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ドイツの賠償問題
ドイツの場合、連合国との正式の講和条約はとうとう締結されないまま今日を迎えている。東西に分裂したドイツが統一するまで
講和条約の締結を待つというのが表面上の理由だが、実は冷戦の影響が大きい。東西両陣営とも、東と西の両ドイツに対する
経済的圧迫を手控えざるを得なかった。一九五五年の西欧諸国と西独とのロンドン債務協定では、戦前、戦後のドイツと旧連合
国との請求権の清算が取り決められたが、戦争に起因する請求権問題は講和条約で扱うとしたた め、結局、西独の連合国に
対する賠償支払いは、いつ結ばれるか分からない将来の講和条約に委ねられた。
一方、東側では一九五三年にソ連が東独に対する賠償請求権を放棄した。
その一方、占領下のドイツでは連合国がドイツの生産設 備、車輌などを接収して現物賠償にあてることが進められ た。とりわ
けソ連占領地区においてこの傾向は顕著であり、これらの総額をおよそ二〇〇〇億マルクとする見方もある。これが本当とすれ
ば、後述の犠牲者への補償額をも大きく上回る数字になる。
ところで一九九〇年九月の東西ドイツと旧連合四ヶ国間の「最終規定条約」、いわゆる二プラス四条約で旧占領四ヶ国はドイツ
に対するすべての権利と責任を最終的に消滅させている。この最終規定は賠償問題について何ら触れていない が、これにより
旧連合国のドイツに対する賠償請求権が消滅したものと考えられるかどうかは微妙な問題だ。すでに、 英、仏、オランダ、ギリ
シャ、セルビアなどがドイツに対し改めて賠償を請求しており、「賠償問題は決着済み」とするドイツ政府と対立している。