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(>>1の続き)
また「橋」を比喩に語った以下の部分は、特に印象深い。
「生まれて以来、人は自分と周囲との間に、一つ一つ橋をかけ、人とも、物ともつながりを深め、それを自分の世界として生きています。
この橋がかからなかったり、かけても橋としての機能を果たさなかったり、時として橋をかける意志を失った時、人は孤立し、平和を
失います」
■「神保町の古本屋」が大好きな読書好き
この講演は当時も話題となり、『橋をかける』のタイトルで書籍化もされている。今回朝日新聞で改めて取り上げられたことで
ツイッターでも、「僕も、『美しいと思い、体が震え』ました」(出口治明・ライフネット生命保険会長)とつぶやいたのを始め、「なにかと
単純さを好むいまどきの風潮を見るに考えさせられることばである」(内藤耕・東海大教授)と、再び反響が広がった。
皇后さまの「おことば」の美しさ、文学への造詣の深さは以前から有名だ。中学生のころから古典を愛読、神保町の古本屋に足しげく
通われ、2007年にも「身分を隠して一日自由に行動できるとしたら?」という問いに、
「学生のころよく通った神田や神保町の古本屋さんに行き、もう一度長い時間をかけて本の立ち読みをしてみたい」
とお答えになったほど。読むだけではなく、ご自身でも絵本や詩の創作・英訳を手がけられ、複数の作品が出版・音源化されている。
上記のIBBYでの講演も、そうした関係から実現したものだ。2006年には歌集が仏訳・刊行され、現地の新聞で「その昂ぶりでなく
虔(つつし)みに我らは涙せざるを得ない」と評された。
皇后さまのご著書の装丁を手がけたことのある画家の安野光雅さんも、海外の編集者から「日本の皇后はなんて素晴らしいんだ」
と声をかけられたと対談で語る。皇后さまの「おことば」は国境を問わず、多くの人々の胸に届いているようだ。
(終わり)
(参考)(論壇時評)皇后陛下のことば 自分と向き合って伝える 作家・高橋源一郎
URLリンク(www.asahi.com)
写真=高橋源一郎さん
URLリンク(www.asahicom.jp)