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※週刊ポスト2011年2月25号
2009年春、4年制の大学への進学率が初めて50%を超えた。
1965年には10人に1人、1990年に4人に1人だったのが、いまや2人に1人以上が大卒だ。
ところが、「最高学府」で学ぶ若者が増えたことは、ちっともこの国の
発展に繋がっていない。なにしろ、その学府の中身ときたら……。
* * *
東京都心の閑静な住宅街に、某私立大学のキャンパスがある。
偏差値は40程度で、底辺校といわれる大学だ。平日の昼過ぎ、
授業中の教室を覗くと、小学校の「学級崩壊」よりもひどい光景が
広がっていた。
現代史学の講義中で、生徒は約200人。講師に背を向けておしゃべりに
興じる生徒など、まだかわいいものだ。
見渡すと、ハンバーガーとポテトを頬張る女子学生、4人で固まって
ポータブルゲーム機を弄ぶ男子学生たち、大きなイヤホンをつけて
肩でリズムをとる者、机に突っ伏してイビキをかく者……。
ペンを持ってノートに向かっているのは数人だけ。
講師が声を張り上げる。「静かにしなさい。そこッ、テストの時に
食べ物を食べていたら、即アウトですからね!」
唖然とするような注意だが、それぐらいでは生徒は見向きもしない。
数分後、講師の堪忍袋の緒が切れた。
「講義は聞きたい人にだけやります。出席はしたことにして
あげますから、聞きたくない人はもう帰ってください!」
一瞬、教室が静まりかえったかと思うと、学生たちは次から次へ
と立ち上がり、教室から出ていった。
残ったのはたった15人だけだった―。