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『ツェねずみ』 あらすじ ２／５ 宮沢賢治 作
「えい、早く行ってしまえ。てめえの取った、のこりなんかうじむしにでもくれてやらあ。」
ツェねずみは、いちもくさんに走って、天井裏の巣へもどって、金米糖をコチコチ食べました。
こんな具合ですからネズミは動物仲間から嫌われて仕方なく柱や道具などを相手にし始めます。
柱がある日、ツェねずみに言いました。
「ツェねずみさん、もうじき冬になるね。幸いぼくのすぐ頭の上に、すずめが春持って来た鳥の毛やいろいろ暖かいものがたくさんあるから、いまのうちに、すこしおろして運んでおいたらどうだい。」
ツェねずみはもっともと思いましたので、さっそく、その日から運び方にかかりました。
ところが、途中に急な坂が一つありましたので、ねずみは三度目に、そこからストンところげ落ちました。
「柱さん。お前もずいぶんひどい人だ。僕のような弱いものをこんな目にあわすなんて。」