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(>>1のつづき)
「大人の被写体たる男性のヌードを本人了解のもとに撮影し、それをアート作品として表現する意図において、
モザイクがかかっているか否かという二元論は無意味ではないだろうか。レスリーの場合、そうした日本の法律や
出版社側の事情を理解したうえで、自らの表現の自由を奪われたくないという理由から、自ら保有する出版社
『DANNY & TEDDY PRESS』から自費出版するという姿勢を貫いてきた。今回の一件にしても、公共のメディアで
公開した訳でも、一般の人々の目に触れる書店に置いた訳でもなく、あくまでレスリーの作品世界を理解する人々だけに
向けて発表した作品が、誰を不快にしたというのであろうか」
山室さんは続けて、レスリー容疑者の写真がわいせつ物なら、同じく人間の裸体を被写体として扱う米国の
写真家テリー・リチャードソンやロバート・メイプルソープの作品も、単なる「猥褻物」として扱われてしまうとし、
こうした単純な法解釈が表現者のクリエイションを狭めてしまうことは残念でならないと嘆いた。
憲法21条で定められた「表現の自由」と刑法175条に示される「わいせつ」の線引きについては、以前から
議論がある。最近では、ロバート・メイプルソープの写真集を、男性器を写した写真が掲載されていたために、
「わいせつ図画」に当たると日本の税関が判断し没収した事件があった。これをめぐる裁判では、写真集の
芸術性を理由の一つとして、「わいせつ図画にはあたらない」との判例が出ていた。
この事件で国と争った出版社・アップリンク代表の浅井隆さんは、レスリー容疑者の逮捕について、ツイッターで
こう怒りをぶちまけている。
「僕が10年かけてメイプルソープ写真集事件で勝ち取った表現の自由を警察は忘れたのか。ギャラリーなどの
限られた空間、コンビニなどで販売していない高価な写真集に男性器が露出していても犯罪ではない」
「2008年2月最高裁はメイプルソープ写真集は猥褻ではないという判決を出した。それから5年。更に状況は
変化している。インターネットで誰もが猥褻動画を見る事ができる時代だ。レスリーの写真集は見ていないが
断固警察に抗議し、レスリーを支持する」(以上)