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木語:怖さ増す中国の核=金子秀敏 毎日新聞 2013年04月25日
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とても重要な情報が4月23日付の「毎日新聞」国際面にある。中国の国防白書から「核兵器の
先制不使用」の記述が消えたという。
北朝鮮のテポドンなどよりはるかに強力な中国製の弾道ミサイルで米国を先制攻撃する可能性が
「ない」から「ある」に変わったということなのだ。
米国も1000発の核弾頭を持っている。先制攻撃しないという政策でもない。米中が核の脅迫
(きょうはく)ゲームで対等の立場に立ったのだ。かつて米国とソ連が大陸間弾道弾の破壊力を競
った。それを「冷戦」と呼んだが、これから米中の「新冷戦」が始まる。
冷戦時代、地球上のルールは米ソという「グレートパワー」で決めた。冷戦が終わり米国の独走時代
が続いた。しかしあと7年で中国の経済力が米国を抜くといわれる。いまや、経済力だけでなく
核ミサイルでも米国を先制攻撃できる質と量が整ったという自信がついたのだろう。これからは、
核軍縮交渉から、朝鮮半島の安定、尖閣諸島の領有権まで「新型の大国」同士で決めるつもりかも
しれない。
習主席は昨年12月、「第2砲兵」(戦略核ミサイル軍)所属の幹部党員と会見し「強大な戦略
ミサイル部隊の建設」を強調した。「第2砲兵は中国の戦略威懾(いしょう)の核心力量であり、
中国の大国たる地位の戦略的支柱である」
中国の歴代国家主席のなかで核戦略に触れた唯一の発言だという。「威懾」がポイントだ。中国筋
によると、「懾」は「脅す」意味だが、単なる「脅迫」ではない。相手が恐れおののいて手が出せない
ほどの脅しである。戦わずして相手を屈服させる道だ。それでも挑戦してくるなら本気で先制攻撃する。