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★共に生きる・トブロサルダ:大阪コリアンの目/109 /大阪
◆日韓新政権、在日の位置から語りかけたい
◇心ない言葉で傷つく親子の存在 平和構築、強調・協力を
相談に乗ってあげてほしいと知人からもらった電話の向こうに彼女の声があった。生気はなく、ため息をついていた。彼女は在日3世。
今年小学校を卒業する娘が、学校の友だちに「韓国帰れ」と言われて家に帰ってきた。
少しでも家族のことを理解してもらいたいと、これまで何度か学校で、朝鮮半島の伝統楽器のチャンゴを自ら披露し、
クラスメートたちの前で奇麗な民族衣装にも身を包んだ。親として、在日としてできる最大の努力を彼女は重ねてきた。
しかし、それらが意味を持たなかったのだと彼女は虚脱していた。
彼女の娘に発言が浴びせかけられたのは昨年末のこと。娘はすぐ家では話さなかった。たぶん親に心配をかけてはいけないと考えたためだろう。
母へのけなげな気遣いだった。時期が少し過ぎて初めて娘は語った。「悔しかった」とこぼれ出た言葉を聞き、彼女は大きなショックを受けた。
片寄せあう2人の家族。大都会では途方もなく小さい。女手ひとつだが、明るく賢い人になってほしいと懸命に子育てを続けてきた。
そしてそれに応えるように凛(りん)とした子に育った。だからなおさら、学校には在日である娘のことをしっかり受け止めて欲しかったし、
さみしい思いをさせてほしくなかった。家族がめざす幸せの一片に、在日であることを肯定的に受け止めてほしいという思いがつまっていた。
出来事について話すうち、娘は大粒の涙を流した。そして「日本人になりたい」と嗚咽(おえつ)しながらつぶやいたという。
事務所で面談したとき彼女は、その娘の姿を、指先で目頭をぬぐいながら私に語った。
「私の何が悪かったのでしょうか」と自分を責めながら。(続く)
毎日新聞 2013年02月22日 地方版
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