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>>81-82
石井孝明さん
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2017年12月18日
10万個の子宮が奪われる-子宮頸がんワクチン騒動、会見で見た悲しみと希望
2017年12月、日本の医師、ジャーナリストの村中璃子さんが、ジョン・マドックス賞を受賞した。
これは科学雑誌『ネイチャー』の元編集長にちなんで設立され、公共的な利益に関する事柄について、各種の困難や敵対にもめげずにまともな科学と裏付けに基づく知見を促進した人物に与えられる賞だ。
その厚生労働記者クラブでの受賞記者会見に18日出席した。詳細はまた別メディアに掲載したい。
すばらしいことだが、同時にうんざりする話である。
◆子宮頸がんワクチン問題で孤立、されど発信
彼女の受賞理由は日本の広まる子宮頸がんワクチン問題についての啓発活動によるものだ。
こういう問題でよくあるように彼女の言論活動に、訴訟が一件起こされ、罵倒も数知れない。そうした嫌がらせの中、一人でおかしいと疑問を示した彼女が受賞した。 その勇気と行動を称えたいし、世界の医療界、科学ジャーナリズムの健全さを示すものだろう。
村中さんの受賞スピーチのタイトルは「10万個の子宮」。子宮がんは、年1万人が罹患し、3000人程度がなくなる。
裁判で10年間棚上げになると、これまでの通り、患者の多くが子宮を失う。「僕たちだけいったいあとどのくらい子宮を掘り続ければいいんですか?」という若い医師の嘆きの言葉を深刻に受け止めたことが、このタイトルの由来だ。その数の10万は大変なことだ。
「10万個の子宮と、そこから生まれるかもしれない命がなくなること」を村中さんは悲しんでいる。まともな感性を抱く誰もがそうだろう。
◆「政策が感情に押しつぶされる」「責任ある人々が逃げ出す」…いつものパターン
恐ろしいことがある。日本のメディア、学会、政治家で、村中さんを支援する声を上げているのはごく少数なのだ。きょうの会見には、著名ジャーナリストでサイトJapan In-depthを運営する安倍宏行氏、産婦人科医の石渡勇氏が同席した。
反対運動は日本にありがちなことに、個人攻撃を繰り返すので、こういう支援者にも攻撃がくる。これは勇気ある行動なのだ。みんな、世論という、不可思議なものに「忖度」し、声を上げない。もしくは声の上げ方が分からない。
大手メディアはほとんど、この受賞のニュースを取り上げていない。
ある新聞の優秀な食や医療・生活の安全を担当する記者に聞いたら「上司は、かつて紙面に反ワクチンの記事を書いたから、書くことに渋い顔をした。扱いは小さくなりそうだ」という。これは福島の安全をめぐる状況と同じだ。
正義を唱える反対者の暴走、メディアはくだらない組織のメンツで過ちを認めない、事なかれ主義、責任ある立場の人の逃亡、騒ぐ少数者、変に民意を忖度する政府。反対運動には、この混乱で利益を得る薬害専門弁護士や政治団体の動きがちらつく。
その結果、「科学が感情に屈する」「政策が国民感情に押しつぶされる」「専門家の正論が通用しなくなる」「社会の大半が損をし、最も大切にされるべき人命が時には損なわれる」。
子宮頸がんワクチン騒動で見られることは、日本の失敗したさまざまな別の問題と、とてもよく似ている。福島の放射能騒動、薬害問題、遺伝子組み換え作物など。安全保障問題、豊洲市場の迷走にも似た面がある。
科学が感情に潰されることのある国。正義が実現しないことのある国。それが日本の現実だ。同じような過ちを、また繰り返すだろう。もううんざりだ。
村中さんは、他人への怒りではなく「失われる命、子宮のために発信し続けたい」と述べた。彼女の態度は立派だが、それを伝える私は、不正に憤りがわいて仕方がない。
問題の原因は複雑に絡みあっているが、責任のある人々が、村中さんのように、また支える人たちのように一歩踏み出し、おかしいことをおかしいと発言することが、それを乗り越えるきっかけになるはずだ。
会見ではうんざり感を抱くと同時に、村中さんらの受賞と行動に、かすかな希望も持った。