14/02/06 04:24:13.39
時折ちらほらと目の前を通過する車、一台、また一台・・・
これらをやる気無く惰性でカウントしていたある日、私は突如猛烈な憂鬱感に襲われた。
俺はなにをやっているんだろう・・・
無論、交通量調査をしているのだ。しかしこの仕事、仕事とはいえないくらい退屈なのだ。車種と方向、時間さえ間違えなければ他に頭を使うことはほとんどない。
そんな仕事をしているとつい、脳内にはさまざまな思考が巡ってしまう。そしてその思考、大抵は、ネガティブな思考・・・
もう３４歳、大学を卒業して１０余年、本来なら社会経験も１０年以上となり、後輩を指導し、率先して会社の利益を生み出す存在。
まぎれもなく働き盛りの年齢。だがその年、私は交通量調査にあけくれていた。
いやまて・・・思えばその前の年も私は交通量調査をしていた。
いやいやまて・・・思い出してみると、その前の年、その前の前の年も私は交通量調査にあけくれていた。
いつからだろう？そうだ、大学在学中からだ。もう１０年以上になるのか。
当時、大学を卒業して専門学校に入りなおした友人がいた。私はそいつを馬鹿にした。
【大学を出て専門かよｗｗｗ時間も学歴も金も無駄にしまくりだなぁｗｗｗ】、と。
だが、そいつもついに学校を卒業し修行を終え、留学を果たし、昨年自分の店を出した。
大学在学中には俺によく相談していたあいつ、ここ数年は何も相談してこない。
会話も俺からの一方通行になった。ああわかってるさ。もう俺から得るものは何もないんだろ？迷惑なんだよな？蔑んでるんだろ？
思えば店を持ったのを知ったのも、開店してずいぶん経ってから、別の知り合いを通じてだった。あの頃は俺になんでも相談していたのに、店の開店も知らされなかった俺。
無理もない。もう俺と彼は対等ではない。彼は社会で充分に通用する技術を身につけ、社会経験は１０年以上。３カ国語も身に付けた。
俺は、就職したこともなく日雇いアルバイト経験しかない３０代、スキル等なにもなく、ただひたすら車と歩行者を数え、電話合戦にすがるだけの毎日。
仕事が終われば雇用契約は解除され、次の日の仕事もおぼつかない。そんな人間・・・
そんなことを考えながら椅子に座っていたこの日、私はいつのまにか１００台以上もの車を見過ごしていた