「走れエロス」書いたat NEWS4VIP
「走れエロス」書いた - 暇つぶし2ch31:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします
15/05/31 16:02:51.145 s4UdcnN70.net
だからもうあるって
南蛮船時だよ

32:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします
15/05/31 16:04:46.308 XLK+7qlt0.net
ぜいぜい荒い呼吸を整えながら、山越えのためちょっとズルをしてケーブルカーに乗り、山頂近くのエンリャク寺院群に着いてほっとした時、突然、目の前に五人ほどの僧侶が現れた。
「待ちなさい、そこの方」
「何をなさるのだ。私は陽の沈まぬうちにニジョー城へ行かなければならぬ。話なら早めに済ませてくれ」
「そうはいきませぬ。我々にお布施をくださらなければ、地獄に堕ちますぞ」
「私にはティンポの他に何もない。その、たったひとつのティンポも、これから王にくれてやるのだ。」
「その、ティンポを覆う貞操帯が欲しいのです」
「さては、オナニスの命令で、ここで私を待ち伏せしていたのだな」
僧侶たちは、ものも言わず一斉に錫杖を振り上げた。エロスはひょいと、体を折り曲げ、飛ぶ鳥のごとく身近の一人に襲いかかり、その錫杖を奪いとって、
「気の毒だがティンポのためだ!」と猛然一撃、たちまち、三人を殴り倒し、残る者のひるむ隙に、さっさと走って山を下った。

33:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします
15/05/31 16:08:37.106 XLK+7qlt0.net
一気に山を駆け降りたが、流石に疲労し、折から午後の灼熱の太陽がまともに、かっと照ってきて、エロスは幾度となくめまいを感じ、さらに幾度となく強い性欲を感じ、よろよろ二、三歩歩いて、ついに、がくりと膝を折った。
股間の方は、いわゆる疲れマラというのか、ビンビンに立ち上がろうと貞操帯の中でもがいているのだが、肝心の足の方は、立ち上がることが出来ぬのだ。
天を仰いで、くやし泣きに泣き出した。
ああ、湖を泳ぎきり、僧侶を三人も撃ち倒し韋駄天、ここまで突破してきたエロスよ。真の勇者、エロスよ。今、ここで、疲れきって動けなくなるとは情けない。
愛する友は、お前を信じたばかりに、一度は全財産を失い、そして、今度はティンポまでも。
お前は、稀代の不信の人間、まさしくオナニスの思う壺だぞ、と自分を叱ってみるのだが、股間以外全身萎えて、もはや芋虫ほどにも前進かなわぬ。
路傍の草原にごろりと寝転がった。身体疲労すれば、ティンポは逆に立ち上がる。
もう、どうでもいいという、勇者に不似合いなふてくされた根性が、心の隅に巣食った。

34:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします
15/05/31 16:12:32.773 XLK+7qlt0.net
私は、これほど努力したのだ。約束を破る心は、微塵もなかった。
神も照覧、私は精一杯に努めてきたのだ。動けなくなるまで走り、萎えなくなるまで我慢してきたのだ。
私は性欲ザルではない。ああ、出来ることなら私のティンポをたち割って、愛と信実の血液だけで満たされた海綿体を見せてやりたい。
けれども私は、この大事な時に、我慢の限界が来てしまったのだ。
私は、よくよく不幸な男だ。私は、きっと笑われる。私の妹も、さらにはその妹婿までもが笑われる。
いや、それだけではすまぬ、彼の友人の成金仲間も笑われるかも知れない。そうなれば、成金仲間の家族や友人、先輩後輩までもが笑い者だ。さらにはその成金仲間の先輩の家族も、さらにそのまた友人も...。
ああ、もう、難しい話はどうでもいい。とにかく、これが、私の定まった運命なのかも知れない。
セフレンティウスよ、許してくれ。君は、いつでも私を信じた。私も君を欺かなかった。私たちは、本当に良い友と友であったのだ。
いちどだって、暗い疑惑の雲を、お互い胸に宿したことはなかった。今だって、君は私を無心に待っているだろう。ああ、待っているだろう。
ありがとう、セフレンティウス。よくも私を信じてくれた。それを思えば、たまらない。友と友の間の信実は、ティンポなどで替えられるものではないからな。

35:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします
15/05/31 16:13:09.665 21EBP4r/0.net
続けてくれ
応援してるよ

36:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします
15/05/31 16:13:40.130 XLK+7qlt0.net
>>34
ありがとう

37:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします
15/05/31 16:15:13.531 XLK+7qlt0.net
セフレンティウス、私は走ったのだ。君を欺くつもりは、みじんもなかった。信じてくれ!私は、急ぎに急いで、我慢に我慢を重ね、ここまで来たのだ。
エロ動画を見ても我慢した。湖も泳ぎきった。僧侶の囲みからも、するりと抜けて一気に山を駈け降りてきたのだ。私だから出来たのだよ。
ああ、この上、私に望みたもうな。放って置いてくれ、シコらせてくれ。どうでもいいのだ。私は負けたのだ。だらしがない。笑ってくれ。
オナニスは、私に、ちょっと遅れて来い、シコって来い、と耳打ちした。
遅れたら、身代わりを去勢して、私を助けてくれると約束した。
私はオナニスの卑劣を憎んだ。けれども、今になってみると、私はオナニスの言うままになっている。私は、遅れた上に、貞操帯を外して行くだろう。オナニスは、一人合点して私を笑い、そうして事もなく私を放免するだろう。
そうなったら、私は、女として生きるより辛い。私は、永遠に変態の裏切り者だ。地上で最も不名誉の人種だ。

38:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします
15/05/31 16:17:59.829 XLK+7qlt0.net
セフレンティウスよ、私は死ぬぞ。君のティンポと一緒に死なせてくれ。
君だけは私を信じてくれるに違いない。いや、それも私のひとりよがりか?
ああ、もういっそ、悪徳者として生き延びてやろうか。
コウカの里には私の家がある。エロ本もある。妹夫婦は、まさか私を追い出すようなことはしないだろう。
正義だの、信実だの、愛だの、セフレンティウスの巨根だの、考えてみればくだらない。
友を見捨てて自分が生きる。それが人間世界の定法ではなかったか。
ああ、何もかも、ばかばかしい。私は、変態の裏切り者だ。どうとも、勝手にするがよい。さあ、シコるか。
ーー貞操帯の鍵を取り出したところで、うとうと、まどろんでしまった。

39:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします
15/05/31 16:21:15.702 XLK+7qlt0.net
『エロス兄さん、兄さんは、そんな男だったの?』
『ち、違うのだ、妹よ。ただ、私は...』
『もういい。聞きたくない。セフレンティウスさんを見捨てるような兄さんの言い訳なんて』
『ま、待ってくれ! 分かった、走る。きっと、彼の待つニジョー城へ間に合ってみせる』
『本当に?』
『ああ、本当だとも。もう嘘はつかん。私を、兄を信じてくれ』
『良かった...それじゃあ、これは...一生懸命走る兄さんへの...ご褒美よ...アアンッ』

40:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします
15/05/31 16:21:53.225 XLK+7qlt0.net
「アアアアアァーッ!」
強烈な快感とともにエロスは跳ね起きた。何やら貞操帯の中が生ぬるくぬめっている。
そっと頭をもたげ、鼻で息をすると、生臭い匂いがした。どうやら、今見た妹の夢のせいで夢精してしまったらしい。
ほうと長いため息が出て、欲求不満から解放された気がした。
歩ける、行こう。疲労と性欲の解消とともに、わずかながら希望が生まれた。義務遂行の希望である。ティンポを犠牲に、名誉を守る希望である。
日没までにはまだ間がある。私を待っている人がいるのだ。少しも疑わず、静かに期待してくれている人があるのだ。
私は、信じられている。私のティンポなどは、問題ではない。死んでお詫び、などと気のいいことは言っておられぬ。
私は、セフレンティウスのたぐいまれな巨根を守らねばならぬ。今はただその一事だ。走れ! エロス。

41:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします
15/05/31 16:23:35.221 21EBP4r/0.net
おおおお

42:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします
15/05/31 16:23:48.433 XLK+7qlt0.net
私は信頼されている。 私は信頼されている。先刻の、あの悪魔の囁きは、あれは夢だ。悪い夢だ。忘れてしまえ。五臓が疲れている時は、ふいとあんな悪い夢を見るものだ。
それよりも、先刻の、あの妹の夢を我が心に刻みつけ、支えとして走り抜こうではないか。
エロス、やはり、お前は真の勇者だ。再びイチモツ萎えて走れるようになったではないか。ありがたい!
私は、正義の士として女になれるぞ。ああ、陽が沈む。ずんずん沈む。待ってくれ、太陽神よ。

43:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします
15/05/31 16:25:01.847 XLK+7qlt0.net
道行く人を突き飛ばし、蹴飛ばし、エロスは走った。
野原で乱交パーティーの宴席の真っ只中を駆け抜け、ヤっている人たちを仰天させ、シコるサルを蹴飛ばし、2メートルの壁を飛び越え、少しずつ沈んでゆく太陽の、十倍も早く走った。
一団の旅人とさっとすれ違った瞬間、不吉な会話を小耳にはさんだ。
「今頃は、あの男も去勢されているよ」
ああ、その男、その男のために私は、今こんなに走っているのだ。その男を女にしてはならない。
急げ、エロス。遅れてはならぬ。愛と誠の力を、今こそ知らせてやるがよい。
風体なんかはどうでもいい。エロスは、今は、貞操帯以外は何も着けていなかった。
見える。はるか向こうに小さく、ニジョー城の櫓が見える。櫓は、夕日を受けてきらきら光っている。

44:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします
15/05/31 16:26:57.755 XLK+7qlt0.net
「ああ、エロス様」うめくような声が、風と共に聞こえた。
「誰だ」エロスは走りながら尋ねた。
「フェラシテイカスでございます。貴方のお友達セフレンティウスのライバルでございます」
「何のライバルだ?セフレンティウスはただの呼び込みだぞ」
「いいえ、彼は職を無くす前、社会人マラソンを続けていました。そして、私もマラソン選手であり、日々そのタイムを競ってお互い切磋琢磨しておりました。私と彼は、良きライバルであり、良き友でもあったのです」
「そうだったのか。だが、私は急がねばならぬ。すまぬが話は後だ」
「いいえ」フェラシテイカスは、エロスのあとについて、走りながら叫んだ「駄目でございます。無駄でございます。そちらへ走るのはやめてください。彼をお助けになることは出来ません」
「いや、まだ陽は沈まぬ」
「そうではございません。ちょうど今、彼が去勢されるところです。ああ、あなたはアホだった。お恨み申し上げます」
「アホとは何だ。まだ陽は沈まぬ」
エロスは胸の張り裂ける思いで、赤く大きい夕陽ばかりを見つめていた。走るより他は無い。

45:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします
15/05/31 16:28:50.984 XLK+7qlt0.net
「やめてください。そちらへ走るのはやめてください。もう間に合わぬかと思いますが、彼は、あなたを信じておりました。王様がさんざん彼をからかっても、エロスは来ます、とだけ答え、強い信念を持ち続けている様子でございました」
「それだから走るのだ。信じられているから走るのだ。間に合う間に合わぬは問題ではないのだ。人の命も問題ではないのだ。私はなんだか、もっと恐ろしく大きいもののために走っているのだ。ついて来い!ニジョー城へ」
「ああ、やはりあなたはアホだ。刑場はニジョー城ではございません。サンジョー河原でございます。真後ろでございます」
「何っ?それを早く言え!」
「さあ、うんと走るがいい。ひょっとしたら、間に合わぬものでもない。」
言うにや及ぶ。まだ陽は沈まぬ。最後の死力を尽くして、エロスは走った。

46:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします
15/05/31 16:31:25.273 XLK+7qlt0.net
エロスの頭は、元々のことながら、空っぽだ。何一つ考えられない。
ただ、わけのわからぬ大きな力に引きずられて走った。
陽は、ゆらゆら山陵に没し、まさに最後の一辺の残光も消えようとした時、エロスは疾風の如く刑場に突入した。間に合った。
「待て。その人を去勢してはならぬ。エロスが帰って来た。約束のとおり、今帰って来た」
と大声で刑場の群衆に向かって叫んだが、執行前の儀式として美女がストリップをしているらしく、その歓声にかき消され、群衆は、一人として彼の到着に気がつかない。
ふと壇上を見ると、オナニスが踊り子を食い入るように見つめていた。もちろん、その右手は股ぐらでせわしく上下に動いている。
そして、オナニスの正面では、セフレンティウスが柱に縛りつけられている。
エロスはそれを見て最後の勇、先刻、湖を泳いだように群衆をかきわけ、かきわけ、
「私だ、オナニス! 去勢されるのは私だ。エロスだ。彼を人質にした私は、ここにいる!」
とかすれた声で精一杯に叫びながら、河原に転げ落ち、縛られている友の両足にかじりついた。
群衆は、どよめいた。あっぱれ、許せ、と口々にわめいた。セフレンティウスの縄はほどかれ、エロスの貞操帯は外されたのである。

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15/05/31 16:34:06.198 XLK+7qlt0.net
「セフレンティウス」
エロスは目に涙を浮かべて言った。
「私を殴れ。力一杯に頬を殴れ。私は途中で一度、悪い夢を見た。そればかりではない、実は、夢精までしてしまった。君がもし私を殴ってくれなかったら、私は君と抱擁する資格さえないのだ。どうか、このイカ臭い男を殴ってくれ。そして、思う存分罵ってくれ」
セフレンティウスは、全てを察した様子でうなずき、刑場いっぱいに鳴り響くほど音高くエロスの右頬を殴った。殴ってからエロスに向かって、
「イカ臭いんだよ、この変態野郎が」
と罵ると優しく微笑み、
「エロス、私を殴れ。同じくらい音高く私の頬を殴れ。私はこの三日間、たった一度だけ、ちらと君を疑った。生まれて初めて君を疑った。君が私を殴ってくれなければ、君は私と抱擁出来ない」
エロスは、それを聞いて、心の中に怒りの炎が燃え上がるのを感じた。私は三日間、懸命に走って来たと言うのに、この男はそんな私を疑ったというのか。
エロスは、自分が途中で悪い夢を見たことすら忘れ、怒りのおさまるまで、腕にうなりをつけてセフレンティウスの頬を、何発も何発も殴り続けた。
殴り終わって、
「ありがとう、友よ」二人同時に言い、ひしと抱き合い、それから嬉し泣きにおいおい声を放って泣いた。

48:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします
15/05/31 16:38:35.132 XLK+7qlt0.net
群衆の中からも、歔欷の声が聞こえた。暴君オナニスは、壇上から二人の様子をまじまじと見つめていたが、やがて二人に近づき、顔を赤らめて、こう言った。
「お前らの望みは叶ったぞ。お前らは、わしの心に勝ったのだ。」
それから、さらに頬を赤くし、
「ところで、わしは今初めて、男と女の関係ではない、別の趣味があることに気がついた。どうか、わしもその仲間に入れてくれないか。どうか、わしの願いを聞き入れて、お前らの仲間の一人にしてほしい」
どっと、群衆の間に、嘲笑の渦が起こった。
「変態、オナニス変態」
エロスは、まごついた。よき友は、気をきかせて教えてやった。
「エロス、君は、おっ勃っているじゃないか。早く落ち着かせなければ。そんなものだから、王様に私たちの関係を誤解されてしまうのだ」
エロスは、ひどく赤面した。


49:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします
15/05/31 16:39:09.530 8L9Oz7700.net
>>46
セフレンティウスかわいそう

50:以下、\(^o^)/でVIPがお送りします
15/05/31 16:51:21.500 21EBP4r/0.net
乙、面白かったよ

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