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佐々淳行の著書より
ある日次男が、区立の小学校から泣きべそをかきながら帰ってきた。
聞けば担任のＳという女教師に授業中に
「 このクラスでお父さんが警察官と自衛官の子供は立ちなさい！ 」 と言われ、
次男が立つと、Ｓ教師は 「 この子のお父さんは悪い人です。立ってなさい！ 」 とゆえなく立たされたというのである。
悪いこともしていないのに親の職業で子供を差別し立たせるとは何事かと激怒した私は、早速校長先生に抗議した。
校長は 「 日教組では相手が悪い。子供さんにはね返ってもいけない 」 と言を左右にして一向に煮え切らない。
「 では教育委員会に、親の職業による差別として正式に提訴します 」 と告げると、
これはいけないと思ったのか、校長はＳ教師を家庭訪問の形でさし向けてきた。
Ｓ教師は 「 ベトナム戦争はけしからん、自民党政権は軍国主義の復活、機動隊は学生に暴力をふるう権力の暴力装置 」
と日教組の教条主義的な公式論をまくしたてる。
一通り言わせておいて 「 私が言っているのはベトナム戦争や全共闘のことではない。
貴女は親の職業で罪のない子供を立たせる体罰を加えた。反省しないなら私は教育委員会に提訴するつもりです 」 という。
Ｓ教師はヒステリーを起こして 「 やるならやって御覧なさい。日教組の組織をあげて闘います 」 と叫ぶ。
「 どうぞ。私も貴女を免職させるまで徹底的にやりますよ。ではお引き取り下さい 」 と突っ放す。
すると免職という言葉にイデオロギーが負けたのか、突然Ｓ教師はフロアに土下座して
「 どうぞお許し下さい。教師をやめさせられたら暮していけません 」 と哀願しはじめた。
私は呆れ果てて鉾をおさめたが、あさま山荘事件の時代はこんなひどい話がまかり通っていた時代で、
警察官や自衛官の家族たちを取り巻く社会環境は、お世辞にも友好的と言えるものではなかった。