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一、高橋佳子著 『古い住処を出て、大地を踏みしめよ』について
GLAの高橋佳子女史が、ミカエル事件の挫折の後、ユング心理学を導入して、GLAの法の拡充を目指した
ことはすでに述べた通りです。ユングと並んで彼女に思想的に決定的な影響を与えたと思われるものに
クリシュナムルテイの思想があります。
特に1983年に会員限定版として発刊された『古い住処を出て、大地を踏みしめよ』という著作があり
ますが、この著作は、1980年に刊行されたクリシュナムルテイの『自我の終焉』という著作の内容にあ
まりにも酷似していることに驚かされます。それはまた、彼女の思想形成にクリシュナムルテイがいか
に大きなものでったかを示すものとしても注目されるのです。
そういう意味においては、「古い住処」とは、父である高橋信次師の正法神理を中心としたGLAのこと
であり、クリシュナムルテイの思想の中に新天地を目指す新しい旅立ちの方向性を見出したものという
ことができます。
彼女は、『古い住処を出て、大地を踏みしめよ』において、あまりにも偉大なる父・高橋信次師と決
別を着け、「思想的自立の宣言」を発したとも言えるのです。
しかしながら、内容を検討してゆくと、あまりにもクリシュナムルテイの「受け売り」ばかりで、非常
に稚拙なものでもありました。
しかも彼女は、クリシュナムルテイの「ク」の字も出すことなく、あたかも自己独自の思想的展開で
あるかのようにGLA会員たちに説教していたことに思い至ります。もちろん、彼女自身の思想的生長と工
夫のあとも見られますが、この書物の基調はやはりクリシュナムルテイの「受け売り」と認定せざるを
えないのです。