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生活保護 30年ぶり等級見直し 大阪市引き下げも
毎日新聞2017年11月3日 08時00分(最終更新 11月3日 08時00分)
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厚生労働省は、生活保護受給額の等級(ランク)を示す市区町村ごとの「級地」を30年ぶりに見直す方針を固めた。等級の下がる自治体は受給額が低くなる。現在最上位の大阪市などが引き下げ対象に想定されている。
同省は生活水準の地域差に関するデータ収集を始めるなど市区町村を新たな等級に振り分けるための基準作りに着手。早ければ来年度にも入れ替える。
等級は「級地」と呼ばれ、全国の市区町村を6段階に分け、級ごとに生活保護費のうち生活費相当分が決まっている。見直しは、バブル景気最盛期の1987年に3段階を6段階に細分化したのが最後だ。
市町村が合併すると最も高い等級の自治体に合わせる。平成の大合併によって、87年当時の3253市町村のうち約25%に当たる821市町村が「格上げ」になった。例えば、京都市の旧京北町は合併で5番目から最上位になった。
一方、総務省の全国消費実態調査(2009年)を基に、財務省が同じ等級内の都市について所得の低い世帯の消費額を分析したところ、最大1.6倍の格差があった。
大阪市と横浜市はいずれも最上位で受給水準は同じだが、横浜市の消費額は大阪市の1.28倍と高い。財務省の財政制度等審議会は昨年10月、厚労省に「実態が大きく異なっている」として見直しを求めていた。
ただ、30年も見直しがなかったのは、生活水準を客観的に見極めるのが難しいからだ。
等級を決める基礎資料となる全国消費実態調査は全国5万6400世帯を対象にしているが、自治体ごとではデータが少なく、信頼性が高くない。厚労省は他の統計も活用して補完する考えだ。
現在、最高ランクの地域に住む高齢夫婦2人世帯の生活費分の受給額は月約12万円。1ランク下の地域に引っ越したら約5000円減、2ランク下では約1万1000円減になる。【熊谷豪】
【ことば】生活保護の級地
生活保護費のうち生活費分について、物価や生活様式の地域差に合わせ、市区町村ごとに差を設けている。6段階あり、最上位は東京23区や横浜市、大阪市などで、受給世帯の40%に当たる約64万1000世帯が属する。
最低は兵庫県篠山市や愛媛県宇和島市などで受給額は最上位に比べ20%低い。