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明治、大正、昭和の言論界を先導したジャーナリスト、歴史家の徳富蘇峰(そほう)(1863~1957年)。
「近代日本の道筋そのもの」と言われるこの巨人の全貌に迫ろうと、
杉原志啓(ゆきひろ)・富岡幸一郎編『稀代のジャーナリスト 徳富蘇峰』(藤原書店)が刊行された。
なぜいま蘇峰なのか。文芸評論家の杉原氏(62)は「中国の膨張などで国際情勢が激変し、
彼の徹底したリアリズムが求められるようになった」と語る。
蘇峰は、明治半ばに日本初の総合雑誌「国民之友」や「国民新聞」を創刊。
戦前・戦中を代表するジャーナリストとして活躍した。1918~52年には
『近世日本国民史』全100巻を書き上げ、歴史家としても圧倒的な足跡を残した。
しかし、戦中に日本文学報国会、大日本言論報国会の会長として
米英撃滅の旗振り役を務め、言論による翼賛体制の一翼を担った「悪名」から、戦後は敬遠、忘却されてきた。
杉原氏は、蘇峰のこうした負の側面を「否定しない」としつつ、「今こそ蘇峰を再評価すべきだ」と訴える。
まずはその世界観。氏によれば、蘇峰は世界を「力と力の角逐」と捉えた。
はじめは平民主義を掲げていたが、1895年の三国干渉を機に「力の福音」に目覚め、以後一貫して
「力」のリアリズムから世界を捉えた。「勢力均衡を信奉したのもリアリズムから。アメリカが正義や
民主主義などの理念を掲げるのも、それが自国の国益にかなうからそうしていると見抜いていた」。
裏返して言えば、政治や社会現象に理想主義や進歩主義を持ち込まないことであり、
中国の力による台頭が顕著な今こそ、こうした蘇峰の姿勢は必要になるという。
イカソース
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