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沖縄戦体験者の精神医療に関わってきた蟻塚亮二医師が15日、西原町の沖縄キリスト教学院大学で講演し、
高齢になってから発症する心的外傷後ストレス障害(PTSD)の沖縄での症例を数多く報告した。
戦争の悲惨な光景や人間の生肉のにおいを思い出して抑うつ感や恐怖感に襲われたり、死体を踏んだ足が
痛むなど身体症状として現れるケースを紹介。「戦争体験者は高齢化しても記憶は痛々しいほど脳の中に
保たれる。トラウマは風化しない」と影響の深刻さを指摘した。
蟻塚さんは2010年ごろ、不眠の高齢者を診察する中で、戦争体験による傷が遠因となっていることに気づいた。
「閉じ込めていたトラウマが、年とともに頭の中で抑えられなくなり、眠れなくなる」と、自身が名付けた、
高齢になって現れる「晩発性PTSD」の概念を説明した。
沖縄戦トラウマ研究会のメンバーとして関わった沖縄戦体験者への調査で、PTSDが疑われる人が4割に
上ったことに触れ、「心身の異常を訴える高齢者がいたら、沖縄戦の影響がないか調べ、治療に当たることが
重要だ」と話した。
1960年代の国の調査で沖縄の精神疾患有病率が高かったことについても「沖縄戦による暴力的死別体験が
いろんな精神疾患を生んだと考えられる」とし、検証の必要性を訴えた。
家庭内暴力やアルコール依存症、少年の非行など現代の沖縄が抱える社会問題にも言及。「戦争体験による
影響が親子関係の不十分さとなり、世代を通じて悪影響を与えている」と、戦争記憶との関連を示唆した。
現在、沖縄から福島県に住居を移し、東日本大震災の被災者を診察している蟻塚さんは、現地でトラウマによる
精神症状がすでに出ていることを挙げ、「60年後に沖縄の高齢者のような症状を訴える人も出てくると思う」と話し、
戦争、災害などさまざまなトラウマ研究の必要性を説いた。
ソース
沖縄タイムス URLリンク(article.okinawatimes.co.jp)