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・国会の荒涼たる風景に怒りを禁じ得ない。国民の代表である「国権の最高機関」で、民意が
踏みにじられる異常さ。取り戻すべきは、民主主義である。
いったい、この臨時国会は何だったのか。召集日の十月十五日を振り返る。安倍首相は、
所信表明演説で「この国会は、成長戦略の『実行』が問われる国会です」と強調していた。
しかし、決意は、その後提出された特定秘密保護法の今国会成立に、いつの間にか塗り替わってしまう。
与党の国会運営の強引さばかりが目についた。
防衛・外交など特段の秘匿が必要な「特定秘密」を漏らした公務員らを厳罰に処す特定秘密保護法は
その内容はもちろん、手続き上も多くの瑕疵がある。
まず、この法律は選挙で公約として掲げて、有権者の支持を得たわけではないということだ。
首相らは同法を、今月四日に発足した国家安全保障会議の設置法と一体としてきた。
しかし、昨年十二月の衆院選、今年七月の参院選の選挙公約で、自民党は会議の必要性は訴えた
ものの、特定秘密保護法にはひと言も触れていない。
第二次安倍政権の発足後、国会では計三回、首相による施政方針、所信表明演説が行われたが
ここでも同法に言及することはなかった。
選挙で公約しなかったり、国会の場で約束しなかったことを強行するのは、有権者に対する
だまし討ちにほかならない。
選挙公約に掲げて有権者に判断を仰ぎ、それを実行できたかどうか、次の選挙で評価を仰ぐのが
民主主義の健全なサイクルだ。
特定秘密保護法の成立を強行することは、民主主義を愚弄するものだとなぜ気付かないのか。
自民党はそこまで劣化したのか。
安倍内閣は国会提出前、国民から法案への意見を聴くパブリックコメントに十分な時間をかけず
反対が多かった「民意」も無視して提出に至った。
国会審議も極めて手荒だ。
同法案を扱った衆院特別委員会では、地方公聴会の公述人七人全員が法案への懸念を表明したにも
かかわらず、与党は翌日、法案の衆院通過を強行した。(>>2-10につづく)
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