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★記者の目:リフレッシュ休暇の効用=萩尾信也
勤続33年を数えた今春、20日間の「リフレッシュ休暇」を取って、世界遺産に登録されたスペインの巡礼路をたどる旅に出た。
10キロを超えるリュックを背に歩き続けて10日間、計300キロ。
体力の限界を痛感したが、6キロも減少したぜい肉とともに心に沈殿したアカも落ちたようなすがすがしさを感じている。
◇スペイン巡礼、人生自問
リフレッシュ休暇。辞書には「気分を新たにするために一定の勤続期間を経た者に与えられる長期休暇」とある。導入企業は数多いが、普及には至っていない。
「20日も休むの?」。同僚のけげんそうな顔が実情を物語る。果たしてその効用は? 体験して見えてきたものがある。
毎年10万を超える人々が集う巡礼路。主要ルートはフランスからスペイン北西部のキリスト教聖地「サンティアゴ・デ・コンポステーラ(星の野原)」に至る800キロと、
さらに西方100キロの「フィステーラ(地の果て)岬」を結ぶ計900キロ。全踏破には1カ月を要し、私は終盤の3分の1にトライした。
◇多様な価値観や文化と出会う
寄付や格安の料金で運営される巡礼宿に泊まりながら、ひたすら歩く毎日だった。
装備を欲張ると荷がかさばり、無理をして距離を稼ぐと足のマメや筋肉痛となってはね返る。己の体と向き合ってペースを決めながら、「持たざること」の身軽さを学んだ。
世界中からやって来る巡礼者との交流は多様な価値観や文化との出会いとなって、固くなった脳みそをほぐしてくれた。
熱心な信者もいたが、巡礼の目的は「自分探し」から「ダイエット」まで多種多様。ロバに2人の幼子と荷物を乗せたフランス人家族は半年もかけて巡礼路を往復し、
警察官を退職した米国男性は妻と連れだって第二の人生を謳歌(おうか)。
課外授業でカナダからやって来た18歳の女子高生は「思索の旅にしたい」と目を輝かせた。彼らは「豊かな時間」を生きていた。(>>2-5へ続く)
毎日新聞 2013年05月10日 00時13分(最終更新 05月10日 00時27分)
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