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(>>1のつづき)
サムスンは、日本の優秀な技術者をヘッドハンティングし、その技術力で世界の頂点に上りつめた
ともいわれている。それにもかかわらず、イ会長の言葉に象徴されるように「もはや日本は
ライバルではない」といった発言が散見され、なかには「シャープやパナソニックは二流技術」と
まで口にするサムスン関係者もいるという。
連結売上高16兆円超のサムスンにとっては、100億円の出資でシャープの主要株主となれる
メリットは大きい。液晶事業だけをとっても、シャープが業界に先駆けて事業化している新型液晶
「IGZO」は魅力のひとつだろう。
一方、シャープがサムスンと電撃的な資本提携に踏み切ったのは、財務状況の悪化から昨年
3月に合意した電子機器の受託製造サービス(EMS)で世界最大手の台湾・鴻海精密工業との
提携交渉が思うように進んでいないためだ。鴻海とは9・9%の出資を受けることで合意したものの
出資期限の3月26日を前に協議はまとまっていない。
自己資本比率が昨年12月時点で9・6%まで落ち込んでいるシャープにとって今、必要なのは
「現金」。昨年12月には米半導体大手のクアルコムから最大100億円の出資を受け入れることで合意、
すでに50億円は受け入れている。また、米半導体大手インテルと交渉を進めているとの報道も
あるが、いずれも財務体質が一気に改善するほどの状況には至っていない。
別の関係者はこう解説する。「鴻海は創業者が一代で築き上げた、いわば“成金企業”。だから
シャープに対し、1千億円を超える出資も検討していた。しかし、それも頓挫しかけている。
今のシャープでは1社から100億円の出資を受けるのが精いっぱいではないだろうか」
サムスンとの電撃提携でも危機が去ったわけではない。シャープにとってはまだ資金は必要で
今後も手を差しのべてくれる企業を探す必要がある。
前出の証券アナリストは「サムスンとの提携が吉とでるか凶とでるかは不明だが、今後も慌てて
提携すれば、鴻海の二の舞になる恐れは十分あると感じている」と指摘する。(以上)