16/02/21 23:38:07.905 yTZ4ZMH+0.net
いい匂いがした
48:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします
16/02/21 23:38:10.079 9NRykft30.net
P「これで、いいか?」
やよい「……」コクリ
P(俺は再び耳を澄ませて辺りを窺う)
ヒタ
ヒタ
P(今度は、何者かの足音がゆっくりとこちらの部屋へと歩みを進めていた)
ガラガラ
P(そして、扉の開く音―これは向かい側の部屋のようだ)
P(長介たちの寝ている部屋だが……何ともないのだろうか?)
49:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします
16/02/21 23:41:09.836 9NRykft30.net
ヒタ
ヒタ
P(暫く無音が続くと、再びあの音が鳴り響く)
ドンドン
P(そして―俺たちのいる部屋が叩かれる)
P(……俺たちは無言のまま、じっと押し黙っていた)
ドンドン
P(二度、三度―扉の叩く音は次第に強くなっていく)
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16/02/21 23:43:42.472 n0nI8A6t0.net
ほ
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16/02/21 23:44:56.624 9NRykft30.net
P(来るな―来るな―来るな―)
P(何度も何度もそう繰り返す)
P(胸の中の、やよいの息遣いがごく近く感じられる)
P(暫くして、音は鳴りを潜めていった)
P(―俺は思わず、安堵の溜息を洩らした)
ガラガラ
P(扉が開かれたのは、そんな瞬間の出来事だった)
52:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします
16/02/21 23:48:14.204 9NRykft30.net
かすみ「ちゃんと寝れてる……?」
P(しかし、姿を現したのはかすみちゃんだった)
P(扉を少しだけ開いた先に揺れ動く瞳、俺は肝を冷やす)
P「あ、ああ、大丈夫だ」
かすみ「そっか……」
P「さっき―かすみちゃんの部屋に誰か入っていかなかったか?」
P(さっきの足音の向かった先を俺は不審に思っていた)
P(もしも―あれが『ミサキ様』だったとしたら)
53:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします
16/02/21 23:48:15.595 4Uwtt8OH0.net
-―- 、 |┃
/ / ̄`ヾフ´ ̄`ヽ 三 |┃
〃∠ __」 _____ \ |┃
.'_〃_i__i ____ . イ、 '. . ガラッ |┃
i i | ハ i i | i ハ |┃
| l l 厂`V从从リト!リ l } ノ// |┃
| l xf示 示x ト、__」ノ 三 |┃
. l l { ヒり ヒり∧ | , -‐ぅ┃
V ト、 ' { ノ | / i´|┃
. V 八 「 7 ノ7 l { 人.|┃
Vハト、ト≧=⊇__. イ /ル'レ′ ..,イ` ー‐ .|┃
ⅥⅥ} iⅥN{ ! ` ーァ .|┃
xく `ヽ、 ト、≧=x__ | .|┃
∠ /\ , -―xY_ {、__ ! .|┃
/ ̄`ヽ く ー }フ^ ト、>- 、__| 三 |┃
i \ `ス i !\ノ } `Y { ...三 |┃
54:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします
16/02/21 23:50:20.008 n0nI8A6t0.net
>>53
┃| 三
┃| 三
┃| 三
┃| 三
┃| 三
┃|
┃| ピシャッ!
┃| ∧∧
┃| (; ) 三
┃|⊂ \
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16/02/21 23:50:59.106 9NRykft30.net
かすみ「ううん……誰も来てないよ」
P「……え?」
P(俺は思わず耳を疑った)
P(何度か尋ねても、かすみちゃんは首を振るだけだった)
かすみ「それじゃあ、わたしもう寝るね……」
ガラガラ
P(鳴りやまない心臓の音だけが、俺の存在を示していた)
――
―
―
56:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします
16/02/21 23:55:56.470 9NRykft30.net
P(結局、俺は一夜寝ることが出来なかった)
P(眠い頭を携えて、俺は隣で眠るやよいを眺める)
P(すぅすぅと寝息を立てるやよいは、いつもよりも幼げに見えた)
P「やよい……朝だぞ」
やよい「ん……」
P(俺は外を眺める―空は明るみを帯びていた)
P(夜、というものがこれほど怖いと感じたことは生まれて初めてだった)
やよい「おはようございます、プロデューサー」
P(そんな俺をよそに、やよいは晴れ晴れとした顔で笑った)
P(結局、『ミサキ様』についても、やよいの家の異変についても分からなかったが……俺はこの笑顔を見ることが出来た)
P(それだけで、十分じゃないか―と、そう思うことにした)
――
―
―
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16/02/21 23:57:41.105 brlyXAnIM.net
これはやよいとPをくっつける為の高槻家の陰謀
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16/02/22 00:00:49.672 AH8HHKDUa.net
吊り橋効果か
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16/02/22 00:02:01.960 x3mSAHiP0.net
やよい(初めは、長介に言われたことがきっかけだった)
やよい(私がプロデューサーに抱いている思いを打ち明けたら、長介はこう言った)
長介『それじゃあ、姉ちゃんとプロデューサーをくっつけるの俺手伝うよ』
やよい(それが今回のやりかただった―なんでも、小学校で流行っている『ミサキ様』を使った悪戯なようだった)
やよい(あまり気のりはしなかったけど、かすみや浩太郎も巻き込んで、みんな私のことを手伝ってくれるって言ってくれた)
60:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします
16/02/22 00:08:05.666 x3mSAHiP0.net
やよい(結局、私は流れに身を任せ、プロデューサーと共に『高槻家』の中に潜む『悪霊』に怯える演技をした)
やよい(作戦は―恐らく成功した)
やよい(朝まで抱きしめることの出来たプロデューサーの匂い、撫でてくれた優しい手つき―あれは私だけでは叶うことはなかっただろう)
やよい「プロデューサー、今日はありがとうございました」ペコリ
P「いや……悪かった、何もできなくて」
やよい(最後まで、プロデューサーは申し訳なさそうに頭を下げていた)
やよい(罪悪感は胃に落ち込んできた)
61:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします
16/02/22 00:09:40.769 x3mSAHiP0.net
やよい「……いえ」
やよい(私は目を合わさずに、何とか無理して笑った)
P「それじゃあ、また事務所でな」ナデナデ
やよい「……」
やよい(私は手を振って送ると、にたにたと笑う家族の方へ踵を返した)
長介「姉ちゃん、昨日はどうだった?」
かすみ「……音とか、出してみたけどどうだったかな」
やよい「……ありがとう」
やよい(もう一度、私はお礼を言った)
やよい(すると嬉しそうにみんなは目じりを下げていた)
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16/02/22 00:10:25.614 x3mSAHiP0.net
やよい「さ、ご飯食べよっか」
やよい(私がそう言うと、みんなは口々に『昨日のあれ、兄ちゃんめっちゃびびってたな』などと言っていた)
やよい(―その時、私は感じたこともないような『悪寒』に肌を震わせた)
やよい「……?」
やよい(寒気にも似た震えは、すぐに収まった―はずだ)
おわり
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16/02/22 00:11:18.720 03JzzH/zd.net
世にも奇妙な物語っぽくて好き
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16/02/22 00:11:27.922 RluLqdL60.net
既成事実化はよ
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16/02/22 00:14:38.141 jp+slYXm0.net
乙
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16/02/22 00:21:53.763 RluLqdL60.net
乙*'ヮ')乙
67:過去ログ ★
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