12/02/28 20:01:34.92 CZp9PREp
湯浅駅は南国と言う雰囲気でほんのりと醤油の匂いが漂っている。そうか、湯浅醤油は有名だからな。
旧い風情の残る町並みを進んで湯浅港に架かる大きな橋を渡るが、見晴らしが素晴らしく良い。Yはずっと俺と手をつなぐか、袖口、服をつかんでご機嫌で歩く。
遂に広村の堤防に着いた。鉄筋コンクリートで強化された壁面に津波と逃げる人の姿が招かれている。海側に松林があって日本の海岸の雰囲気が良かった。
少し寒いが弁当を魔法瓶に入れてきた熱い八女茶で。(ペットボトルの茶は怪しいので飲まない。)
「五時に起きて一生懸命作ったよ。」「ありがとう。」
弁当を開くと大きさが揃っていないおにぎり。まー、これはむしろ10代の娘らしく可愛い。
ウインナータコとかまぼこを発見。
「だめだろ。」「どうして。」「こんな混ぜものはセシ牛や福島の魚使ってるかも知れないだろ。」とすこし強めに注意した。
「・・・ごめんなさい・・・」「あやまっても仕方ないだろ。君はこの先赤ちゃん産むかも知れないだろ。俺達はまだ50年以上生きるんだから、少しは考えないと。」
「ごめんなさい。」と半泣き。その先が言い過ぎてしまった。
「何度言ったら君はわかるの。」
弁当の上に涙が落ちた。
言い過ぎたと思い「せっかく一生懸命作ってくれたのに、言い過ぎた。ごめん。」「・・・」肩を抱き寄せて再度あやまる。「ううん、私が悪かったの。」
付き合って以来、どんな甘えもわがままも聞いてくれたのに、強く叱られてショックだったようだ。
お互い気まずく黙って食べた。
Xならすぐ立ち直って嘘でも明るく振る舞うのだが、この娘は落ち込むタイプ。Aなら「ゴメンね~。」一発で終了。あっさりとクヨクヨが残らない。
キスして謝るが、いつも舌を絡めてくるが唇を閉じたまま。タコウィンナーとかまぼこが虚しく残る。「せっかくだから一つ食べよう。」「・・・いらない・・・」
まいったなーと思う。海風で寒いので俺のダウンコートでくるんで、マフラーを巻いてやって肩を抱いて歩くうちに少しずつ機嫌が直ってきた。
湯浅醤油を買って湯浅を発つ。