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大阪時事新報 1931.4.19(昭和6)
支那へ向つての雑貨工場進出不利
寧ろ印度南洋への製品販売に努力せよ
対支雑貨貿易は今春新関税の実施と中国内の中小工業の勃興に依つて
著しく減退を示したので前途を憂慮し気早筋では中国投資をなす者
相当数を示したのに鑑み大阪貿易館では最近中国駐在員を増加する一方
特派員を出し、大阪市産業課も亦彼地の経済事情調査に全力を挙げ
大阪商工会議所では一万余円を投じて同地へ視察員を送る等
一般に其成行を重視してゐるが経済界一部では中国の現状に照して
雑貨輸出に払ふ努力を印度、南洋に向けるべしといふ論が擡頭するに至つた、
其理論根拠とする所は中国の労銀安は説く迄もないが雑貨工場に要する
新機械の欧米先進国よりの需要は一長一短はあるが我国とは大差がなくなつてゐる、
一例として中国が最近一箇年に於て米国より同国製莫大小靴下の
新機械輸入数量を各国との比率を見ると
支那1.44 日本1.21 印度0.26 瑞典1.07 諾威1.19 智利1.11
右により知らるゝ如く雑貨工業の如き小資本を要するものは
機械利用の少き未開国への進出を必要とするからである