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自衛隊が靖国神社の雪像を作る日も遠くない―。二月一一日に閉幕した「さっぽろ雪まつり」(札幌市・札幌市教委などで構成する実行委主催)に、
陸上自衛隊の全面協力によって「伊勢神宮」の大雪像が作られた。雪像の周りには同神宮ののぼり旗が立ち並び、特設舞台では法被姿の男たちが
「神話」や「遷宮」について説明。雪像の下には「陸上自衛隊」の大文字。まるで神道が陸自の“公式宗教”になったかのようである。
憲法八九条は「公金その他の公の財産は、宗教上の組織若しくは団体の使用、便益若しくは維持のため(中略)これを支出し、
又はその利用に供してはならない」と政教分離を定めている。同祭りには札幌市が約二億三〇〇〇万円を助成。
天皇を神と位置づけ侵略戦争に突き進んだ過去の歴史を考えれば、「自衛隊の伊勢神宮」には明らかに問題がある。
だが地元マスコミが出資者になっているせいかどうか、疑問を呈する報道はない。
雪像は「伊勢 神話への旅」と題されて札幌市大通四丁目に作られたもので、幅約二五メートル、奥行き二〇メートル、
高さ一五メートル。「皇室の御祖神である天照大御神をお祀りしています」(伊勢神宮のホームページ)という社殿や天照大御神、
鳥居や宇治橋、「神馬」、「神鶏」など神話の登場物がかたどられている。展示区域は読売新聞社と札幌テレビ放送が担当。
伊勢市や伊勢商工会議所などでつくる御遷宮対策委員会が三八〇〇万円を支出して出展した。「観光・誘客」目的だという。
「宗教行事ではなくて観光の視点で行なっている。宮司が来て祝詞をあげるというのもないと聞いている」と札幌市の
三井雅勝・観光PR課長も「観光」を強調する。だが「奉祝木遣り」といった神社特有の行事もあり、苦しい説明だ。
防衛省は「実行委の依頼で制作した」と説明、政教分離に関しては締め切りまでに回答がなかった。
週刊金曜日 3月4日(月)16時56分配信 (三宅勝久・ジャーナリスト、2月15日号)
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