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経済的に苦しい学生を支援する独立行政法人「日本学生支援機構」(旧日本育英会)から
借りた奨学金の返還が滞り、利用者が訴訟を起こされるケースが激増、昨年度までの8年間で100倍に
増えたことが、同機構への取材でわかった。背景には、不景気などにより貸与額が増加する一方で、
非正規雇用や失業など卒業後の不安定な就労から返済が困難となっている情勢がある。機構側も
対策を講じているが、専門家からは「学生を支援するはずが、強引に返済させるのは本末転倒では…」との指摘も出ている。
■延滞金は年10%!
機構によると、訴訟への移行件数は16年度で58件だったが、21年度は4233件に急増。24年度は
6193件と、16年度の実に106倍に達した。
奨学金には無利子と有利子の2種類があり、特に有利子分の貸与額も、16年度の4100億円から
24年度には8100億円に倍増している。(中略)
“取り立て”る側の事情もある。機構の関係者は「国の行政改革を通じ、奨学金は金融事業と位置づけられた。
民間金融機関からの借入金を返すためにも、回収を強化する必要がある」と説明する。
一方、利用者側の事情は厳しい。経済的理由などで返済が困難になった場合、支払い猶予を申請できるが、
機構によると、卒業後の「経済困難・失業中」による猶予は23年度で9万2157件。生活保護受給による
猶予の3843件を合わせると、同年度の猶予件数(10万8362件)の約9割を占めた。
こうした状況を受け、機構側は24年度から無利子の奨学金について、卒業後の年収が300万円を
下回るなど一定要件を満たした利用者の返還期限を定めない方式を導入。文科省も26年度の
予算要求で延滞利息の引き下げを盛り込んだ。
奨学金問題に詳しい大阪弁護士会の山田治彦弁護士は、機構側の姿勢を「卒業後も困窮する
利用者に対し訴訟を起こしてでも取り立てようとするのは、貧困ビジネスのようでおかしい」と批判。
一方、利用者側についても「奨学金がローンだという認識が薄い。返済が行き詰まる前に相談するなど、
早期に手を打つべきだ」と指摘する。
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