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中国政府が、大都市で深刻化する大気汚染への対応を迫られている。
国民の環境意識は高まっており、対策の遅れは 社会の不安定化につながりかねない。
スモッグが重く低く立ちこめる北京市内。何かが焦げたような臭いが街中に漂う。
外をしばらく歩くと、目や鼻、のどに違和感 を覚え、室内にいても頭にずんと重みを感じる。
北京に1日滞在すれば「たばこを21本吸ったのと同じ計算」(中国誌「新民週刊」)と言われ、
「N95」の表示がある業務用 マスクが品薄状態だ。1枚約7元(約100円)と通常のマスクより割高だが、
健康被害をもたらす微粒子状物質(PM2・5)の 吸引を確実に防ぐのに必要とされる。安価な偽物も出回っている。
1月下旬、国営中央テレビのアナウンサーが中国版ツイッター「微博」に、屋外で交通整理にあたる警官が
「マスク着用を 禁じられている」と書き込むと同情論が広まり、公安省は一転、「状況に応じたマスクの着用」を許可した。
北京市政府は応急措置として1月30、31日、中心部の朝陽区内ですべての工事を停止。
抜き打ち検査で有害物質の排出基準を超えていた工場や車両に罰金を科した。政府機関の公用車も3割が使用を禁じられた。
しかし、中国はこれまで、対策の基本であるデータ観測や公開に消極的姿勢が目立っていたのも事実だ。
米国大使館は2008年の北京五輪前から、北京などでPM2・5の独自測定を行い、公表している。
北京市も昨年初めから 試験的に測定・公表を始めたが、北京市の判定で「良」なのに米側は「不健康」とする日もあり、評価はしばしば大きく食い違う。
市民の間では「市当局がデータを改ざんしている」との批判が噴出。
外務省は6月、内政干渉だとして米大使館に公表中止を 求めたが米側は応じず、
10月には北京市も、観測ポイントを大幅に増やして正式なデータの測定・公表を始めた。
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