18/05/02 12:07:15.07 6sRU5gNmK
>>247
◆不動産取引規制なく活発化
喜界島(鹿児島県喜界町)は奄美大島の東方約25キロの海上に浮かぶ。
奄美群島で5番目に大きな島で、周囲48・6キロ、面積約56平方キロ。周辺を隆起サンゴ礁に囲まれた平たい台地状の地形で奄美群島国立公園に属し、琉球弧の最外縁をなす。
奄美空港からは約20分、名瀬(なぜ)港からはフェリーで約2時間半の距離だ。
この島は奄美で最初に飛行場が建設されるなど、先の大戦では重要な軍事基地だった。
現在も、防衛省情報本部が運用、360度の全方位から電波が受信可能な高感度アンテナを備える高性能無線電波傍受施設の喜界島通信所、いわゆる「象のオリ」を抱える要衝である。
この喜界島の正面にあたる奄美本島東部の沿岸に、眺めの良い岬のような高台地域がある。通称アオン地区(龍郷(たつごう)町戸口)だ。
地元住民は「天気がいいとどの場所からも喜界島が近すぎるぐらいに見える。時には海岸沿いに米軍のオスプレイが飛ぶのも見える」と話す。
もしも自衛隊などの動向を監視したいと思う者がいれば最適な場所なのだ。
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この一角の町有地6937平方メートルが平成28年9月、香港資本の総合商社会長で香港在住の日本人に払い下げられた。
同社は高級外車の販売や貿易、保険業など多彩な業務をこなし、海図や海事情報を扱うインテリジェンス系の業務も扱っているとされる。
会長の妻は、アジアの海運王と呼ばれた香港経済界の重鎮男性の次女で、中華圏に幅広い人脈を持つことで知られているという。
不動産の買収は会長の個人名で登記され、別荘や美術館を建設する意向とされる。会長は「美術館といっても個人の遊びのようなもので、倉庫の意味合いが強い建物だ。土地も広くはない。完成も未定。取材はお断りしたい」としている。
この会長は周辺一帯の町有地を含め、16年3月に5393平方メートル、26年3月に3765平方メートル、同年7月に3204平方メートルの計1万2362平方メートルを個人名義で購入した。
眺望が素晴らしいこのあたりでは、他にも触手を伸ばす動きがある。昨年9月に673平方メートル、9383平方メートル、1415平方メートルの3カ所計1万1471平方メートルが、
奄美市内のA社を通し東京都内のB社に転売されている。地元業者らによると、B社は米国系の企業ともいわれるが実態は分かっていない。
不動産業に詳しい地元住民によるとこのアオン地区では土地売買の動きが激しく、「地元の不動産業者らが動いているが、背後にだれがいるか分からない。
日本の会社だけれど、資本を見ると中国が絡んでいることも考えられる」という。土地取引に詳しい奄美市の会社員は「中国資本が土地を激しく買っている」と漏らした。
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土地買収だけではない。再生エネルギー目的の太陽光発電や風力発電の開発で進出する動きもあるという。
実際、奄美空港近くの笠利町では、喜界島を望める風光明媚(めいび)な高台で規模の大きな太陽光発電施設が稼働している。
元自衛隊関係者は、この発電所も背後に中国資本がついている可能性が高いと指摘する。
また、米大手クルーズ会社「ロイヤル・カリビアン・クルーズ」の船の寄港候補地とされた芦徳地区でも、
シンガポール系とみられる資本が笠利湾沿いに1ヘクタールの土地を買収し、豪華なリゾートホテルをオープンさせている。
こうした動きに地元のある地方議員は「水源地確保を目的にして山を買っているといった話は聞かない。北海道とは違う」と指摘した上で、
「奄美の北部地域は最高のリゾート地だ。アクセスもロケーションも観光客のニーズに合っているとみて、観光開発のために海岸沿いの土地を買っているだけのことではないか」と楽観的だ。
だが、外国資本に安全保障上の要衝の地を何の規制もなしに売買を許すことの脅威は、南の島でもじりじりと強まっている。(編集委員 宮本雅史)