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生活保護や児童扶養手当をパチンコやギャンブルなどの遊興に使って生活が立ち行かなくなっている人に気づいたら、役所に一報を─。
市民にそんなことを義務づける兵庫県小野市の「福祉給付制度適正化条例」案に対し、全国で賛否の声が噴出している。
「市民が相互に監視する社会を作りたいのか」「個人生活の侵害だ」といった批判から、「受給者に生活費の散財を禁じるのは当たり前」と
支持するものまで、条例案が明らかになった2月下旬から
3月15日までに、全国から同市に届いた意見は千件を超える。約7割が賛成だ。
「知り合いに『ちょっと困っているんや』と言われて3万円貸したとしますよね。
2時間後にその人がパチンコ店から出て来るのを
見たらどう思います?『それはないだろう』と言うんとちゃいますか」
条例案の狙いについて尋ねると、蓬莱(ほうらい)務市長(66)はこう話し始めた。
生活保護費は、国が4分の3を、市区町村が4分の1を負担する。今回の条例案からすると、
小野市もさぞ、受給者数や不正受給の増加に頭を痛めているかと思いきや、そうではないと蓬莱氏は言う。
「生活保護の受給率は、全国平均が1.67%ですが、小野市は0.29%。県内では41市町で2番目の低さです。
不正受給だって決して多いとは思っていません。市の財政も健全で、基金残高は
過去最高レベルの約85億円です。生活保護費を削ることが条例の目的とは違うんです」
蓬莱氏の発想の根底にあるのは、自立や生活維持のための生活保護費をパチンコやギャンブルにつぎ込むのは、
税金の「目的外使用」という信念だ。
さらにその背後には、ギャンブルは簡単に生計の基盤を脅かすとの認識がある。
続きます
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