14/12/24 01:05:05.05 29a+SRCxEVE.net
美しい月の夜。
俺は縁側で親父と肩を並べていた。僅かな月明かりがさらに闇の色を濃厚なものにする。
父は眠るように月を見ていた。
―心配するな。親父の夢は俺が絶対に叶えてやる。
今にも消えてしまいそうな親父に向かって俺はそう言った。親父のことが大好きだった。馬鹿で、どこか抜けてるけど憎めない。
そんな親父だった。養子に貰われて来たときに比べるといくらかは老けた。それは、病気のせいもあるのだろい。
小さくなってしまったその背中を見るたびに、俺は悲しくなった。
そして、親父がもう長くは無いだろうということも幼いながらにも理解できた。
――安心したよ
親父は最後にそう笑った。