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ひところのように、春の使者とか春の便りと呼ぶ気分にはなれないでいる。黄砂のことである。中国やモンゴルの
黄土地帯で舞い上がった砂ぼこりが、上空の西風に運ばれてくる。今年も飛来の時季を迎えた
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はるばるやって来る黄砂は春の季語である。〈電光ニュース消えて黄砂の街残る 中西徳太郎〉。季語としてのデビューは
比較的新しい。注目されるようになるのは、大正時代の終わりころ。歳時記にある
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四季という大きな約束があり、その約束の中身を細かくしたのが季語―。俳人の坪内稔典さんが「季語集」(岩波新書)の
前書きに記している。約束だから時代とともに古くなるもの、新しく生まれるものがある。バレンタインデー、春一番、
あんパンなども新しい春の季語という
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黄砂に心がふさぐのは、青空や日差しを遮るからだけではなさそうだ。このところ目や耳にしない日はないほどになった
「PM2・5」(微小粒子状物質)のおかげだろう。空がどんよりと黄色っぽくなれば、この物質まで浮いているような気持ちになる
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汚染のひどい中国に目がいくけれど、日本国内の車の排ガスなどの影響もある。そのくせ環境基準ができたのは最近だし、
観測体制も十分でない。外出や屋内の換気を控えてほしい、といきなり言われても戸惑いが先に立つ。よもやPM2・5が
季語になる日が来ることはあるまいが…。
ソース:URLリンク(www.shinmai.co.jp)