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14日告示、21日投開票の滋賀県彦根市長選で、153年前に彦根藩主の井伊直弼(なおすけ)が
暗殺された「桜田門外の変」の因縁が話題になっている。桜田門外の変に参加した薩摩浪士の一族の
子孫が立候補を表明。これに対し、通算4期目を目指す現職が「井伊家のまちを守る」と批判を強めている。
市長選は、前回惜敗した無所属新顔も絡んで激戦模様だ。市民の間には「争点にふさわしくない」
と冷ややかな声もある。
4月初め、現職の獅山向洋(ししやまこうよう)氏(72)の確認団体が作成したビラ4万枚が市内で宅配された。
ビラでは立候補表明した新顔の有村国知(くにとも)氏(38)の一族が桜田門外の変に参加したとし、
「同氏の行動(立候補)は、とうてい容認できない」と批判。もう1人の新顔の大久保貴氏(49)にも
有村氏の立候補について「見解を明らかにするべきだ」と求めた。
このビラに対し、有村氏は8日会見を開き、「人の生まれは自分では決められない。市長選とは全く
次元の違う話を、自分の利益のために利用している」と現職側を強く批判した。
有村氏は、有村治子・自民党参院議員の弟で元秘書。彦根市と隣接し、母の実家がある同県愛荘町の出身で、
父は元県議長、兄も県議。「愛着がある彦根に活気を取り戻したいと考え、市長をめざしたい」との理由から
昨年10月に同市に転入した。
有村氏の祖先は薩摩藩を脱藩した有村次左衛門。水戸浪士とともに桜田門外の変に参加したが、重傷を負って自害した。
有村氏はその次左衛門の末弟の子孫にあたるといい、「(子孫であることは)代々伝えられてきた」という。
一方、獅山氏は89年の市長選で、9期36年間にわたり市長を務めてきた直弼のひ孫の故・井伊直愛(なおよし)氏
の10選を阻み、初当選。獅山氏は3月の会見で、明治維新100周年の1968年に彦根市と水戸市が親善都市となり、
交流を深めてきたとして「融和のための活動実績もなく市長になるのは許せない」と批判した。
[朝日新聞]2013年4月11日18時6分
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