14/03/16 16:08:47.04 yGd4CO+20
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私の研究は、博士論文の指導を受けた経済学者でノーベル賞経済学者の
ゲーリー・ベッカー・米シカゴ大学教授が示した『家庭内分業』という考え方に基づいています。
社会学的なテーマを経済学で分析し、貿易理論を応用すると、『家庭内分業』が“是”となる。
ベッカー教授の理論はイデオロギーではなく、“比較優位性”という経済学的な議論に過ぎません。
比較優位性を社会の現象に応用して考えると、夫と妻のうち、どちらが家庭に専業し、
どちらかが仕事をするべきだという『完全分業制』を“支持”することになるわけです。
なお、『女性=家庭』という価値観は、国際比較調査でも確認されています。
米国で権威ある社会学者が2011年“Happy Homemaker”(幸せな専業主婦)という論文を発表しました。
この研究では、欧米諸国を含む28カ国の国際比較調査のデータを使い、仕事をしていない既婚女性、
つまり専業主婦の方が、仕事をしている既婚女性よりも幸せだということを実証しました。
“Social Forces”という権威ある社会学の学会誌に載りました。
女性の労働市場参画でも仕事したくない女性も結構いるのが現実で、どの国の社会でもそうです。
そういう人たちまで無理やり仕事させると非効率を生むので、経済的にも意味がない。
僕の日米比較の調査でも、日本人の女性は自分が仕事をしていると
不幸だと感じているという調査結果が出ました。
欧米においても、先ほど話した国際比較調査の結果に出ているように、
仕事をしていない女性の方が幸福でした。
制度に関して、海外ばかり見ると日本のモデルや文化的背景を無視して、
無理やり変えなければいけないと思い始めてしまいがちですね。
米国がいい、スウェーデンがいいと安易に考える前に、
自分たちの文化的基盤に根ざしたモデルを模索してほしいものです。
【米テキサスA&M大学社会学部准教授 米シカゴ大学社会学博士(Ph.D.)小野 浩】
〔『やはり、専業主婦の方が幸せなのか?“比較優位”理論から見た夫婦の分業』:日経ビジネス〕