13/12/26 09:55:36.64 0 BE:327391733-PLT(12069)
★気儘心
「人は経験によって学ぶ」ともいわれるが、哲学者中村雄二郎さんによると、ギリシャ語には、「痛みを感じることがものを学ぶことだ」という言い回しがあるそうだ
▼体に残る古傷から、忘れていた痛みがありありとよみがえることがある。いつまでも消えない心の“うずき”が過ちの繰り返しを防いでくれてもいるのだろう。
私たちには「言葉」があるから、痛みを想像することもできる
▼例えばこのような歌。＜血泡ふく盲貫創（もうかんそう）に喘（あえ）ぎつつ戦友ひたすらに水を欲（ほ）るなり＞。
７０年前、学徒出陣によって送られた中国戦線で、ひそかに歌を詠みためた渡部良三さんの歌集「小さな抵抗」（岩波現代文庫）にあった
▼「盲貫創」は銃弾が体内でとどまってしまう銃創だが、その苦しみが読む者に乗り移ってくるかのようだ。
「戦争の記憶」とは戦場にとどまらず、その時代に居合わせた人々が被り、被らせた苦痛の膨大な集積だろう。歴史を受け継ぐ者が、忘れていいはずもない。
それなのに…
▼政府は国連要請を理由に南スーダンでＰＫＯ活動中の韓国軍への銃弾提供に踏み切った。
武器輸出三原則やＰＫＯ協力法をないがしろにし、明らかに一線を越える行為だ。「緊急性」の説明もまったく足りない
▼＜聖戦も終戦もみな新語なり気儘（きまま）心に造りたるもの＞（良三）。＜積極的平和主義＞も“気儘心”から生まれた新語なのか。２０１３・１２・２５
北海道新聞
URLﾘﾝｸ(www.hokkaido-np.co.jp)