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『ツェねずみ』あらすじ その4 宮沢賢治 作
ちり取りやバケツなど道具仲間は、みんな順ぐりにこんな目にあって、こりてしまいましたので、ついにはだれもツェねずみの顔を見るといそいでわきの方を向いてしまうのでした。
そして出会ったのがねずみ捕りです。実はこのねずみ捕りは人間よりもねずみに同情心を持っていました。
けれども、たいていのねずみはなかなかこわがって、そばへやって参りません。
「おいでおいで。今夜はやわらかな半ぺんだよ。えさだけあげるよ。大丈夫さ。早くおいで。」
ツェねずみが、ちょうど通りかかりました。そして、
「おや、ねずみ捕りさん、ほんとうにえさだけをくださるんですか。」と言いました。
「そうだよ。えさだけあげるんだよ。そら、早くお食べ。」 ツェねずみはプイッと中にはいって、むちゃむちゃむちゃっと半ぺんを食べました。