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★靖国問題―なぜ火種をまくのか
近隣諸国との関係改善が必要なときに、安倍政権はいったい何をしているのか。
麻生副総理・財務相ら3閣僚が、春季例大祭に合わせて靖国神社を参拝した。安倍首相は参拝を控えたが、神前に捧げる供え物「真榊(まさかき)」を奉納した。
これに反発して、韓国は今週末に予定していた尹炳世(ユンビョンセ)外相の訪日を取りやめた。中国外務省も日本に「厳正な申し立て」をしたと発表した。
菅官房長官は会見で「影響を外交に及ぼすべきではない」と語った。だが、靖国参拝は歴史認識に関わる問題であり、両国の反発は当然、予想されたはずである。
日本外交にとって、いま最も優先すべき課題のひとつは、核・ミサイル問題で挑発を強める北朝鮮に日中韓が結束して当たることだろう。
韓国外相の来日もその調整の一環だった。
たしかに、日本と中韓両国とは尖閣や竹島問題をめぐって緊張が続いている。
中国の監視船が尖閣周辺の日本領海を侵犯するなどの行為に対して、抗議するのは当然だ。
同時に、首相自身が「大局的な観点から関係を進める」と語ったように、粘り強く関係修復をはかる。そうした微妙な時期である。
それを、靖国問題でことを荒立てるのでは、方向が逆ではないか。
これによって関係改善が遠のくようなことになれば、国益を損なうだけだ。
首相はもともと靖国参拝が持論だ。だが、第1次安倍内閣のときは参拝を見送り、悪化していた両国との関係を打開した経緯がある。
今回、首相は閣僚の参拝について「自由意思に基づいて行うことだ」と、それぞれの判断に任せたという。
自身が参拝しなければ乗り切れると思っていたとすれば、甘すぎると言わざるを得ない。(>>2-3へ続き)
asahi.com 2013年 4月 23 日(火)付
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