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堀越学園・解散命令へ:消えた若者の夢/中 漫画家目指した男性 「高い代償だった」
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「無謀な夢だったと反省している。でもあの大学での2年半は、何も学べなかった」。来春から東京都内の会社への就職が決まっている男性(22)は表情を曇らせた。
男性は漫画家を目指して08年春、創造学園大に入学したが、10年9月に退学。県内の経理系専門学校に入り直した。
幼いころから「名探偵コナン」など、少年漫画が好きで、中学入学後は漫画家が将来の夢になった。両親は「無理だと思う」とたしなめたが、「プロ集団による専門的な指導」をうたう入学案内に引き込まれていった。
4年制大学で漫画を専門的に学べるのは、国内では京都精華大など数が少なく、実家から近い創造学園大への入学を決めた。
ところが、明るい気持ちに影が差すのに時間はかからなかった。「何かがおかしい」。
必修の「ワークショップ」の講義の冒頭で1人が指名されて暗唱させられる「創造学園大学クレド」。「う 美しい環境、美化清掃」。学生規範を口にすることで実践することが目的と言われても「小学生でもないのに」という反感が抑えられなかった。
これだけではなかった。必修の「水曜コンサート」。音楽科に在籍する学生のコンサートに出席することが義務付けられ、感想文を書くだけで単位が与えられた。「これが大学の講義なのか。なぜ必修として学んでいるのか」。理解できないことが次々に起こった。
09年の1月下旬、教職員への給与遅配などが新聞で報道されるようになったが、大学からの説明はなかった。母親(56)からは退学するよう説得された。「少し頼りになり、学んでみたい講師がいる。もう1年頑張りたい」とその時点での退学は見送った。
講師からは、イラストを描くためのペンの使用法や表現法などを学ぶことができ、他の講義とは違い、実践的だった。
だが、頼りの講師も3年生になったら学校に来なくなった。「辞めさせられたらしい」。うわさが流れた。またしても大学からの説明はなかった。漫画家の夢も大学生活への未練も完全になくなった。
専門学校入学後は猛勉強した。簿記2級や電卓検定1級などの資格約10個を取得。就職試験の面接では創造学園大のことも包み隠さず話した。「大変だったね」。面接官の優しい言葉に涙ぐんだ。
男性は「専門学校に入り直し、やればできるという自信がついた。時間の大切さも分かるようになった。しかし、高い代償だった」と静かに語った。