エレン「俺は魔戒騎士になる」at NEWS4VIP
エレン「俺は魔戒騎士になる」 - 暇つぶし2ch2:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします
15/12/25 20:42:52.924 ch2f3T/80XMAS.net
(君がやり遂げるんだ)
(いや、君と、君の仲間だけがやり遂げられるんだよ。エレン)
(―エレン)
――


ミカサ「――エレン!!」
エレン「ん……?」
ミカサ「起きて。もう帰らないと日が暮れる」
エレン「……?…あれ?」
エレン「夢……?」
ミカサ「そんなに寝ぼけるまで熟睡してたの?」
エレン「イヤッ…なんか不思議な夢を見ていた気がするんだけど……何だったっけ、思い出せねぇな…」
ミカサ「……!!エレン?」
ミカサ「どうして、泣いてるの?」
エレン「え…?」
エレン「……え?」

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15/12/25 20:43:50.591 ch2f3T/80XMAS.net


――
エレン「……」
ミカサ「……」
エレン「言うなよ…誰にも。オレが泣いてたとか…」
ミカサ「……言わない」
ミカサ「でも…理由もなく涙が出るなんて、一度おばさんに診てもらったら?」
エレン「バカ言え!母さんに言えるか、こんなこと」
スッ
ハンネス「何泣いてんだエレン?」
エレン「!!ハ…ハンネスさん」
ハンネス「ミカサに何か怒られたのか?」
エレン「は!?なんでオレが泣くんだよ!…って、酒くさ!!」
エレン「!!」

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15/12/25 20:44:37.308 ch2f3T/80XMAS.net
エレン「え……!?また…飲んでる…」
ハンネス「お前らも一緒にどうだ?」
エレン「イヤ…あの…仕事は?」
ハンネス「おう!今日は門兵だ!」
ハンネス「一日中ここにいるわけだから、やがて腹が減り喉も渇く。
     飲み物の中に、たまたま酒が混じっていたことは些細な問題にすぎねぇ」
エレン「そんなんで、イザッて時に戦えんの!?」
ハンネス「……」
ハンネス「イザッて時って何だ?」
エレン「……!!何言ってんだよ、決まってんだろ!」
エレン「ホラーがゲートを通って!!人間に憑依した時だよ!!」
ハンネス「!!……バッ、バカ野郎ッ!!こんな街中で大声で“ホラー”の名を口にするんじゃねぇ!!」

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15/12/25 20:44:56.997 ch2f3T/80XMAS.net
駐屯兵団の男「ハハハ…元気がいいな、法師のせがれ!!」
駐屯兵団の男「ゲートを媒介に現れるホラーが壁内に出たら、そらしっかりやるさ」
駐屯兵団の男「しかしな、今日のゲートの浄化作業は他の班が既に終わらせてんだ」
駐屯兵団の男「それに、もう一つの方…ヤツらが壁を壊すことなんて、100年間で一度もないんだぜ」
エレン「で…でも!そーやって安心している時が危ないって、父さんが言ってたんだ!!」
ハンネス「まぁ…確かにそうかもな」
ハンネス「優秀な魔戒法師のイェーガー先生には頭が上がらねぇんだ、けど…でもなぁ…」
ハンネス「一度、法師達の壁の補強作業に着いて行った時に、壁の外をうろつくヤツらを見る機会があったんだが…
     ヤツらにこの50mの壁と結界をどうこう出来るとは思えねぇんだ」
エレン「じゃあ、そもそもヤツらと戦う覚悟なんかねぇんだな!?」
ハンネス「ねぇな!」
エレン「なっ…なんだよ!!もう「魔戒騎士」なんて名乗るのやめて「魔戒工事団」にしろよ!!」
ハンネス「ははっ、それも悪くねぇ!」

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15/12/25 20:45:14.875 ch2f3T/80XMAS.net
ハンネス「しかしなエレン…
     騎士が活躍するってことは、それこそ最悪の時だ…」
ハンネス「表ではただの「兵士」と呼ばれるオレ達が、役立たずの「タダメシ食らい」って馬鹿にされてる方が、
     みんなは平和に暮らせるんだぞ?」
エレン「……!!」
エレン「一生、壁の中から出られなくても…メシ食って寝てりゃ生きていけるよ…
    でも…それじゃ…」
エレン「まるで、家畜じゃないか…」
――
調査兵団の男「行ったか…けっ、おかしなヤツだな…」
ハンネス「…!!」
ハンネス「まさか、あいつ…」
ハンネス「魔戒騎士に、なりたいのか……?」
――
ミカサ「……エレン」
ミカサ「魔戒騎士はやめた方がいい…」
エレン「!!」

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15/12/25 20:45:44.828 ch2f3T/80XMAS.net
エレン「なんだよ……オマエも魔戒騎士をバカにすんのか!?」
ミカサ「…」
ミカサ「………バカにするとか、そういう問題じゃ
カンカンカンカンカン
エレンとミカサ「!!」
街の男「調査兵団が帰ってきたんだ!!正面の門が開くぞ!」
エレン「…英雄の凱旋だ…!!行くぞミカサ!」ダッ
――
エレン「……!!」
街の男A「これだけしか帰ってこれなかったのか…」
街の男B「今回もひどいな…100人以上で調査に向かったハズなのに…」
街の男A「20人もいないぞ…みんな…食われちまったのか…」
ブラウンの母「ブラウン!!ブラウン!!」
エレン「!!」

8:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします
15/12/25 20:45:59.073 ch2f3T/80XMAS.net
ブラウンの母「あの…息子が…ブラウンが見当たらないんですが…息子は…どこでしょうか…!?」
キース「……!!ブラウンの母親だ…持ってこい……」
スッ…
ブラウンの母「……え?」
キース「それだしか、取り戻せませんでした…」
キース(ブラウンの持っていた武器は回収できた…できたが…ソウルメタルで作られた魔戒剣だ……)
キース(一般人は……いや、女性の段階で持ち上げる事は不可能だ…それに……)
キース(魔戒道具を……魔戒騎士の存在を仄めかす代物を民間人に手渡す事はできん…すまない……)
ブラウンの母「う…うぅ…でも…息子は…役に立ったのですよね……」
キース「……!!」
ブラウンの母「何か直接の手柄を立てたわけではなくても!!
       息子の死は!!人類の反撃の糧になったのですよね!!?」
キース「もちろん――!」
キース「……」

9:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします
15/12/25 20:46:19.973 ch2f3T/80XMAS.net
キース「…………イヤ…今回の調査で…我々は…今回も…」
キース(…そうだ…オレは…)
キース「なんの成果も…得られませんでした!!」
キース(オレは…守りし者のはずなのに……!!)
キース「私が無能なばかりに……!!ただ、いたずらに兵士を死なせ…!!
    ヤツらの正体を…!!突き止めることができませんでした!!」
キース(魔戒騎士……失格だッ!!)
エレン「……!!」
ミカサ「…エレン」
ミカサ「魔戒騎士になりたいって気持ちは変わった……?」
エレン「!!」
エレン「……帰るぞ、ミカサ」

10:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします
15/12/25 20:46:37.439 ch2f3T/80XMAS.net
ミカサ「ただいま」
グリシャ「おかりなさい」
カルラ「遅かったのね、二人とも」
エレン「イヤ…まぁ……色々あって…」
カルラ「アレ?父さん、今から出かけるの?」
グリシャ「ああ、番犬所からの指令だ。最近は魔戒法師に対してもこんなに堅苦しい指令書が届くようになったのだな。
     2つ上の街の結界が弱まっているらしい。なに、新しい魔戒札と交換してくるだけだ」
ミカサ「…エレンが…」
ミカサ「魔戒騎士になりないって…」
エレン「ミ…ミカサ!!言うなって!!」
カルラ「エレン!?」
カルラ「何を考えているの!?今までどれだけの数の騎士達が死んだか分かってるの!?」
エレン「わ…分かってるよ!!」
グリシャ「……」
グリシャ「どうして魔戒騎士になりたいんだ?」

11:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします
15/12/25 20:46:57.947 ch2f3T/80XMAS.net
エレン「外の世界がどうなっているのか、何も知らずに一生壁の中で過ごすなんて嫌だ!!」
エレン「それに…ここで誰も続く人がいなくなったら、今までに死んだ騎士や法師達の命が無駄になる!」
グリシャ「…そうか…指令の時間だ、そろそろ行くよ」
カルラ「ちょっと…あなた!エレンを説得して!!」
グリシャ「カルラ…守りし者へとなる決意と覚悟は、誰かに言われて抑えられるものではないよ」
グリシャ「…エレン、帰ったら…ずっと秘密にしていた地下室を…見せてやろう」
エレン「ほ…本当に!?」
バタン…
カルラ「…エレン」
エレン「なに?」
カルラ「駄目だからね、法師ならまだしも……魔戒騎士なんてバカなマネ―
エレン「は!?バカだって…!?
    オレには…家畜でも平気でいられる人間も、それを守る剣をバカにするような人間の方が…
    よっぽどマヌケに見えるね!」ダッ
カルラ「……!!ミカサ。あの子はだいぶ危なっかしいから…困った時は二人で助け合うんだよ」
ミカサ「うん!」コクッ

12:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします
15/12/25 20:47:16.719 ch2f3T/80XMAS.net
――
アルミン「―それで人類はいずれ、外の世界に行くべきだって言ったら、殴られた。異端だって」
アルミン「…まぁある意味、異端者なのは認めるけどね…。僕のお父さんは魔戒騎士だったし…」
アルミン「ホラーと騎士、それに法師の事なんてみんなは知らないんだ。
     知ってる人と知らない人じゃ、考え方は丸っきり違うだろうし…」
エレン「くっそー、アイツらが家畜なりにも生きてられんのは、
    騎士と法師が毎日ホラーと戦ってるおかげだってのによぉ!!」
アルミン「魔戒騎士と魔戒法師は闇に生きるのが掟だからね。しょうがないよ…」
エレン「それにしても、外に出たいってだけで何で白い目で見られるんだ」
アルミン「そりゃ…壁の中にいるだけで100年ずっと平和だったからだ。
     下手に外に出ようとして、ヤツらを壁の中に招くようなことが起きないように。
     王政府の方針…いや、恐らく番犬所としても外の世界に興味を持つこと自体をタブーにしちゃったんだ」

13:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします
15/12/25 20:47:34.061 ch2f3T/80XMAS.net
アルミン「…でも、本当にそれだけの理由なんだろうか?」
エレン「自分の命を懸けるんだ、オレらの勝手だろ!」
ミカサ「絶対、駄目」
エレン「そーいやお前、よくも親にバラしたな!!」
アルミン「え!?」
ミカサ「協力した覚えはない」
アルミン「で…どうだった…」
エレン「そりゃあ…喜ばれはしない…」
アルミン「…そりゃそうだよ…」
エレン「なっなんだよ!オマエもやめろって言うのか!?魔戒騎士の息子だろアルミンは!」
アルミン「僕だって父さんの鎧を継承できるならしてあげたかった…。でも僕には素質が無い…」
    「それに…危険だし…気持ちは分かるけど」
    「確かに この壁の中は未来永劫安全だと信じきってる人はどうかと思うよ」
    「100年、壁を壊されなかったといって、今日壊されない保証なんかどこにもないのに…」

14:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします
15/12/25 20:47:57.252 ch2f3T/80XMAS.net
ドォン!!!
エレンとミカサとアルミン「!!?」
エレン「は……!?何だ!?地震ってやつか!?」
アルミン「…え?」
エレン「行ってみよう!!」
タッタッタ
アルミン「」
エレン「アルミン、一体何が…!?」
アルミン「」
エレン「オ…オイ…何が見えるってんだよ!?」ダッ
ビキビキ…

15:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします
15/12/25 20:48:45.261 ch2f3T/80XMAS.net
アルミン「……………!?そんな…!!」
アルミン「あ…あの壁は……50m…だぞ……」
エレン「…あ……」
エレン「…………ヤツだ……」
エレン「巨人…いや…未知なるホラー…」
エレン「ホラー巨人体……」
その日、人類は思い出した
〈ホラー〉に 支配されていた恐怖を…
鳥篭の中に囚われていた屈辱を……

16:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします
15/12/25 20:49:06.654 ch2f3T/80XMAS.net
光あるところに、漆黒の闇ありき
古の時代より、人類は闇を恐れた
しかし、暗黒を断ち切る騎士の剣によって
人類は希望の光を得たのだ

   牙 狼
〈G A R O〉
 進 撃 ノ 呀

17:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします
15/12/25 20:49:21.608 ch2f3T/80XMAS.net
タッタッタ…
エレン(…ヤツが壊した壁の破片が…家の方角に…)
エレン(……母さん!)
エレン「母さん!!」
ミカサ「おばさん!!」
カルラ「……エレンかい?」
エレン「ミカサ!そっちを持て!!この柱をどかすぞ!!行くぞ!!」
エレン「せーの!!」グググ…
ミカサ「……!!」グググ…

18:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします
15/12/25 20:50:08.630 ch2f3T/80XMAS.net
ウォォォォォォォォ………!
エレン「!!」
エレン「ミカサ急げ!!」
ミカサ「わかってる!!」
エレン「急ぐんだ!!」
カルラ「きょ…巨人が…あのホラー達が…入って来たんだろ?」
カルラ「………!!」
カルラ「エレン!!ミカサを連れて逃げなさい!!早く!!」
エレン「…に…逃げたいよオレも!!早く出てくれよ!!
    早く!!一緒に逃げよう!!」
カルラ「母さんの足は瓦礫に潰されてる。魔導筆でもこれだけのキズを完治させるには時間がかかる…。
    だから今、ここから出られたとしても走れない…わかるだろ?」
エレン「オレが担いで走るよ!!」
カルラ「……!!」

19:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします
15/12/25 20:50:26.480 ch2f3T/80XMAS.net
カルラ「どうしていつも母さんの言うこと聞かないの!最後くらい言うこと聞いてよ!!」
カルラ「それに……アンタは魔戒騎士になるんだろ!!
    アンタが死んだら…この先アンタが救えるはずだった人を…守れるはずだった人々を…」
ミカサ「ヤダ…イヤダ…」
カルラ「エレン!!魔戒騎士として!!守りし者として!!ミカサを守りなさい!!」
エレン「…………母さんも…助ける…助けてみせる…」
ドシン…ドシン…ドシン…
カルラ(このままじゃ、3人とも…!!)
カルラ(!!)
ダッ
ハンネス「………!!」(鎧召還)バッ ブゥン…!
破狼(バロン)「……くっ!!」

20:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします
15/12/25 20:50:45.623 ch2f3T/80XMAS.net
カルラ「待って!!戦ってはダメ!!」
破狼「……!?」
カルラ「子どもたちを連れて…逃げて!!」
破狼「見くびってもらっちゃ困るぜ カルラ!!
   オレはこの巨人を斬って、きっちり3人とも助ける!」
破狼「旧友の家族を救ってようやく恩返しを―」
カルラ「ハンネスさん!」
カルラ「お願い!!」
破狼「…………!!……」
破狼(確実に…確実に二人だけは助ける方を取るか…。巨人と戦って全員助ける賭けに出るか…)
破狼(カルラの願いに応えるか…オレの恩返しを通すか…!!)
破狼(オレは―!!)

21:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします
15/12/25 20:51:03.066 ch2f3T/80XMAS.net
破狼「……カルラ、すまねぇ…!」
破狼「オレは―魔戒騎士!!雷鳴騎士、破狼だ!!」
破狼「はぁッ!!」
カルラ「…こうなったら」ピラ…
カルラ「はっ!」
バシュゥン!
破狼「!?(これは…魔戒札?ホラーの血液を吸っているのか…!?)」
破狼「まさかッ!?やめろぉ!カルラァ!!」
シュゥン!バシャァァ…
ぽた…ぽた…
破狼「カルラ、お前…ホラーの血を…浴びて…」
カルラ「ハンネスさん…これで…私は助かっても…100日後に死ぬ…
    ホラーの返り血を浴びた者はどうやって死ぬのか…知ってるわよね…?」
カルラ「あんな死に方をするのなら…巨人に食われる方がマシよ…」
カルラ「だから早く息子たちを…」
破狼「くっ……、ならばせめて俺の手で…!!」
エレン「や、やめろよハンネスさん!やめろぉ!!」

22:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします
15/12/25 20:51:25.160 ch2f3T/80XMAS.net
ジュウゥゥ…
エレン「うわぁぁぁ!!!」
破狼「エレン!?バカ野郎!!鎧から手を離せ!!」
エレン「母さんは……!!俺が助けるんだぁ!!魔戒騎士になる俺がぁ!!」
ドシン…ドシン…ドシン…
破狼(巨人がもうこんな近くまで…!他にもいる!!
   それに鎧を召還してもう30秒は経過してる…ダメだ!もう間に合わない!!)
破狼「……くそッ!!」(鎧解除)バシュン
ハンネス「カルラ…すまない!!」
ガシッ!
エレンとミカサ「!?」
エレン「オ…オイ!?ハンネスさん!?何やってんだよ!!オイ…母さんがまだっ」
カルラ「ハンネスさん……ありがとう…」
カルラ「エレン!!ミカサ!!生きのびるのよ…!!」
エレン「母さん!!母さあぁぁん!!」
ミカサ「…………うっ」
タッタッタッタッ…
カルラ(エレン…最後に…この術を……!!)ブゥン…

23:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします
15/12/25 20:51:43.533 ch2f3T/80XMAS.net
カルラ(これで…いい…)
カルラ(これであの子は……あの力を……)
カルラ(…やっぱりエレンは私たちの子よ、アナタ…)
カルラ(だって…アナタと同じ「魔戒騎士」になりたいって…って)
カルラ(うふふ…)ニコッ…
パキッパキッ…パキッ……
――



24:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします
15/12/25 20:52:06.836 ch2f3T/80XMAS.net
「100年の平和の代償は惨劇によって支払われた」
「当時の危機意識と、騎士ならびに法師の技能では、突然の「超大型ホラー」の出現に対応できるはずもなかった…」
「その結果…先端の壁「ウォール・マリア」を放棄。人類の活動領域は現在我々のいる「ウォール・ローゼ」まで後退した」
「今この瞬間にもあの「超大型ホラー」が、壁を破壊しに来たとしても不思議ではない」
「また、あの惨劇によって人々の陰我もより大きくなり、壁内に出現する通常のホラーも年々その凶悪性を増している」
「その時こそ諸君らは、魔戒騎士、または魔戒法師として「生産者」に代わり
 自らの命を捧げて、ホラーという脅威に立ち向かってゆくのだ!」
「心臓を捧げよ!!」
「「「「ハッ!!!」」」」
「本日 諸君らは「訓練兵」を卒業する…。
 その中で最も訓練成績が良かった上位の者達を発表する。呼ばれた者は前へ」

25:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします
15/12/25 20:52:31.204 ch2f3T/80XMAS.net
「まずは魔戒法師科」
「4番 クリスタ・レンズ」
「3番 サシャ・ブラウス」
「2番 アニ・レオンハート」
「主席 ミカサ・アッカーマン」
「そして魔戒騎士科」
「4番 コニー・スプリンガー」
「3番 ベルトルト・フーバー」
「2番 ライナー・ブラウン」

26:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします
15/12/25 20:52:56.691 ch2f3T/80XMAS.net
「…そして今期の魔戒騎士科の主席は…3名!」
「つまり、専用の鎧と武器。そして、称号を得ることを許された優秀な魔戒騎士でもある!!」
「ジャン・キルシュタイン! 紫電騎士 斬無(ザン)!」
「アルミン・アルレルト! 蒼穹騎士 亜狼(アロウ)!」
「そして…エレン・イェーガー! 千滅騎士 影呀(エイガ)!」

27:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします
15/12/25 20:53:35.669 ch2f3T/80XMAS.net
「以上10名―
エレン(やっと ここまで辿り着いた)
エレン(今度はオレたちの番だ。今度はオレたち魔戒騎士が…)
エレン(ホラーを殲滅し尽くしてやる!!)
――――――――――――――(……)    

【続く】

28:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします
15/12/25 20:54:01.222 ch2f3T/80XMAS.net
〈次回予告〉
やぁ、久しぶりだね。元気にしてたかい?
それにしても、この時代には珍しいホラーがいるもんだね
まぁ、エレンくんはあの厳しい訓練を耐えたんだ、きっと大丈夫さ
次回「覚悟」
え、僕が誰だって?いずれ分かるよ、いずれね…

29:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします
15/12/25 20:54:22.101 ch2f3T/80XMAS.net
〈現在公開可能な情報〉
【ホラー】
古代から魔戒騎士や魔戒法師と戦ってきた魔界の怪物。
森羅万象あらゆるものに存在する陰我と呼ばれる闇に寄生し、ゲートを通じて人間界へとやってくる。
元の姿は共通しているが、一度憑依するとその物と同化、それぞれの陰我に応じた姿・能力を得て次々と人間を捕食する。
【魔戒騎士】
人知れず闇を狩る戦士達の総称。一子相伝で男にしかなる事ができない。
魔戒騎士は通常でも圧倒的な戦闘能力を誇るが、魔戒剣で空中に円を描き、鎧を召喚し装着することでホラーを遥かに凌駕する力を行使できる。
鎧の装着制限時間は99.9秒。
【魔戒法師】
魔導力による法術を駆使し、魔戒騎士をサポートする錬金術師的な存在。
かつては自らがホラーと戦っていたが、それだけでは限界があり、肉体を鍛え戦闘に特化した魔戒騎士が生まれるに至った。
現在は魔戒剣・魔導具等の製作といった裏方に徹している者が多いが、決して戦闘能力が低い訳でも格下の存在である訳でもない。

30:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします
15/12/25 20:55:11.940 ch2f3T/80XMAS.net
第2話「試練」



――
キース導師「まずは貴様らの適性を見る!両側の腰にロープを繋いでぶら下がるだけだ!!」
キース導師「全身のベルトで体のバランスを取れ!これができない奴は囮にも使えん!開拓地に移ってもらう!」
ぞろぞろ…
キース導師「…あぁ、言い忘れていたが。魔戒騎士科の貴様らには別の適性検査を用意してある」

31:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします
15/12/25 20:55:26.386 ch2f3T/80XMAS.net
エレン「……?」
キース導師「ここにある短刀を持ち上げてもらう」サッ…
コニー「え…?それだけですか?というかコレ短刀というか果物ナイフじゃ…」すっ…
キース導師「いいか、渡すぞ」
ズンッ!!
コニー「えっ!?お、重ッ!!?」
コニー「何だコレ!?全然持ち上げあれねぇッ!!」グググ…

32:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします
15/12/25 20:55:41.893 ch2f3T/80XMAS.net
キース導師「コイツは〈ソウルメタル〉と呼ばれる金属で作られている」
キース導師「魔戒騎士が使う鎧や武器は、全てこのソウルメタルで作られている」
キース導師「つまり、ソウルメタルを持ち上げられないということは、魔戒騎士にはなれないことを意味する」
ライナー「何て重さだッ……!!二人がかりでも全然……!」
キース導師「無駄だ。力だけでは何人がかりでも持ち上げることなど不可能だ」
キース導師「下がれ、見ていろ」(鎧召還)バッ ブゥン…
戯牙「ソウルメタルは持ち主の精神力で、その重さを自在に変化させる特性を持つ」
戯牙「時には鉛のように重く、時には羽毛のように軽い」ひょいっ
ジャン(ライナーたちでさえ、あの小さな短刀ですら持ち上げることはできなかった)
ジャン(それをあの教官は、あんなバカデカい斧を軽々と……)
戯牙「ソウルメタルを制する者は、戦いを制する」
戯牙「この特性を利用すれば、この岩石も……ふんッ」スパッ
一同「「「おぉ……」」」

33:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします
15/12/25 20:55:54.614 ch2f3T/80XMAS.net
キース導師「いいか、イメージが重要だ。どうすれば軽くなるか、どうすれば持ち上げられるか、想像しろ」(鎧解除)
キース導師「今日から3日間の期限を与える。それまでにそれぞれこの短刀を持ち上げられるようになること」
キース導師「……返事が聞こえようだが…?」
一同「ハ…ハイッ!」
――


(二日目)
キース導師「ほう……アルミン・アルレルト、貴様は上手くコツを掴んだようだ。存外、素質があるのかもしれんな」
アルミン「ハッ!ありがとうございますッ!」
キース導師「ちなみに……貴様はどんなイメージで持ち上げたというのだ」
アルミン「はい、あの青空に浮かぶ雲をイメージしました!」
キース導師「青空……雲…か」
キース導師(確かアルレルト家の騎士の称号は〈蒼穹〉だったな…)
キース導師(彼は自分が思っているよりも、魔戒騎士の才能がある逸材かもしれん…)

34:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします
15/12/25 20:56:09.449 ch2f3T/80XMAS.net
キース導師「それに比べ…ヤツは持ち上がる気配が全く無いぞ…」
アルミン「あ…彼は……その…」
エレン「はぁ…はぁ…はぁ…」
エレン(ちくしょう……!何でだッ!何で持ち上げられねぇんだッ!)
エレン「ふんッ!!!」
エレン(何だコレ…こんなの…どうやって…ウソ…だろ?こんなハズじゃ……)
アルミン「エ、エレン……大丈
キース導師「エレン・イェーガー!!」
エレン「ハッ、ハイッ!!」
キース導師「他の者は少しずつだが持ち上げ始めてるぞ。まぁアルレルト以外はまだぎこちないがな…」
キース導師「しかし、お前は未だに少しも持ち上がっていない。このままだと開拓地送りだぞ」
エレン「い、いや!俺は必ず!魔戒騎士になってみせます!!」
キース導師「ソウルメタルを操れなければ魔戒騎士にはなれん!気合を入れろ!!」
エレン「ハ…ハイッ!!ぐぅぅ……!!」グググ…
キース導師「……(この男、単なる不器用なのか、それとも…まさか…)

35:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします
15/12/25 20:56:27.751 ch2f3T/80XMAS.net
キース導師「……今日の訓練はここまでとする!各自、食事の時間まで寮で待機!いいな!」
一同「「「ハッ!!ありがとうごさいました!!」」」
キース導師「アルレルト、ソウルメタルの短刀の片付けを頼んでもいいか」
アルミン「ハッ!了解しました!」
キース導師「エレン」
エレン「……はい」
キース導師「……たまには発想を逆転させてみろ。何か掴めるかもしれんぞ」
エレン「?は、はい…、分かりました…」

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15/12/25 20:56:41.170 ch2f3T/80XMAS.net
ガヤガヤ…
アルミン「気にしても仕方ないよ。明日できるようになればいいんだから」
エレン「……明日…明日持ち上げれなかったら…」
エレン「オレ……どうすりゃいいんだ…」
アルミン「だから、今は悩んでも仕方ないって…」
エレン「情けねぇ…こんなんじゃ奴らを…根絶やしにすることなんか……」
ミカサ「もう、そんなこと目指すべきじゃない」
エレン「…は!?」
アルミン「え?」
ミカサ「向いてないのなら仕方ない。ようやく持ち上げれる程度では無駄に死ぬだけ。きっと夢も努力も徒労に終わる」
エレン「……な…何だって…?」
ミカサ「魔戒騎士を目指すべきじゃないと言っている。魔戒法師として騎士のサポートなどに徹する選択もある。
    何も前線でホラーと斬り合うことだけが戦うことじゃない」
エレン「お…お前なぁ…オレは…あの日あの光景を見ちまったんだぞ…?そんな理屈で納得できると思うのか?」
アルミン「……」

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15/12/25 20:56:55.902 ch2f3T/80XMAS.net
ミカサ「…でも、その覚悟の程は関係ない」
エレン「は?何でだよ、言ってみろ」
ミカサ「魔戒騎士になれるかどうか判断するのはエレンじゃないから…」
エレン「う…」
エレン(このヤロー、そんなことはわかってんだよ…)
   (まずソウルメタルを持ち上げられねぇとお話にならねぇのは事実だ…正論だ…オレは今何も言う資格がねぇ…)
   (バカ言ってんじゃねぇよって感じなんだろうけどな…何でも簡単にこなしちまうお前にとっちゃよ!)
―寮部屋―
ベルトルト「う~ん…ソウルメタルを持ち上げるコツか…」
エレン「頼む!二人も持ち上げれたのは早い方だったって聞いたぞ、ベルトルト…ライナー…」
ライナー「…すまんが、コツと言われても精神と感覚の話だからな…最初の教官の言ったアドバイス通りにしただけだ…
     期待するような助言はできそうにないな…」
エレン「…そうか…」
アルミン「軽いイメージトレーニングと…後は明日に懸けるしかない…」
ライナーとベルトルト「……」

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15/12/25 20:57:32.389 ch2f3T/80XMAS.net
ベルトルト「二人は…あのシガンシナ管轄出身だよね?」
アルミン「うん…そうだけど…」
ベルトルト「じゃあ…ホラーの恐ろしさも知ってるはずだ。なのに……どうして魔戒騎士を目指すの?」
アルミン「えーと」
アルミン「僕は…直接ホラーの脅威を目の当たりにしたわけじゃないんだ。開拓地に残らなかったのも…
     あんなめちゃくちゃな奪還作戦を強行した王政と番犬所・あるいは元老院があることを考えると…
     なんだかじっとしてられなかったんだ…。それに…多くの騎士と法師が死んだ
     でも騎士と法師はあくまで兵団内の人間にのみ知られている存在であって、民間人はそんなことは知らない
     原始的な剣や銃で戦うイカれた戦闘集団くらいにしか思ってないだろう…」
アルミン「魔戒騎士や魔戒法師は闇の戦士。死んだらそれで終わり。墓も立てられない。誰もが忘れていく
     死んでいった彼らの中には、その代でその系譜が途絶えてしまう者がいるかもしれない
     そうなった時…彼らがいたことを…存在を覚えてあげる人間が必要だと思ったんだ…」
アルミン「僕は体力は無いし、自分に何か出来ることがあるか…わからないけど…
     そんな現実を黙って見てることなんて…できないよ」
ベルトルト「…すごいや…」
ライナー「あぁ、アルミン。お前は立派な魔戒騎士になれると思うぞ」

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15/12/25 20:58:04.660 ch2f3T/80XMAS.net
エレン(…やっぱすげぇな、アルミンは…)
アルミン「聞いてもいいかな?二人はどこ出身なの?」
ベルトルト「…僕とライナーは、ウォール・マリア南東の山奥の村出身なんだ…」
エレン「……!!」
アルミン「えっ!?そこは…」
ベルトルト「あぁ…川沿いの栄えた町とは違って結界が壊されてすぐには連絡が来なかった。
      何せ連絡より先に巨人が来たからね」
ベルトルト「明け方だった…。僕達の町には魔戒法師が大勢住んでいたけど、魔戒騎士は一人も住んでいないんだ。
      監視用の号竜がやけに騒がしくて、耳慣れない地響きが次第に大きくなり・・・
      それが足音だと気づいて急いで窓を開けたら―」
ベルトルト「その後は…えっと、あまりよく覚えてない…皆ひどく混乱したんだ
      みんな応戦したんだけど、何せ下手を打てば魔戒騎士でも苦戦を強いられる相手だ、長くはもたなかった…
      後は君達も同じだろ?」
エレン「2年間、開拓地に勤めて今に至る……だよな」

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15/12/25 20:58:21.625 ch2f3T/80XMAS.net
ライナー「まったく…お前は何だって突然そんな話すんだよ」
ベルトルト「ご…ごめん…えっと…つまり僕が言いたかったことは…君達は彼らとは違うだろ?」
エレン「彼ら?」
ベルトルト「ホラーの恐怖を知らずにここにいる人達だ。彼らがここにいる大半の理由は世間的な体裁を守るため…
      12歳を迎えて生産者に回る奴は臆した腰抜けだって…
      ウォール・マリアの陥落以降、反転した世論に流されて訓練兵になった…元々、表の世界の住人だ…
      巨人ホラー、ましてや素体ホラーや憑依された人間なんかも見たことはないだろう…
      ここに来て初めてホラーと魔戒騎士のことを認識したが…、しょせん魔戒騎士科にいるのは表面上だけのこと…
      危険の少ない昼間に行われるエレメントの浄化作業を主な任務である駐屯兵を目指しているだけだ…」
ライナー「……」
ベルトルト「まぁでも…臆病なところは僕も彼らと同じだ」
エレン「え?」
ベルトルト「ホラーの知識にもある程度詳しい…と思うし、体動かすのも得意だから…
      憲兵団…できれば元老院付きの特権階級狙いで魔戒騎士科を選んだ」
ベルトルト「僕には…自分の意思が無い。
      羨ましいよ…自分の命より大事なものがあって…」
エレン「そりゃそんな目に遭ったんだし…それに騎士として自分を大事にすることだって立派なことだろ?」

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15/12/25 20:58:38.044 ch2f3T/80XMAS.net
エレン「オレなんか壁壊される前から魔戒騎士になりたいとか言って、あ、いや、一般人にじゃないぞ!?
    オレの母さんと親父は魔戒法師だったから…よく母さんには止めろって怒鳴られまくってからな…」
ライナー「ん…?ってことは…あの巨人ホラーと遭遇した後も、その考えは変わらなかったってことか?」
エレン「ま…まぁ今となっては騎士になれるかどうかってとこだけどな…恐怖もたっぷり教わったがそれ以上に
    斬らなきゃならねぇと思ったよ…奴らを…1匹残らず」
ライナー「……」
ライナー「俺にも…俺にもあるぜ、絶対曲がらないものが…」
ライナー「帰れなくなった故郷を守る。俺の中にあるのはこれだけだ…絶対に…何としてもだ」
エレン「あぁ…」

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15/12/25 20:58:53.716 ch2f3T/80XMAS.net
ライナー「もう一度、教官の最初のアドバイスを思い出してみろ。
     剣を持つ自分の姿を想像してみたり、羽が生えてたり風船がくくりついているかのようにイメージを変えてみたり。
     明日は上手くいく…」
ライナー「お前ならやれるはずだ、エレン・イェーガーだったっけ?」
エレン「あぁ ありがとよ�


43:cライナー・ブラウンだよな?」 アルミン「しかし教官の言葉を振り返ると言っても…あ、そういえば」 アルミン「ねぇ、エレン。さっきの実習の最後に教官と何か話してたよね。何を言われたんだい?」 エレン「え?あ、あぁ、確か…、発想を逆転させるのも手だ、とか何とか…」 アルミン「そっか…、当たり障りの無い普通の助言に聞こえるけ…ど……」 アルミン「………」 エレン「アルミン?どうした?具合でも―」 アルミン「……そっか…そうだよ。そういうことだったんだ!逆転の発想ってそういう意味だったんだ!!」 エレン「!!」 エレン「ア、アルミン…、いきなり大声出すなよ、びっくりするじゃね~か…」 アルミン「分かったよ!エレン!君がどうすればソウルメタルを持ち上げられるようになるのかを!」 エレン「……ほ…、本当かアルミン!?ど、どうすれば持ち上げられるんだ!?どんなコツがあるっていうんだ!?」 アルミン「いいかい?落ち着いて聞いてねエレン。君は大きな勘違いをしている。まずはそれを正さないといけない」 アルミン「エレン…今の君ではね…。仮にソウルメタルを扱えたとしても…」 アルミン「魔戒騎士にはなれないんだ」



44:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします
15/12/25 20:59:17.100 ch2f3T/80XMAS.net
エレン「…………え?」
(翌日)
キース導師「エレン・イェーガー。覚悟はいいか?
      ソウルメタルを持ち上げることは魔戒騎士の最低条件だ
      できなければ開拓地に戻るか、もしくは魔戒法師科に転科してもらう…いいな?」
エレン「はい!」
エレン(やる!オレは絶対やる!!オレには素質がねぇかもしれねぇけど…根性だけは誰にも負けねぇ!)
キース導師「始めろ」
エレン(理屈なんか知らん!根拠も無い!でもオレにはこれしかねぇ!)
(前日ー夜)
アルミン「いいかい?エレン。そもそも魔戒騎士って何だと思う?」
エレン「…え?魔戒騎士が?え?な、何…?」
アルミン「…なら質問の仕方を変えるよ? 魔戒騎士の鎧と剣って “何の為に存在するのか” 知ってる?」
エレン「そりゃ勿論、ホラーをブッ殺す為の……」

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15/12/25 20:59:38.911 ch2f3T/80XMAS.net
アルミン「違うよエレン。グリシャおじさんやハンジさんから聞いたことなかったかい?
     魔戒騎士は “守りし者” 。そうさ、魔戒騎士とは何かを守る為に戦う騎士なんだ。エレンはその本質が違うんだよ」
     僕もライナーも、ベルトルトや他のみんなは、とにかく“何か”を守る為に魔戒騎士になろうとしてる。
     僕は死んでいった騎士や法師の誇りを「守る為」、ライナーは故郷を「守る為」、
     ベルトルトや他のみんなは、自分の命を「守る為」に騎士になったんだ。
     勿論、その理由に意思の軽薄さは多少なりとも影響するんだろうけど、でもエレンは全く違う」
アルミン「エレンはホラーを殺したいからという「憎しみ」の力だけで騎士になろうとしているから反応しないんだ。
     「誰かを守る為に、ホラーを斬る」という感情じゃないとソウルメタルは共鳴しないんじゃないかな」
エレン「オレが、魔戒騎士になる本当の理由…」
アルミン「そしてもう1つ…。
     僕達は今まで「ソウルメタルより軽いもの」を連想しようとした。その発想を逆転させるんだ。
     「ソウルメタルよりも軽いもの」ではなくて、「ソウルメタルよりも重いもの」を連想するんだ、エレン」

46:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします
15/12/25 20:59:50.906 ch2f3T/80XMAS.net
エレン「重い…もの?」
アルミン「さぁ、エレン。君には思い当たるフシがあるはずだよ…。
     ある日、君が、二人がかりでも持ち上げられなかったもの…。
     君が命を懸けてまで持ち上げたかったもの…。
     その先にあるのは……もう…分かるよね……?」
エレン「……………あぁ、よく覚えてるよ、アルミン……」

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15/12/25 21:00:01.072 ch2f3T/80XMAS.net
そうだ……
オレはあの日…
あの人を
あの光を
純粋に救いたいと
守りたいと、思った
だから、あの時
あの人はソレに気づいたんだ
いっつもいっつも口うるさく反対してたクセに
急に「お前は魔戒騎士になるんだろ」って

48:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします
15/12/25 21:00:27.591 ch2f3T/80XMAS.net
それでもアンタは
最後の最後まで
ミカサを守れだの、人々を救えだの
ったく、自分の事はいっつも棚に上げて
最期は自分を犠牲にしてでもオレたちを助けやがって……
…アンタは魔戒法師だったけど
もし…もしも
もしも、女でも魔戒騎士になれる世の中だったら
もしも、アンタが魔戒騎士だったら
アンタこそが、オレの追い求めた理想の魔戒騎士の姿かもしれねぇ

49:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします
15/12/25 21:00:39.363 ch2f3T/80XMAS.net
このソウルメタルはオレにとって、この世で一番重いものだ…
そう、あの時の瓦礫よりも重いはずだ
こいつを持ち上げられるようになれば、あんな瓦礫なんか簡単に持ち上げられるはずだろ……!
こいつを持ち上げれば……
魔戒騎士になれれば……
もう二度とあんな思いをすることは無くなる…!!
アンタが託したミカサを守れるようになる……!!
だからさ、神様
頼むよ…!

50:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします
15/12/25 21:00:49.668 ch2f3T/80XMAS.net
今のオレなら、あの人を救えるはずなんだ…!
だから…
もう1度、あの日をやり直させてくれよ………!!!
エレン「なぁ…」グググ…
スッ…
エレン「母さん……!!!」

51:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします
15/12/25 21:01:04.912 ch2f3T/80XMAS.net
アルミン「や、やった!!」
ミカサ「……!!」
キース導師「よくやった、エレ―」
エレン「オレはァ!!」
アルミン「!!」
ミカサ「!!」
キース導師「!!」
エレン「魔戒騎士!エレン・イェーガー!!」
エレン「魔戒法師・華流羅の血を……受け継ぐ者なり……!!!」
キース導師「こ、こいつ…」ビリビリィ…!!
エレン「はぁ…はぁ…はぁ…」
エレン(どうだ…ミカサ…)
エレン(オレはやれる…ホラーと戦える!!)
エレン(もう、お前に世話焼かれることもねぇな……いや)
エレン(お前を守ってやれる…俺は…守りし者だ…)
ミカサ「……」

52:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします
15/12/25 21:01:22.566 ch2f3T/80XMAS.net
ひそひそ…
訓練兵A「何だアイツ……もしかして泣いてんのか?」
訓練兵B「つーかなんだよ、魔戒法師の血を引くって。騎士なら分かるけどたかが法師だろ」
訓練兵C「1人で勝手に熱くなっちゃって……点数集めのアピールかぁ?」
訓練兵D「そもそも華流羅?そんな名前の法師聞いたことねーわ。所詮三流の魔戒法師だろ」
キース導師「……魔戒法師を侮辱するのは許さん。騎士と法師に上下関係など断じて無い。
      何なら貴様らには立体機動装備無しで前線に出てもらおうか…。あれは魔戒法師の偉大な発明品だからな……」
訓練兵「「「「い、いや�


53:Aその……すみませんでした!!」」」」



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15/12/25 21:01:38.822 ch2f3T/80XMAS.net
キース導師(……ふん、「華流羅」の名を知らぬとはな、時代が進むのも早いものだ)
魔戒法師科の教官「あっ……、キース導師。昨夜、言ってたソウルメタルとは……」
キース導師「あぁ、コレだ……」
魔戒法師科の教官「……確かに。僕が施した法術が破られてますね……
         それどころか、何者かによって違う術をかけられています、この術は……」
キース導師「『ソウルメタルを重くする術』か……」
魔戒法師科の教官「そのようですね。最初に僕が施したのは『ソウルメタルを少しだけ軽くする術』です。
         みんなの進行度合いを考慮しながら徐々に術の効力を弱めていこう、という計画だったんですが……」
キース導師「どういうことだ…。エレン・イェーガーのソウルメタルだけが何故……
      いや、そもそもお前ほどの法師がかけた術を破り、
      さらにはこんな高度な術を上書きできるほどの法師がどこかに潜んでいる……ということなのか……」
魔戒法師科の教官「今の段階では事を荒立てない方がいいですね……。我々は我々で今、出来る事を尽くしましょう」
キース導師「あぁ、勿論だ…!」
キース導師(私の教え子たちは……私が守る!!)

55:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします
15/12/25 21:01:53.444 ch2f3T/80XMAS.net
エレン「どうだ!ミカサ!オレはやったぞ!見たか!」
ミカサ「……よく頑張りました」
【続く】

56:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします
15/12/25 21:02:15.105 ch2f3T/80XMAS.net
〈次回予告〉
自分の信じた道を突き進むことは大切さ
でも君には僕と同じ道を歩んで欲しくはないんだ
友を、心を、愛を失って、そうして得る物には何の価値も無いことを僕は知っている
次回「信念」
誰かの願いが叶う頃、あの子は泣いている

57:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします
15/12/25 21:02:28.887 sFrpL4J3DXMAS.net
GAROOOOOOOOOOOOOOOOOOO

58:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします
15/12/25 21:02:37.024 ch2f3T/80XMAS.net
〈現在公開可能な情報〉
【ソウルメタル】
一般人には超重量で、修行を積んでいないものでは短刀ほどの大きさでも持ち上げることができない。
残念ながら、女性はどんなに修行を積んでも扱うことができない。
使用者の魂の有り様によって、その重量、硬度を自在に変える性質を持つ。
修行を積んでソウルメタルと魂を通わせたり、強い意志や信念を持つことで、装備者にとっては羽根より軽く感じるようになる。
ソウルメタルで作られた魔戒騎士の鎧と武器は、高速で微振動を起こしており、生身の人間が触れるとその皮膚が裂かれてしまう。
その為、近作の魔戒騎士は民間人を救出するケースを考慮し、直接肌に触れることのないようにマント(大小なりとも)を携帯している。
【獣身騎士(じゅうしんきし)・戯牙(ギガ)】
キース・シャーディス導師が、鎧を召還して纏った魔戒騎士の姿。
魔戒斧を真上に掲げ円を描いた後、地面に叩き付けることで衝撃波と共に鎧を召喚、緑色の鎧で、瞳の色は赤。
所々には金の装飾が光り、両肩・両腰・両足部にはやや斜め上に反り返った突起が生えている。
胸部にはスパイク状の棘も生えており、攻撃的な印象を受ける。
魔戒斧も『獣身斧』というバトルアックスに巨大化。
拳で素体ホラーを殴り飛ばしては顔を掴んでジャイアントスイングの応用で投げ飛ばし、上空に殴り飛ばしては野球のボールのごとく弾き飛ばすパワフルな戦法が得意。
周囲に群がる素体ホラーに怯まず獣身斧を大きく振りかざし、地面に叩き付け放つ衝撃波が最大の必殺技となる。

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