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・まだ幼さの残る少女が、性暴力救援センター大阪「SACHICO」(大阪府松原市)に相談に訪れた。見れば、おなかが
小さく膨らんでいる。妊娠7カ月。腹痛で近所の医院を受診したときに妊娠を指摘され、初めて気付いた。原因は
数カ月前に受けた強姦(ごうかん)被害。少女はまだ中学生だった。
SACHICOには平成22年4月の開所以来、2年間で強姦被害に遭った女性144人が治療や相談に訪れている。
そしてその15・3%にあたる22人が望まない妊娠をしていた。多くは中絶を選ぶが、十代の少女は妊娠という体の
変化に気付きにくく、判明時には、母体保護法で中絶が可能な妊娠21週6日を超えていることもあるという。
こうした女性と向き合ってきたSACHICO代表の加藤治子医師(64)は「出産となれば、生まれるまでの数カ月は
精神的にも過酷な日々になる」と打ち明ける。生まれてくる子供を自分の手で育てられるのか。「子供も本人も、とても
大きなものを背負って生きていかなければならない」。
被害者にとって、ある重要なタイムリミットがある。それが「72時間」だ。
妊娠を防ぐ緊急避妊薬は、72時間以内に服用しなければ効果が得られない。また、被害者の体内に残っている
加害者のDNAも72時間程度で体外に自然排出される例が多いという。だが、被害直後の被害者が冷静に状況を
判断し、72時間以内に病院や警察に駆け込むことは極めて難しい。
兵庫県の女性(45)は高校1年の夏、突然路上で拉致され、加害者の家で集団強姦の被害に遭った。「今から
やることはゲームだ」と男は言い放ち、複数の男たちに次から次へと暴行を受けた。やっとの思いで逃げ出したが、
すぐに家に引きこもり、病院に行ったのは何日も過ぎた後。「思い詰めるばかりで1人で行動に移そうという気すら
起きなかった。警察に届ける証拠もなく、時効が過ぎてしまった」。悔やんだのは随分たってからだ。(>>2-10につづく)
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