」
ミサト「ネルフ?お父さんの仕事場で…何かするんですか?私が?」
シンジ「……」
ミサト「…そう、ですよね…用もないのに…手紙なんてくれるわけない」

14:
20/11/22 13:47:12.362 LIIiGtQh0.net
シンジ「…用もないのに、手紙のやりとり」
ミサト「えっ?」
シンジ「してみたいよね。……大したことじゃなくたっていい…とにかく元気か、くらいの言葉があれば…」
シンジ「僕の父も、そういう人だったから。もういないけど」
ミサト「……」
シンジ「……必要、なんだと思うよ。きみの力が」
ミサト「必要……」

ミサト(…捨てられた私が?)

15:
20/11/22 13:51:08.140 JsiiAkaUr.net
ミサト「……!すごい…ジオフロント…!」
シンジ「うん…これが僕たちの秘密基地、ネルフ本部…世界再建の要、人類の砦となる場所…」

シンジ「ちょっと待っててね……確か…内通は…っと…」

アナウンス「セントラルドグマの閉鎖通路は現在…」
シンジ「ごめんね、まだ慣れてなくて」
ミサト「いえ……」

アナウンス「技術局第一課E計画担当の綾波レイ博士、綾波レイ博士、至急作戦部第一課碇シンジ一尉までご連絡ください」
レイ「……」

16:
20/11/22 13:55:08.801 LIIiGtQh0.net
シンジ「あ……ごめん綾波、泳いでたの…?」カァ
レイ「15分の遅刻」
シンジ「うっ……ごめん…!」
レイ「…例の女の子ね」
ミサト「あ…うん、マルドゥックの報告書による、サードチルドレン」
レイ「よろしく」
ミサト「は、はい…よろしくお願いします…」

17:
20/11/22 14:01:09.437 JsiiAkaUr.net
シンジ「コミュニケーションに概ね問題はなさそうだよ……しっかりしてるし」コソッ
レイ「……」
シンジ「…何?」
レイ「似てなくてよかったわね」
シンジ「な…、何も言ってないじゃないか…!」
レイ「あなた司令が苦手だものね……」
シンジ「……」

葛城「渚……後を頼む」
カヲル「3年ぶりの対面か…」
トウジ「目標が再び移動を開始」
カヲル「…よし、総員第一種戦闘配置」

18:
20/11/22 14:05:08.302 LIIiGtQh0.net
アナウンス「繰り返す、総員第一種戦闘配置。対地迎撃戦用意」

シンジ「…上はどうなってるの?」
レイ「やっとこちらに指揮権を渡したそうよ」
シンジ「…今、初号機は?」
レイ「B型装備のまま、現在冷却中」
シンジ「あれを使うの? まだ一度も動いたことないじゃないか」
レイ「起動確率は0.000000001%」
シンジ「…オーナインシステムか……本当に動くの?」
リツコ「可能性はゼロではないわ」
シンジ「……どの道…もう、動きませんでした、では済まされないか…」

19:
20/11/22 14:09:11.398 JsiiAkaUr.net
ミサト(う…わ、何も見えない…)

ミサト「えっ、顔…?ロボット……!?」
レイ「探しても、載ってないわ」
ミサト「えっ?」
レイ「人の作り出した究極の汎用人型決戦兵器、人造人間エヴァンゲリオン。その初号機。建造は極秘裏で行われた」

レイ「私たち人類の、最後の切り札」
ミサト「……これが、お父さんの…仕事……?」
葛城「そうだ」
ミサト「……!」
葛城「……よく来た」

20:
20/11/22 14:13:10.616 LIIiGtQh0.net
ミサト「お父さん…」
葛城「出撃だ……」
シンジ「出撃!?そんな…!零号機は凍結中のはず…まさか、初号機を…?」
レイ「……ほかに道はない」
シンジ「でも!リツコちゃんはまだ…!無理だよ!あの状態では、とても…!」
レイ「……新しいパイロットは到着した」
シンジ「な…っ」
レイ「葛城ミサトさん」
ミサト「え……」
レイ「あなたを、エヴァンゲリオンの正式なパイロットとして、ここに迎えます」

21:
20/11/22 14:17:10.122 JsiiAkaUr.net
ミサト「は……」
シンジ「そんな!!……ミサトちゃんは今ここに着いたんだよ!?リツコちゃんでさえ、エヴァとシンクロするのに7ヶ月もかかったっていうのに…!この子には無理だよ!!!」

レイ「座っていればいいわ。それ以上は望まない」
シンジ「でも…!」
レイ「今は使徒撃退が最優先事項。そのためには誰であれ、エヴァとわずかでもシンクロ可能と思われる人間を乗せるしか、方法はない」
レイ「分かっていたはずよ、碇一尉」
シンジ「……っ」

22:
20/11/22 14:21:07.879 LIIiGtQh0.net
ミサト「…っ、お父さん…なぜ呼んだの…?」
葛城「……話は聞いたはずだ」
ミサト「お父さんからは聞いてないわよ……!私に…これに乗って戦えって言うの?さっきの化け物と!」
葛城「…そうだ」
ミサト「………いやよっ!そんなの……!何?なんでそうなるのよ、今更、いまさら……私を捨てたんじゃなかったの!!?」
葛城「……捨てた覚えはない」
ミサト「なぜ、私なの?」
葛城「お前にしかできないことだからだ」
ミサト「……無理よ…っ!そんなの…見たことも、聞いたこともないのに、できるわけない!」

23:
20/11/22 14:25:08.839 JsiiAkaUr.net
葛城「……綾波博士」
レイ「はい」
ミサト「嫌っ!いや…!触らないで…!絶対に乗らない……!」
葛城「ミサト…説明を受けるんだ」
ミサト「嫌よ!!できっこない…こんなの乗れるわけない!!!死ぬなんて嫌よ!!!」
葛城「……」
葛城「………分かった」
ミサト「えっ…」

24:
20/11/22 14:31:07.819 LIIiGtQh0.net
葛城「配属は取り消す」
ミサト「…!」
葛城「帰りなさい」
葛城「ここにお前の居場所はない」

地響き。

葛城「ここに気付いたか…」

ミサト(……)
ミサト「……、…!」

25:
20/11/22 14:35:11.349 JsiiAkaUr.net
レイ「混乱は分かるわ。でも迷っている時間はないのよ」
ミサト「でも………そんな、だって…わたし…」
シンジ「………無理だよ、綾波…!この子は本当に…何の訓練も受けてない、普通の…!」
レイ「では、赤木リツコを向かわせる?」
シンジ「………!」
レイ「二つに一つよ」

ミサト(居場所がない……また、失うの…?)
ミサト(でも……できるわけ……)

26:
20/11/22 14:39:20.861 LIIiGtQh0.net
葛城「渚、リツコを」
カヲル「……繋がってるよ」
葛城「リツコ」
リツコ「…はい」
葛城「悪いが、もう一度だ」
リツコ「はい」

レイ「初号機のシステムを赤木リツコに書き直して、再起動!」
ヒカリ「了解。現作業中断。再起動に入ります」
ミサト(……私が……逃げ出したから…)
ミサト「また………捨てられる」

27:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします
20/11/22 14:39:45.768 YTw6cfLqp.net
うーん、もうちょい、ミサトだったらならではの会話というか展開が欲しい
本編そのままに近いし

28:
20/11/22 14:43:33.394 JsiiAkaUr.net
運ばれてくる少女
衝撃。鉄骨が落下する
シンジ「ミサトちゃん!!」
ミサト「きゃあぁっ!」

オペレータ「エヴァが動いた!どういうことだ!?」
オペレータ「右腕の拘束具を引きちぎっています!」
レイ「まさか、ありえない…!エントリープラグの挿入もなしに…!」
シンジ「………!守ったのか……?彼女を…インターフェースもなしに……これなら…!」
シンジ(いけるかもしれない…!)
少女に駆け寄るミサト
リツコ「………ぅ、……」
ミサト「………!!」
ミサト(……ちゃ…だめ…、逃げちゃ駄目…泣いちゃ駄目、甘えちゃ駄目…っ!)
ミサト「…やります、私が乗ります…!」

29:
20/11/22 14:48:20.244 LIIiGtQh0.net
オペレータ「冷却終了」
オペレータ「右腕の再固定完了」
オペレータ「ケイジ内、すべてドッキング位置」
ヒカリ「停止信号プラグ、排出終了」
オペレータ「了解。エントリープラグ挿入」
オペレータ「脊髄連動システムを解放。接続準備」
オペレータ「プラグ固定終了」
オペレータ「第一次接続開始」

ヒカリ「エントリープラグ、注水」
ミサト「…う、わっ…!何ですか!?これ」
レイ「大丈夫。肺がL.C.L.で満たされれば、直接血液に酸素を取り込んでくれる。すぐに慣れるわ」
ミサト「うぷ………」
シンジ「……」

30:
20/11/22 14:51:18.835 JsiiAkaUr.net
オペレータ「主電源接続!」
オペレータ「全回路、動力伝達」
レイ「了解」
ヒカリ「第二次コンタクトに入ります」
ヒカリ「A10神経接続、異常無し」
レイ「思考形態は、日本語を基礎原則としてフィックス。初期コンタクト、すべて問題なし」
ヒカリ「双方向回線開きます。シンクロ率、41.3%」
レイ「逸材ね…」
ヒカリ「ハーモニクス、すべて正常値。暴走、ありません」
レイ「いけるわ」
シンジ「うん……発進、準備!」

31:
20/11/22 14:55:16.131 LIIiGtQh0.net
オペレータ「発進準備!」
オペレータ「第一ロックボルト外せ!」
オペレータ「解除確認、アンビリカルブリッジ、移動開始」
オペレータ「第二ロックボルト外せ!」
オペレータ「第一拘束具除去。同じく、第二拘束具を除去」
オペレータ「1番から15番までの安全装置を解除」
オペレータ「内部電源、充電完了」
オペレータ「外部電源用コンセント、異常無し」
ヒカリ「了解、エヴァ初号機、射出口へ」

ヒカリ「進路クリアー、オールグリーン!」
レイ「発進準備完了」
シンジ「了解」

32:
20/11/22 14:56:55.186 JsiiAkaUr.net
シンジ「本当に…いいんですね…?」
葛城「…使徒を倒さぬ限り、われわれに未来はない」
カヲル「お手並み拝見といこうか…」

シンジ「発進!」
ミサト「…ぐっ、う…っ」

シンジ(ミサトちゃん……死なないで…!)



壱話分終わり

33:
20/11/22 15:01:14.016 LIIiGtQh0.net
シンジ「ミサトちゃん、ここからは…君の意思で動かしてもらうことになる」
ミサト「は、はい…!」
シンジ「最終安全装置、解除!」
シンジ「エヴァンゲリオン初号機、リフトオフ!」
レイ「…聞こえる?ミサトさん、今は歩くことだけに集中して」
ミサト「歩く、…!」
レイ「歩いた…!」
ミサト「歩、く…!」
ミサト「………う、わ……っ!」

34:
20/11/22 15:05:16.750 JsiiAkaUr.net
シンジ「…ミサトちゃんっ!」
ミサト「………!……は…っ!」
シンジ「ミサトちゃん!!!起き上がって!!!」
ミサト「うっっ」
使徒に腕を掴まれる
ミサト「あぁ…っ!ぁ…!」
シンジ「落ちついて!落ちついてミサトちゃん!!!本当の腕じゃないんだよ…!」

35:
20/11/22 15:09:08.757 LIIiGtQh0.net
レイ「エヴァの防御システムは?」
ヒカリ「シグナル、作動しません」
トウジ「フィールド、無展開!」
レイ「いけない!」
ミサト「あぁ……っ!」
ヒカリ「左腕損傷!」
トウジ「回路断線!」
シンジ「ミサトちゃんっ、よけてっっ!!」
ミサト「!」
ヒカリ「頭蓋前部に、亀裂発生!」
レイ「装甲が、もう、持たない…!」
ケンスケ「頭部破損、損害不明!」
ヒカリ「制御神経が、次々と断線していきます!」
トウジ「パイロット、反応なし!」
シンジ「ミサトちゃんっ!!」

36:
20/11/22 15:13:25.828 JsiiAkaUr.net
蝉が鳴いている

ミサト「………知らない天井…」

回収される初号機

人類補完委員会
委員「使徒再来か。あまりに唐突だな」
委員「15年前と同じだよ。災いは何の前触れも無く訪れるものだ」
委員「幸いともいえる。われわれの先行投資が無駄にならなかった点においてはな」
委員「そいつはまだ分からんよ。役に立たなければ無駄と同じだ」
委員「左様。今や衆知の事実となってしまった使徒の処置、情報操作、ネルフの運用はすべて適切かつ迅速に処理してもらわんと困るよ」
葛城「…その件については対処済みです。ご心配なく…」

37:
20/11/22 15:17:14.831 LIIiGtQh0.net
テレビ「昨日の特別非常事態宣言に対する政府発表が今朝、第一…」
テレビ「今回の事件には…」
テレビ「在日国連軍の…」
ヒカリ「はい。爆心地における汚染の心配はありません。使徒のサンプルはエヴァに付着していたもの以外はまだ何も。そうです、模擬シミュレーションの通り、その99.9%が蒸発したものと思われます」

シンジ「…発表はシナリオB-22か…」
レイ「広報部はやっと仕事ができたって」
シンジ「…成功しても隠蔽。失敗すれば存在ごと抹消…僕たちのやってることって…」
レイ「…表向きの顔は必要よ…。本当はみんなも恐いんじゃないかしら…」
シンジ「……僕も、恐いよ…」

38:
20/11/22 15:21:09.232 JsiiAkaUr.net
委員「ま、そのとおりだな」
委員「しかし葛城君、ネルフとエヴァ、もう少しうまく使えんのかね?」
委員「零号機に引き続き、君らが初陣で壊した初号機の修理代。国が一つ傾くよ!」
委員「聞けばあのオモチャは君の娘に与えたそうではないか」
委員「人、時間、そして金。親子そろっていくら使ったら気が済むのかね?」
委員「それに君の仕事はこれだけではあるまい。人類補完計画、これこそが君の急務だ」
委員「左様。その計画こそがこの絶望的状況下における唯一の希望なのだ。我々のね」
キール「いずれにせよ、使徒再来における計画スケジュールの遅延は認められん。予算については一考しよう」
委員「では、後は委員会の仕事だ」
委員「葛城君、ご苦労だったな」

キール「葛城、後戻りはできんぞ」

葛城「分かっています…人間には時間がない」

39:
20/11/22 15:25:26.581 LIIiGtQh0.net
病院の廊下。すれ違うミサトとリツコ
ミサト「……」


シンジ「ミサトちゃんが?」
レイ「ええ、気が付いたそうよ」
シンジ「容体は?」
レイ「外傷は無し。少し記憶に混乱が見えるそうだけど」
シンジ「まさか…」
レイ「…精神汚染の心配はないそうよ、検査済み」
シンジ「そう…そうか……良かった…」
レイ「安心するのはまだ早いかもしれない…脳神経にかなりの負担がかかったから」
シンジ「……」
シンジ「心の傷か…」

40:
20/11/22 15:31:10.156 JsiiAkaUr.net
作業員「オーライオーライ!」
作業員「よーし、そのまま!」

シンジ「…エヴァとこの町が完全に稼動しても、まだまだ問題は山積みだね…」
レイ「…ずいぶんと後ろ向きね。やっとエヴァが動いたのに」
シンジ「初号機が動いたのは大きな前進だよ、使途も倒した。でも……」
レイ「希望的観測も必要よ、ある程度はね」
シンジ「うん……ありがとう…」
シンジ「……」
レイ「……どうしたの…?」
シンジ「……代わってあげれたら、いいのにね……いや」
シンジ「僕ならきっと逃げ出してる…」
シンジ「世界再建の要、人類の砦………でも実状は」
レイ「……」
シンジ「あんな小さな子どもを戦わせてる…」

41:
20/11/22 15:35:15.951 LIIiGtQh0.net
アナウンス「第一内科のウガイ先生、ウガイ先生、至急、第一外科のアズマ先生までご連絡ください」
アナウンス「E事件の医療会議は予定通りに行われます。担当者は第2会議室へ集まってください」

エレベーター前。鉢合わせる親子、見つめるシンジ。


カヲル「…それで、彼は適任ではないと?」
レイ「……有事の際には非情な決断を迫られる立場でもあります、碇一伊は、あまりにも…」
カヲル「優しすぎる。…そうだね、分かっているよ」
レイ「では、なぜ…」
カヲル「彼が苦悩しているのも知っている。でも、だからこそなんだよ…彼の心は繊細で、ガラスのように壊れやすい…」
カヲル「戦いに出る子どもたちの…「心」を痛んでやれるのは彼だけだ。冷徹な上官だけが有能なわけじゃない…分かってくれるね…?」
レイ「……出すぎたまねを」
カヲル「いや…いいんだ。彼を支えてあげてほしい」
カヲル「…それも、君にしかできないことだ」
レイ「はい……」

42:
20/11/22 15:39:12.612 JsiiAkaUr.net
シンジ「……一人で、ですか…?」
ネルフ職員「そうだ。彼女の個室はこの先の第6ブロックになる。問題は無かろう」
ミサト「はい」
シンジ「え……それでいいの?ミサトちゃん」
ミサト「…いいんです、一人のほうが。慣れてますから」
シンジ「…………」

43:
20/11/22 15:43:06.373 LIIiGtQh0.net
(通話)
レイ「…何を言ってるの?」
シンジ「だから…ミサトちゃんだよ。いくら仲が悪いからって、あんなことがあった後に一人には…だから、僕のところにと思って。上の許可は下りてるんだ。心配しなくてもうまくやるよ」

レイ「……あなた、どこまで……。背負いきれなくなるわよ?」
シンジ「でも………放っとけないよ…」
レイ「ハァ…その歳の女の子を一人暮らしの男性の家になんて、どうかと思うけど…碇くんじゃなきゃ、許可は下りなかったでしょうね…」
レイ「いいわ。くれぐれも間違いのないように」

シンジ「間違いって…?………なっ…!あっ!当たり前じゃないか!!」

シンジ「もう…冗談が分かりづらいよ…!」
ミサト「あの…?」
シンジ「あっ、ああごめん、今車出すから!」

44:
20/11/22 15:47:09.760 JsiiAkaUr.net
主婦A「やっぱり、引っ越されますの?」
主婦B「まさかここが本当に戦場になるとは思ってもみませんでしたから」
主婦A「うちも主人が私と子供だけでも疎開しろって」
主婦B「疎開ねぇ。いくら要塞都市だからと言ったって、何一つ当てにできませんものね」
主婦A「昨日の事件!思い出しただけでもぞっとしますわぁ」

シンジ「……少し寄りたいところがあるんだけど、いいかな…?」
ミサト「えっ?構いませんけど…」
シンジ「ふふ…きっと驚くよ」
ミサト「……?」

45:
20/11/22 15:51:09.470 LIIiGtQh0.net
シンジ「着いたよ」
ミサト(…なんだか寂しい街……夕日を楽しめってことかしら…?)
シンジ「…時間だ」
ミサト「……あっ…!」

ミサト「すごい…!ビルが生えてく…」

シンジ「…これが使徒迎撃専用要塞都市、第3新東京市。僕たちの街」
シンジ「そして…ミサトちゃん、君が守った街だ…」
シンジ「ありがとう、ミサトちゃん、僕たちを、街を…守ってくれて」
ミサト「………」

46:
20/11/22 15:55:08.213 JsiiAkaUr.net
シンジ「ミサトちゃんの荷物はもう届いてると思うけど…実は僕も先日この町に引っ越してきたばかりなんだ。さっ、入って」
ミサト「あっ、あの…おじゃまします…!」
シンジ「そんな…緊張しないで。今日からここはミサトちゃんの家でもあるんだから…」
ミサト(家……私の、)

ミサト「…た、ただいま…」
シンジ「…お帰りなさい」

シンジ「ごめんね、散らかってて…」
ミサト「いえ………とっても綺麗です…」
シンジ「そう? 今夕飯の支度するね。なにか苦手なものとかある?」
ミサト「い、いえ。何も」
シンジ「そう、良かった」

47:
20/11/22 16:01:05.843 LIIiGtQh0.net
ミサト「…? あの、あっちの冷蔵庫は…?」
シンジ「あ、後で紹介するよ。今はまだ寝てるだろうから」
ミサト「寝てる?」

「サクサクサク」「トントントン」「チーン」

シンジ「ごめんね、在り合わせのものしかなくて…」
ミサト「すごい…!」
シンジ「あはは、ありがとう。ほんとは水につけておくとね、もっと美味しいんだけど。これも冷やす時間があったらなぁ…また明日食べようね」
ミサト「は…はい」
シンジ「? どうしたの?…あ、ごめん…多すぎたかな?女の子の食べる量ってよく分からなくて…それとも食欲がなかった?」
ミサト「い、いえ!あの、そうじゃなくて…こういう食事…慣れてなくて…」

48:
20/11/22 16:05:11.530 JsiiAkaUr.net
シンジ「……」
ミサト「いや、あの、違うんです。食べたくないわけじゃ…!」
シンジ「落ち着かない?」
ミサト「え?」
シンジ「僕もね、ほんと言うと久し振りなんだ…誰かとこうやって食卓を囲むの。だから、何話せばいいのかなって…考えてたら、料理もこんなに作っちゃって」

ミサト「……」

シンジ「…でも、ミサトちゃんも同じだってわかってほっとしたよ。はは…駄目だね。僕のほうが大人なのに、全然気のきいたこと言えないや」
ミサト「いえ!そんなこと…!…その…慣れないですけど、誰かと、し…シンジさんと、食事するの、…あ、安心するっていうか、…」
ミサト「楽しい、です…」

シンジ「…!そう…良かった」

49:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします
20/11/22 16:08:44.276 DxWi0b+v0.net
なにこれ

50:
20/11/22 16:09:10.984 LIIiGtQh0.net
シンジ「家事?いいよ~そんなの。今までだって一人でやってきたんだし」
ミサト「あ、あの、でも…私も、その…一員、ですから、公平に…」
シンジ「…ふふ、そうだね。じゃあジャンケンしよっか」
ミサト「はい…!」

シンジ「あはは…結局…」
ミサト「す…すいません…なんか…」
シンジ「いいよいいよ!公平にジャンケンで決めた結果だし…元々ひとりでやるつもりだったんだから。月曜と火曜はよろしくね」
ミサト「はい!…あ…でも…」
シンジ「?」
ミサト「私あんまり料理とか、得意じゃなくて…その、シンジさんみたいに美味しくできないかも…」
シンジ「そんなこと。気にしなくていいよ。作ってくれるだけでも、十分ありがたいよ…それに、分からないことがあったら、聞いてくれれば…」
ミサト「……」
シンジ「料理なら…ちょっとは自信あるんだ。大体のことは分かると思う。だから、その…遠慮しないでなんでも聞いてね」
ミサト「…はい!そうします」

51:
20/11/22 16:13:16.991 JsiiAkaUr.net
シンジ「……うん。このくらいかな。当面はこの割り当てで様子みよっか」
ミサト「はい」
シンジ「よっと」カチャ
ミサト「あっ…手伝います」
シンジ「いいよ、作りすぎちゃったのは僕だから。それより今日は疲れてるだろうし。お風呂湧いてるから、ゆっくり入っておいでよ」
ミサト「…ありがとう、ございます…」

皿洗い中のシンジ
シンジ「フンフフーン」カチャカチャ
ミサト「!!!!!????しっ、ししし、シンジさんっ!!!!」
ミサトに背を向けたままのシンジ
シンジ「ミサトちゃん?早かったね…ゆっくり入ってよかったのに」ジャブジャブ
ミサト「お、おお、お風呂に、ど、ど、ど、動物…!!!」
シンジ「あはは。ペンペンに会ったの?大丈夫だよ。ペンペンは新種の温泉ペンギンなんだ」ジャー

52:
20/11/22 16:17:06.824 LIIiGtQh0.net
ペンペン「クワッ!」
ミサト「ペン…ギン…」
シンジ「驚かせちゃってごめんね。紹介するの、忘れて…」クルッ…
シンジ「エッ……うわっ、み、ミサトちゃ…っ!!!!!」
ミサト「!!!!!!!」

ミサト「きゃーーーーーーー!!!!!」バタバタ

シンジ「……………意外と、おっちょこちょい、なのかな…」

シンジ「……」カァ

53:
20/11/22 16:21:15.296 JsiiAkaUr.net
ミサト「……やっちゃった…!引っ越し早々…!」ブクブク
ミサト「………」
ミサト(……でも…碇シンジさん、か……良い人みたいで良かった…)
(シンジ「なんでも聞いてね」)
ミサト(……ウソみたい……あんなことがあって、死ぬ思いをしたのに……美味しいご飯食べて、お風呂に浸かって…)
ミサト「生きてるのね…私」
ミサト(ここで生きていくの…?本当に?)

(葛城「ここにお前の居場所はない」)

ミサト「………!」ザプンッ
ミサト(でも、他に行く場所もない……)
(レイ「赤木リツコにデータを書き換えて!」)
(リツコ「……ぅ、……」)

ミサト「……赤木、リツコか…」

54:
20/11/22 16:25:06.953 LIIiGtQh0.net
葛城「……リツコの様子はどうだ」
レイ「身体の傷は20日もすれば良くなります」
葛城「そうか……ではそれまでに凍結中の零号機の再起動を取り付ける」
レイ「心のメンテナンスもなしに、ですか?」
葛城「……私の出る幕ではない、その件に関しては碇一伊に一任している……」
葛城「いかに倫理的な問題があったとしても、エヴァを動かせる人間は他にはいない」
レイ「………分かりました」

55:
20/11/22 16:32:03.343 JsiiAkaUr.net
(通話)
シンジ「激励の言葉…?「この仕事に誇りを持て」なんて言えないよ、まだ自分の夢も見たことないような子どもに…」
レイ「夢を見るのに、明日の世界は必要よ。あの子には前を向いてもらわないと…」
シンジ「そうだよ…だけど…分からないんだ。何を言う権利がある…?世界のためだ人類のためだと言って僕たちは子どもを利用してるんだ」
レイ「……」
シンジ「…道具みたいに……」

レイ「あなたがそれでは…無敵の要塞も形無しよ?」
レイ「……しっかり胸を張って。「碇作戦部長」」

シンジ「………」

56:
20/11/22 16:35:37.635 LIIiGtQh0.net
ミサト(ここも、知らない天井……当たり前か。この街で知っているとこなんて、どこにも無いんだから…)
(シンジ「ミサトちゃんの家でもあるんだから…」)
(葛城「ここにお前の居場所はない」)
ミサト(………)
ミサト(本当に…なんでここにいるんだろ……)

57:
20/11/22 16:39:08.939 JsiiAkaUr.net
(回想)
ケンスケ「頭部破損、損害不明!」
オペレータ「活動維持に問題発生!」
シンジ「状況は!?」
ヒカリ「シンクログラフ反転、パルスが逆流しています!」
レイ「回路遮断、塞き止めて!」
ヒカリ「だめです、信号拒絶、受信しません!」
シンジ「ミサトちゃんは!?」
トウジ「モニター反応無し、生死不明!」
ケンスケ「初号機、完全に沈黙!」
レイ「碇くん!」
シンジ「……っ…作戦中止!パイロット保護を最優先、プラグを強制射出して!」
ヒカリ「だめです、完全に制御不能です!」
シンジ「そんな……!!」

58:
20/11/22 16:43:06.653 LIIiGtQh0.net
オペレータ「エヴァ、再起動!」
ヒカリ「そんな、動けるはずありません!」
シンジ「……まさか…!」
レイ「暴走!?」

咆哮する初号機

カヲル「勝負…あったね」

レイ「A.T.フィールド!」
シンジ「……だめだ!A.T.フィールドがある限り」
レイ「使徒には接触できない!」
ケンスケ「左腕復元!」
シンジ「これは…!?」

59:
20/11/22 16:47:07.559 JsiiAkaUr.net
ヒカリ「初号機もA.T.フィールドを展開…位相空間を中和していきます!」
レイ「いいえ、侵蝕している…」
シンジ「あのA.T.フィールドをいとも簡単に…!」

使徒の腕を折る初号機。コアを叩く
変形した使徒が初号機を抱き込む

シンジ「!!自爆…!?」
ヒカリ「エヴァは…!?」
レイ「あれがエヴァの…」
シンジ「本当の姿…」
葛城「……」

60:
20/11/22 16:51:07.539 LIIiGtQh0.net
ケンスケ「回路、接続」
オペレータ「システム回復、グラフ正常位置」
トウジ「パイロットの生存を確認」
レイ「機体回収班、急いで!パイロット保護を最優先に!」

ミサト「……ふ、ぅあ…っ」
建物のガラス越し。初号機と目が合う
ミサト「あああああああっっ!」

61:
20/11/22 16:55:18.221 JsiiAkaUr.net
シンジ「ミサトちゃん……?もう寝た…?」

シンジ「いきなり…こんな街に連れてこられて、使徒と戦わされて…ぶつけようのない感情があると思う」
シンジ「僕たち大人を…恨んでくれて構わない」

シンジ「逃げないでくれてありがとう…、戦ってくれて、ありがとう…だけどこの先、立ち向かえない現実があったとしても、」
シンジ「ミサトちゃん…君自身のことは、嫌いにならないでほしい」
シンジ「…立派なことをしなくても……君は、君でいていいんだから…」
シンジ「おやすみ…」
ミサト「………」



弐話分終わり

62:
20/11/22 17:01:17.774 LIIiGtQh0.net
ミサト「おっおはようございます…!」
レイ「昨日はよく眠れた?」
ミサト「あっ昨日は…その、はい。眠れました」

レイ「そう…良かったわ。くれぐれも無理はしないように。気分が悪くなったらすぐに言ってね…では、エヴァの出現位置、非常用電源、兵装ビルの配置、回収スポット、おさらいしておく?」
ミサト「お…お願いします…」

レイ「通常エヴァは有線からの電力供給で稼動しています。非常時に体内電池に切り替えると、蓄電容量の関係でフルで1分、ゲインを利用してもせいぜい5分しか稼動できない…」
レイ「これが私たちの科学の限界。あとはパイロットの技量にかかってる」
ミサト「はい…!」

レイ「…では昨日の続きから。インダクションモード、始めて」

63:
20/11/22 17:05:34.079 JsiiAkaUr.net
レイ「目標をセンターに入れて」
レイ「スイッチオン」
レイ「もう一度。落ち着いて、目標をセンターに…」
ミサト「目標をセンターに入れて、スイッチ…!」
レイ「次」
ヒカリ「しかし、よく乗る気になってくれましたね、ミサトちゃん」
レイ「…覚悟を決めてくれたなら助かるけど。まだ揺れている、でしょうね…」

ミサト「目標をセンターに入れて、スイッチ…!目標をセンターに入れて、スイッチ…!目標をセンターに入れて、スイッチ…!目標をセンターに入れて…!」

64:
20/11/22 17:09:05.613 LIIiGtQh0.net
テレビ「それではスタジオから、松崎のシノハラナツコさーん!」
テレビ「はい、おはようございます、シノハラです!今朝は何と、西伊豆の松崎へ、ダイビングに来てるんですよ!本日も西伊豆地方は今日も快晴!予想最高気温は…」

ミサト「…シンジさん、帰ってたんですか」
シンジ「ウン…さっきまで当直で…ごめん、朝ごはん作れなくて…。ふわぁぁ…ちょっとゴミ出してくるね」
ミサト「そんな…私が持っていきますから、寝ててください」
シンジ「そんな、悪いよ。僕が当番なのに…」
ミサト「いいですから、ほら!」
シンジ「ありがとう……ミサトちゃん、学校で変わったこととか、ない…?」

ミサト「…大丈夫ですよ」
シンジ「そう…行ってらっしゃい」
ミサト「行ってきます」

65:
20/11/22 17:13:09.517 JsiiAkaUr.net
シンジ「…ハイ、もしもし、あぁ、綾波か…」
レイ「どう?その後彼女とは」
シンジ「うん…。転校して2週間なんだけど、まだ電話も掛かってこなくって…」
レイ「電話?」
シンジ「うん。必須アイテムだから随分前に携帯渡しておいたんだ。だけど自分で使ったり、誰かから掛かってきた様子がなくて…ひょっとしてうまくいってないんじゃないかな…」
レイ「…近づくのが恐いんじゃないかしら。ヤマアラシのジレンマね」
シンジ「ヤマアラシ?あのトゲトゲの?」
レイ「…ヤマアラシの場合、相手に自分の温もりを伝えたいと思っても身を寄せれば寄せるほど体中のとげでお互いを傷つけてしまう。人間にも同じことが言えるわ…。今のミサトちゃんは心のどこかで痛みに怯えて、臆病になってるんでしょうね…」
シンジ「…痛みに怯えて、か…。結局寂しさに耐えられなくて、また近づくのにね…丁度いい距離が掴めればいいんだけど。大人になった今でも分からないくらいだから…ミサトちゃんくらいの歳の子には、もっと難しいだろうね…」

66:
20/11/22 17:17:07.615 LIIiGtQh0.net
教室。ホウキをかき鳴らす青葉
青葉「ギャギャギャ、ギャーン。チュイーン…何? マヤちゃん」
マヤ「…昨日のプリント、届けてくれた?」
青葉「あ、あぁ…いや、なんかマコトの家、留守みたいでさ」
マヤ「もう。青葉君、日向君と仲良いんでしょ?二週間も休んで心配じゃないの?」
青葉「…怪我でもしたのかなぁ」
マヤ「えっ、例のロボット事件で?TVじゃ一人もいなかったって…」
青葉「まさか。鷹ノ巣山の爆心地見ただろ?入間や小松だけじゃなくて三沢や九州の部隊まで出動してるんだ。絶対、十人や二十人じゃすまないさ。死人だって…、マコト!」
マヤ「日向君」

日向「…なんだか、見ないうちにガランとしちゃったな」

67:
20/11/22 17:21:38.011 JsiiAkaUr.net
青葉「まぁ…街であれだけ派手に暴れられちゃな…疎開ってやつだろ」
日向「…喜んでるのはお前ぐらいだろうな。男のロマンとか言って」
青葉「ははっ…それよりお前はどうしてたんだよ?えーと…二週間も休んで。騒ぎの巻き添えでも食ったのか?」
日向「…妹がな。倒れてきた瓦礫の下敷きになったんだ。幸い、大したことはなかったんだけど…医者が念のためにってね。俺のところは二親が研究所勤めだから、長く病院にはいられないだろ?…でも一人にするのは可哀想だから、ずっと俺が付いてたんだ」
日向「…しかし、変だよな。まるで暴走していたようだって話じゃないか。仮にも市民の安全を守る機関のロボットがだぞ?全く…しっかりしてほしいよ」

青葉「それなんだけどさ、お前聞いたか?転校生のうわさ」
日向「転校生?」
青葉「お前が休んでる間に転入してきたんだよ。…あの事件の後にだぞ?おかしくないか?ほら、あの娘さ」

マヤ「起立!」

68:
20/11/22 17:25:07.667 LIIiGtQh0.net
教員「あー、このように人類はその最大の試練を迎えたのであります。二十世紀最後の年、宇宙より飛来した大質量の隕石が南極に衝突。氷の大陸を一瞬にして融解させたのであります。海洋の水位は上昇し…」

「 葛城さんが あのロボットのパイロットというのはホント? Y/N」

教員「だが、あれから15年。わずか15年で我々はここまで復興を遂げる事が出来たのです」

「 ホントなんでしょ? 」

「 Y/N 」

教員「それは私たち人類の優秀性もさることながら皆さんのお父さんお母さんの血と汗と涙と努力の賜物といえるで有りましょう」

「YES」

生徒達「えーー!!!」

69:
20/11/22 17:31:20.982 JsiiAkaUr.net
教員「その頃私は根府川に住んでましてね、今はもう海の…」
マヤ「ちょっともう、みんな!まだ授業中よ!席について!」
生徒女「あー、またそうやってすぐ仕切る~」
生徒男「いいじゃんいいじゃん」
マヤ「良くない!」
生徒女「ねぇねぇ、どうやって選ばれたの?」
生徒女「テストとか有ったの?」
生徒女「怖くなかった?」
生徒女「操縦席ってどんなの?」

70:
20/11/22 17:35:17.031 LIIiGtQh0.net
ミサト「いやっ…あの、そういうのは、秘密で…」
生徒女「あのロボットなんて名前なの?」
ミサト「…み、みんなは、エバーとか、初号機って…」
生徒男「エッ、必殺技は?」
ミサト「何とかナイフって言って振動が…えと、超音波?みたいに…」
生徒女「でも凄いわ。学校の誇りよね~」

教師「で、ありますから…あぁ、では今日はこれまで」
マヤ「起立、礼!…ちょっとみんな最後くらいちゃんと……!」

日向「………」ポロッ
シャーペンを落とし、固まる日向

青葉「おいマコト?授業終わったぞ?おーい」

71:
20/11/22 17:39:50.819 JsiiAkaUr.net
ミサト「ごめんなさい」

日向「」

青葉「悪いね。とめたんだけどさ。言いだしたら聞かなくて、コイツ…ほら、だから言ったろ…」

ミサト「………にも………いくせに…」

青葉「……?」


リツコ「葛城さん…非常召集よ。…先に行ってるわ」
ミサト「……」

放送「ただいま東海地方を中心とした関東中部の全域に特別非常事態宣言が発令されました。速やかに指定のシェルターへ避難して下さい。繰り返しお伝えいたします。…」

72:
20/11/22 17:43:06.719 LIIiGtQh0.net
ケンスケ「目標を光学で捕捉。領海内に進入しました」
カヲル「…総員、第一種戦闘配置」
オペレータ「了解、滞空迎撃戦用意」
トウジ「第三新東京市、戦闘形態に移行」
オペレータ「中央ブロック収容開始」

オペレータ「中央ブロック及び第1から第7管区まで間で収容完了」
ケンスケ「政府及び関係各省への通達終了」
オペレータ「現在対空迎撃システム稼働率48%」
シンジ「非戦闘員、及び民間人は?」
ケンスケ「すでに退避完了だそうだよ」

73:
20/11/22 17:47:26.134 JsiiAkaUr.net
放送「小中学生は各クラス、住民の方々は各ブロック毎にお集まりください」

青葉「くっそー!またかぁ」
日向「また文字だけか…報道管制ってやつだな」
青葉「俺ら民間人には見せてくれないってのか?どうして!身の上のことだろ?」

シンジ「第4の使途…まさかこんなに早く来るなんて…葛城司令のいないときに…」
トウジ「前は15年のブランク、今回はたったの3週間やからなぁ」
シンジ「…こっちの都合はお構いなしか」
ケンスケ「女性に嫌われるタイプだね」

カヲル「…税金の使い道が組織の面子、体裁のためとはね…」
ケンスケ「委員会から再びエヴァンゲリオンの出動要請が来てるよ」
シンジ「了解。…言われなくても出撃させるさ」

74:
20/11/22 17:51:08.587 LIIiGtQh0.net
オペレータ「エントリースタートしました」
ヒカリ「L.C.L.電荷」
オペレータ「圧着ロック解除」
ミサト(……また乗ってる……恐くて……逃げ出したいのに)

(学校の誇りよね)

(付き合ってほしいんだ)
(君の支えになりたい)

ミサト(そんなんじゃない。私は…)

ミサト「何も……知らないくせに……」

75:
20/11/22 17:55:10.428 JsiiAkaUr.net
青葉「なあ?ものは相談なんだけどさ」
日向「何だよ」
青葉「ちょっと、さ。ほら」
日向「…物好きな奴だなぁ」

日向「マヤちゃん」
マヤ「何?」
日向「俺ら二人、ちょっと野暮用」
マヤ「野暮用?」
青葉「催したんだよ」
マヤ「…もう。早く行ってきなさいよ」

76:
20/11/22 18:01:07.759 LIIiGtQh0.net
青葉「死ぬまでに一度だけでも見たいんだよ」
日向「本物のロボットをか?」
青葉「そうさ。次が何時になるのか、次があるのかも分からないんだ。このチャンスを逃したくない」
日向「逃すもなにも…命のほうが大切じゃないのか?」
青葉「…お前だって、本当は見たいんじゃないのか!?外ではミサトちゃんが戦ってるんだぞ!?応援しなくていいのか?」
日向「……」
青葉「…なぁ、頼むよ。ロック外すの手伝ってくれ。この通り!」

77:
20/11/22 18:05:12.064 JsiiAkaUr.net
日向「…こんなとこで死ぬのは御免だぞ…?」
青葉「なぁに。あそこに居たってロボットが負ければ人類滅亡だ…どうせ死ぬなら見てからがいい」
日向「俺が言ってるのは流れ弾に当たりやしないかってことだよ。それに、人類滅亡なんて…それを阻止するためにネルフがあるんだろ」
青葉「そうさ。そのネルフの決戦兵器は何だ?…あの転校生のロボットだよ。この前もあの娘が俺達を守ったんだ。俺らが模試の結果に一喜一憂してるようなそれとはスケールが違うのさ…!抱えているもんが違う。…そんな相手にお前は…」
日向「……」
青葉「普通に手順を踏めばいいものを、いきなり「付き合いたい」だの「支えになりたい」だの…だいぶショッキングだよな。…精神に多大なストレスを与えたかも」
日向「ど…どうしろって言うんだよ」
青葉「応援するんだよ!!あの娘がやってくれなきゃ、俺達は死ぬんだぞ?俺達にはあの娘の戦いを見守る義務があるのさ」
日向「……まったく…乗せられる俺も俺だけど、お前のその情熱はいったい何処から来るんだよ…」
青葉「ははっ」

78:
20/11/22 18:10:00.017 LIIiGtQh0.net
シンジ「ミサトちゃん…準備はいい?」
ミサト「…はい」
レイ「…敵のA.T.フィールドを中和しつつ、パレットの一斉射撃。練習通りよ、大丈夫?」
ミサト「はい…!」
シンジ「発進!」

青葉「おおおぉ!凄い…!本物が…!ロマンだ!!良いフレーズが浮かぶ気がする!!!」
日向「お前、それが本音か!?」
青葉「出たっ!」

ミサト「……目標をセンターに入れてスイッチ」
ヒカリ「A.T.フィールド展開」
ミサト「目標をセンターに入れてスイッチ……」
シンジ「作戦通りに。いいね?ミサトちゃん」
ミサト「…はい…!」

79:
20/11/22 18:13:15.304 JsiiAkaUr.net
シンジ「まずいっ!爆煙で敵が見えない!」
ミサト「アッ!」

日向「ちょっ…!大丈夫なのか、あれ!?」
青葉「大丈夫さ…。ん?大丈夫だろ…?」

シンジ「予備のライフルを出すから、受け取って」
シンジ「ミサトちゃん?…ミサトちゃん!?」

青葉「これは…思った以上に告白がショックだったかな…」
日向「もうよせよ…!」

80:
20/11/22 18:17:05.591 LIIiGtQh0.net
ミサト「ハッ…!」
トウジ「アンビリカルケーブル断線」
ケンスケ「エヴァ、内臓電源に切り替わりました」
ヒカリ「活動限界まで後4分53秒」
ミサト「きゃあっ!!」

青葉「こ、こっちに来る!」
青葉・日向「うわぁぁぁぁぁぁ!!!」

シンジ「ミサトちゃん、大丈夫?ミサトちゃん!…ダメージは?」
トウジ「問題無しや」

ミサト「…痛ぅ……ハッ!」

81:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします
20/11/22 18:20:47.672 OKOgjrpr0.net
支援

82:
20/11/22 18:21:23.914 JsiiAkaUr.net
シンジ「ミサトちゃんのクラスメイト!?」
レイ「何故こんな所に…!」
ミサト「……っ!」

青葉「な…なんで戦わないんだ」
日向「俺らがここに居るから……自由に動けないんだ」

ヒカリ「初号機活動限界まで後3分28秒」
シンジ「…ミサトちゃん!そこの二人を操縦席へ!」
シンジ「二人を回収した後、一次退却。出直すしかない…!」
レイ「許可の無い民間人をエントリープラグに入れることはできないわ」
シンジ「だけど!あそこは危険だよ!」
レイ「…越権行為よ、碇一尉!」
ヒカリ「初号機活動限界まで後3分」
シンジ「くっ…エヴァは現行命令でホールド、その間にエントリープラグ排出。急いで!」
シンジ「そこの二人、乗って。早く!」

83:
20/11/22 18:25:28.401 LIIiGtQh0.net
日向「なんだ!?水…!?」
青葉「おあぁ…っ!カメラがっ…!ごほっ、かはっ」

ヒカリ「神経系統に異常発生」
レイ「異物を二つもプラグに挿入したからよ。…神経パルスにノイズが混じってる」
シンジ「今だ!ミサトちゃん、後退して!」

シンジ「回収ルートは34番、山の東側へ!」
日向「か…葛城さん、後退って…」
ミサト「……、ちゃだめ、逃げちゃ駄目…!逃げちゃ…」

トウジ「プログレッシブナイフ装備!」
シンジ「みっミサトちゃん!!!退却だよ!言うことを聞いて!!!」
ミサト「…あああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

84:
20/11/22 18:31:06.988 JsiiAkaUr.net
シンジ「ミサトちゃん…!」
ミサト「ああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!あああぁぁぁぁっ!!!!」
ヒカリ「初号機活動限界まで後30秒、28、27、26、25」
ヒカリ「14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1」
ヒカリ「エヴァ初号機活動停止」
トウジ「…目標は完全に沈黙」

ミサト「ハァ…ハァ…ハァ…」
ミサト「……うっ、うっ……っ、う……」
日向「……」
青葉「……」

85:
20/11/22 18:35:09.737 LIIiGtQh0.net
日向「…今日でもう三日か」
青葉「俺らがコッテリと絞られてから?」
日向「…あの娘が学校に来なくなってからだよ…」
青葉「あーあの娘ね…」

日向「…葛城さん、あれからどうしてるんだろ…」
青葉「お前…諦めてないのか?」
日向「悪いかよ…」
青葉「いや、好きにすればいいさ。まったく…普段は冷静なくせに思い込んだらとことんだな、お前ってやつは。ほれ」
日向「?」
青葉「転校生の電話番号だ…だが!うまく使えよ?間違ってもまた告白なんてするんじゃないぞ」
日向「…恩にきる」

参話分終わり

86:
20/11/22 18:39:11.099 JsiiAkaUr.net
シンジ「…ミサトちゃん?」
シンジ「…今日も具合が悪いの?…行きにくいと思うけど、学校はちゃんと行ったほうがいいよ…もう五日だし。きっとみんな君のこと心配して…」
シンジ「ミサトちゃん…?開けてもいい…?」
シンジ「……」ガラッ
シンジ「いない……。…当然か…」

「ピンポーン」

シンジ「ミサトちゃんっ?」
日向「…?いえ。クラスメイトの日向です」
青葉「青葉です」
シンジ「…日向君と青葉君…」
シンジ「…あ、この間初号機のエントリープラグに入った…」
日向「…!そっ、その節はご迷惑をおかけしました!」
青葉「あの…葛城さんは?」
日向「…このところずっと休んでいらっしゃるので…様子見に」

87:
20/11/22 18:43:47.803 LIIiGtQh0.net
シンジ「わざわざありがとう。でも…ミサトちゃんは…今ネルフの訓練施設にいるんだ」
日向「そう…なんですか…」
シンジ「ごめんね。せっかく来てもらったのに…」
青葉「いえいえ。どうせ俺たちの家もこの辺ですから」
日向「あの…これ、プリント類です」
シンジ「ありがとう。渡しておくね」
日向「じゃあ…僕らはこれで。葛城さんに宜しくお伝えください」
シンジ「伝えておくよ。気をつけてね」

日向「なんなんだ…さっきの人…大学生くらいに見えたぞ?」
青葉「…葛城の彼氏かな?」
日向「そんなわけないだろ。…俺たちのことを知ってた。ネルフ職員さ。…保護役か何かだろ…」

シンジ「友達いたんだ…ミサトちゃん…」
シンジ「…いったい何処に…」

88:
20/11/22 18:47:42.650 JsiiAkaUr.net
放送「次は瀬能峠、長尾方面です。お出口右側に変わります」

放送「本日は第3新東京市第七環状線をご利用いただき真にありがとうございます」
放送「この電車は当駅にて回送電車となります。どちらさまもお忘れ物の無いように御降車ください」
ミサト「帰らなきゃ…」
ミサト(あの場所へ?それとも…)

「お兄さん、ちょっとそこのお兄さんお兄さん。よってこうよ。安いんだから…」
「超疲れたあなたを極楽へとご案内…」
(映画)
「キャーー」
「本当に探知できなかったんですか?」
「そうだ。直径数十ミリの物体が光速の何十倍という速度で南極に激突したのだ…」
ミサト「………」
さ迷い歩くミサト
ミサト「……」

89:
20/11/22 18:51:14.792 LIIiGtQh0.net
シンジ「…やっぱり、僕らが間違ってたんだ」
シンジ「14歳の子どもに、こんな重荷を…人類の存亡を背負わせるなんて…」
レイ「…でも、乗れるのは彼女たちだけ。…私たちはエヴァの操縦を14歳の子どもたちに委ねる…それしか方法はない」
シンジ「…分かってる」
レイ「ミサトちゃんから連絡は?」
シンジ「…何も。…このまま帰ってこないかもしれない…」
レイ「どうするつもり?」
シンジ「どうしようもないよ。帰りたくないなら、そのほうが…」
レイ「何故?」

シンジ「…こないだの戦闘の後…」

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20/11/22 18:53:04.276 OKOgjrpr0.net
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20/11/22 18:54:05.927 OKOgjrpr0.net
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20/11/22 18:55:07.497 OKOgjrpr0.net
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93:
20/11/22 18:55:36.334 JsiiAkaUr.net
シンジ「…どうして指示を無視したの…?」
ミサト「ごめんなさい」
シンジ「…謝ってほしいわけじゃないんだ。その…理由が聞きたくて。混乱してたなら、それも仕方のないことだし……僕らは、君の身体状況に合わせて適切な処置を…」
ミサト「……疲れていたので、指示を聞き間違いました」
シンジ「………君に命を懸けさせて、申し訳ないと思ってる…だけど、君だけじゃないんだ。ネルフにいる全員が、恐怖と戦ってる。ほんの些細なミス、誤った情報伝達が、戦況を左右する」
シンジ「僕らは……共有していかなければならないんだ。同じものが見えていないと、倒せるものも倒せない…」

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20/11/22 18:56:09.160 OKOgjrpr0.net
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95:
20/11/22 19:01:05.676 LIIiGtQh0.net
シンジ「だから……」
ミサト「…もう、いいじゃないですか…」
シンジ「…ミサトちゃん……?」
ミサト「勝ったんだから……っ!そんな、私は立派にはなれない…!なにも…!共有なんてできない…、私はよそ者だから…!!」
シンジ「ミサトちゃ…」
ミサト「戦わなきゃ……前の生活に逆戻り…嫌なんです、でも、戦うのも嫌…!」
シンジ「………」
ミサト「でも、私が逃げ出したら…あの娘がまた一人で戦うことになって…!それも嫌、もう、嫌で嫌でたまらないのに……ここに残って…でも見渡すと、私は一人なんです」
シンジ「……!」
ミサト「私だけが恐がってる、私だけが覚悟してない!ただ言われるままにエバに乗って…」
シンジ「ミサトちゃん…!」
ミサト「うっ……う、う…っ」

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20/11/22 19:04:14.411 OKOgjrpr0.net
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97:
20/11/22 19:05:44.808 JsiiAkaUr.net
レイ「そう…」
シンジ「…ミサトちゃんにとって、エヴァに乗ることが苦痛でしかないのなら…もう乗らないほうがいい。自暴自棄になって戦っても…使徒には勝てない。死んでしまうよ…」
レイ「…エヴァが動かなければ、同じことよ」

空き地。
青葉「フンフーン…ざーんーこーくな…んん、違うかな…?ざーんーこーくーな…これかな…」ジャカジャカ
青葉「これでよし、と。…ん、転校生…?」
青葉「葛城!」

98:
20/11/22 19:09:15.291 LIIiGtQh0.net
青葉「…マコトのことさ、忘れてやってくれよ。普段はあんな奴じゃないんだ…なんと言うか…思い込んだら止まらない奴でさ…あいつ妹がいるんだけど、その妹にも叱られたらしい。初対面で告白するなんて気持ち悪い、ってさ。はは、その通りだよな?」
ミサト「そんな…ことは…」
青葉「……」
青葉「……夜は静かで良いよな。あの五月蝿い蝉が鳴かないし」
ミサト「生態系が戻ってるんだって…シンジさんが言ってた」
青葉「…あの男の人か。…ほんとに一緒に住んでるの?」
ミサト「…?ええ…」
青葉「そっか…しかし大変だよな…まだ14歳で、しかも女の子なのに…あんなでかいロボットに乗らなきゃならないなんて。…代われるもんなら代わってやりたいよ」
ミサト「…それはやめたほうが…。お母さんが心配するし…」
青葉「あぁ、それなら問題ない。俺そういうの居ないからさ」
ミサト「ご…ごめんなさい」
青葉「気にするなよ。それより、飯食うだろ?」
ミサト「ありがとう…」

99:
20/11/22 19:13:11.492 JsiiAkaUr.net
ミサト「…いつもこんな事してるの?」
青葉「ん?うん…そうだな。ここなら近所迷惑にもならないし」
ミサト「…プロを、目指してる?」
青葉「はは。まさか…そんな時代じゃないだろ?好きでやってるだけさ」

黒服男「…葛城ミサトちゃんだね?」
ミサト「…はい」
黒服男「ネルフ保安諜報部のものだ。保安条例第8項の適応により君を本部まで連行する。いいね?」
ミサト「はい…」

日向「それで、お前はそれを黙って見てたって言うのか?」
青葉「見てたさ。しょうがないだろ?向こうはプロだ、勝てやしない」
日向「くそ…そこにいたのが俺なら…!」
青葉「…今ごろまた校長室だろ?」

100:
20/11/22 19:17:12.001 LIIiGtQh0.net
シンジ「ミサトちゃん…」
ミサト「…すみませんでした」
シンジ「いや…心配したよ…どこにいたの?二日間も…」
ミサト「……」
シンジ「……」
ミサト「私乗ります、エバに」
シンジ「ミサトちゃん…」
ミサト「乗って、戦って、死ぬまで続けます…きっと、何回も乗れば恐くなくなる」
ミサト「あの娘…リツコちゃんみたいに、落ちついてやれるようになる、シンジさんやレイさんみたいに強くなれる」
ミサト「そしたら人の顔も…気にならなくなって、きっと仲良くなれる、学校のみんなとも…」
ミサト「………お父さんも、きっと私を認めて…!」
シンジ「ミサトちゃん!……ミサトちゃん…もういい、もういいよ…」
ミサト「…え…?」

101:
20/11/22 19:21:18.689 JsiiAkaUr.net
シンジ「もういいんだ…無理してエヴァに乗る必要なんてない。僕たちのことは…気にしなくていい。元々巻き込んだのは僕らのほうなんだ。謝るよ…」
ミサト「でも…」
シンジ「いいんだ。僕らは…僕らは市民の安全を守るのが仕事で…君もその一人なのに。君をたくさん傷つけてしまった…」
ミサト「……」
シンジ「ミサトちゃん」
シンジ「僕も恐くてたまらないよ…覚悟が決まってるなんて嘘だ。前なんて見えてない、ただそう繕うのに必死で………」
ミサト「……シンジさん…」
シンジ「ごめんね…勝手な大人ばかりで」

102:
20/11/22 19:25:25.457 LIIiGtQh0.net
レイ「サードチルドレンは明日第3新東京を離れます」
葛城「…では、初号機のデータはリツコに書き換えろ」
レイ「しかし」
葛城「…零号機の再起動実験の結果の如何によらず初号機での実験に移る」
葛城「マルドゥック機関の報告によるとフォースチルドレンはまだ見つかっていない」
レイ「…パイロットの補充は効かない、と言う事ですね」
葛城「……」

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20/11/22 19:27:08.535 OKOgjrpr0.net
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20/11/22 19:31:10.250 OKOgjrpr0.net
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105:
20/11/22 19:31:12.727 JsiiAkaUr.net
ミサト「あの、シンジさんはどこですか?一言お別れを…」
黒服男「君はもうすでにネルフの人間ではない。どのような事も教えられない」
駅。
青葉「葛城!忘れもんだぞー!」
日向「葛城さん!」
ミサト「あっ…」

ミサト「あの、ちょっといいですか?」

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20/11/22 19:35:11.917 OKOgjrpr0.net
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107:
20/11/22 19:35:18.032 LIIiGtQh0.net
ミサト「あの…ありがとう」
青葉「…なんか喋れよ。ホラッ!」
日向「かっ、葛城さん…この前は、その、急にあんなこと言ったりして、ごめん」
日向「でも、正直な気持ちだったんだ。実は…その、最初のロボット騒ぎで、妹が怪我をして…いや!全然大した怪我じゃなかったんだけどさ。頭にきてたんだ、誰かも分からないパイロットに」
日向「でも、君の悲しそうな顔を見て、変わった」
ミサト「……!」
日向「教室でさ。クラスの連中に囲まれてるのに…ひとりきり、みたいな…寂しそうに見えて、もっと知りたいと思ったんだ。支えたいと…あの時は、つい熱くなって、ああいう事を言ってしまったけど。その、今でも、葛城さんさえ良ければ、友達として…」
青葉「おい…」
日向「いや…その…ごめん。今から引っ越すのに、こんなこと…」
ミサト「ううん、……ありがとう」
日向「……!」

108:
20/11/22 19:39:10.094 JsiiAkaUr.net
ミサト「…どうしてここが?」
青葉「勘だよ。ここんとこ何十人って同級生を見送ってきたからな」
日向「…葛城さんが出ていくなら、いずれ俺らも出ていくことになるだろうな…。だけど…ほっとしてるよ。…エヴァの中で、あんなに苦しんでる姿を見たんだ。葛城さんがエヴァから解放されて…良かった…」
ミサト「………!」
青葉「…おいおい。二人ともそんな辛気臭い顔するなよ」
日向「向こうでも…元気で」
青葉「ガンバレよ?」

ミサト「あのっ…」
黒服男「時間だ」

黒服男「オイ、コラッ…」

ミサト「謝らなきゃいけないのは私よ…!何も…!何も知ろうとしなかったのは私のほう…!殻にこもって、拒絶して…、勝手に、思い込んでただけで…っ!」

黒服男「これ以上手を焼かせるな」

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20/11/22 19:39:13.871 OKOgjrpr0.net
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110:
20/11/22 19:43:13.376 LIIiGtQh0.net
レイ「本当にこれでよかったの?」
シンジ「……ミサトちゃんが帰ってきたとき…なんて声をかけていいか分からなかったんだ…」
シンジ「………僕の見栄が彼女を追い込んでた…本当のことを言っても、彼女を救えたかどうか……」
レイ「…ヤマアラシのジレンマ」
シンジ「……」
レイ「まだ時間はあるわ」

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20/11/22 19:45:15.538 OKOgjrpr0.net
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112:
20/11/22 19:47:10.566 JsiiAkaUr.net
放送「二番線に厚木行き特急リニアが参ります。危ないですから黄色い線の内側までお下がりください」

放送「二番線の電車は4時20分発厚木行き政府専用特別列車です。一般の方は柵の内側には入れません」
放送「なお許可の無い方の御乗車は硬く禁じられております。くれぐれもご注意ください」

(シンジ「今日からミサトちゃんの家でもあるんだから」)

青葉「…おい、あの人って」
日向「葛城さん家の…」
シンジ「はぁっ、はぁ…」

シンジ「……」
ミサト「……!」

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20/11/22 19:50:17.246 OKOgjrpr0.net
支援

114:
20/11/22 19:52:17.673 LIIiGtQh0.net
放送「まもなく4番線に強羅行き各駅停車が参ります。危ないですから黄色い線の内側までお下がりください」
放送「小さいお子様をお連れの方は特にご注意ください」

放送「4番線の電車は4時32分発強羅行き折り返しの各駅停車です。ご利用の皆様はご乗車になってお待ちください」
放送「はい、まもなく電車入ります。黄色い線の内側まで下がってください」

ミサト「たっ、ただいま…」

シンジ「……おかえりなさい」


四話分終わり

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20/11/22 19:55:18.852 OKOgjrpr0.net
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116:
20/11/22 19:56:05.898 JsiiAkaUr.net
続きは明日

117:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします
20/11/22 20:16:49.503 kh4uXP6q0.net
支援

118:以下、?ちゃんねるからVIPがお送りします
20/11/22 20:41:55.166 kh4uXP6q0.net
保守

119:
20/11/22 20:56:18.482 LIIiGtQh0.net
支援も保守もありがとう
「ミサトならでは」は打ち解けてきたら出せると思う 気長に待ってくれるとありがたい
明日は加持登場回まで


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